株価
ティラドとは

株式会社ティラドは、1936年創業の熱交換器メーカーであり、自動車・建設機械・二輪車などのパワートレインに対応したラジエーターやオイルクーラーを中心に製造・販売している。本社は東京都渋谷区に所在し、日本を開発拠点として北米・欧州・中国・アジアに展開する世界5極体制のグローバル企業である。売上規模は国内外合計で1,000億円規模を維持しており、安定した事業基盤を持つ。
事業の中核は熱交換器事業であり、ラジエーター、オイルクーラー、インタークーラー、EGRクーラーなどを主力製品としている。これらはエンジンや機械の温度制御に不可欠な部品であり、乗用車、トラック、バス、オートバイ、建設機械、農業機械など幅広い用途に供給されている。特に建設機械用や二輪車用では高いシェアを持ち、大排気量や高負荷環境向けの製品に強みを持つ。
また電動化分野にも対応しており、電気自動車やハイブリッド車向けのバッテリー冷却器やインバータ冷却器なども展開している。従来のエンジン向け製品に加え、電動車両向け熱マネジメント製品へと領域を拡大している。
製品分野は自動車用だけでなく、空調機器、発電機、燃料電池、電子機器冷却などにも広がっており、熱エネルギー制御技術を基盤に多分野へ展開している。
主要取引先にはトヨタ、本田技研工業、日産系各社、いすゞ、日野などの自動車メーカーに加え、小松製作所、日立建機、キャタピラーなどの建設機械メーカー、さらにパナソニック、ダイキンなどの電機・空調メーカーも含まれる。
沿革としては1936年に東洋ラヂヱーター製作所として設立。その後社名変更を経て2005年に現在の株式会社ティラドへ変更。1961年に東京証券取引所に上場し、2022年にはプライム市場へ移行している。
海外展開は1980年代以降本格化し、北米・タイ・インド・中国・欧州などに生産・開発拠点を設立している。全体として、熱交換技術を核に自動車・建機・産業機械まで幅広く展開する部品メーカーであり、自動車生産や建設機械需要に連動する景気敏感型の事業構造を持つ企業となっている。
直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 113,046 | 1,264 | 1,540 | -1,239 | -171.6 | 0 |
| 連22.3 | 133,581 | 5,041 | 5,997 | 3,600 | 516.0 | 160 |
| 連23.3 | 149,413 | 1,050 | 2,083 | -3,595 | -550.9 | 80 |
| 連24.3 | 158,659 | 4,350 | 5,339 | 1,245 | 190.5 | 180 |
| 連25.3 | 159,235 | 7,316 | 8,101 | 4,250 | 653.8 | 240 |
| 連26.3予 | 154,000 | 8,800 | 9,800 | 6,400 | 1,098 | 320 |
| 連27.3予 | 160,000 | 9,200 | 10,200 | 6,700 | 1,149 | 320〜340 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年 | 4,376 | -6,702 | -1,058 |
| 2024年 | 16,968 | -7,075 | -616 |
| 2025年 | 7,563 | -6,473 | -6,947 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 0.7% | -8.6% | -3.9% | – | – |
| 2024年 | 2.7% | 2.7% | 1.2% | – | – |
| 2025年 | 4.5% | 8.7% | 4.3% | 6.6〜13.9倍 | 1.27倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上は1586億から1592億、1540億予想と横ばいからやや減少の推移になっており、規模としては安定しているが成長性は強くない。営業利益は43億から73億、88億予想と大きく伸びており、利益改善が明確に進んでいる。経常利益も53億から81億、98億予想と同様に増益基調にある。
純利益は12億から42億、64億予想と大きく回復しており、赤字期からの立ち直りがはっきりと見える。EPSも653円から1098円へと拡大しており、利益水準の改善が株主価値に反映されている。
収益性を見ると営業利益率は0.7%から2.7%、4.5%へと大きく改善しており、低収益体質からの脱却が進んでいる。ROEは-8.6%から2.7%、8.7%、ROAも-3.9%、1.2%、4.3%といずれも黒字化から上昇しており、資本効率も改善局面にある。
一方で水準としては営業利益率4.5%、ROE8.7%、ROA4.3%と中位レベルであり、高収益企業とまでは言えない。回復はしているが、安定的に高収益を維持できるかはまだ確認段階にある。
