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デンソー(6902)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

デンソーとは

デンソー(DENSO)は、日本を代表する自動車部品メーカーであり、トヨタグループの中核企業として世界的な存在感を持つグローバルメガサプライヤーです。本社は愛知県刈谷市にあり、1949年の設立以来、車の基盤技術を支える重要な部品を開発・製造してきました。現在では世界130以上の国と地域で事業を行っており、従業員数はおよそ17万人超。トヨタだけでなく、フォード、GM、ホンダ、日産、BMW、メルセデス、VWなど、世界中の自動車メーカーに部品を供給しています。

デンソーの事業領域は非常に広く、車の安全・環境・快適性・電動化・自動運転に深く関わっています。まず、同社を象徴するのは「サーマル事業(空調・冷却システム)」です。カーエアコンやラジエーター、コンデンサー、ポンプなど、車の温度管理をする製品で圧倒的なシェアを持っています。例えば、夏に車内が快適な温度を保てるのは、デンソーの高性能な空調技術が貢献していると言っても過言ではありません。

次に、電動化(エレクトリフィケーション)関連の部品では、ハイブリッド車・EVに欠かせないインバータ、DC-DCコンバーター、電動コンプレッサーなどを提供しています。トヨタのハイブリッド車の世界的成功を支えてきたのは、デンソーの電動化技術であり、今後EVシフトが世界で加速していく中で、この領域はデンソーの成長ドライバーとして期待されています。

さらに、パワートレイン領域では、燃料噴射システム(インジェクター)、点火コイル、スターター、排気制御システムなど、エンジンの性能を引き出すための高度な部品を供給してきました。内燃機関時代の長い歴史の中で磨かれてきた技術力は世界トップレベルで、今でもディーゼルやガソリン車向けに安定した需要があります。

また、電子制御系(モビリティエレクトロニクス)もデンソーの重要な柱で、ECU(電子制御ユニット)、自動運転に関連するカメラ・ミリ波レーダー、エアバッグ用センサー、さらにはコックピットHMI(表示・操作系)や通信機器など、車の脳にあたる分野を広く担当しています。自動運転・ADASの進化とともにセンサー需要は増え続けており、デンソーはこれらの領域を強化しています。

そして見逃せないのが半導体やセンサーなどのデバイス領域です。自動車向け半導体は耐久性・温度耐性・安全性が非常に厳しく、参入障壁が高い分野ですが、デンソーは独自の車載向けIC、パワー半導体、マイクロデバイスを開発しており、車載半導体の内製を進めることで競争優位を確立しようとしています。トヨタと協力し、次世代車載半導体の研究も進めていることから、将来的な成長分野として注目されています。

非車載分野でも事業を展開しており、産業用ロボット、ハンディターミナル、QRコード読み取り機など、FA(工場自動化)・物流・社会インフラ向けのソリューションも提供しています。また、フードチェーン領域では冷凍機や農業向けソリューションも展開しており、自動車以外の収益柱づくりにも積極的です。

総合的に見るとデンソーは、空調・電動化・電子制御・車載半導体・センサーなど、自動車の中枢部分を広くカバーする総合サプライヤーです。今後の自動車産業で重要視される“電動化・自動運転・コネクテッドカー”のすべてに関わっているため、長期的な成長ポテンシャルは非常に高い企業です。一方で、自動車市場の変動に影響を受けやすい特徴もありますが、自動車業界全体の需要や技術進化とともに成長を続けることが期待される、まさに“世界の自動車産業の中心的存在”と言える企業です。

デンソー 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
23.3 6,401,320 426,099 456,870 314,633 104.0 46.3
24.3 7,144,733 380,599 436,237 312,791 105.0 55
25.3 7,161,777 518,953 578,005 419,081 145.0 64
26.3予 7,050,000 640,000 708,000 495,000 180.9 64〜68

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 602,720 -363,676 -400,099
2024 961,826 -459,487 -496,659
2025 758,743 121,899 -677,431

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR(実績)
2023 6.6% 7.1% 4.2%
2024 5.3% 5.6% 3.4%
2025 7.2% 8.4% 5.1% 23.0倍 15.0倍 1.16倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

デンソーの直近3年の指標を見ると、自動車業界の市況変動を受けながらも、しっかりと利益体質を維持し、2025年にかけて確実に業績を回復させてきていることが分かります。まず営業利益率は2023年が6.6%、2024年が5.3%と一時的に落ち込んだものの、2025年には7.2%まで改善しています。自動車部品メーカーとして営業利益率5〜7%という水準は標準的であり、デンソーはその平均〜やや上レベルの収益力を維持していると言えます。車載半導体不足や原材料高騰など、外部要因で利益を圧迫された時期でも黒字を確保し続けている点は、総合サプライヤーとしての強さです。

ROE・ROAも同様に改善しており、ROEは2023年7.1%→2024年5.6%→2025年8.4%へ回復。ROAも4.2%→3.4%→5.1%と上向いています。自動車業界は一般的に設備投資負担が重くROEが低くなりがちですが、その中で8%台まで戻せているのは悪くない数字です。電動化や電子化に向けた新製品投入、コスト改善、固定費圧縮などが効いています。

利益面では2024年に一度落ち込んでいるものの、2025年には営業利益5189億円、経常利益5780億円、純利益4190億円と力強く回復しています。これは電動化部品の採用拡大、自動車生産の正常化、価格転嫁の進展など複数要因が重なった結果で、今後のEVシフトや自動運転領域の伸びを考えると、さらに収益改善の余地があります。

バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均23倍、安値平均15倍、PBRは1.16倍と、自動車部品大手の中では“標準〜やや割安”の評価です。特にPBR1.1倍台は堅実な業績に比べると割安感があり、株式市場が同社の成長余地を過小評価している部分もあります。一方で、急成長するハイテク株などと比べるとPERが大幅に伸びにくい業種でもあるため、評価の急拡大は期待しづらく、安定成長を狙う投資向きと言えます。

総合的に見ると、デンソーは急成長のグロース株ではなく、着実に売上と利益を積み上げる安定成長型の銘柄です。特に電動化(EV・ハイブリッド)、ADASセンサー、自動運転、車載半導体といった今後の成長テーマにどれも深く関わっており、市場全体の追い風にしっかり乗れる強みがあります。営業利益率やROEを大きく改善してきている点も評価されるべきポイントで、2024年の低迷が一時的だったことを裏付けています。

結論として、デンソーは“派手さはないが盤石な中長期投資向けの銘柄”です。PBR1倍台という割安感もあり、電動化の長期トレンドを背景に、安定した収益成長を期待できる企業です。大きく化けるタイプの銘柄ではありませんが、長期で堅実に資産を増やしたい投資家には非常に向いている銘柄と言えます。

配当目的とかどうなの?

デンソーを配当目的で考える場合、結論としては「配当目的の投資として十分に選択肢に入る銘柄」です。予想配当利回りは26.3期・27.3期ともに3.00%と、東証プライムの平均配当利回り(約2%前後)を上回っています。自動車部品メーカーの中でも、比較的高い利回りを維持しており、安定配当銘柄として評価できます。

デンソーはトヨタグループの中核企業であり、長期的な成長性と財務の健全性が非常に高い企業です。そのため、極端に業績が落ち込んだ年でも大幅な減配をしない傾向があり、実際に過去を見ても安定した配当政策が続いています。自動車業界は景気変動の影響を受けやすい業種ですが、デンソーは製品ラインナップが広く、電動化や自動運転など今後の成長テーマにも深く関わっているため、急激な業績悪化や無配のリスクは比較的低い企業です。

また、営業利益率やROEも着実に改善しており、電動化向けのインバータやセンサー、自動運転関連の電子部品、さらに車載半導体など、今後需要が伸びる分野での強みも見逃せません。こうした背景から、今後も利益を安定して生み出せる見通しがあり、配当原資となるキャッシュフローも十分に確保できる体質です。

利回り3%前後というのは、配当目的の投資家にとって魅力的なラインであり、銀行預金や債券と比べても十分に上回る利回りです。さらにデンソーは株価自体の値動きも極端に荒くなく、長期でじっくり保有するには適した企業です。「安定的に配当を受け取りながら、中長期の成長も期待したい」というタイプの投資家には非常に相性が良い銘柄と言えます。

総合すると、デンソーは“高配当+安定成長”のバランスが非常に良い企業で、長期保有の配当目的として十分に魅力があります。自動車産業の電動化が進む未来の中でも継続的な成長が期待されるため、利回りだけではなく企業としての信用性も高く、配当狙いのポートフォリオに組み入れやすい銘柄です。

今後の値動き予想!!(5年間)

デンソーの現在株価は2,130.5円ですが、今後5年間の株価は、自動車市場の回復ペースや世界的な電動化の進展度合いに大きく左右される展開になりそうです。まずデンソーの特徴として、急に化けるタイプのグロース株ではありませんが、世界中の大手自動車メーカーに部品を供給する巨大サプライヤーで、業績の安定性は非常に高いという点があります。営業利益率やROEもここ数年で改善しており、電動化、ハイブリッド、自動運転関連の部品需要が確実に増えていることから、長期的にはゆるやかな成長基調が続くと見るのが自然です。

良いシナリオでは、EVやハイブリッド車の普及がさらに進み、デンソーの電動化部品やセンサー類の需要が一段と伸びるケースです。自動車メーカー側も半導体不足から完全に立ち直り、生産台数が安定して増えてくれば、デンソーの収益は大きく伸びやすくなります。営業利益率が8%台まで改善し、PERも20倍台で評価されるような環境になれば、株価は現在から1.5〜2倍まで伸びる可能性があります。この場合、5年後の株価は3,200〜4,500円あたりまで視野に入ります。

中間のシナリオでは、電動化の流れは進むものの急加速はせず、自動車市場全体も緩やかに成長していくパターンです。この場合、デンソーは業績面で堅実な伸びを維持しつつも、株価評価は大きく跳ねるわけではありません。PERも15〜18倍あたりに落ち着き、株価は現在より少し上がる程度になるイメージです。具体的には、5年後で2,400〜3,000円あたりが現実的なレンジで、「劇的ではないが安定した株価推移」になる展開です。

悪い場合は、世界の自動車販売が景気後退などで伸び悩み、EVシフトも鈍化してしまうケースです。景気敏感株としての側面があるデンソーは、自動車生産が停滞するとどうしても利益が圧迫されます。営業利益率が5%を割り込むような状況になると、市場の評価も厳しくなり、PERも10〜13倍程度まで圧縮される可能性があります。この場合は株価も現在より下がり、1,600〜1,900円あたりで推移するような形になります。自動車市場が弱い年はどうしても売られやすいので、下振れリスクはこの程度を見ておく必要があります。

総合的に見ると、デンソーは大きく跳ねる銘柄ではない一方で「大きく崩れにくい安定銘柄」という立ち位置にあります。電動化や自動運転という長期トレンドの中心にいる企業なので、構造的な成長ドライバーはしっかりしており、長期保有者にとっては安心感のある銘柄です。5年間の株価は、悪くても1,600円台、順調なら4,500円台まであり得るという、比較的広めのレンジで動く可能性がありますが、基本的には“ゆっくり右肩上がり”を期待しやすいタイプの企業だと言えます。

この記事の最終更新日:2025年11月16日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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