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ニコン(7731)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ニコンとは

ニコンは、光学機器・精密機器の分野で世界的に知られる日本の大手メーカーで、カメラやレンズ、半導体露光装置、FPD露光装置、顕微鏡、産業用計測装置など、光学技術を中心とした幅広い製品を展開している企業です。1917年に三菱系企業の合併により創業し、長い歴史を持つ光学メーカーとして世界的な評価を確立しています。本社は東京都港区にあり、現在も光学技術と精密技術を核にした事業展開を続けています。

ニコンの代表的な事業としてまず挙げられるのが「イメージング事業」です。デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラ、交換レンズなどを製造・販売しており、プロカメラマンから一般ユーザーまで幅広い層に支持されています。特にフルサイズのミラーレスカメラ「Zシリーズ」は世界的な評価が高く、映像制作分野や写真愛好家から高い人気を得ています。

もうひとつの大きな柱が「精機事業」です。半導体製造に必要な半導体露光装置や、液晶・有機ELなどのディスプレイ用パネルを製造するためのFPD露光装置を提供しており、世界でも数少ない露光装置メーカーの一社として存在感を放っています。この分野は高い技術力が求められるため参入障壁が高く、ニコンの技術が国際的にも高く評価されています。

「ヘルスケア事業」も重要な領域で、バイオ・医療分野に向けた顕微鏡や計測装置、細胞関連ソリューションなどを展開しています。研究機関や医療現場で用いられる製品が多く、基礎研究から臨床研究に至るまで幅広く貢献しています。

また、「産業機器事業」では、工業用の測定装置や産業向けカメラ、ロボット向けの視覚システムなどを展開し、製造業やFA(ファクトリーオートメーション)の高精度化・自動化に寄与しています。近年は自動運転・ロボティクスなど新分野への応用も進んでおり、光学技術を用いたソリューション事業の強化が進められています。

ニコンは近年、カメラ市場の縮小という業界構造の変化に対応し、成長分野である半導体・FPD領域や医療・産業機器領域へのシフトを加速しています。高精度な光学技術、ナノレベルの計測技術、精密制御技術などのコア技術を生かし、BtoB事業の比重を高める方向へ戦略を転換しつつあります。

総合すると、ニコンは「光学」と「精密」の技術を核に、多角的な事業展開を行うグローバル企業です。カメラ・映像分野での強いブランド力に加え、半導体製造装置や医療・産業機器といった高付加価値領域を育成することで、安定した成長を目指している企業です。

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直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
23.3 628,105 54,908 57,058 44,944 125.5 45
24.3 717,245 39,776 42,669 32,570 94.0 50
25.3 715,285 2,422 4,533 6,123 17.9 50
26.3予 700,000 21,000 25,000 27,000 82.0 50

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 15 -112,146 -56,210
2024 30,767 -41,405 -8,938
2025 48,258 -69,988 -19,808

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 8.7% 7.3% 4.2%
2024 5.5% 4.7% 2.8%
2025 0.3% 0.9% 0.5% 17.4倍(高値平均)/11.4倍(安値平均) 0.90倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ニコンの直近3年間の数字を見ると、まず最も目立つのは「2025年の利益急減」です。
営業利益は 549億 → 398億 → 24億円 と一気に落ち込み、営業利益率も 8.7% → 5.5% → 0.3% にまで低下しています。名目上ほとんど利益が出ていない状態で、事業として非常に厳しい決算だったことが分かります。

経常利益や純利益も同じ流れで、純利益は449億 → 326億 → 61億円 まで低下しています。ニコンは長年の主力だったカメラ事業が市場縮小の影響を受け続けているうえ、半導体露光装置やFPD露光装置といった精機事業も景気変動の影響が大きく、どうしても業績に波が出やすいビジネス構造になっています。特に2025年は精機部門の受注減、カメラの販売調整など複数要因が重なり、「悪材料が一度に噴き出た年」という印象です。

収益性の指標を見ても、ROEは 7.3% → 4.7% → 0.9% と急落し、ROAも 4.2% → 2.8% → 0.5% まで低下しました。これは資本効率が急激に悪化したことを示しており、企業の収益力が大きく落ち込んでいることが数字に現れています。

その一方で、株価指標を見ると2025年の実績PERは高値17.4倍・安値11.4倍、PBRは 0.90倍 と割安感が強い水準となっています。PBRが1倍を切っているということは、市場がかなり慎重に見ており、業績悪化をすでに大きく織り込んでいる証拠です。

