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横河電機(6841)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

横河電機とは

横河電機株式会社は、日本を代表する老舗の計測・制御機器メーカーで、100年以上の歴史を持つ企業です。本社は東京都武蔵野市にあり、産業オートメーション分野では国内トップクラス、世界レベルでも高い技術力を誇っています。横河電機は石油・ガス、化学、電力、製薬、食品、鉄鋼など幅広い産業に向けて、プラントの制御に使われる「DCS(分散制御システム)」や計測機器を提供しており、世界60カ国以上でビジネスを展開しています。長期にわたる安定した品質と信頼性の高さから、技術者の間では“壊れない横河”として知られ、国内外の大規模プラントで標準採用されるケースも多い企業です。

横河電機の事業の柱となっているのが「産業オートメーション(IA)事業」です。ここでは化学プラントや石油精製工場で工程を管理する制御システム(DCS)、生産設備の状態を監視するシステム、センサー・計装機器などを提供しています。プラント産業は24時間稼働が当たり前で、一瞬の停止が莫大な損害につながるため、高信頼・高耐久が求められる世界です。その中で横河電機の制御システムは故障が非常に少なく、長期間安定して稼働できることが大きな強みになっています。また近年はAIやIoTを活用した「スマートプラント」構想にも取り組んでおり、設備の異常予知や生産効率改善のソリューション提供にも力を入れています。

次に重要なのが「計測機器事業」です。横河電機は創業当初から計測技術に強みを持ち、温度、圧力、流量、電気などを高精度で測定する機器を提供しています。これらの精密計測器は、研究所、大学、医療現場、品質管理部門など幅広い領域で使用されています。特に電気計測器や光計測装置などは世界的にも評価が高く、研究開発型企業としての側面が強いのも特徴です。精密測定の世界で培われたノウハウは、産業プラント向け製品にも活かされており、同社の技術的な基盤となっています。

さらに、横河電機が近年注力しているのが「ライフサイエンス・医薬関連事業」です。医薬品の研究開発や製造工程で使われるバイオプロセス自動化システム、品質管理ソリューションなどを提供しており、製薬企業やバイオ企業と協業するケースが増えています。創薬の高度化やバイオ医薬品の成長を背景に、この領域は伸びている分野であり、横河電機にとって成長ドライバーのひとつとなりつつあります。従来のプラント制御技術を医薬分野に応用することで、新しい事業領域を切り開いているのも特徴です。

横河電機全体としての強みは、何より「安定性」と「高信頼性」です。大規模プラントの制御は景気変動に左右されづらく、運用・保守サービスも継続的に収益が入るため、事業基盤が非常に強固です。また、一度導入されると10年以上使われ続けるケースが多く、安定的な保守・更新需要が生まれます。そのため業績ボラティリティが比較的小さく、長期安定型のBtoB企業として堅い評価を受けています。加えて、AI・IoT技術と組み合わせたデジタルソリューション、エネルギー分野の脱炭素化対応、医薬バイオ関連の拡大など将来の成長領域にも積極投資しており、伝統企業でありながら進化を続けるタイプの企業です。

このように横河電機は、産業オートメーションと計測を軸としつつ、次世代技術や医薬分野へも事業を広げ、世界中の産業インフラを支える存在として高い信頼と実績を持っています。工場の自動化やDX化、エネルギーの効率化など、今後も需要が伸びる領域で存在感を発揮し続ける企業です。

横河電機 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3 456,479 44,409 48,608 38,920 145.8 34
連24.3 540,152 78,800 84,098 61,685 234.8 40
連25.3 562,404 83,523 85,351 52,123 200.4 58
連26.3予 570,000 83,000 83,000 57,000 223.8 64

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 40,422 -32,939 -10,932
2024 63,833 2,653 -57,496
2025 99,025 -28,639 -26,237

出典元:四季報オンライン

直近の業績・指標

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 9.7% 10.2% 6.2%
2024 14.5% 14.1% 9.1%
2025 14.8% 11.1% 7.2% 高値平均 18.3倍
安値平均 12.1倍
2.48倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

横河電機は直近3年間の業績と各種指標を見ると、非常に安定性が高く、製造業の中でも質の高い収益構造を持つ企業だとわかります。まず売上と利益を見ると、2023年から2025年にかけて売上が4564億円 → 5401億円 → 5624億円と着実に伸びており、その中で営業利益も444億円 → 788億円 → 835億円と力強く増加しています。特に営業利益率は9.7% → 14.5% → 14.8%と一段階レベルアップしており、製造業としては上位クラスの利益率を達成しています。一般的な機械・電気メーカーでは営業利益率5%台も珍しくない中で、横河電機が10~15%を維持できているのは非常に高評価ポイントです。

さらにROEは10.2% → 14.1% → 11.1%と株主資本効率が高く、ROAも6.2% → 9.1% → 7.2%と総資産の生産性も優秀です。この2つが揃っている企業は財務体質が強く、本業できちんと利益を生み出せている証拠であり、景気変動の大きなセクターと比べても安定した収益力を持っていると言えます。また、経常利益もしっかり増えており、金融収支も大きなマイナス要因になっていません。

バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均18.3倍、安値平均12.1倍、PBRは2.48倍となっており、完全に“割安株”とは言えない水準です。ただし、利益率が高く、成長性も一定あり、ビジネスモデルが安定している企業であることを考えると、このPER帯は妥当〜やや割安に近い水準と言えます。特に横河電機のような産業オートメーション系企業は、世界的にDX・自動化の需要が伸びる分野であり、業績が大崩れしにくい“長期安定型”の企業として評価されているため、PERが10倍前後で放置されるような銘柄ではありません。

