株価
愛三工業とは

愛三工業はトヨタ系の自動車部品メーカーであり、電子制御燃料噴射装置や吸排気系部品を主力とする企業です。トヨタグループ向けの売上比率は6割強と高く、トヨタ自動車の持分法適用関連会社として安定した受注基盤を持っています。
愛知県大府市に本社を置き、燃料ポンプモジュール、スロットルボデー、キャニスタ、エンジンバルブなどの自動車部品の製造・販売を主力事業としています。中でも燃料ポンプモジュールは2022年にデンソーの燃料ポンプ事業を取得したことで世界シェア約4割を占めるトップクラスの製品となっており、同社の競争力の中核を担っています。
事業の中心は電子制御燃料噴射装置関連であり、エンジン性能や燃費性能に直結する重要部品に強みを持っています。またトヨタ自動車と共同で液化石油ガス(LPG)エンジン車の開発も行っており、環境対応技術の分野でも一定の実績があります。
国内では本社・本社工場(愛知県大府市)を中心に、安城工場(愛知県安城市)、豊田工場(愛知県豊田市)などを展開しています。海外でもアメリカ、欧州、中国、インド、インドネシア、タイ、メキシコなどに拠点を持ち、トヨタのグローバル生産に対応した供給体制を構築しています。
沿革としては1938年に軍需品製造企業として創業し、戦後はキャブレターなど自動車部品の製造へ転換しました。その後エンジンバルブ、スロットルボディ、電動燃料ポンプ、インジェクターなどへと製品領域を拡大し、現在の燃料系・吸気系中心の事業構造を築いています。1980年には名証2部に上場し、その後も海外展開や技術開発を進めながら成長してきました。
近年ではM&Aによる事業強化も進めており、2022年にデンソーの燃料ポンプモジュール事業を取得したほか、2023年にはマグネクス、アイエムアイを子会社化、さらに2026年にはトライスの子会社化も予定されています。これにより製品領域の拡張と収益基盤の強化を図っています。
関連会社としては、テイケイ気化器、愛協産業、アイサンコンピュータサービス、ニチアロイ、愛三熊本などを傘下に持ち、グループとして自動車部品の開発・製造体制を構築しています。また社内研修施設として愛三学園を保有し、人材育成にも力を入れています。
まとめると、愛三工業はトヨタ向けを中心とした燃料系・吸気系部品に強みを持つ自動車部品メーカーであり、特に燃料ポンプ分野では世界トップクラスのシェアを持つ企業です。一方で事業の多くが内燃機関関連であるため、自動車の電動化の進展にどう対応していくかが中長期的な成長性を左右する重要なポイントとなります。
愛三工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 181,427 | 4,956 | 4,986 | 3,525 | 56.0 | 18 |
| 連22.3 | 193,751 | 9,809 | 10,255 | 6,831 | 108.4 | 29 |
| 連23.3 | 240,806 | 13,632 | 14,083 | 8,504 | 135.0 | 35 |
| 連24.3 | 314,336 | 15,498 | 17,201 | 11,744 | 187.6 | 55 |
| 連25.3 | 337,259 | 18,338 | 19,292 | 13,234 | 211.9 | 68 |
| 連26.3予 | 310,000 | 18,500 | 18,000 | 12,000 | 210.4 | 75 |
| 連27.3予 | 340,000 | 20,000 | 19,500 | 12,800 | 224.5 | 77〜80 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 20,269 | -29,599 | 3,536 |
| 2024 | 38,627 | -9,664 | -11,431 |
| 2025 | 28,222 | -20,128 | 10,949 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.6 | 3.7 | 7.9 | – | – |
| 2024 | 4.9 | 4.3 | 8.7 | – | – |
| 2025 | 5.4 | 4.3 | 9.7 | 4.9〜8.9 | 0.91 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見る。2024年は営業利益154億、経常利益172億、純利益117億。2025年は営業利益183億、経常利益192億、純利益132億と増益になっており、2026年予想は営業利益185億、経常利益180億、純利益120億とやや減益見込みになっている。直近は増益基調だが、2026年は一旦ピークアウト気味の動きになっている。
営業利益率は5.6%→4.9%→5.4%とややブレはあるものの5%前後で安定しており、自動車部品メーカーとしては標準的な収益力に収まっている。原価や販売価格の影響を受けやすいものの、大きく崩れていない点は評価できる。
ROEは7.9%→8.7%→9.7%と改善しており、資本効率は徐々に良化している。ただし10%に届くかどうかのラインであり、優良企業として評価されるにはもう一段の収益力向上が必要な水準。ROAも3.7%→4.3%→4.3%と安定しているが、こちらも平均的な範囲に留まる。
キャッシュ創出力を見ると、営業CFは200億→386億→282億と黒字を維持しており、事業自体はしっかり現金を生み出している。一方で投資CFはマイナスが続いており、設備投資や事業強化への支出が継続している構造になっている。財務CFは年度によって増減があり、資金調達や株主還元の調整が行われている。
一方でバリュエーションを見ると、PERは4.9倍〜8.9倍とかなり低水準に位置しており、PBRも0.9倍と1倍割れになっている。これは市場が成長性よりも景気敏感性や構造的な成長限界を意識していることを示している。
配当面を見ると、1株配当は55円→68円→75円と増配が続いており、利益成長に連動した株主還元姿勢は確認できる。配当性向も極端に高いわけではないと考えられ、無理のない範囲での還元といえる。
総合すると、愛三工業は「安定収益+低評価」の典型的なバリュー株。業績は堅実に推移しており、ROEも改善傾向、配当も増配基調と内容は悪くないが、収益性が中位であることと自動車業界の構造変化(電動化)への懸念から市場評価は低く抑えられている。
投資判断としては、割安水準での中長期保有や配当を絡めたバリュー投資には適している。一方で高成長を期待する銘柄ではなく、大きな株価上昇は景気回復や業界サイクルに依存する傾向が強い。したがって「安いときに仕込み、景気局面で売る」タイプの循環株としての扱いが最も適した銘柄といえる。
配当目的とかどうなの?
