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安川電機(6506)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

安川電機とは

安川電機は1915年創業の老舗モータメーカーで、日本を代表するFA(ファクトリー・オートメーション)総合メーカーです。本社は福岡県北九州市にあり、100年以上にわたって産業界の自動化や省力化を支えてきた企業として世界的な評価を受けています。特に安川電機は「サーボモータ」「産業用ロボット」「インバータ」に強みを持ち、いずれも世界シェアトップクラスという圧倒的な競争力を確立しています。自動車、半導体、電子部品、食品、医薬品、物流など、あらゆる製造業の現場で安川の技術が活用され、生産効率の向上や省人化に貢献しています。

同社の事業領域は、モーションコントロール、ロボット、システムエンジニアリングを中心とした「メカトロニクス」に重点を置いており、単なる機器販売にとどまらず、生産ライン全体の自動化ソリューションまで提供できる点が特徴です。特にロボット分野では“MOTOMAN(モートマン)”シリーズが有名で、溶接、搬送、塗装、組立、食品加工、医薬品のピッキング作業など用途は非常に広く、世界中の工場に導入が進んでいます。AI・画像認識・自律ロボット技術とも連携し、次世代型のスマート工場に不可欠な存在となっています。

モーションコントロール事業では、工作機械や半導体製造装置など、精密制御が求められる産業に向けて高性能サーボドライブやコントローラを提供しています。特にサーボモータは安川電機の象徴ともいえる製品で、高速・高精度な位置制御技術は世界でもトップレベルです。この分野は工場自動化の根幹に関わるため、世界的に需要が安定しているだけでなく、半導体やEV関連の投資拡大が追い風となっています。

また、システムエンジニアリング事業ではインバータや電機システム、受変電設備などを提供しており、製造業のライン全体を制御するためのシステム構築なども手がけています。エネルギー効率の改善や省エネ化を実現する設備・システムの開発も積極的に進めており、企業の脱炭素ニーズの高まりを追い風に需要が拡大することが期待されています。

さらに環境・エネルギー関連事業として、クリーンパワー関連製品の開発や、サービスソリューションの提供にも注力しています。ロボットやサーボを導入した企業に対する保守サービスや、予防保全・データ解析などの付加価値ビジネスも伸長しており、単なる製品販売から“ソリューション・サービス型企業”へと進化している点も大きな特徴です。

安川電機は海外展開も積極的で、北米、欧州、中国、東南アジアなど世界中に製造・販売拠点を持ちます。海外売上比率は高く、中国やアジア市場での存在感も強い企業です。世界的な設備投資の動向に大きく影響されるものの、EV・半導体・自動化・省人化といった世界的トレンドの中心にあるため、長期的な成長期待が高い企業と言えます。

安川電機 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株配当(円)
23.2 555,955 68,301 71,134 51,783 198.1 64
24.2 575,658 66,225 69,078 50,687 193.9 64
25.2 537,682 50,156 78,454 56,987 218.6 68
26.2予 520,000 44,000 46,500 33,700 129.9 68

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 -2,209 -19,694 7,197
2024 54,619 -29,346 -29,416
2025 56,505 -21,287 -15,673

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(倍) PBR(倍)
2023 12.2% 14.9% 7.9%
2024 11.5% 12.6% 7.2%
2025 9.3% 13.2% 7.6% 実績PER 高値平均:31.3倍
実績PER 安値平均:20.9倍
実績PBR:2.34倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

安川電機の業績と指標を総合的に見ると、「短期は調整気味だが、中長期では依然として強い成長力を持つ企業」という評価になります。まず営業利益を見ると、23.2期の 683億円 から、24.2期には 662億円 と微減、25.2期には 502億円 まで低下しています。売上も25.2期に落ちているため、世界的な設備投資の一服や中国景気の減速、半導体市況の影響を受けていることが伺えます。特に安川電機はサーボやロボットなど設備投資の影響を受けやすく、ここ数年は顧客の投資サイクルが弱かったことが利益率の低下につながっています。

営業利益率を見ても、23.2期の12.2%から24.2期は11.5%、25.2期は9.3%と下げています。これはコスト増加や需要の調整を示しており、短期的には利益面での苦しさが出ています。ただし9%台は製造業としては十分高い水準で、安川電機の高付加価値ビジネスが健在であることも読み取れます。

一方、ROEを見ると23.2期が14.9%、24.2期が12.6%、25.2期が13.2%と非常に高い水準を維持しています。一般にROEが10%を超える企業は優良企業と言われますが、安川は13%前後を維持しており、株主価値をしっかり生み出している優秀な企業といえます。ROAも7〜7.9%と高く、資産効率が良い企業です。機械メーカーでここまで高いROAを維持できるのは、サーボやロボットなど高付加価値商品の比率が高いからです。

財務指標であるPERを見ると、2025年の高値平均が31.3倍、安値平均でも20.9倍と、全体的に割高な評価を受けていることが分かります。これは市場が安川電機の将来性、特にEV・半導体・自動化・省力化といった成長テーマに強い期待を寄せている証拠でもあります。PBRも2.34倍と製造業としては高く、資産価値に対して市場が成長期待を織り込んでいる状態です。

業績が調整局面にあるにもかかわらず、ROEは高く維持され、PBRも2倍超を保っている点から、「市場は短期の業績減速よりも、中長期のロボット・自動化需要の拡大を評価している」と判断できます。実際、世界的な人手不足、EV化、半導体設備投資、物流自動化など、安川電機の製品需要は今後も増え続けるテーマに直結しています。そのため短期的に利益が落ちても、長期で見れば十分に巻き返す力があります。

総合すると、足元の業績は下降トレンドに見えますが、収益力を示すROE・ROAは高水準を維持しており、財務安定性も高い。PER・PBR が高いのは市場からの期待が強い証拠で、割安株というより「プレミアムがついた優良株」といった位置づけです。

結論としては、短期的には業績調整で株価が揺れやすいものの、中長期では自動化需要の拡大によって再び成長基調に戻る可能性が高く、長期保有に向いた企業と言えるでしょう。
安値で拾って長く持つ戦略が最も向いているタイプの銘柄だと思います。

配当目的とかどうなの?

