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NISSHAとは

NISSHA株式会社は1929年に創業した印刷会社を祖業とする企業で、本社は京都府京都市中京区にある。かつての社名は日本写真印刷株式会社であり、高品質な美術印刷を強みに成長してきた。
現在は印刷技術を基盤に電子部品、産業資材、医療分野などへ事業領域を拡大し、グローバルに展開する技術メーカーへと変貌している。印刷が構造不況に直面する中で、独自の加飾技術や電子デバイス分野への進出により事業構造の転換を進めてきた点が特徴である。
同社の事業は大きく三つの柱で構成されている。一つ目は産業資材事業であり、加飾フィルムやプラスチック成形品、蒸着紙などを手掛けている。成形同時加飾技術などを活用し、自動車内装部品や家電、情報機器向けに高いデザイン性と機能性を兼ね備えた製品を供給している。蒸着紙は印刷用資材として包装用途などで採用されており、環境対応素材としての需要も期待されている。これらの分野は同社の収益の中核を担う重要事業となっている。
二つ目はデバイス事業で、タッチセンサーやガスセンサーなどの電子部品を展開している。特にフィルム型タッチセンサーでは世界トップレベルのシェアを持ち、スマートフォンやタブレット、車載機器など幅広い用途で採用されている。
タッチパネルの普及や操作インターフェースの高度化を背景に需要は拡大しており、同社の成長を支える分野となっている。一方で市場環境の変化に合わせて製品構成の見直しや収益性改善にも取り組んでいる。
三つ目はライフイノベーション事業で、医療機器の開発製造受託(CDMO)を中心に事業拡大を進めている。医療用部材や医療機器の設計から量産まで一貫対応できる体制を構築しており、海外企業の買収などを通じて北米市場での存在感を高めている。2019年にはゾンネボード製薬株式会社を買収し、医療分野での事業基盤を強化した。医療分野は景気変動の影響を受けにくく、同社の収益安定化に寄与する成長領域と位置付けられている。
このほか情報コミュニケーション事業として、商業印刷や出版印刷、セールスプロモーション支援なども行っているが、近年は高付加価値分野へのシフトが進んでいる。主要取引先には任天堂、Apple、GM、ノキア、HP、モトローラなど世界的企業が名を連ねており、長年培ってきた印刷技術と精密加工技術がグローバル市場で評価されている。
沿革を見ると、1942年に日本写真印刷有限会社を設立し、1946年に株式会社へ改組。1960年代には証券取引所へ上場し、1980年には東証・大証1部上場を果たした。その後2017年に現在のNISSHA株式会社へ商号変更し、2022年には東京証券取引所の市場再編に伴いプライム市場へ移行している。なお京都本館は1906年に建設された歴史的建造物で、国の登録有形文化財にも指定されている。また京都サンガF.C.のオフィシャルスポンサーとして地域貢献活動にも取り組んでいる。
現在は産業資材と医療分野を成長ドライバーとしながら、電子デバイス分野の競争環境変化に対応した事業ポートフォリオ改革を進めている。印刷を起点に発展した技術を融合させ、高付加価値製品の開発とグローバル展開を通じて中長期的な成長を目指している企業である。
NISSHA 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 税前利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ◇21.12 | 189,285 | 17,363 | 19,499 | 15,859 | 318.4 | 40特 |
| ◇22.12 | 193,963 | 9,520 | 12,373 | 10,140 | 203.7 | 50 |
| ◇23.12 | 167,726 | -3,817 | -2,762 | -2,988 | -61.1 | 50 |
| ◇24.12 | 195,598 | 5,486 | 6,213 | 3,862 | 80.2 | 50 |
| ◇25.12 | 194,898 | 4,040 | 3,551 | 1,001 | 21.1 | 50 |
| ◇26.12予 | 197,500 | 7,500 | 5,900 | 2,700 | 57.0 | 50 |
| ◇27.12予 | 200,000 | 11,000 | 9,400 | 4,400 | 92.9 | 50 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,486 | -8,019 | -12,629 |
| 2024 | 12,312 | -11,431 | 9,147 |
| 2025 | 10,337 | -13,848 | -8,366 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | -2.3% | -1.4% | -2.7% | ― | ― |
| 2024 | 2.8% | 1.5% | 3.3% | ― | ― |
| 2025 | 2.0% | 0.4% | 0.8% | 33.7〜53.6 | 0.49 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず売上規模は1,955億円から1,948億円、さらに1,975億円予想から2,000億円予想と横ばいから緩やかな増収見通しとなっており、事業規模自体は大きく崩れていない。景気変動の影響を受けながらも一定の売上水準を維持できている点は評価できる。
一方で営業利益は54億円から40億円、75億円予想から110億円予想と回復見通しではあるものの、直近実績はまだ低水準にとどまっており、利益の安定性には課題が残る。経常利益も62億円から35億円、59億円予想から94億円予想と同様に変動が大きく、外部環境や事業構成の影響を受けやすい収益構造といえる。
純利益は38億円から10億円、27億円予想から44億円予想となっており、2025年は利益水準が大きく落ち込んだ年となっている。EPSも80円から21円、57円予想から92円予想と大きく変動しており、株主利益の安定性という点ではまだ不十分な状態にある。業績が回復基調にあるとはいえ、過去の実績を見る限り直線的な成長ではなく景気や需要動向に左右されやすい企業と判断できる。
