株価
エンプラスとは

株式会社エンプラスは埼玉県川口市に本社を置く精密プラスチックメーカーで、エンジニアリングプラスチックを用いた高機能デバイスや微細部品を製造する企業である。1962年に第一精工として創業し、その後社名変更を経て東京証券取引所に上場、現在は日本のほか米国、欧州、シンガポール、タイ、インドネシア、韓国、イスラエルなどに拠点を持つグローバル企業となっている。光学部品ではLED用拡散レンズで業界トップ級の実績を持ち、半導体、光通信、ライフサイエンス分野を成長領域として展開している。
同社の特徴は金属加工ではなく高機能樹脂を用いて高精度部品を作る点にあり、軽量化、耐摩耗性、絶縁性、低摩擦といった特性を活かして電子機器や車載機器の小型化・高性能化に対応している。設計、解析、金型製作、成形、評価までを一体化した開発体制を持つ開発型メーカーで、顧客ごとの専用部品をカスタム設計する比率が高い。CAE解析やHPCによるシミュレーションを活用し、製品設計段階から性能を作り込む体制を構築している。
エナジーセービングソリューション事業では自動車、プリンター、家電、OA機器向けの精密プラスチックギヤを供給する。ポリアセタール樹脂ギヤを日本で初めて製品化して以来、静音性や耐久性を求められる機構部品分野で使用され、車載機器や各種機械の駆動部に採用されている。
セミコンダクター事業では半導体検査用ソケットを主力とし、CPUなどの半導体出荷前検査工程で使われる治具を開発・供給している。半導体の性能評価に不可欠な部品であり、大手半導体メーカー向けに展開される分野となっている。
ネットワークソリューション事業では光通信向けのプラスチックレンズを製造し、光ファイバー通信やデータセンターの光電変換に使用される。光信号と電気信号を変換する部品としてサーバーや通信機器の高速化に対応する製品を提供している。ディスプレイソリューションではLED光を均一に拡散するレンズを供給し、テレビやモニターなどの表示装置の光学性能向上に寄与している。
ライフサイエンス事業では遺伝子検査や医療分析装置向けのマイクロ流路チップを開発しており、大学や研究機関と共同研究を行いながら医療分野へ展開している。血液や試薬を反応させるプレートや分析用チップなど、微細加工技術を活用した医療・分析用途部品を扱う。
技術面ではナノメートルレベルの超精密金型加工、温湿度管理された加工環境、精密評価技術を組み合わせて高精度部品を量産する体制を持つ。ISO9001および自動車品質規格IATF16949に基づいた品質管理を全拠点で統一運用し、グローバルに同一品質の供給体制を整えている。精密樹脂加工技術を基盤に、半導体・光通信・医療など複数の先端分野へ展開する高機能デバイスメーカーである。
エンプラス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 29,437 | 2,120 | 1,906 | 893 | 79.4 | 30 |
| 連22.3 | 32,894 | 3,600 | 3,451 | 2,528 | 287.1 | 47.5 |
| 連23.3 | 42,240 | 8,820 | 8,785 | 4,621 | 523.9 | 60 |
| 連24.3 | 37,805 | 4,645 | 5,263 | 3,443 | 390.1 | 60 |
| 連25.3 | 38,069 | 5,287 | 5,446 | 3,943 | 446.5 | 70 |
| 連26.3予 | 41,000 | 5,300 | 5,500 | 4,100 | 462.2 | 90 |
| 連27.3予 | 43,000 | 5,600 | 5,800 | 4,300 | 484.8 | 90〜95 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 8,761 | -2,581 | -765 |
| 2024 | 8,231 | -4,089 | -965 |
| 2025 | 7,129 | -6,887 | -828 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 20.8% | 9.9% | 8.4% | – | – |
| 2024 | 12.2% | 6.6% | 5.7% | – | – |
| 2025 | 13.8% | 7.1% | 6.2% | 8.0〜23.1倍 | 2.00倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模を見ると、2024年は営業利益46億、経常利益52億、純利益34億。2025年は営業利益52億、経常利益54億、純利益39億へ増加している。2026年予想は営業利益53億、経常利益55億、純利益41億と小幅な伸びに留まり、急成長ではなく緩やかな増益基調の配置になっている。売上拡大に対して利益の伸びは限定的で、安定的に積み上がるタイプの利益構造と読み取れる。
