株価
太平洋工業とは

太平洋工業株式会社はタイヤバルブおよびバルブコアで世界トップクラスのシェアを持つ自動車部品メーカーであり、国内ではバルブコアでほぼ独占的なシェアを持つ。プレス部品ではトヨタ向けを中心に事業を展開しており、近年はMBO(マネジメント・バイアウト)を実施した企業である。
太平洋工業株式会社は、岐阜県大垣市に本社を置き、自動車部品、電子機器、家電関連製品などを製造・販売するメーカーである。1930年創業、1938年に会社設立され、長い歴史を持つ。
同社の主力事業は自動車関連事業であり、特にタイヤバルブとバルブコアで世界首位級のシェアを誇る。バルブコアは重量約1グラムの精密部品で、タイヤ内部の空気を保持する重要部品であり、同社は国内シェアほぼ100%、世界でも高いシェアを持つ。累計生産数は約200億本に達しており、自動車だけでなくエアコンや船舶、産業機械など多様な分野に供給されている。
また、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)も主力製品の一つであり、タイヤの空気圧や温度をリアルタイムで監視し、安全性や燃費向上に貢献する装置である。同社は国内で唯一のTPMS送信機メーカーであり、欧米を中心に装着義務化が進む中で需要が拡大している分野となっている。
プレス・樹脂製品分野では、トヨタ自動車向けを中心に車体部品の供給を行っており、軽量化ニーズに対応した製品開発を進めている。冷間プレス工法や構造解析技術を活用し、衝突安全性と軽量化を両立した製品提案を行っている。アルミやGFRPなど新素材の加工にも対応している。
生産体制は日本、アジア、北米、欧州の4極体制を構築しており、2018年にはフランスのSchrader社のバルブ事業を取得し、欧州での生産・開発拠点を強化している。グローバルに情報共有や人材交流を行いながら、各地域に最適な製品供給を行っている。
技術面では、企画・設計から生産までの一貫体制を強みとしており、CAE解析や各種評価試験を活用した品質管理体制を構築している。設備や金型の内製化、AIやロボットを活用した自動化など、生産技術の高度化にも取り組んでいる。
さらに、TPMSで培った無線・センシング技術を応用し、物流・食品・医薬分野向けのセンシング機器など新事業の開発も進めている。マルチセンシングロガーなどを通じて、輸送品質の可視化やDX化、CO2削減といった社会課題の解決にも取り組んでいる。
沿革としては、1930年創業、1938年会社設立後、1960年代に上場し、トヨタ向け部品供給を軸に成長。1980年代以降は海外展開を進め、2000年代以降は中国や欧米で拠点を拡大している。2025年には創業家主導のMBOを決議し、2026年にはTOB成立により上場廃止予定となっている。全体として、太平洋工業は「タイヤバルブ・TPMSを中核とした自動車部品メーカー」であり、精密部品技術とセンシング技術を強みに、グローバルに事業を展開している企業である。
太平洋工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 150,408 | 8,974 | 11,218 | 7,982 | 132.0 | 33 |
| 連22.3 | 164,472 | 10,756 | 14,615 | 9,803 | 161.9 | 41 |
| 連23.3 | 191,254 | 9,298 | 13,209 | 9,301 | 155.3 | 42 |
| 連24.3 | 207,348 | 14,456 | 18,836 | 16,974 | 289.5 | 77特 |
| 連25.3 | 206,129 | 13,676 | 17,273 | 13,221 | 229.7 | 58 |
| 連26.3予 | 210,000 | 16,000 | 18,500 | 12,900 | 225.4 | 0 |
| 連27.3予 | 215,000 | 16,400 | 19,000 | 13,300 | 232.4 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年 | 24,129 | -16,428 | -3,509 |
| 2024年 | 35,381 | -19,577 | -4,660 |
| 2025年 | 23,434 | -23,398 | -10,160 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 4.8% | 6.7% | 3.6% | – | – |
| 2024年 | 6.9% | 10.2% | 5.8% | – | – |
| 2025年 | 6.6% | 7.9% | 4.5% | 4.8〜7.1 | 0.92 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上は2073億→2061億→2100億予想と横ばい圏で推移しており、大きな成長ではなく安定推移の構造になっている。数量ベースでの拡大というより、自動車生産台数や需要環境に連動する形で上下する傾向が強く、景気感応度の高い事業構造であることが前提になる。
営業利益は144億→136億→160億予想と一度減少した後に回復見込みとなっており、利益はやや変動しながらも一定水準を維持している。経常利益は188億→172億→185億予想、純利益は169億→132億→129億予想と、特に純利益はピークから減少しており、特別要因の影響も含めて利益のブレが出やすい構造になっている。
営業利益率は4.8%→6.9%→6.6%と改善後にやや低下しているが、6%台を維持している点は一定の評価ができる。一方で高収益企業と比べると突出した水準ではなく、価格転嫁やコストコントロールによって収益性が左右されやすい位置にある。
