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共同印刷とは

共同印刷株式会社は、東京都文京区に本社を置く日本の総合印刷会社であり、出版印刷や商業印刷を基盤としながら、情報セキュリティ、BPOサービス、生活・産業資材分野などへ事業領域を広げている企業である。
東京証券取引所プライム市場に上場しており、2018年からはコーポレートブランドとしてTOMOWELを使用している。印刷業界では長年、大日本印刷、凸版印刷に次ぐ総合印刷3位といわれてきたが、近年は事業構造の変化や業界再編の影響により、トッパン・フォームズやNISSHAなどを含めた順位では5位前後のポジションに位置付けられている。
同社の前身は1897年に博文館主の大橋佐平が自社出版物の印刷を目的として創設した博文館印刷工場であり、1925年に精美堂との合併により共同印刷株式会社が誕生した。出版文化の発展とともに成長してきた老舗企業であり、漫画雑誌などの印刷実績も豊富で、『週刊少年ジャンプ』などの印刷を手がけてきた歴史を持つ。
また労働争議が文学作品『太陽のない街』のモデルとなったことでも知られている。2003年にはコミック向け電子組版システムComicPackerを自社開発するなど、出版分野におけるデジタル化にも早期から取り組んできた。
現在の事業は大きく出版商印部門、ビジネスメディア部門、生活・産業資材部門の三つに分かれる。出版商印部門では雑誌、書籍、コミックス、辞典などの出版印刷に加え、カタログ、パンフレット、POP、ノベルティ制作、撮影・映像制作、デジタルコンテンツ制作、各種プロモーション企画など幅広い商業印刷サービスを展開している。紙媒体だけでなく電子書籍制作やコンテンツ制作などデジタル領域にも対応しており、情報発信の総合支援企業としての機能を強化している。
ビジネスメディア部門では、データプリントサービスやBPOサービスを中心に、通帳やICカード、各種カード類、抽せん券、乗車券、帳票類などのセキュリティ印刷分野で強みを持つ。金融機関や自治体などを顧客とした業務支援サービスを提供し、情報管理技術を活用したデジタルソリューションの提供も進めている。さらに決済ソリューションやシステム開発、コールセンター運営などもグループ会社を通じて展開しており、印刷業から情報サービス業へと事業モデルの転換を図っている。
生活・産業資材部門では食品や医薬品、日用品向けの各種パッケージ、ラベル、チューブ容器、機能性フィルム、建材用品などを製造販売している。特に高機能フィルム分野では吸湿・吸着機能材料モイストキャッチ、酸素吸収フィルムオキシキャッチ、アウトガス吸着機能フィルムオージーキャッチなど独自技術を活かした製品を展開し、医薬品、半導体、電子機器分野などへの供給を行っている。包装資材分野は安定した需要が見込めるため、同社の収益源として重要な役割を担っている。
国内には小石川、五霞、鶴ヶ島、守谷、小田原、相模原、和歌山など多数の工場やソリューションセンターを持ち、海外ではベトナムや中国、インドネシアなどにも生産・販売拠点を展開している。
グループ会社には印刷・製本加工、電子書籍制作、パッケージ製造、物流、システム開発などを担う企業があり、総合力を活かしたサービス提供体制を構築している。近年はデジタル化や環境対応素材の開発、海外事業強化などを進め、印刷技術を基盤とした総合情報・資材企業として持続的な成長を目指している。
直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3* | 93,363 | 775 | 1,289 | 1,253 | 39.8 | 25 |
| 連24.3* | 96,992 | 1,577 | 2,083 | 1,495 | 49.8 | 25 |
| 連25.3* | 99,977 | 2,331 | 2,746 | 3,310 | 115.0 | 35 |
| 連26.3予 | 100,000 | 2,550 | 3,000 | 3,700 | 133.9 | 76 |
| 連27.3予 | 99,000 | 2,800 | 3,250 | 3,800 | 137.5 | 76〜78 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 23,413 | -4,420 | -17,359 |
| 2024 | 3,107 | -2,908 | 266 |
| 2025 | 6,744 | -902 | -4,637 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 0.8% | 2.1% | 1.0% | – | – |
| 2024 | 1.6% | 2.3% | 1.1% | – | – |
| 2025 | 2.3% | 5.2% | 2.6% | 14.3〜18.8倍 | 0.68倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益水準の推移を見ると、営業利益は15億から23億、さらに25億予想から28億予想と着実に増益傾向になっている。経常利益も20億から27億、30億予想から32億予想と拡大しており、収益の回復局面に入っている企業といえる。純利益は14億から33億へ大きく伸びた後、37億予想から38億予想と高水準を維持する見込みであり、最終利益ベースでは成長感が比較的強い推移になっている。
一方で収益性の観点では営業利益率は0.8%から1.6%、2.3%と改善はしているものの依然として低水準に留まっている。印刷業界特有の薄利構造の影響もあり、高収益企業とは言いにくい水準である。ROEは2.1%から2.3%、5.2%と上昇しており資本効率は改善しているが、依然として市場平均と比べるとやや低い水準である。ROAも1.0%から1.1%、2.6%と緩やかな改善に留まり、資産効率面でも突出した強さは見られない。