バリュエーションはPER6.6〜13.9倍、PBR1.2倍となっている。利益が急回復している局面であるためPERは低めに見えるが、PBR1.2倍はすでに回復を一定程度織り込んだ水準であり、7231のような明確な割安状態ではない。
全体として、業績は赤字から回復し、利益・収益性ともに改善が進んでいる回復局面の企業となる。一方で評価はすでに一定程度織り込まれており、「回復中の中間評価銘柄」という位置づけになる。今後はこの利益水準を維持・拡大できるかが評価の分かれ目になる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは連26.3、連27.3ともに2.9%と、市場平均並みの水準であり、高配当銘柄というよりは中間的な位置にある。利益と配当の関係を見ると、連25.3は純利益42億に対して配当240円、連26.3予は純利益64億に対して配当320円と、利益拡大に合わせて増配している構造になっている。赤字期には無配や減配があった一方で、回復局面ではしっかり増配しており、「業績連動型」の配当方針が強い。
収益性は営業利益率4.5%、ROE8.7%まで改善しているが、まだ安定して高収益とは言えない水準にある。そのため配当も安定重視というより、業績に応じて増減する性格が強い。
キャッシュフローを見ると営業CFは43億→169億→75億と黒字を確保しており、配当の原資自体はある。一方で投資CFは継続的にマイナスであり、設備投資を行いながら配当も出している状態となる。2025年は財務CFもマイナスが大きく、株主還元を強めている局面とも読める。
まとめると、利回り2.9%は悪くないが、高配当目的としてはやや物足りない水準であり、主目的にはなりにくい。一方で業績回復とともに増配が期待できるため、「配当も出る成長回復株」という位置づけになる。安定インカムよりも、業績改善に伴う増配を取りにいくタイプの銘柄といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価10,850円を基準に今後5年間の値動きを考えると、この会社は自動車・建機向け熱交換器という典型的な景気敏感分野に属し、業績と株価は需要環境に大きく左右される前提になる。
直近は赤字からの回復が進み、営業利益・純利益ともに大きく伸びている局面にあるが、売上自体は横ばい圏にとどまっており「規模拡大ではなく利益改善で評価されている状態」と言える。また収益性は改善しているとはいえ営業利益率4.5%、ROE8.7%とまだ中位水準であり、高収益企業として評価される段階には至っていない。
良い場合は、電動車向け冷却需要や建設機械需要の拡大を取り込み、利益成長が継続するシナリオ。営業利益は80億台から100億台へ拡大し、営業利益率も5〜7%台まで上昇、ROEも10%以上へ改善することで評価の質が変わる。この場合、単なる回復株から「成長株」として見られるようになり、PERも15〜20倍程度まで切り上がる可能性がある。EPSが1000円台を安定的に維持・拡大すれば、株価は13,000円〜16,000円程度まで上昇余地が出てくる。配当も増配が続けばインカム目的の資金も入りやすく、上昇トレンドが継続する形になる。
中間の場合は、売上は横ばい圏で推移しつつ、現在の利益水準を維持するシナリオ。営業利益率は4〜5%、ROEも7〜9%程度で安定し、「回復した状態が続く」形になる。この場合、評価は大きく変わらずPERは10〜14倍程度に収まり、EPSも800円〜1100円程度のレンジで推移する。株価は9,000円〜12,000円程度のレンジで上下しやすく、配当を受け取りながらのレンジ相場になりやすい。
悪い場合は、自動車・建機需要の減速やコスト増により利益が再び縮小するシナリオ。この会社は過去に赤字や大幅減益を経験しており、景気悪化時の下振れリスクは小さくない。営業利益率が3%以下、ROEが5%未満まで低下すると、回復期待が剥がれやすくなる。この場合、PERも6〜9倍程度まで低下し、EPSが500円〜700円程度まで落ち込めば、株価は6,000円〜9,000円程度まで下落余地が出てくる。減配が発生すればさらに評価は下押しされる。
全体としては、赤字からの回復を経て利益成長が続いているが、まだ収益性の安定性は十分ではなく、評価も一部織り込み済みの状態にある。したがって「回復から成長へ移行できるかが分岐点の銘柄」であり、上方向の余地はあるものの、景気や需要に応じて大きく振れる可能性も高い。高配当株というよりは、業績回復と増配を取りにいく中リスクの成長回復株という位置づけになる。
この記事の最終更新日:2026年2月25日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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