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武蔵精密工業とは

武蔵精密工業株式会社は、自動車部品を中心とした精密加工メーカーであり、シャフトやギアなどの駆動系部品を主力とする企業である。本社は愛知県豊橋市に所在し、東証プライム市場に上場している。本田技研工業の持分法適用関連会社であり、売上の約5割をホンダ向けが占めている。
主力製品は差動機構部品や減速機構部品、変速機構部品、エンジンの吸排気動弁系部品などであり、自動車のトランスミッションや駆動系に組み込まれる重要部品を製造している。またサスペンションやステアリング関連部品も手掛けており、高精度な鍛造・加工技術を強みとしている。
事業の中心は四輪車部品だが、アジアや南米では二輪車向け部品の比率が高く、地域ごとに製品構成が異なるグローバル展開が特徴となっている。世界各地に生産拠点を持ち、完成車メーカー向けにグローバル供給体制を構築している。
近年は電動化対応として、EV向け減速機部品や電動パワートレイン関連製品の開発を進めているほか、エネルギー分野にも進出しており、武蔵エナジーソリューションズ株式会社を通じてハイブリッドスーパーキャパシタなどの開発・製造を行っている。また、自動運転技術分野では電動・自動運転スマートトラクターの開発にも関与している。
さらにAI分野ではイスラエル企業との合弁でMusashi AI株式会社を設立するなど、新規技術領域への取り組みも進めている。加えて、欧州企業の買収などを通じてグローバルでの事業拡大を図っている。
企業の起源は1938年創業の大塚製作所に遡り、その後航空機関連から自動車部品へと事業転換し、1963年に現在の社名となった。1990年代以降は品質認証取得や技術開発を進め、2004年に東証・名証に上場している。
収益構造は自動車メーカー向け部品供給が中心であり、自動車生産台数や景気動向の影響を受けやすい。一方で高精度加工技術とグローバル展開を背景に、四輪・二輪の両分野で事業を展開しつつ、電動化やエネルギー分野へと領域拡大を進めている企業である。
武蔵精密工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 204,714 | 7,507 | 8,277 | 7,378 | 113.1 | 35 |
| 連22.3 | 241,896 | 8,413 | 9,435 | 5,429 | 83.2 | 45 |
| 連23.3 | 301,500 | 7,677 | 7,030 | 2,436 | 37.3 | 30 |
| 連24.3 | 349,917 | 18,374 | 15,560 | 7,921 | 121.2 | 40 |
| 連25.3 | 347,196 | 19,720 | 17,981 | 7,782 | 118.8 | 50 |
| 連26.3予 | 330,000 | 21,000 | 18,500 | 11,000 | 167.8 | 50〜55 |
| 連27.3予 | 345,000 | 22,300 | 19,800 | 11,900 | 181.6 | 50〜60 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 19,409 | -17,931 | -4,508 |
| 2024 | 31,642 | -15,994 | -17,752 |
| 2025 | 31,918 | -16,096 | -7,743 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 2.5% | 0.9% | 2.3% | – | – |
| 2024 | 5.2% | 2.7% | 6.8% | – | – |
| 2025 | 5.6% | 2.7% | 6.7% | 18.9〜35.0 | 1.37 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見ると、営業利益は183億→197億→210億予想と増加しており、売上は3,499億→3,471億→3,300億予想と横ばいからやや減少の中でも利益は伸びている。経常利益も155億→179億→185億予想、純利益も79億→77億→110億予想と、2025年は横ばいだが2026年にかけて増益が見込まれている。売上が伸びない中で利益が伸びている構造になっており、収益改善が進んでいる段階にある。
収益性を見ると、営業利益率は2.5%→5.2%→5.6%と大きく改善しており、低収益体質からの回復が進んでいる。ただし水準としてはまだ5%台であり、自動車部品メーカーとしては中位程度にとどまる。ROEは2.3%→6.8%→6.7%、ROAは0.9%→2.7%→2.7%とこちらも改善しているが、高収益企業と比べるとまだ低めの水準にある。
