株価
TOAとは

TOA株式会社は兵庫県神戸市ポートアイランドに本社を置く業務用音響機器・セキュリティ機器メーカーで、1934年創業の公共空間向け設備専業企業である。旧社名は東亞特殊電機で、ブランド名トーアが現在の社名の由来となっている。三和グループに属し、一般消費者向けオーディオではなく「施設に組み込まれる音と安全のインフラ」を扱う点が最大の特徴となる。
事業は構内放送設備とセキュリティシステムの2本柱で構成される。学校・駅・空港・商業施設・工場・スタジアム・議場・病院・ホテルなど不特定多数の人が利用する場所に設置される設備を対象としており、建物の完成後も長期にわたり使われ続ける常設機器として導入される。マイク・アンプ・制御装置・スピーカーまでを一体で設計し、施設全体の音環境をシステムとして提供する思想を持つ。日本の空港放送設備では非常に高い採用実績を持つとされ、公共施設向け分野で強い存在感を持つ。
音響分野では校内放送や館内案内放送などの拡声設備、火災時の避難誘導を行う非常用放送設備、ホールやスタジアムのPA音響、議会・裁判所・会議場の議場システム、ワイヤレスマイク、インターカム、防災行政無線などを扱う。鉄道駅の案内放送や工場内連絡放送のような日常業務用途から、災害・緊急時の避難誘導まで幅広く使われるため、景気よりも建設投資や法規制の影響を受けやすい分野となる。特に非常用放送設備は消防法関連の設置義務があるため一定の更新需要が継続する性格を持つ。
セキュリティ分野では監視カメラや録画装置を中心とした防犯機器を展開し、音響と連動した施設安全管理システムとして導入されるケースが多い。施設の案内放送・警報・監視を統合することで、商業施設や交通インフラの管理システムの一部として組み込まれる。音と映像を組み合わせた危機管理用途が中心で、単体製品販売よりもシステム導入の比率が高い。
海外では地域ごとに商品企画・販売・サポートまでを行う体制を取り、100か国以上で展開している。宗教施設・教育施設・空港・交通インフラなど公共投資と都市化の影響を受ける市場に強く、新興国の都市整備や人口集中地域のインフラ投資が需要の背景となる。一方国内では更新需要が中心で、学校・官公庁・商業施設など既存設備の入替が収益のベースとなる。
代表的な製品はスピーカー、アンプ、マイク、メガホン、非常用放送設備、会議システム、ワイヤレスシステム、インターカム、防災無線用スピーカー、監視カメラなどで、1954年に世界初の電気メガホンを開発した企業として知られる。選挙用車載アンプなどで普及し、その後公共施設向け放送設備へと事業を拡大した。音響コンテンツ制作は子会社ジーベックが担当し、施設音響と音源制作を一体で提供する体制を持つ。
事業の性質上、一度導入されると長期間使用され保守・更新・増設が発生しやすいストック型の側面を持つ。景気敏感な民生機器メーカーとは異なり、建設投資、公共投資、法規制、都市インフラ整備の動向に影響を受ける設備産業型の企業と位置づけられる。
TOA 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 40,575 | 2,293 | 2,558 | 1,596 | 48.9 | 20 |
| 連22.3 | 40,864 | 2,159 | 2,407 | 1,466 | 45.1 | 20 |
| 連23.3 | 45,123 | 1,713 | 2,104 | 1,765 | 54.5 | 40 |
| 連24.3 | 48,814 | 3,028 | 3,710 | 1,997 | 62.6 | 40 |
| 連25.3 | 50,626 | 3,589 | 3,920 | 2,364 | 78.7 | 40 |
| 連26.3予 | 54,500 | 4,500 | 4,700 | 2,750 | 91.4 | 85 |
| 連27.3予 | 56,500 | 4,900 | 5,100 | 3,000 | 99.7 | 85 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 583 | -2,787 | -1,442 |
| 2024 | 5,074 | -928 | -5,226 |
| 2025 | 5,619 | -2,403 | -2,085 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | 実績PER(倍) | 実績PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 3.7 | 3.8 | 2.7 | – | – |
| 2024 | 6.2 | 4.2 | 3.0 | – | – |
| 2025 | 7.0 | 4.7 | 3.4 | 17.0(高値平均) / 11.7(安値平均) | 1.12 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上高は488億円から506億円から545億円予と拡大しており、事業規模は緩やかな増加傾向にある。営業利益は30億円から35億円から45億円予、経常利益は37億円から39億円から47億円予、純利益は19億円から23億円から27億円予と、各利益段階で連続増益の流れが確認できる。売上の伸びに対して利益の伸びが大きく、利益成長型の動きになっている。
