株価
かんぽ生命保険とは

株式会社かんぽ生命保険は日本郵政グループに属する生命保険会社で、本社は東京都千代田区大手町にある。日本郵政の子会社であり、東京証券取引所プライム市場に上場している。全国の郵便局ネットワークを活用した販売体制を持ち、国内でも最大級の規模を持つ生命保険会社の一つである。
同社は郵政民営化の一環として設立され、旧日本郵政公社の簡易生命保険事業を引き継ぐ形で2007年に営業を開始した。もともと簡易保険は小口で加入しやすい商品設計と、医師の診査が不要な仕組みを特徴としており、その流れを引き継いだシンプルで分かりやすい商品が中心となっている。現在は民間保険会社と同様に告知義務がある一般的な生命保険商品へ移行しており、政府保証は存在しない。
事業の中心は個人向け生命保険であり、終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などを展開している。特に女性や中高年層を主要顧客基盤としており、小口契約を積み上げることで大規模な保有契約を形成している。販売は日本郵便が担い、全国の郵便局を通じて対面で商品を提供するビジネスモデルとなっている点が最大の特徴である。
収益構造は、保険料収入と資産運用収益が柱となる。集めた保険料を国債や社債などで運用し、その利回り差によって利益を確保する仕組みであり、金利環境の影響を強く受ける。低金利環境では運用利回りが低下し収益が圧迫されやすく、逆に金利上昇局面では収益改善の余地がある。また既契約のストックが非常に大きく、新規契約の動向に加えて満期や解約の影響も業績に大きく関わる構造となっている。
総資産は日本生命に次ぐ規模とされるなど、国内有数の生命保険会社であるが、低金利環境の影響により貯蓄性商品の販売が伸び悩み、資産規模は縮小傾向を経験している。契約件数は生命保険で1000万件規模を持ち、ソルベンシー・マージン比率も高水準で、財務健全性は強固な水準を維持している。
販売面では郵便局ネットワークへの依存度が非常に高く、営業体制やコンプライアンスの影響を受けやすい。過去には不適切販売問題により業務停止命令を受けた経緯があり、その後はガバナンス強化や営業体制の見直しが進められている。現在は信頼回復と新規契約の正常化が重要な課題となっている。
他社との連携も進めており、日本生命や第一生命との業務提携、大和証券グループとの資本業務提携などを通じて商品力や販売力の強化を図っている。これにより、従来の郵便局中心の販売に加えて、金融サービスの多様化と収益基盤の拡充を進めている。
全体としては、全国の郵便局ネットワークを活用した小口・個人向け生命保険を中心とするストック型ビジネスであり、安定性の高い顧客基盤を持つ一方で、金利環境や契約動向に大きく左右される構造となっている。規模の大きさと安定性を持ちながらも、成長性は限定的で、販売体制と収益構造の変化への対応が重要な企業となっている。
かんぽ生命保険 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 経常収益(百万円) | 保険料等(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 6,786,226 | 2,697,936 | 345,736 | 166,103 | 295.3 | 76 |
| 連22.3 | 6,454,208 | 2,418,979 | 356,113 | 158,062 | 375.1 | 90 |
| 連23.3 | 6,379,561 | 2,200,945 | 117,570 | 97,614 | 249.5 | 92 |
| 連24.3 | 6,744,134 | 2,484,007 | 161,173 | 87,056 | 227.5 | 94 |
| 連25.3 | 6,165,335 | 3,154,875 | 170,293 | 123,472 | 322.6 | 104 |
| 連26.3予 | 5,740,000 | 3,200,000 | 260,000 | 159,000 | 434.4 | 124 |
| 連27.3予 | 5,500,000 | 3,100,000 | 220,000 | 120,000 | 327.9 | 125 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | -2,978,098 | 3,216,799 | -72,939 |
| 2024 | -3,063,168 | 2,721,796 | 62,169 |
| 2025 | -1,627,842 | 2,386,460 | 60,143 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | – | 0.1% | 4.1% | – | – |
| 2024 | – | 0.1% | 2.5% | – | – |
| 2025 | – | 0.2% | 3.8% | 8.2〜11.2 | 0.43 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見る。2024年は経常利益1611億、純利益870億。2025年は経常利益1702億、純利益1234億と増益。2026年予想は経常利益2600億、純利益1590億と大きく拡大見込みとなっている。利益水準は一度落ち込んだ後に回復し、直近では増益基調に入っている構造になっている。
収益性を見ると、ROEは4.1%→2.5%→3.8%と変動があり安定して高いとは言えない水準である。ROAは0.1%→0.1%→0.2%と極めて低く、資産規模に対する利益効率は低い状態が続いている。営業利益率は算出不可だが、生命保険会社の構造上、高収益体質とは言いにくい。利益額は大きいが、資本効率は低水準にとどまっている。