収益性の面では営業利益率が-2.3%から2.8%、さらに2.0%と低水準で推移しており、高収益体質とは言いにくい。ROEも-2.7%から3.3%、0.8%、ROAも-1.4%から1.5%、0.4%と資本効率は非常に低く、企業が持つ資産や資本を十分に活用して利益を生み出せていない状況が続いている。特にROEが1%未満という水準は市場からの評価が上がりにくい水準であり、収益力改善が株価の最大の課題といえる。
一方で評価面を見ると、2025年の実績PERは33.7倍から53.6倍と非常に高く、低利益状態にもかかわらず株価評価は割高寄りになっている。ただしPBRは0.4倍と低水準であり、純資産価値から見れば割安感がある状態である。つまり利益ベースでは割高、資産ベースでは割安という評価のねじれが生じており、これは業績回復期待が先行している銘柄に見られる特徴でもある。
総合的に見ると、この会社は売上規模は大きく安定しているものの、利益水準と資本効率が低く、現状は典型的な業績回復途中の企業と判断できる。今後営業利益が100億円規模まで安定的に成長し、営業利益率が4%前後、ROEが8%程度まで改善すれば株価評価が大きく見直される余地はあるが、現時点の数値だけで判断すると成長株としての魅力はまだ弱い。
投資判断としては積極的に買いに行く局面ではなく、業績回復の持続性を確認しながら段階的に評価する中立からやや慎重スタンスが妥当といえる。低PBRによる下値の固さは期待できるが、収益改善が進まなければ株価は長期的に評価されにくい可能性もあるため注意が必要な銘柄である。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは26,27年度ともに予想で4.1%前後と比較的高水準にあり、表面上は配当目的投資の対象として一定の魅力はある水準といえる。株価が低PBR水準にあることもあり、インカム狙いでの資金流入は起きやすいタイプの銘柄である。
ただし業績面を見ると純利益は38億円から10億円まで落ち込んでおり、27億円予想から44億円予想と回復見通しではあるものの利益の安定性はまだ弱い。営業利益率も2%前後と低く、ROEも1%未満の水準で推移していることから、配当の裏付けとなる収益力は十分に強いとは言いにくい状態である。実際に利益水準が低い中でも配当50円を維持しているため、配当性向はかなり高くなっている可能性があり、将来的な減配リスクはゼロではない。
一方で売上規模は約2,000億円と大きく、産業資材や医療分野など複数事業を持つため急激に業績が崩れる可能性は比較的低い。このため短期的には配当維持の確度は一定程度あると考えられる。低PBR銘柄は企業側も株主還元を重視しやすく、株価対策として配当を維持するケースも多い点はプラス材料である。
総合的に見ると、NISSHAは高配当株としての魅力はあるものの、安定高収益企業のような「配当安全性の高さ」を期待する銘柄ではなく、あくまで業績回復前提の配当株という位置付けになる。配当利回り4%台は魅力だが、利益変動が大きい企業であるため長期の純粋なインカム投資よりは、株価回復余地と配当を両取りする中リスク型の配当投資銘柄と考えるのが妥当である。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価は1,209円で、売上は1,677億円から1,955億円へ回復し、さらに1,975億円予想から2,000億円予想と緩やかな増収見通しとなっている。印刷を祖業としながら現在はタッチセンサーなどの電子部品、加飾フィルムなどの産業資材、医療機器CDMOを柱とする事業構造となっており、特に医療分野の拡大が中長期の成長期待として意識されている。
一方で営業利益は-38億円から54億円へ回復した後、40億円まで低下しており、75億円予想から110億円予想と回復シナリオはあるものの、利益の変動が大きく安定性にはまだ課題が残る。営業利益率も-2.3%から2.8%、2.0%と低水準で推移しており、ROEも-2.7%から3.3%、0.8%と資本効率は低く、急成長企業というより業績回復途中の企業といえる。
良い場合は、医療機器CDMOの受注拡大やEV向け内装加飾部材の採用増加により売上が2,200億円以上まで拡大し、営業利益が100億円前後の水準まで成長するケースである。利益率が4%台まで改善し、ROEも8%から10%程度まで上昇すれば企業の収益力に対する評価が高まり、現在0.5倍前後のPBRが0.9倍から1倍近くまで見直される可能性がある。その場合、株価は1,800円から2,200円程度まで上昇するシナリオが考えられる。
中間の場合は、売上が2,000億円前後で安定し、営業利益も70億円から80億円程度の水準で推移するケースである。産業資材と医療分野は伸びるもののデバイス事業の変動が続き、利益率は3%前後にとどまる可能性が高い。この場合は市場評価も大きく変わりにくく、PERは12倍前後、PBRも0.6倍から0.7倍程度で推移しやすい。株価は大きく上昇することも下落することもなく、1,100円から1,500円程度のレンジで比較的穏やかな値動きになる可能性がある。いわゆる低評価安定株としての動きになりやすいパターンである。
悪い場合は、タッチセンサー需要の低迷や設備投資負担の増加、医療分野の成長鈍化などにより営業利益が40億円前後まで低下するケースである。利益率も2%未満に低下し、ROEも1%未満の状態が続けば市場の評価はさらに低下し、PBRも0.4倍台まで売られる可能性がある。こうした状況では株価は900円から1,000円程度まで下落し、その後も低位横ばいの展開になる可能性が考えられる。
まとめると、この会社は売上規模は大きく安定しているものの、利益水準と資本効率が低く業績回復前提で評価されやすい企業である。急成長株ではないが低PBRによる下値の固さと医療分野の成長期待を併せ持つ銘柄であり、5年間の株価イメージとしては、良い場合1,800円から2,200円、中間の場合1,100円から1,500円、悪い場合900円から1,000円程度のレンジで推移する可能性が考えられる。配当を受け取りながら業績回復を待つタイプの中リスク銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年3月23日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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