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シチズン時計とは

シチズン時計は腕時計と工作機械を中核事業とする日本の精密・電子機器メーカーであり、東京都西東京市に本社を置くシチズングループの中心企業である。東証プライム市場に上場し、JPX日経インデックス400の構成銘柄にも採用されている。関東・甲信越を中心に国内外へ拠点を展開する多国籍企業であり、時計メーカーとしてのブランド力と精密加工技術を基盤に事業領域を拡大してきた企業である。
同社は1918年に尚工舎時計研究所として創業したことに始まり、1924年に懐中時計「CITIZEN」を発売したことが現在のブランドの原点となっている。社名の「シチズン」は市民に親しまれる時計を作るという理念を意味し、日本国内のみならず世界市場でも広く認知されている。
1930年にはシチズン時計株式会社が設立され、戦後はセイコーに次ぐ国内第2位の時計メーカーとして成長した。2001年には本社を新宿から現在の東京事業所へ移転し、その後2007年には純粋持株会社体制へ移行したが、2016年に再び現在の社名へ戻るなど組織再編も進めている。
事業の柱は腕時計事業と工作機械事業である。腕時計分野では電波時計や太陽光発電技術「エコ・ドライブ」など高機能クオーツ時計に強みを持ち、チタン外装や表面硬化技術デュラテクトなど素材技術でも評価が高い。
実用時計から高付加価値モデルまで幅広いラインアップを展開し、「ザ・シチズン」「アテッサ」「プロマスター」「エクシード」「シリーズエイト」「クロスシー」など多数のブランドを持つ。また機械式時計分野への注力も進めており、複雑機構を持つ高級時計の開発にも取り組んでいる。グループとしてはムーブメント生産量で世界トップクラスの実績を持ち、日本国内最大手の時計メーカーの一つとされる。
工作機械事業ではスイス式自動旋盤を中心としたCNC自動旋盤を展開し、「シンコム」ブランドで世界的に知られている。小型・高速・高精度加工を強みとし、自動車部品や電子部品の量産加工用途で広く採用されており、収益性の高い事業分野となっている。時計製造で培った微細加工技術や自動化技術が工作機械の競争力につながっている点が特徴である。
さらに小型デバイス事業も重要な収益源となっており、小型モーター、水晶デバイス、LED、センサーなどの電子部品を自動車やスマートフォン、産業機器向けに供給している。関連会社ではムーブメントブランド「Miyota」を通じて世界中の時計メーカーへ部品供給を行うなど、BtoBビジネスも広く展開している。このほか電子機器分野では電卓や電子辞書、血圧計や体温計などの健康関連機器も手掛けている。
同社は精密技術を軸に時計メーカーから総合精密メーカーへと事業構造の多角化を進めてきた企業であり、海外売上比率が高く為替や世界景気の影響を受けやすい一方、工作機械や電子部品などの産業分野が業績を支える構造となっている。現在はブランドステートメント「BETTER STARTS NOW」を掲げ、時計と精密技術の両面でグローバル成長を目指している企業である。
シチズン時計 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 206,641 | -9,551 | -4,143 | -25,173 | -80.5 | 5 |
| 連22.3 | 281,417 | 22,273 | 27,342 | 22,140 | 71.4 | 18 |
| 連23.3 | 301,366 | 23,708 | 29,096 | 21,836 | 75.3 | 34 |
| 連24.3 | 312,830 | 25,068 | 30,810 | 22,958 | 93.6 | 40 |
| 連25.3 | 316,885 | 20,592 | 23,024 | 23,876 | 97.9 | 45 |
| 連26.3予 | 327,000 | 24,500 | 29,000 | 22,000 | 90.0 | 47 |
| 連27.3予 | 350,000 | 26,000 | 29,000 | 22,000 | 90.0 | 47〜49 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 16,576 | -13,526 | -40,062 |
| 2024 | 34,564 | -12,697 | -26,994 |
| 2025 | 35,765 | -10,032 | -12,542 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 7.8% | 5.5% | 9.7% | – | – |
| 2024 | 8.0% | 5.5% | 9.2% | – | – |
| 2025 | 6.4% | 5.7% | 9.3% | 7.0〜11.7 | 1.44 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず売上は3128億円から3168億円、さらに3270億円予想から3500億円予想と緩やかな増収トレンドにあり、時計事業と工作機械事業の両輪で事業規模は着実に拡大している。急成長企業ではないが、安定的に売上を伸ばす成熟成長型の企業といえる。
営業利益は250億円から205億円、さらに245億円予想から260億円予想となっており、2025年に一度減益となった後に回復する見込みである。利益水準自体は一定の厚みがあり事業基盤の強さは感じられるが、利益のブレがある点は循環性のある企業の特徴ともいえる。
経常利益は308億円から230億円、さらに290億円予想から290億円予想と営業利益同様に一度落ち込んだ後に回復する見込みで、金融収支や為替の影響も受けやすい構造が見て取れる。純利益は229億円から238億円、さらに220億円予想から220億円予想と横ばい圏で推移しており、最終利益ベースでは安定性がある。