バリュエーションを見ると、2025年のPERは8.2倍〜11.2倍、中心はおよそ9〜10倍水準。PBRは0.4倍と純資産の半分以下で評価されている。ROEが3〜4%水準であることを考えると、PBRが1倍を大きく下回る評価は収益性の低さを織り込んだ水準と整理できる。
純利益は870億→1234億→1590億予想と増加しているが、ROEは4%未満にとどまり、資本効率の大幅な改善は見えていない。そのため評価は低位に固定されやすく、成長株というより資産株としての扱いになっている。
総合すると、利益規模は大きく回復傾向にあり増益基調だが、ROE3.8%、ROA0.2%と資本効率は低い。PBR0.4倍という水準は割安に見えるが、それは低収益構造を反映した評価である。大きな評価修正にはROEの明確な改善が必要であり、現状は低評価安定型の銘柄と整理できる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは連26.3で2.50%、連27.3で2.54%と2%台半ばの水準にある。この水準は「低くはないが高配当とも言えない」中間的な位置であり、インカム狙いで積極的に選ばれる3〜4%台には届いていない。
一方で配当の推移を見ると、94円→104円→124円と増配が続いており、純利益も870億→1234億→1590億予想と拡大しているため、利益成長に沿った還元は行われている。配当性向も極端に高い水準ではないと考えられ、無理な配当ではなく、安定的に積み上げるタイプの配当政策になっている。
ただしROEは3.8%と低く、資本効率が高い企業ではないため、今後も大幅な増配が続く構造かというと限定的である。利益は増えているが、資産規模が非常に大きいため、配当利回りが一気に高まるような構造ではない。
PBRは0.4倍と大きくディスカウントされており、理論的には割安だが、これは低収益体質を反映した水準でもある。そのため株価が大きく見直されない限り、利回りも2%台で落ち着きやすい。
まとめると、この銘柄は高配当目的で強く選ぶタイプではなく、「減配リスクは比較的低い安定配当銘柄」という位置付けになる。インカムだけで見ると物足りず、資産株としての安定性や評価修正の可能性とセットで考える必要がある水準となっている。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は4,959円で、かんぽ生命保険は経常利益1611億→1702億→2600億予想、純利益870億→1234億→1590億予想と増益基調にあり、直近は利益の回復局面から拡大局面へ移行している。経常収益は約6兆7441億→約6兆1653億→約5兆7400億予想と減少傾向にある一方で、保険料等は約2兆4840億→約3兆1548億→約3兆2000億と増加しており、収益構造の中身は変化している。売上規模は縮小気味だが、利益は改善しているという構造になっている。
収益性を見ると、ROEは4.1%→2.5%→3.8%とブレがあり、安定して高いとは言えない。ROAも0.1%→0.1%→0.2%と極めて低水準であり、巨大な資産規模に対して利益効率は低い状態が続いている。生命保険会社という業態上、資産を大量に抱える構造のためROAは低くなりやすいが、それでもROEが4%前後にとどまる点は評価の上限を抑える要因になっている。
良い場合は、金利上昇や運用環境の改善によって利回りが向上し、責任準備金負担とのバランスが改善するシナリオである。加えて解約率の低下や新契約の持ち直しが進めば、利益は2600億円規模からさらに拡大し、ROEが5〜6%程度まで改善する可能性がある。この場合PBRは0.4倍から0.6倍〜0.7倍程度まで見直され、評価修正が株価上昇の中心となる。5年後の株価は6,000円から8,000円程度まで上昇し、配当も増配を伴いながら緩やかな上昇トレンドを形成する。
中間の場合は、利益は予想通り回復・拡大するが、ROEは3〜4%台にとどまり、構造的な低収益体質は変わらないシナリオである。評価はPBR0.3倍〜0.5倍のレンジに収まり、現在と大きく変わらない水準で推移する。この場合、5年後の株価は4,000円から5,500円程度のレンジで上下しやすく、配当利回り2%台を軸としたボックス相場になりやすい。最も現実的なのはこのレンジ推移である。
悪い場合は、保有契約の減少が続き保険料収入が縮小する、あるいは運用環境の悪化により利回りが低下するシナリオである。責任準備金負担が重くなり利益が圧迫されると、ROEは2〜3%台まで低下し、低収益体質がさらに強く意識される。この場合PBRは0.2倍〜0.4倍まで低下し、評価は一段とディスカウントされる。5年後の株価は3,000円から4,200円程度まで下落する可能性があり、緩やかな下落基調となりやすい。
総合すると現在値4,959円は成長期待を織り込んだ価格ではなく、低収益を前提とした資産評価帯に位置している。利益は回復しているが、ROE・ROAといった資本効率は依然として低く、評価の見直しは収益性改善に依存する構造になっている。一方でPBR0.4倍という水準と安定した利益・配当が下値を支えやすく、大きく崩れにくい反面、大きく上昇するにも明確な材料が必要となる。株価は短期材料よりも金利環境と運用収益、契約動向に連動しやすく、長期ではレンジを切り上げるか維持するかの分岐点にある銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月20日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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