ROEは6.7%→10.2%→7.9%と一時的に2桁に乗せた後に低下しており、資本効率は安定して高いとは言い切れない。ROAも3.6%→5.8%→4.5%と同様に変動しており、収益体質は「安定高収益」ではなく「中位水準で変動するタイプ」と整理できる。
PERは4.8倍〜7.1倍、PBR0.9倍前後と評価は低めに抑えられており、市場からは成長株ではなく安定型・循環型の企業として見られている水準にある。利益規模は大きくキャッシュ創出力も一定あるが、売上の伸びが限定的であること、収益性が構造的に大きく伸びにくい点がディスカウント要因になっている。
また、営業CFは安定してプラスを確保している一方で、投資CFは継続的にマイナスとなっており、設備投資負担は一定程度存在する。財務CFもマイナスで推移していることから、実際に株主還元や借入返済を行っている構造であり、資金循環としては「稼いで投資しつつ還元も行う」成熟企業の特徴が出ている。
総合すると、安定した利益とキャッシュを生み出す体質はあるが、高い成長性は見込みにくく、評価は低位にとどまりやすい銘柄である。営業利益率6%以上、ROE8%以上を安定して維持できるかが評価見直しのポイントとなるが、現状では「割安だが成長期待は限定的なバリュー株」という位置付けになる。景気回復局面では見直されやすいが、収益性が大きく改善しない限りは評価レンジが大きく切り上がるタイプではないと整理できる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは連26.3、連27.3ともに0.00%と予想されており、現時点ではインカム目的の投資対象にはならない水準にある。直近では58円配当を出しているものの、その後に無配予想へと転換している点は明確な変化であり、通常の配当方針とは異なる動きになっている。
利益水準を見ると、純利益は169億→132億→129億予想と一定規模は維持しており、配当を出せないほど収益が悪化しているわけではない。それにもかかわらず無配予想となっていることから、株主還元よりも内部留保の確保や資本再編、あるいはMBOに関連した資金戦略が優先されている可能性が高いと読み取れる。
キャッシュフロー面でも、営業CFは230億〜350億規模で安定しており、本来であれば配当を継続できるだけの資金創出力はある。一方で投資CFは年々マイナス幅が拡大しており、設備投資や事業投資に資金を振り向けている構造が見て取れる。さらに財務CFもマイナスで推移しているため、借入返済や資本構成の見直しも同時に進めている局面にある。
このような状況では、配当よりも「内部投資や資本整理を優先するフェーズ」と考えるのが自然であり、短期的に配当が復活する前提での投資はリスクがある。特にMBOの流れがある場合、上場企業としての株主還元よりも経営の自由度を高める方向に舵を切っている可能性が高く、配当政策は後回しになりやすい。
総合すると、この銘柄は現時点では完全に配当目的には向かない。過去に配当実績があっても、それが継続される前提は崩れており、インカムゲインは期待できない状態にある。むしろ「配当を出さない代わりに何を優先しているか」を見極める局面であり、投資の軸は配当ではなく資本政策や事業戦略の変化に置く必要がある銘柄と整理できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価3,010円前後を基準に考えると、太平洋工業は自動車部品の中でもバルブ・TPMSという安定分野を持ちながらも、全体としては景気循環に影響を受ける構造の銘柄であり、株価も業績と需給に応じて大きくレンジを作る傾向にある。
売上は2000億円規模で横ばい圏、利益も130億〜160億レンジで推移しており、「大きく伸びる企業ではないが一定の収益を維持する企業」という前提になる。また、PER4.8倍〜7.1倍、PBR0.9倍前後と評価は低く抑えられており、バリュー株としての性格が強い。
良い場合は、自動車生産の回復やTPMSの装着拡大により売上が緩やかに拡大し、営業利益が160億〜180億規模で安定するシナリオ。加えて、コスト改善や高付加価値製品の比率上昇により営業利益率が7%前後まで上昇し、ROEも8〜10%水準を維持できるようになる。この場合、低評価だったPBRが1倍以上へ見直され、安定収益企業としての評価が進む。株価は4,000円〜4,800円程度まで上昇余地がある。
中間の場合は、売上が横ばいで推移し、営業利益も130億〜150億程度で安定するシナリオ。営業利益率は6%前後、ROEも7%前後に落ち着き、現状の収益体質が継続する形になる。この場合は評価も大きく変化せず、低PER・低PBRの状態が続くため、株価は2,700円〜3,400円程度のレンジ推移になりやすい。配当もないため、株価の上昇要因は業績改善に限定される。
悪い場合は、自動車生産の減速や原材料コストの上昇により利益が圧迫されるシナリオ。営業利益は100億前後まで低下し、営業利益率は5%を下回り、ROEも5%以下へ低下する。この場合は低収益企業としての評価が強まり、PBRも0.7倍近くまで低下する可能性がある。株価は1,800円〜2,500円程度まで下落余地がある。
総合すると、安定した利益基盤はあるものの高成長は見込みにくく、株価は景気と収益性に応じてレンジを形成しやすいバリュー株である。営業利益率6%以上、ROE8%以上を継続できるかが評価見直しの分岐点であり、それが達成されない限りは評価レンジが大きく切り上がる可能性は限定的と考えられる。配当がない現状では、キャピタルゲイン前提の銘柄としての性格がより強くなっている。
この記事の最終更新日:2026年2月27日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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