株価
アンビスホールディングスとは

アンビスホールディングスは東京都中央区に本社を置く医療・介護サービス企業で、医療依存度の高い患者を受け入れる住宅型有料老人ホーム「医心館」の運営を中核とする持株会社である。2013年に創業した訪問看護会社アンビスを起源とし、在宅医療の現場で行き場を失う終末期患者の課題を背景にホスピス型施設の構想が始まり、その後持株会社体制へ移行、上場を経て東証プライム市場に移行している。
医療制度の入院期間短縮と在宅移行の流れの中で、病院でも一般介護施設でも対応が難しい患者の受け皿を担う企業として位置付けられている。主力の医心館は、有料老人ホームに訪問看護事業所と訪問介護事業所を併設した形態で運営され、がん末期、神経難病、人工呼吸器管理など医療依存度の高い利用者を積極的に受け入れる点が特徴である。
看護師による24時間ケア体制を前提に、外部の医師・薬剤師・ケアマネージャーが連携して医療を提供する仕組みを採用しており、施設に医師を常駐させない代わりに地域医療との連携を前提とした運営となっている。この構造により看護・介護人員を厚く配置でき、医療安全性とコストのバランスを両立させている。また地域の無床診療所は医心館のベッドを実質的な病床として活用でき、病院側は急性期病床の回転率を高められるため、医療機関との協力関係が成立するモデルとなっている。
事業モデルの収益源は医療保険報酬と介護保険報酬に加え、居住費や食費などの生活サービス収入で構成される。急性期病院の退院患者の受け皿として機能するため稼働率が重要で、施設開設数の拡大と地域医療ネットワークの構築が成長の前提になる構造を持つ。
医療施設でも純粋な介護施設でもない中間領域のサービスとして位置付けられ、慢性期・終末期医療の需要増加に対応するインフラ型サービスの性格が強い。地域医療の不足、医療従事者不足、在宅療養の困難さといった社会課題を背景に成立しており、医療制度の方向性に依存する側面も持つ。
同社は医心館を地域医療プラットフォームと位置付け、医療機関・訪問看護・介護サービス・家族をつなぐハブとして機能させることを目指している。病院退院後の患者の滞留問題、終末期ケアの場所不足、地域医療格差の縮小などを解決する役割を担い、医療と介護の境界領域を埋めるビジネスとして拡大してきた。ホスピス領域を専門分野として確立し、医療政策の変化や高齢化の進行と連動して施設展開を進める社会課題対応型の医療サービス企業という位置付けになる。
アンビスホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.9 | 15,334 | 3,784 | 3,779 | 2,627 | 28.1 | 2.25 |
| 連22.9 | 23,072 | 6,132 | 6,060 | 4,279 | 44.0 | 3 |
| 連23.9 | 31,985 | 8,630 | 8,541 | 6,310 | 64.4 | 3 |
| 連24.9 | 42,475 | 10,612 | 10,551 | 7,438 | 75.9 | 4 |
| 連25.9 | 49,174 | 6,162 | 6,343 | 3,660 | 37.5 | 4 |
| 連26.9予 | 51,700 | 3,800 | 3,300 | 2,100 | 21.5 | 4 |
| 連27.9予 | 54,200 | 4,000 | 3,500 | 2,300 | 23.6 | 4 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 6,798 | -10,312 | 4,300 |
| 2024 | 7,484 | -16,828 | 6,083 |
| 2025 | 6,025 | -10,427 | 6,365 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 26.9% | 23.7% | 11.3% | – | – |
| 2024 | 24.9% | 22.3% | 10.3% | – | – |
| 2025 | 12.5% | 10.1% | 4.3% | 22.3~52.7倍 | 1.34倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見る。2024年は営業利益106億、経常利益105億、純利益74億。2025年は営業利益61億、経常利益63億、純利益36億へ減少し、2026年予想は営業利益38億、経常利益33億、純利益21億とさらに縮小見込みとなっている。売上は増加している一方で利益は段階的に減っており、成長鈍化というより採算性の低下による減益局面に入っていると読み取れる。
収益性の変化も大きい。営業利益率は26.9%から24.9%から12.5%へ急低下しており、依然黒字ではあるが高収益企業から通常水準へ近づいている。資本効率も同様に低下しており、ROEは23.7%から22.3%から10.1%、ROAは11.3%から10.3%から4.3%へ下落している。過去は非常に高収益だったが、現在は拡大投資やコスト増の影響を受け、利益体質が大きく変化している段階にある。
評価面では2025年の実績PERは22.3倍から52.7倍のレンジ、PBRは1.3倍。現在のROE水準に対してはやや高めの倍率で、資産価値ではなく将来の回復や再成長を一定程度織り込んだ評価と解釈できる。利益が減少している局面ではあるが、赤字企業ではないため極端な割安評価にはなっていない。