収益性を見ると営業利益率は20.8%から12.2%から13.8%。高水準だった年の反動で低下した後、再び回復しているがピークまでは戻っていない。高付加価値分野を持ちながらも、製品構成や需要の影響を受けて収益性が上下する事業構造になっている。
資本効率はROE9.9%から6.6%から7.1%、ROA8.4%から5.7%から6.2%。いずれも中位水準で推移しており、資本を急速に増やす高収益企業ではないが、安定して黒字を維持する水準にある。効率の変動は利益率の変化に連動しており、景気や需要の影響を受けやすいタイプといえる。
評価指標はPER8.0から23.1倍、PBR2.0倍。資産株として割安とまでは言えない一方、強い成長期待が織り込まれている水準でもない。安定収益に対して一定のプレミアムが付いている中間的な評価帯に位置している。
まとめると、利益は緩やかに増加、収益性は回復途上、効率は中位水準で安定という数値配置であり、高成長株でも低収益株でもない中間型の企業体質が表れている。業績は急拡大よりも需要に応じた変動を伴いながら徐々に積み上がるタイプで、評価もそれに対応した平均的なレンジに収まりやすい性格と整理できる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは26,27年度ともに0.66%とかなり低く、数値だけを見ると配当を主目的に保有するタイプの銘柄ではない配置になっている。利益水準は安定しているが、配当として株主へ大きく還元する設計ではなく、内部投資や事業拡張へ資金を回す性格が強いと読み取れる。
営業利益率は10%台前半、ROEは7%前後で推移しており、企業としては堅実だが高収益企業ほどのキャッシュ創出力はない。この水準だと配当を厚くする余力は限定的で、配当性向を高めて利回りを出すタイプの方針でもないと考えられる。実際に利回りが1%未満に留まっている点からも、株主還元より事業維持・投資優先の配分になっている構造が表れている。
またPER・PBRの位置も配当株的な評価ではなく、安定事業に対する中立評価帯にある。高配当株に多い「低PBR・高利回り」の組み合わせではないため、インカム目的で資金が集まるタイプではない。まとめると、この銘柄は配当を受け取りながら保有する性格ではなく、事業の安定性や成長分野への展開を前提に評価されるタイプであり、配当目的の投資とは相性が弱い位置づけになる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は13,480円で、エンプラスは売上378億円から380億円、410億円予想へと緩やかな増収基調にある。一方で営業利益は46億円から52億円、53億円予想と増益ではあるが伸びは大きくなく、急成長というより回復後に横ばい圏で推移する形になっている。
半導体関連や光通信向けの需要変動の影響を受けやすく、直線的に拡大するというより分野ごとの投資動向に応じて上下する構造になっている。営業利益率は20%台から12%台へ低下した後13%台へ戻る推移で、ピーク時は高収益だが常に維持できる水準ではない。ROEも9%台から6%台、7%台と変動しており、高効率企業というより需要環境で効率が変わるタイプの収益体質にある。
良い場合は、半導体検査ソケットや光通信部品の需要が拡大し利益率が15%前後まで回復、ROEが10%台へ改善するシナリオである。評価が成長株寄りとなりPER20倍前後まで上昇すると、5年後の株価は20,000円から28,000円程度まで上昇する可能性がある。急騰というより需要拡大に沿った上昇トレンドになりやすく、押し目を伴いながら段階的に水準を切り上げる値動きになりやすい。
中間の場合は、半導体市況に合わせて好不調を繰り返し営業利益率12〜14%、ROE7%前後で安定するシナリオである。評価はPER12〜16倍程度に収まり、5年後の株価は11,000円から17,000円程度のレンジで推移しやすい。方向感は出にくく、景気循環に合わせたボックス相場に近い値動きになる。
悪い場合は、半導体投資減速で利益率が10%前後まで低下しROEも5%台へ下がるシナリオである。評価がPER10倍前後へ縮小すると、5年後の株価は7,000円から11,000円程度まで下落する可能性がある。赤字転落の可能性は低いが、期待剥落による緩やかな下落が続きやすい。
総合すると現在値13,480円は資産株というより業績変動を織り込む評価帯にあり、株価は材料で跳ねるタイプではなく半導体関連需要の周期に沿って水準を変える傾向が強い。長期では一方向に伸び続ける銘柄というより、業績サイクルに応じて上昇と調整を繰り返しながらレンジを切り替えるタイプの値動きの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月14日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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