バリュエーション面では実績PERは14.3倍から18.8倍のレンジで推移しており、成長株として評価されているわけではなく、回復期待を織り込む中立的な水準といえる。PBRは0.6倍台と低く、資産価値面では割安感がある銘柄である。市場は収益性の低さを織り込みつつも、利益回復に対して一定の評価を与えている状態と考えられる。
総合的に見ると、共同印刷は売上はほぼ横ばいながら利益回復が進む改善局面型の銘柄であり、急成長企業ではないが業績底打ち後の回復ストーリーを持つ企業である。低PBRという割安感は魅力だが、営業利益率やROEの水準がまだ低いため、大きな株価上昇には収益力のさらなる改善が必要になる。現状はディフェンシブ寄りの回復株という位置付けで、中長期では利益体質の改善がどこまで進むかが投資判断のポイントになる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは26.3期、27.3期ともに約4.7%と高水準であり、インカム目的としては十分に魅力のある水準といえる。特に現在の日本株市場では3%台でも高配当と評価されることが多いため、5%近い利回りは相対的に強い還元姿勢を示していると考えられる。
利益面を見ると純利益は14億から33億へ大きく回復した後、37億、38億予想と安定成長が見込まれている。この水準であれば配当の継続性は比較的高く、短期的に減配するリスクは低めと考えられる。またPBRが0.6倍台と低く資産価値に対して株価が割安な水準にあるため、株価が大きく上昇しない場合でも利回りは維持されやすく、配当投資家には安心感のある構造になっている。
さらに印刷会社は設備投資の波はあるものの、成熟産業であるため急激な成長投資を行うケースは少なく、キャッシュフローが安定している局面では株主還元に資金が回りやすい傾向がある。共同印刷も情報セキュリティや産業資材など収益源の分散が進んでいる点は配当の安定性を支える要因になり得る。
一方で営業利益率はまだ2%台と低く、ROEも5%台に留まるため、企業の収益力自体は高いとは言えない。紙媒体需要の縮小や価格競争の影響を受けると利益が再び減速する可能性もあり、その場合は配当の維持余力が弱まるリスクもある。また高配当銘柄は株価上昇が限定的になりやすく、トータルリターンは配当中心になりやすい点も理解しておく必要がある。
総合的に見ると、共同印刷は高配当利回りと割安感を背景に、配当収入を目的とした中長期保有には向いた銘柄といえる。ただし大きな株価成長を狙う銘柄ではなく、利益率の改善や事業構造の変化が進まない限り、値上がり益は緩やかなものに留まる可能性が高い。配当を受け取りながら安定運用を志向する投資スタイルに適した銘柄といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は1,604円で、業績は売上が969億円から999億円、1,000億円予想へと緩やかな増収基調となっている。営業利益も15億円から23億円、25億円予想、さらに28億円予想と回復トレンドが続いており、収益体質は徐々に改善している段階にある。
営業利益率も0.8%から1.6%、2.3%と低水準ながら改善傾向であり、印刷業の成熟産業としては一定の底打ち感が見られる。ROEも2%台から5%台へ上昇しており資本効率は回復途上だが、まだ高収益企業の水準には届いていない。一方でPBRは0.6倍台と資産価値に対して割安圏に位置し、バリュー株としての性格が強い銘柄といえる。
良い場合は、利益回復が想定以上に進み営業利益が30億円台後半まで拡大するケースである。高機能フィルムや生活・産業資材など非印刷分野の収益寄与が強まり、営業利益率が3%台後半まで改善、ROEも7%〜8%水準まで上昇する可能性がある。高配当利回りと低PBRの割安感が評価され、バリュー株物色の流れに乗れば株価は1,900円から2,400円程度まで上昇する展開も考えられる。さらに増配期待や自社株買いなど株主還元強化が加われば中長期での評価見直し余地は大きくなる。
中間の場合は、印刷需要の減少と新事業の成長がほぼ均衡し、売上は1,000億円前後で横ばい推移、営業利益も25億円前後で安定するケースである。営業利益率は2%台半ばで推移し、ROEも5%前後の中位水準にとどまる可能性が高い。この場合は高配当利回りが下値を支える一方で成長期待は限定的となり、株価は1,400円から1,700円程度のレンジで比較的落ち着いた値動きになりやすい。配当を受け取りながら長期保有する安定株としての位置付けになる展開である。
悪い場合は、紙媒体需要の想定以上の減少や原材料価格上昇、人件費増加などにより利益が再び圧迫されるケースである。営業利益が20億円前後まで低下し、営業利益率も2%を下回るとROEは3%台まで低下する可能性がある。この場合は市場評価も弱まりPBRが0.5倍台まで低下し、株価は1,100円から1,300円程度まで下落する展開も想定される。減配懸念が出た場合は一時的にさらに弱含む可能性もある。
まとめとしては、共同印刷は高配当利回りと低PBRによる下値の堅さが魅力の典型的なバリュー株であり、大きな成長よりも安定した収益回復と株主還元を軸に評価されやすい銘柄といえる。5年間の株価イメージとしては、良い場合1,900円から2,400円、中間の場合1,400円から1,700円、悪い場合1,100円から1,300円程度のレンジで推移する可能性が考えられる。配当を受け取りながら比較的穏やかな値動きを想定する中長期投資向けの銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年3月22日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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