株価
ニチコンとは

ニチコンは京都市中京区に本社を置く電子部品メーカーで、コンデンサを中心とした電源関連部品とエネルギー機器を手掛ける企業である。1950年に関西二井製作所として設立され、ラジオや家電向け部品の供給から事業を拡大し、日本コンデンサ工業を経て現在の社名となった。1960年代に上場し、その後は国内工場の増設と海外進出を並行して進め、現在は日本・アジア・欧米に拠点を持つグローバル供給体制を構築している。
主力はコンデンサ事業で、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、電気二重層コンデンサなど多種類の製品を展開する。コンデンサは電源の電圧変動を安定させたりノイズを除去する電子回路の基礎部品であり、家電、通信機器、産業機械、電源装置、車載電子機器など幅広い用途に使われる。
特に車載用途では高温・振動環境に耐える信頼性が要求されるため、長寿命・高耐久製品の開発を強化しており、電動車や先進安全装置の増加に伴い需要が拡大する分野として位置付けている。関連製品としてハイブリッドIC、サーミスタ、各種センサーなどの電子部品も扱っている。
もう一つの柱が電源・エネルギー関連事業で、家庭用蓄電システム、V2H機器、EV充電器、パワーコンディショナなどを展開する。太陽光発電と組み合わせた家庭用蓄電や、電気自動車を家庭の電源として活用するシステムなど、電力の貯蔵と制御を一体化した機器を提供しており、再生可能エネルギー普及や電動化の進展に対応した分野へ事業を広げている。
小型リチウムイオン二次電池や電源装置も扱い、電子部品メーカーから電源インフラ機器メーカーへの転換を進めている。生産体制は材料段階の電極箔から完成品まで一貫しており、京都亀岡、福井大野、長野大町、滋賀草津、岩手など国内複数拠点で役割分担している。
海外では中国・東南アジア・北米を中心に製造販売拠点を持ち、現地の電機・車載メーカーへ供給する体制を整えている。基礎電子部品として安定需要を持つコンデンサ事業と、エネルギーシステムという成長分野を組み合わせた構造を持ち、電源技術を軸に用途領域を拡張している企業である。
直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 116,073 | 1,573 | 3,015 | 1,703 | 24.9 | 25記 |
| 連22.3 | 142,198 | 6,427 | 8,594 | 7,902 | 115.5 | 27 |
| 連23.3 | 184,725 | 12,676 | 15,263 | 7,814 | 114.2 | 30 |
| 連24.3 | 181,643 | 8,904 | 11,407 | 8,253 | 120.6 | 33 |
| 連25.3 | 175,751 | 5,203 | 7,511 | 5,877 | 86.0 | 35 |
| 連26.3予 | 185,000 | 6,500 | 7,500 | 6,400 | 95.3 | 36 |
| 連27.3予 | 200,000 | 9,000 | 10,000 | 8,500 | 126.6 | 38〜40 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 9,186 | -8,121 | 5,435 |
| 2024 | 16,321 | -12,734 | -571 |
| 2025 | 18,346 | -8,361 | -14,319 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 6.8 | 4.0 | 7.9 | – | – |
| 2024 | 4.9 | 3.9 | 7.4 | – | – |
| 2025 | 2.9 | 3.0 | 5.3 | 14.2(高値平均) / 9.7(安値平均) | 1.13 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見ると、2024年は営業利益89億、経常利益114億、純利益82億、2025年は営業利益52億、経常利益75億、純利益58億まで減少している。2026年予想は営業利益65億、経常利益75億、純利益64億と持ち直し計画だが、2024年の水準には戻らない見込みであり、成長段階から一度減速局面に入った形になっている。売上自体は大きく崩れていないため需要消失ではなく、採算の変動によって利益が上下する構造と読み取れる。
収益性の推移では営業利益率が2023年6.8%から2024年4.9%、2025年2.9%まで低下しており、明確に収益力が悪化している。ROEも7.9%から7.4%、5.3%へ低下、ROAも4.0%から3.9%、3.0%へ下がっているため、資本効率と資産効率が同時に弱まっている。利益額の減少よりも利益率の低下の方が大きく、構造的に収益の振れが出やすい事業特性が表れている状態といえる。