営業利益率は3.7%から6.2%から7.0%へ上昇しており、コスト構造または採算性の改善が続いている状態にある。売上拡大と同時に利益率が上がっているため、単なる市況回復ではなく収益性の改善が進んでいる形になっている。ただしROEは3.8%から4.2%から4.7%、ROAは2.7%から3.0%から3.4%と上昇しているものの、水準としては依然低位であり、資本効率は改善途上の段階にとどまる。利益は増えているが資本に対する稼ぐ力はまだ高いとは言えない水準で推移している。
評価面では2025年のPERは11.7倍から17.0倍のレンジ、PBRは1.1倍となっており、資本効率の低さを考慮すると過度な割高評価ではない一方、明確な割安水準でもない中間帯の評価となる。収益性の改善をある程度織り込みつつ、まだ高収益企業としては評価されていない価格帯と読み取れる。
総合すると、売上は安定拡大、利益はそれ以上のペースで増加し利益率は改善傾向にある一方、ROE・ROAの絶対水準は低く資本効率はまだ弱い段階にある。現在の評価は「収益改善途中の企業」という位置づけに近く、株価は利益成長よりも資本効率の上昇が続くかどうかによって変動しやすい状態にあると整理できる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは26.3期4.67%、27.3期4.67%であり、利回り水準としては市場平均より高めの位置にある。実績配当は40円から85円へ増配予想となっており、利益の増加に合わせて配当水準が引き上げられている局面にある。
純利益は19億円から23億円から27億円予と増加しているため、配当の原資は拡大傾向にある。一方でROEは3.8%から4.2%から4.7%と依然低水準であり、資本効率が高い企業の安定配当とは性格が異なる。利益率は改善しているが、収益力自体はまだ高収益企業の水準には到達していない段階にある。
営業CFは2023年5.8億円から2024年50億円から2025年56億円と大きく増加しており、配当支払いに必要な現金創出力は改善している。ただし投資CFは-27億円から-9.2億円から-24億円と継続してマイナスで、設備や事業投資を行いながら配当を支払う構造になっている。財務CFも-14億円から-52億円から-20億円とマイナスで、資金は主に営業活動から賄われている状態となる。
PBRは1.1倍であり、資本効率の低さに対して評価は中立圏にある。高ROE企業のような長期的な配当成長型銘柄というより、利益改善に伴って配当が増えている局面の配当水準と読み取れる。
まとめると、配当利回りは高水準だが、安定した高収益体質に基づく配当というよりは業績改善に連動する配当の性格が強い。現在の配当は受取額自体は大きいが、利益動向や投資状況の影響を受けやすいタイプの配当特性と整理できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は1,817円で、売上は488億円から506億円、545億円予想へと緩やかな増収が続いている。営業利益は30億円から35億円、45億円予想、純利益も19億円から23億円、27億円予想と増益基調にあり、規模拡大型というより収益性改善による利益成長の段階にある。営業利益率は3.7%から6.2%、7.0%へ上昇しており採算性は改善しているが、ROEは3.8%から4.2%、4.7%と依然低水準で、高収益企業の領域には入っていない。
設備需要や公共投資の影響を受けるため直線的な成長企業というより、安定需要の中で収益力が徐々に改善している局面にある。評価面ではPERは11.7倍から17.0倍のレンジ、PBR1.1倍前後で推移しており、高成長株としての評価ではなく中立的な評価帯に位置する。利益率の改善を織り込みつつも資本効率が低いため評価は抑えられており、株価は材料で急騰するタイプではなく利益水準に合わせて徐々に修正されやすい性格が強い。
良い場合は、利益率改善が続き営業利益率が8〜9%台まで上昇、純利益が30億円台後半まで拡大しROEが7%前後まで改善するシナリオである。評価がPBR1.3倍前後まで見直されると、業績改善中心の上昇となり5年後の株価は2,800円から3,400円程度まで上昇する可能性がある。急騰型ではなく利益成長に沿って段階的に切り上がる推移になりやすい。
中間の場合は、利益が計画どおり増加するが資本効率は緩やかな改善にとどまりROE5〜6%台で安定するシナリオである。評価はPBR1.0倍から1.2倍の範囲に収まり、5年後の株価は2,000円から2,500円程度のレンジで推移しやすい。配当利回りが意識されるボックス相場になりやすく、大きなトレンドは出にくい。
悪い場合は、利益率改善が止まり営業利益率が6%前後で横ばい、ROEも4%台にとどまるシナリオである。評価がPBR0.8倍から1.0倍へ低下すると、5年後の株価は1,400円から1,900円程度まで下落する可能性がある。赤字化の可能性は低いが、評価縮小による緩やかな下落型の値動きになりやすい。
総合すると現在値1,817円は高成長期待を織り込んだ価格ではなく、収益改善途中の評価帯に近い。上昇余地は利益率とROEの改善に依存し、大幅上昇よりレンジ推移になりやすい一方、配当水準によって下値も支えられやすい。株価は短期材料より収益性の変化に反応しやすく、長期では緩やかに水準を変えていくタイプの値動きの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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