安川電機を配当目的で考えた場合、結論から言うと「配当狙いの銘柄としては優先度が低い」という評価になります。予想配当利回り(2026・2027年度)は1.68%と、東証プライム全体の平均と比べてもやや低めで、高配当株として投資するタイプではありません。安川電機はサーボモーターやロボットなど、世界的な自動化需要を背景に成長してきた企業であり、配当を増やすことよりも、成長領域への投資を優先する傾向が強い会社です。

特に安川電機は設備投資の影響を強く受ける企業で、景気や半導体投資、中国の製造業の動向に利益が大きく左右されます。業績がめちゃくちゃ落ち込むわけではありませんが、好景気の年と調整局面では利益がハッキリと変動するため、毎年右肩上がりで増配していく会社とはタイプが違います。安定的に淡々と配当を積み増すというよりは、その年の余力に応じて適切に還元するスタイルの企業です。

ただし悪い意味ばかりでもなく、安川電機は財務の健全性が高く、ROEやROAも高水準をキープしているため、減配リスクが極端に高い企業ではありません。業績が多少ブレても、すぐに配当を大きく削るような会社ではなく、一定の水準を維持しながら安定して還元してくれるタイプです。そのため、配当利回りこそ低いものの、「持っていて極端に不安になる銘柄」ではなく、長期的に安定感はある企業と言えます。

ただし配当目的という観点で見ると、1.6%台の利回りで、特に増配ペースが早いわけでもないため、インカムゲインだけを重視する投資家にとっては物足りないのは事実です。やはり安川電機は本質的に「配当で稼ぐ銘柄」ではなく、「事業成長や株価上昇を期待する銘柄」です。EV、自動化、物流ロボット、半導体など世界的な成長テーマと直結しているため、長期投資では株価の伸びに期待できる側面が強く、配当よりもキャピタルゲイン中心で考える方が向いています。

総合すると、安川電機は配当目的だけで買うには利回りが低く、高配当株としての魅力はあまり感じられません。しかし、財務の安定性や業界ポジションの強さを踏まえると、「安定感のある優良企業として長期保有しつつ、おまけで配当がついてくる」程度の認識がちょうどいいと言えます。配当を主目的にするなら他の銘柄を検討すべきですが、成長性を重視した長期投資のついでに配当が入ってくる、という位置づけなら十分アリな企業です。

今後の値動き予想!!(5年間)

安川電機の現在の株価(4037円)から今後5年間の株価を考えると、世界的な自動化の流れやロボット需要の増加が期待できるため、中長期では上昇余地がしっかり残っている銘柄だと言えます。ただし安川は設備投資のサイクルに強く影響を受ける企業でもあり、時期によっては利益が落ち込むこともあるため、シナリオによって株価の動きは大きく変わってきます。そこで、良い場合・中間・悪い場合に分けて5年間の値動きをイメージしてみます。

まず「良い場合」ですが、EVや半導体投資が再び強くなり、自動化ロボットの需要も大きく伸びていく展開です。特に安川電機はサーボモータとロボットにおいて世界トップクラスのシェアを持っているため、世界的な人手不足が続く中で、工場の省力化や無人化の流れがさらに加速すれば業績は一気に上向きます。このパターンでは株価も強気に動き、5年後には6,500〜8,000円あたりまで上昇する可能性があります。現在の4,037円を基準にすると、1.6倍から2倍程度まで伸びるイメージで、長期の成長ストーリーが順調にいけば十分あり得る数字です。

次に「中間のシナリオ」です。これは最も現実的なパターンで、世界景気には多少波があるものの、自動化やFA需要のベースは強く、業績も安定して推移するケースです。ロボットやサーボの需要は中長期で確実に伸びていくため、売上や利益も緩やかに上昇し、株価もそれに連動して上がっていきます。この場合、5年後の株価は5,000〜6,000円あたりで推移する可能性が高く、現在の水準から見ると1.2〜1.5倍くらいの自然な上昇が見込まれます。

最後に「悪い場合」です。中国景気の長期停滞が続き、半導体設備投資も弱いまま、世界の設備投資サイクルが冷え込むシナリオです。安川電機は海外比率が高いため、中国やアジアの景気悪化は業績に直撃します。このような流れが長く続いてしまうと、株価は現在の水準からあまり伸びず、逆に3,200〜4,000円の間で停滞する可能性があります。とはいえ安川は財務が強く、世界シェアも安定しているため、そこまで大幅に崩れるリスクは高くありませんが、弱気相場が長引くと上値が重くなるのは確かです。

総合すると、安川電機は長期的には上昇が見込める企業で、特に自動化やロボットというテーマが今後も世界的に広がることを考えれば、標準シナリオで5,000〜6,000円、好調なら8,000円も見えてくる銘柄です。反対に、世界景気が弱い状態が長引けば3,200〜4,000円のレンジに留まる可能性もあるため、長期で持ちつつ、世界の設備投資サイクルを注視する必要があると言えるでしょう。

この記事の最終更新日:2025年11月15日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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