評価面では2025年の実績PERが9.7倍から14.2倍レンジ、PBRは1.1倍となっている。ROE5.3%に対してPBR1倍を上回っており、低収益状態のわりに株価評価はまだ下がり切っていない。資産価値評価ではなく回復期待が織り込まれている価格帯であり、業績が戻れば妥当、戻らなければ割高方向へ向かう位置にある。
総合すると、売上は維持されているが利益率が低下し、効率悪化に対して株価評価は比較的保たれている構造になっている。株価は現在、割安ではなく業績回復前提の中立評価に近い水準にあり、今後は利益率の底打ちが確認できるかどうかが判断の中心になる。回復すれば評価維持、回復が遅れればバリュエーション調整が起きやすい位置と整理できる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは26年3月期1.84%、27年3月期1.94%と2%前後の水準で、日本株の中では低めの部類に入る。インカム狙いの銘柄というより、配当はあくまで補助的な位置付けになる水準である。
利益との関係を見ると、純利益は2024年82億→2025年58億へ減少し、2026年予64億と回復途中の状態にある。一方で配当は33円→35円→36円と小幅増配を継続しており、業績連動型ではあるが大きく減配するタイプでもなく、安定配当志向はある程度見られる。ただし利益率自体は営業利益率6.8%→4.9%→2.9%と低下しているため、配当余力は高くはない構造になっている。
PBR1.1倍でROE5.3%という組み合わせからも、株価は高配当株として評価されているわけではなく、将来の回復を前提に保有される銘柄の性格が強い。配当利回りも2%未満のため、配当だけを目的に長期保有するタイプではなく、業績回復時の値上がり益に配当が付く位置付けに近い。
総合すると、減配リスクは大きくないが利回りも低いため、配当目的の主力銘柄にはなりにくい。インカム投資というより回復期待型のキャピタル寄り銘柄の補助配当と考えるのが妥当な水準と判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は1,953円で、ニチコンは売上1,816億円から1,757億円、1,850億円予想へと横ばい圏で推移しており、急成長というより需要分野の動向に左右される安定型の売上構造になっている。一方で営業利益は89億円から52億円へ減少した後、65億円予想と回復途上にあり、拡大局面から調整局面へ移行した流れが見える。
営業利益率は6.8%から4.9%、2.9%へ低下し、ROEも7.9%から7.4%、5.3%へ下がっているため収益力は弱まっているが、赤字化するほどの水準ではなく中位の収益体質に留まる。成長企業というより需要と採算に応じて利益が上下する循環型の収益構造にある。
良い場合は、車載やエネルギー関連需要の回復により利益率が5〜6%台まで戻り、ROEが7〜8%程度へ改善するシナリオである。PBRが1.2倍前後まで見直されると評価修正中心の上昇となり、5年後の株価は2,600円から3,500円程度まで上昇する可能性がある。上昇は段階的で、業績回復に合わせてゆっくり切り上がる推移になりやすい。
中間の場合は、利益が60億円前後で横ばい推移するシナリオである。営業利益率は3〜4%、ROE6%前後で安定し、評価はPBR0.9倍から1.1倍の範囲に収まる。この場合5年後の株価は1,700円から2,300円程度のレンジ推移になりやすく、配当利回りが意識されるボックス相場となる。
悪い場合は、需要低迷で利益率が2%台に留まりROEが4%台へ低下するシナリオである。評価がPBR0.7倍から0.9倍へ縮小すると、5年後の株価は1,300円から1,700円程度まで下落する可能性がある。赤字転落の可能性は高くないが、評価調整による緩やかな下落になりやすい。
総合すると現在値1,953円は成長期待を織り込んだ価格ではなく回復期待帯に近い。上昇余地は利益率の回復に依存し、大幅上昇よりレンジ推移になりやすい一方、業績悪化時は評価縮小の影響を受けやすい。株価は短期材料より収益率の変化に反応しやすく、長期では上下を繰り返しながら水準を切り替えるタイプの値動きの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月14日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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