以上から、この企業は成熟安定株でも高成長株でもなく、高収益から通常収益へ移行している途中段階の企業と整理できる。利益は出ているが収益力は低下中で、評価は過去の収益性を完全には織り込み切っていない状態にある。したがって安定配当株というより、収益水準の底打ちや再拡大の確認によって評価が動くタイプの銘柄と判断できる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは連26.9、連27.9ともに0.80%とかなり低い水準で、配当収入を主目的に保有するタイプの銘柄ではないと整理できる。仮に業績が横ばいで推移しても、利回りだけで投資資金を回収するには非常に長い期間が必要になる水準であり、インカムゲインよりキャピタルゲイン前提の性格が強い。
また利益の推移を見ると、営業利益106億から61億、38億へと減少見込みで、配当余力は拡大している局面ではない。営業利益率は26.9%から24.9%から12.5%へ低下、ROEも23.7%から22.3%から10.1%へ低下しており、収益性のピークアウトがはっきり表れている段階にある。高収益企業として評価されていた状態から、利益水準の調整局面に入っているため、企業側の資金配分は株主還元より事業維持や投資の優先度が上がりやすい状況と読み取れる。
さらにこの水準の利回りでは、株価が一定期間横ばいで推移した場合のリターンの大半が価格変動に依存することになる。配当がクッションとして機能するには最低でも数%程度の利回りが必要になるが、この水準では価格下落時の防御力はほぼ働かない。したがって、株価変動リスクを抑える目的で保有する銘柄ではなく、事業の成長率や利益回復の期待値を評価するタイプの保有になる。
加えて、利益が減少している局面では配当性向を無理に引き上げると財務負担が増すため、増配余地も限定的になりやすい。企業としても配当で評価を維持する段階ではなく、まず収益力の再構築を優先する局面にあると考えられる。つまり株主還元は業績回復後に再び検討される位置にあり、現時点では還元拡大を前提にした投資判断は取りにくい。
したがって配当目的としては適さず、安定配当株・高配当株のカテゴリーではなく、事業成長や収益回復に伴う評価変化を狙う銘柄という位置付けになる。配当はあくまで付随的な水準で、投資判断の主軸にはなりにくく、企業の価値変動は利益水準とその回復スピードによって決まりやすい性格といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在値499円を前提に5年間の値動きを考える。この企業はこれまで高収益モデルとして評価されてきたが、足元では利益規模が縮小しており、株価は「成長企業としての評価を維持できるかどうか」に大きく左右される局面に入っている。
配当利回りは0.8%と低く、インカムによる下支えはほぼ期待できないため、株価の方向性は業績の改善速度と市場の期待値の変化に依存しやすい構造になっている。したがって株価は安定株のように緩やかに動くというより、決算内容に反応してトレンドが変わるタイプの値動きになりやすい。
良い場合は、施設の稼働率上昇や新規開設の立ち上がり改善によって利益率が回復し、営業利益が再び拡大基調へ戻るシナリオである。営業利益率が15%前後まで戻り、ROEも15%近辺へ改善すると、市場は再成長フェーズ入りと判断しやすくなる。この場合は利益増加に加えて評価倍率も回復しやすく、株価は段階的に切り上がる形になる。短期的な急騰よりも決算確認ごとに評価が修正される上昇になり、5年後の株価は900円から1,300円程度の水準が意識される。過去の成長株に見られるように、利益回復が継続して確認されるほど上値余地が広がる形になりやすい。
中間の場合は、売上は拡大するものの人件費や先行投資負担が続き、利益が横ばい圏で推移するシナリオである。営業利益率は10%前後、ROEも10%前後に落ち着き、成長株でも割安株でもない評価帯に収まりやすい。この場合は評価倍率の変化も限定的となり、株価は方向感を持たず上下を繰り返す展開になりやすい。5年後の株価は450円から750円程度のレンジ推移が中心となり、決算ごとに期待と失望が交錯するボックス相場になりやすい。長期では横ばいに近い推移だが、短期では振れ幅のある動きになりやすいタイプになる。
悪い場合は、コスト増加や稼働率の改善遅れにより利益回復が進まず、低収益状態が長期化するシナリオである。営業利益率が一桁前半に留まりROEも低水準のままになると、成長株としての前提が崩れ評価が縮小する可能性がある。配当による支えが弱いため、需給の変化がそのまま株価下落につながりやすく、5年後の株価は250円から450円程度まで低下する可能性がある。赤字でなくても成長期待が剥落するだけで株価水準が切り下がるタイプの下落になりやすい。
総合すると現在値499円は安定収益株の評価帯ではなく、将来の収益回復の進捗によって価格帯が変わる位置にある。上昇は利益率の回復と評価倍率の回復が同時に起きた場合に生じやすく、回復が遅れればレンジ推移、停滞すれば評価縮小という形になりやすい。株価は配当ではなく業績期待の変化に反応して動く性格が強く、長期では企業の収益構造がどこまで再構築できるかによってトレンドが決まる銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月15日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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