バリュエーションはPER18.9〜35.0倍、PBR1.3倍と、利益回復を織り込んだ評価になっている。特にPERはレンジが広く、利益変動の影響を受けやすいことを示しており、安定成長株というよりは回復期待を織り込む段階の銘柄といえる。
全体としては、売上は横ばいだが利益率改善によって利益が伸びている「回復局面の企業」であり、営業利益率やROEは改善途中にある。まだ高収益企業ではないが、改善トレンドにある点が評価の前提になっている。一方で評価はすでに一定程度織り込まれているため、今後は利益率のさらなる改善や増益の継続が重要になる。
したがって投資判断としては、「低収益から回復中の企業で、改善継続が前提の銘柄」。収益改善が続けば評価余地はあるが、改善が止まると評価が伸びにくい構造であり、今は回復期待で見られている局面にある。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは2026年・2027年ともに2.00%と、東証平均とほぼ同水準であり、高配当株とは言えない水準にある。インカム狙いとしてはやや物足りない位置にある。中身を見ると、純利益は79億→77億→110億予想と2026年にかけて増益見込みだが、配当は50円前後で据え置きに近い水準となっており、利益成長に対して配当の伸びは控えめになっている。つまり還元よりも、まずは収益改善や内部投資を優先しているフェーズといえる。
また営業利益率は5.6%、ROEも6.7%とまだ中位水準であり、企業としては「安定的に高配当を出すフェーズ」ではなく、「収益体質を改善している途中」の段階にある。このため配当の安定性はある程度見込めるものの、大きな増配余地は現時点では限定的になる。
評価としてもPBR1.3倍と割安感はそれほど強くなく、配当利回りだけで投資するタイプではない。あくまで収益改善による利益成長を主軸に見る銘柄であり、配当は補助的な位置付けになる。
総合すると、配当目的としては「平均的で特徴は薄い」。インカム狙いには向きにくく、どちらかといえば収益改善に伴うキャピタル狙いの中で、最低限の配当があるという位置付けの銘柄になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価2,498円を前提に今後5年間の値動きを考えると、営業利益は183億→197億→210億予想と増加しており、売上が横ばいでも利益は伸びる構造になっている。営業利益率も2.5%→5.6%まで改善しており、低収益からの回復局面にある。
一方でROEは6%台、ROAも2%台とまだ中位水準であり、「高収益企業」ではなく「改善途上」という前提が株価の土台になっている。また実際に新規事業の先行投資や構造改革費用の影響で利益がブレる局面もあり、安定成長ではなく変動もある点が特徴になっている 。
良い場合は、利益率改善がさらに進み、営業利益が250億規模まで拡大するシナリオ。EV関連部品やエネルギー事業の立ち上がりが順調に進み、既存の自動車部品事業も安定する。この場合、営業利益率は7%前後、ROEも10%近くまで改善し、回復企業から成長企業へ評価が変わる。アナリスト目標株価も3,700円〜4,000円台が意識されており 、中長期では評価切り上げが起きやすい。
中間の場合は、現在の回復ペースが継続し、営業利益200億前後で安定推移するシナリオ。営業利益率は5〜6%台、ROEも6〜8%程度で推移し、収益改善は続くが大きな飛躍はない。この場合、評価は大きく変わらず、理論株価レンジもおおむね2,300円〜3,300円程度の範囲に収まりやすく 、レンジ内での動きになりやすい。
悪い場合は、ホンダ向け減産や自動車市場の鈍化、新規事業の先行投資負担が継続し、利益が伸びないシナリオ。実際に業績下方修正や配当減額が出ているように 、こうした要因が重なると営業利益は150億前後まで低下し、ROEも5%前後にとどまる。この場合、回復期待でついていた評価が剥がれ、株価は2,000円前後〜2,300円程度まで調整する可能性がある。
全体としては、現在は「低収益からの回復途中」の銘柄であり、上にも下にも振れやすい段階にある。5年間の視点では、利益率改善がどこまで進むか、そして新規事業の投資が回収フェーズに入るかが最大の分岐点になり、改善が続けば評価上昇、止まればレンジまたは調整という構造になりやすい。
この記事の最終更新日:2026年2月24日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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