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ファナック(6954)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ファナックとは

ファナック株式会社は、世界でもトップクラスの実力を持つファクトリーオートメーション(FA)企業で、日本の製造業を語る上で欠かせない存在です。本社は山梨県忍野村という自然豊かな地域に構え、富士山麓に広がる広大なファナック村から世界中へ製造・サービスを展開しています。“自然の中に最先端技術がある”という独特の企業文化を持ち、他のメーカーとは一線を画す独自路線で成長してきた企業です。

ファナックの主力は、大きく分けて「FA事業」「ロボット事業」「ロボマシン事業」の3つです。まずFA事業では、CNC(コンピュータ数値制御)装置やサーボシステムを中心に、工作機械の心臓部となる制御技術を供給しています。製造ラインの自動化・精密制御の基盤を作る技術で、国内外の多くの工場で導入されており、まさに“工場を動かす黒子”のような役割を担っています。

続くロボット事業は、ファナックを世界的企業へ押し上げた中核事業です。黄色いボディの産業用ロボットはあまりにも有名で、自動車・電子部品・食品・物流などあらゆる産業の現場で稼働しています。組立、搬送、溶接、塗装など、用途は非常に広く、世界中の工場でファナックのロボットが人の代わりに働き、効率化と省人化を支えています。近年では協働ロボットの需要も高まっており、ファナックの技術は製造業の不可欠なインフラとなりつつあります。

ロボマシン事業では、ロボドリルやロボショット、ロボカットといった高精度の工作機械を手がけ、スマホ部品や精密機器の製造に欠かせない技術を提供しています。特にロボドリルは小型ながら高速で高精度加工が可能で、国内外の企業から高い支持を得ています。少量多品種生産が求められる現代の製造業において、これらの精密マシンは重要性が増しています。

ファナックの特徴は、営業利益率が極めて高いことと、保守サービスを含めた収益体制が強いことです。設備産業は景気の影響を受けやすい一方で、ロボットやCNC装置にはメンテナンス需要が常に一定あり、ファナックはサービス体制を世界各地に張り巡らせることで強固な収益基盤を作っています。工場の近くに24時間対応のサービスセンターを設置する“異常なほどの顧客主義”はファナックの代名詞で、これが世界トップシェアへとつながっています。

また、ファナックは「保守的で堅実な経営」を行う企業としても知られています。無借金経営を続け、巨額の現金を蓄えるスタイルで、景気の悪化があっても設備投資が復活するまで耐えられる強い財務体質が特徴です。これによりロボット市場の波が大きい年でも安定感があり、長期的な成長性を維持しています。

総合すると、ファナックは日本が世界に誇るロボット・FAメーカーであり、製造業全体の自動化を支える“縁の下の力持ち”のような企業です。製品単体の技術だけでなく、保守サービスやグローバル体制の強さが群を抜いており、世界の工場が止まらないよう支え続けている存在だと言えます。

ファナック 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3* 851,956 191,359 231,327 170,587 178.6 107
連24.3 795,274 141,919 181,755 133,159 140.2 84.14
連25.3 797,129 158,846 196,738 147,557 157.3 94.39
連26.3予 810,000 162,000 198,800 144,800 155.2 93.12

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 99,505 -77,998 -127,924
2024 171,764 -13,563 -122,514
2025 255,273 -134,084 -136,618

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 22.4% 10.5% 9.1%
2024 17.8% 7.8% 6.9%
2025 19.9% 8.5% 7.6% 高値 32.3倍/安値 23.3倍 2.71倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ファナックの直近3年間の数字を眺めると、この会社がなぜ長年「日本を代表する優良企業」と言われ続けてきたのかがよく分かります。景気に左右されやすい産業用ロボットやFA(工場自動化)という分野にいながら、売上や利益が落ち込んでも“強固な利益率と財務体質”でしっかり踏みとどまる、まさに高収益メーカーの代表格です。

まず営業利益を見ると、1,913億 → 1,419億 → 1,588億円 と一度下げた後に再び回復している形で、営業利益率も 22.4% → 17.8% → 19.9% をキープしています。一般の製造業で営業利益率が10%を超えれば優秀と言われる中、ファナックは20%前後を当たり前に出しているので、収益力の次元が違います。景気が悪い時期でも黒字を維持できるのは、こうした高利益率のビジネスモデルのおかげです。

ROEも 10.5% → 7.8% → 8.5% と優良企業ラインである8%前後を維持しており、ROAも 9.1% → 6.9% → 7.6% と高水準です。資産を使って効率良く利益を出す企業で、無借金経営と巨額の現金保有という安定感も含め、財務の強さは国内製造業でもトップクラスです。

一方で株価の評価を見ると、2025年実績PERが 高値32.3倍/安値23.3倍 と、製造業としてはかなり高いプレミアム評価になっています。PBRも 2.71倍 と割高圏にあり、市場から“高品質企業としてのブランド評価”を受けている一方で、投資する側はタイミングをしっかり考える必要があります。良い企業すぎていつも高い、そんな典型的な優良株です。