配当目的で見ると、愛三工業は悪くはないが主力にはなりにくい中配当株という位置付けになる。予想配当利回りは3.37%から3.46%と3%台半ばで、日本株の中ではそこそこ魅力のある水準だが、いわゆる高配当株とされる4〜5%台には届いていないため、インカム重視の中でもやや控えめな水準になる。
配当の推移を見ると55円から68円、75円としっかり増配しており、利益成長に連動した堅実な株主還元ができている点は評価できる。営業キャッシュフローも安定して黒字を維持しているため、配当の原資自体はしっかり確保されており、急な減配リスクはそれほど高くない構造になっている。
ただし収益構造は自動車生産に強く依存する景気敏感型であり、2026年がやや減益見込みとなっているように、業績の波に応じて配当の伸びも鈍化しやすい。継続的に増配し続ける銘柄というよりは、業績に応じて増減するタイプの配当銘柄と考えた方が実態に近い。
またPERが4.9倍から8.9倍、PBRが0.9倍と低水準にあることから、株価の上昇余地はある程度見込める一方で、市場からは成長性に対する評価が低く抑えられている。つまり配当をもらいながら大きなキャピタルゲインを狙う銘柄ではなく、あくまで割安水準で安定的に配当を受け取るバリュー株の性格が強い。
総合すると、配当目的でも十分保有対象にはなるが、ポートフォリオの主軸となる高配当銘柄ではなく、分散の一角として持つタイプの銘柄になる。高配当を最優先にするなら他に利回りの高い銘柄はあるが、割安感と安定配当のバランスを取りたい場合には選択肢として悪くない水準にある。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は2,223円で、愛三工業は売上3143億円から3372億円へ拡大した後、3100億円予想とやや減収見込みとなっており、安定成長というよりは自動車生産に連動した循環的な推移になっている。
一方で営業利益は154億円から183億円へ増加し、185億円予想と高水準を維持しているが、経常利益は192億円から180億円予想とやや減少しており、ピークアウト感も見え始めている。純利益も117億円から132億円へ増加した後、120億円予想と減益見込みであり、直線的な成長ではなく景気や需要に応じて上下する構造がはっきりしている。
良い場合は、自動車生産の回復や燃料ポンプ事業の拡大により営業利益が200億円規模で安定し、営業利益率6%台、ROEが10%以上に乗るシナリオである。市場の評価が見直されPER10倍前後、PBR1.1倍から1.3倍程度まで上昇すれば、5年後の株価は3,000円から3,800円程度まで上昇する可能性がある。急騰ではなく業績改善に合わせて段階的に切り上がる形になりやすい。
中間の場合は、営業利益180億円前後で横ばい推移となり、営業利益率5%前後、ROE9%前後で安定するシナリオである。評価は引き続きPER5倍から8倍、PBR0.8倍から1.0倍の範囲に収まり、この場合5年後の株価は2,000円から2,600円程度のレンジで推移しやすい。配当利回りが意識される典型的なボックス相場になりやすい。
悪い場合は、自動車需要の減速や電動化の影響によりエンジン関連部品の需要が縮小し、営業利益が150億円以下まで低下、営業利益率も4%台まで低下するシナリオである。ROEも7%前後まで低下し、評価がPBR0.7倍から0.8倍へ縮小すると、5年後の株価は1,500円から1,900円程度まで下落する可能性がある。赤字転落の可能性は低いが、評価縮小による緩やかな下落になりやすい。
総合すると現在値2,223円は成長期待を織り込んだ水準ではなく、割安な資産評価帯に近い。上昇余地は利益水準の維持や改善による評価修正に依存し、大きな成長ストーリーがない限りはレンジ推移になりやすい。一方で低PBRと配当利回りが下支えとなり、大きく崩れにくい構造でもある。株価は短期材料よりも自動車業界の循環と業績水準に連動し、長期では上下を繰り返しながら緩やかに水準を変えていくタイプの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年3月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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