収益性を見ると営業利益率は7.8%から8.0%、さらに6.4%とやや低下しており、高収益企業とは言えないが製造業としては中位水準に位置する。ROEは9.7%から9.2%、さらに9.3%と9%台で安定しており、資本効率は平均よりやや良い水準といえる。ROAも5.5%から5.5%、さらに5.7%と安定しており、総資産利益率は堅実な水準で推移している。
バリュエーション面では2025年実績PERは7.0倍から11.7倍のレンジで推移しており、平均的には割安感がある水準と考えられる。PBRも1.4倍程度であり、成長株評価ではないが極端な割高感もない。
総合的に見ると、シチズン時計は売上規模が大きく利益水準も一定水準を維持している安定型の製造業であり、高成長株というよりは景気循環の影響を受けながら堅実に利益を積み上げる企業と評価できる。
PERが低めで推移している点からバリュー株としての魅力はある一方、営業利益率の低下や利益のブレを考えると強い成長期待だけで買われるタイプではない。中長期では工作機械需要や為替環境次第で株価が上下しやすいが、割安圏では拾われやすい典型的な循環系バリュー株という投資判断になる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは26年3月期予想・27年3月期予想ともに2.84%となっており、日本株全体で見ると平均よりやや高い程度の水準である。高配当株と呼べるほどの利回りではないが、低配当株でもなく中位のインカム水準に位置する。
業績面を見ると純利益は229億円から238億円、さらに220億円予想から220億円予想と大きく減少する見込みではなく、一定の利益水準を維持している。この点は配当の継続性という意味ではプラス材料である。一方で営業利益は250億円から205億円と減益局面も経験しており、景気や設備投資動向の影響を受けやすい企業であることを考えると、配当が大きく増配していくタイプとは言いにくい。
また営業利益率は6%台から8%前後で推移しており、極めて高収益な企業ではないため、配当余力は景気次第で変動しやすい構造といえる。ROEも9%台とまずまずだが、株主還元を最優先する企業というよりは、事業投資と配当のバランス型の資本政策と見るのが自然である。
総合的に見ると、シチズン時計は配当目的として完全に不向きではないが、主目的にするにはやや利回りが物足りない水準である。安定配当を受け取りながら株価上昇も狙う「バリュー寄りの中配当株」としての位置付けが妥当であり、高配当狙いのポートフォリオの主力銘柄というよりは補完的な銘柄として考える投資判断になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価1,653円で売上は3128億円から3168億円、さらに3270億円予想から3500億円予想と緩やかな増収が続いており、時計事業と工作機械事業を柱とする精密メーカーとして事業規模は着実に拡大している。
営業利益は250億円から205億円へ一度減少した後、245億円予想から260億円予想と回復が見込まれており、設備投資サイクルの影響を受けながらも中期的には利益水準を維持している企業といえる。営業利益率は7.8%から8.0%、さらに6.4%とやや低下しているものの、製造業としては中位水準であり、ROEも9%台で安定していることから、急成長企業というより景気循環の影響を受けながら堅実に利益を積み上げるタイプの企業といえる。
良い場合は、工作機械需要の拡大や為替環境の追い風によって売上が3800億円前後まで拡大し、営業利益が300億円前後の水準まで成長するケースである。利益率も8%台まで回復し、ROEが11%前後まで上昇すれば企業の収益力に対する評価が高まり、PERが12倍から14倍程度まで見直される可能性がある。その場合、株価は2,300円から2,800円程度まで上昇するシナリオが考えられる。
中間の場合は、売上が3500億円前後で安定し、営業利益も250億円前後の水準で推移するケースである。時計と工作機械という景気感応度のある事業構造のため業績は上下しやすいものの、大きく崩れない範囲で推移する可能性が高い。この場合、PERも現在と近い8倍から11倍程度で評価され、株価は1,400円から2,000円程度のレンジで比較的穏やかな値動きになる可能性がある。配当を受け取りながら横ばい圏で推移する典型的なバリュー株の動きになりやすいパターンである。
悪い場合は、設備投資需要の減速や時計事業の収益性低下などによって営業利益が200億円前後まで低下するケースである。利益率も6%前後まで低下し、ROEも7%台まで下がる可能性がある。その場合は市場の評価も低下し、PERが7倍前後まで縮小する可能性がある。こうした状況では株価は1,000円から1,300円程度まで下落する可能性が考えられ、景気後退が長引けば一時的に過去安値圏を意識する展開も想定される。
まとめると、シチズン時計は精密加工技術を基盤に時計と工作機械で安定した事業基盤を持つ企業である。急成長株ではないが利益水準の厚みと割安な評価が特徴であり、5年間の株価イメージとしては、良い場合2,300円から2,800円、中間の場合1,400円から2,000円、悪い場合1,000円から1,300円程度のレンジで推移する可能性が考えられる。配当を受け取りながら景気循環に応じた値動きになりやすい銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年3月16日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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