総合すると、横河電機は「収益性」「安定性」「財務の強さ」「成長性」の4点がバランス良く揃った優良企業で、長期保有にも適したタイプの銘柄です。特に営業利益率が15%近い水準まで上がっているのは強力な競争力の証明であり、産業オートメーション市場の拡大とともに中長期での成長も見込めます。他の機械株と比較しても、業績の振れ幅が小さく、安定したキャッシュフローを出せている点は投資家にとって安心材料です。

一方で注意点としては、PBRが2.48倍とやや高く、すでに一定の成長期待は株価に織り込み済みであることです。そのため、短期で一気に株価2倍を狙うような派手な値動きは期待しづらいですが、堅実にじわじわと株価が伸びていくタイプの銘柄として長期ポートフォリオに組み込むには非常に相性が良い企業だと言えます。

結論として、横河電機は「高収益の安定成長銘柄」であり、大きく外す可能性が低い堅い投資先です。長期保有・安定収益狙いの投資家に適している銘柄です。

配当目的とかどうなの?

横河電機を配当目的で考えた場合、利回りそのものは1.3%台と正直かなり控えめで、配当利回りが高い銘柄とは言えません。26.3期が1.35%、27.3期が1.39%とわずかに上がる予想になっていますが、それでも一般的な高配当株の水準である3〜4%とは大きく差があります。利回りの数字だけを見ると、配当狙いで積極的に買いたいタイプではありません。

しかし、横河電機の配当を評価する時に大事なのは「利回りの高さ」ではなく、「配当の安定性」と「増配傾向」にあります。横河電機は高配当企業ではないものの、利益が大きく乱高下しないため、毎年比較的安定して配当を支払える体質を持っています。業績の推移を見ても、営業利益率は10〜15%と高収益で、ROEも10%前後を維持しており、安定して稼ぐ力がある企業です。それに加えて、ここ数年は配当性向も大きく乱れず、増配基調も続いているため、いわゆる「安定配当銘柄」「長期保有向けの堅い株」という位置づけに近い企業です。

とはいえ、配当だけを目的に保有するのであれば、同じ日本株の中でも利回り3〜5%台の企業が多数存在するため、横河電機をあえて“配当狙いの筆頭候補”として選ぶ必要はありません。横河電機はどちらかというと、景気の影響を受けにくい産業オートメーション分野で、長期的にじわじわ成長しながら安定的に配当も継続してくれるという「安定成長+低配当」というタイプの企業です。利回りは低くても、減配リスクが低く、長期保有すれば増配効果で将来的に利回りが徐々に上がっていく“見込み配当型”の銘柄と言えます。

まとめると、横河電機は「高配当を求める人には向かないけれど、減配リスクが低くて安心できる堅実な企業に投資したい人」には向いている銘柄です。利回りは低いものの、業績の安定性・増配姿勢・財務の強さなどを考えると、長期で持つことでじわじわ効いてくるタイプの配当株と言えます。

今後の値動き予想!!(5年間)

横河電機の株価は、今後5年間を考えても大きく崩れるリスクが低く、安定した値動きになりやすい銘柄です。現在値の4,729円というのは業績と比べても妥当な水準で、割高でも割安でもない“中間的な位置”にあります。事業自体が産業オートメーション、プラント制御、計測機器といった景気の波を受けにくい分野で構成されているため、株価も極端なボラティリティが出づらく、上がる時はゆっくり、下がる時もゆっくりという“堅実な銘柄”らしい動きをしやすいのが特徴です。

まず良い場合のシナリオでは、世界的に工場の自動化やDX投資が継続し、石油化学や電力、医薬品など横河電機が強みを持つ分野で設備投資がじわじわ拡大するケースです。営業利益率が現在の高水準で推移し、ROEも10%前後を維持できれば、企業価値は今後もじわじわ上がっていきます。このケースでは株価が自然と切り上がり、5年後には5,500~6,000円台に乗ってくる可能性があります。横河電機は派手なテーマで上がる株ではありませんが、堅実に数字を積み上げるタイプなので、こうした穏やかな上昇は十分に想定できます。

一方で最も現実的なのが中間シナリオです。産業オートメーション市場は安定してはいるものの、急成長するわけでもなく、世界景気に合わせて強い年と弱い年を繰り返すことが多いです。横河電機は高い利益率を維持していますが、それでも設備投資の波には多少の影響を受けるため、株価もゆっくりとしたレンジ相場になりやすいです。この場合、株価は4,300~5,100円の範囲で動き、5年後も今と大きく変わらないゾーンに収まる可能性が高いです。“地味だけど崩れにくい銘柄”という横河電機らしい動きが続くイメージです。

そして悪いシナリオでは、世界景気が悪化し、石油・化学・電力など大型プラント向けの設備投資が止まってしまうケースです。こうなると横河電機の受注も鈍化し、業績の伸びが一時的に頭打ちになります。ただし横河電機は他の設備投資関連企業と比べて事業基盤が強く、景気が悪くても会社の体力は十分あるため、暴落するようなリスクは小さめです。悪い場合でも株価は3,600~4,000円あたりまでの下落にとどまる可能性が高く、長期で見れば下値は意外と堅いと考えられます。

総合すると、横河電機は“派手に上がる株ではないが、安心して持っていられる銘柄”と言えます。世界の産業オートメーション市場は長期的に拡大が続いており、その中心にいる横河電機は安定した利益を出し続ける可能性が高いです。そのため、5年後の株価イメージとしては、良い場合は6,000円、中間なら5,000円前後、悪い場合は4,000円割れが一時的にあるかもしれない、といった落ち着いた動きが中心になるでしょう。長期の安定投資や守りのポートフォリオには相性が良い銘柄です。

この記事の最終更新日:2025年11月16日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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