総合的に見ると、ファナックは短期で爆発的に伸びるタイプではありませんが、長期的な視点で見れば“世界の製造業を支える自動化の中心企業”です。産業用ロボットの需要は今後も必ず伸びていく分野であり、長い目で見れば成長市場の中でしっかりと存在感を維持していく企業だと言えます。

ただし注意点としては、どうしても景気サイクルの影響を受けやすい銘柄であること。世界的な設備投資が弱い時期は業績が落ちやすく、そのタイミングで株価も調整します。逆に景気が回復すれば、利益率の高さから素早く収益を戻せる強みがあります。

結論として、ファナックは「持つ価値のある優良企業」であるのは間違いありませんが、「安くなった時に拾う」というスタンスが最も合っています。常に高評価されやすいので高値で飛びつくとリターンが伸びにくく、押し目をじっくり待つ戦略が向いている銘柄です。長期でじっくり持ちたい投資家にとっては、安定感と将来性を兼ね備えた良い選択肢だと言えます。

配当目的とかどうなの?

ファナックを配当目的という視点で見ていくと、この会社は利回りだけで判断するタイプの銘柄ではなく、「とにかく安心して長く持てる」というところに価値がある企業だと感じます。予想配当利回りはおよそ 1.96%。数字だけを見ると“高配当株”とは言えません。ただ、それでも投資家に根強い人気があるのは、ファナックが持っている“企業としての強さ”が桁違いだからです。

この会社は無借金経営でキャッシュも豊富、利益率も製造業の中では群を抜いて高い。景気が悪くなれば確かに業績は落ち込みますが、それでも黒字をしっかり維持しながら乗り切る力を持っています。これが配当の安定感につながっており、「減配しにくい」という信頼を生み出しています。

ファナックの配当は、いわゆる“とにかく利回り重視”の銘柄とは違って、長い時間軸で見た時に価値が出てくるタイプです。例えば、景気が悪くなれば自動化・設備投資関連はどうしても落ち込みますが、世界全体では工場の自動化や省人化の流れは確実に進んでいきます。ファナックはその流れの中心にいる企業なので、長期的にはしっかりと成長余地を残しています。

だからこそ、配当も急に落ちたり、極端に波打ったりしない。会社側にも余裕があるので、無理のない還元を続けながら企業価値をじわじわと高めていく姿勢が見えます。

とはいえ、やっぱり利回りは低めなので、「毎年たくさんのインカムがほしい」というタイプの投資家だと物足りないかもしれません。ただ逆に、「配当も欲しいけど、企業の安定性も重視したい」という投資家にとっては、ものすごく相性の良い銘柄です。

ファナックは財務が強すぎるほど強く、さらに世界的に自動化需要が伸びていくという追い風もあり、長期保有での安心感は随一。無茶な経営もしないため、長く付き合うほど価値が出る“良い企業”の典型と言えます。

まとめると、ファナックは配当利回り自体は高くないけれど、「安定した優良企業を長期で保有して、ついでにコツコツ配当も受け取る」というスタイルにぴったりの銘柄です。

今後の値動き予想!!(5年間)

ファナックの株価を今後5年間というスパンで考える時、やはり鍵になるのは世界の設備投資と自動化需要がどれだけ動くかという点になります。今の株価は5,153円ですが、そこからの流れは景気の強さによって大きく3つの未来に分かれていきます。

まず良い場合ですが、世界的に設備投資が回復し、中国やアメリカの製造業に再び勢いが戻ってくると、ファナックにはかなり強い追い風になります。工場の自動化投資が一気に進めば、ロボットやCNC装置の需要も自然と増えていきます。ファナックはもともと利益率が高く、業績が回復し始めると市場がすぐに反応する銘柄なので、こうした環境が続くと株価は7,000円から8,000円台を目指す展開も十分あります。業績改善がハッキリ見えれば割と素直に買われるのがファナックの特徴です。

次に中間の場合ですが、これは最も現実的なシナリオです。世界景気は強くも弱くもなく、設備投資もそこまで大きく伸びないものの、確実に自動化の流れは進んでいくという状態です。この環境なら、ファナックの数字もゆっくりと改善し、株価は5,500円から6,500円あたりで落ち着いた推移になりやすいです。急激に上がるわけではありませんが、財務が強くて利益率も高いため、大きく崩れる心配も少ないというファナックらしい動きになります。

そして悪い場合ですが、もし中国景気が弱いままで長引き、アメリカや欧州でも製造業の投資が低迷するような状況になると、ファナックの売上も利益も重くなります。ロボットや自動化機器は投資が後回しになりやすい分野なので、影響を受けやすい部分ではあります。ただそれでも、ファナックは無借金経営で財務が極めて強いため、株価が崩れる時も4,000円から4,500円あたりで踏みとどまる可能性が高く、低迷しても最終的には戻りやすい企業です。

総合すると、ファナックは景気によって上下する動きはあるものの、企業基盤が非常に強いため、長期では安定感のある銘柄です。良い時はしっかり上がり、悪い時は下がっても戻る、中間ならじわじわと安定推移という、非常にファナックらしい未来が予想されます。押し目で買って長く持つタイプの戦略と相性が良い銘柄だと言えます。

この記事の最終更新日:2025年11月16日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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