ただし、2026年予想では営業利益 210億円、純利益 270億円 と一定の回復が見込まれており、2025年が“底”だった可能性も示されています。精機事業の回復、カメラのプロ向け高付加価値モデルの強化、産業機器やヘルスケア分野の強化など、会社としての打ち手も複数あります。そのため、ニコンが長期的に衰退していると断言できる状況ではありません。

総合的に見ると、ニコンは 「短期的には不安定だが、中期的には回復の余地がある銘柄」 です。2025年の業績急落は非常に厳しいものの、PBR0.9倍という水準は市場がすでに悪材料を大きく織り込んでいると考えられ、ここから大きく評価を下げるリスクは相対的に限定的です。一方で、カメラ市場の構造的縮小や精機事業の競争環境など、中長期でのリスクは引き続き注視が必要です。

結論としては、ニコンは 「割安に見えるが、業績回復の確度を慎重に見極めたい銘柄」 です。短期の値動きは荒くなりやすい一方で、復活局面に入れば上昇余地もあるため、タイミングを重視した中期投資向きと言えます。

配当目的とかどうなの?

ニコンの配当利回り(2026・2027年度)は今後の予想で 2.77% とされていますが、この水準は「配当でしっかり稼ぐ」というほど高いわけではないものの、日本企業の平均利回りよりは高く、そこそこ魅力のあるラインに入ります。高配当株ではないものの、“ちゃんと出す会社”という印象が強いです。

ただしニコンの場合、業績が年によって大きく波打つ特徴があります。2025年のように利益が急落する年もあるため、配当だけを頼りにするには少し不安も残ります。それでも、これだけ利益が落ち込んだ年でも配当を50円で維持していることを考えると、株主還元の姿勢はかなり強く、会社として「配当を簡単に切らない」方針があることが分かります。

配当性向そのものが極端に高いわけではなく、業績の浮き沈みに合わせて無理のない範囲で配当を出している点は評価できます。カメラ事業や精機事業など景気に影響されやすい分野を抱えている企業にしては、配当の安定感はむしろ高い方です。

一方で、利回り2.7%というのは、“配当で生活を支えるタイプ”の投資スタイルを目指す人には物足りないかもしれません。JTや通信株のように4~6%を出してくれる銘柄と比べると、インカムゲイン目的としては中くらいの位置に収まります。とはいえ、ニコンはPBRが1倍を切っており、株価自体が割安圏にあるため、「そこそこ配当をもらいながら、株価の回復も狙う」という投資スタイルには向いています。

全体を通して見ると、ニコンは “配当が低すぎず、高すぎず、ちょうど真ん中くらいの中配当株” という位置です。安定して配当を出してくれる点は評価できますが、「高配当銘柄として積極的に狙う価値がある」ほどではありません。一方で、事業の回復が進むなら株価上昇によるリターンも見込めるため、配当と成長性の両方をバランスよく狙いたい投資家にはちょうどいい選択肢とも言えます。

要するに、ニコンは “配当でガッツリ稼ぐ銘柄ではないが、そこそこ安定した利回りを確保しつつ、中期の回復を狙える会社” という位置づけです。配当が全ての人には向きませんが、「中配当+割安+回復余地」というポイントに魅力を感じる人にとっては悪くない銘柄です。

今後の値動き予想!!(5年間)

ニコンの株価を今の1,800円から5年間というスパンで考えると、やはりポイントになるのは「精機事業がどれだけ回復するか」と「カメラ事業がどこまで踏ん張れるか」という2点です。2025年にかけて大きく利益が落ち込んだ影響で、現在の株価はかなり慎重に見られており、PBRも1倍を下回る“割安圏”に沈んでいます。ここからの株価の方向性は、回復できるかどうかでまったく変わってきます。

まず良い場合ですが、精機事業の受注が戻り、半導体関連や液晶・有機EL向けの装置需要が立ち直るパターンです。これに加えて、カメラではプロ向けや高付加価値のミラーレス機種が順調に売れ、医療・産業分野など新しい領域がじわじわ伸びてくると、全体の利益が再び成長軌道に戻る可能性があります。この流れになると市場の見方も変わり、株価は2,400〜2,900円くらいまで回復しても不思議ではありません。

次に中間の場合ですが、これは業績が少しずつ持ち直すものの、完全に回復するほどの勢いは出ないケースです。精機事業は良い年と悪い年が混ざり、カメラ事業は横ばいか微増くらいで、大きな成長はないものの底堅さはある──そんなイメージです。この場合は株価も大きく動きづらく、1,900〜2,200円くらいでじわじわ推移していくでしょう。大きな上昇はないものの、大崩れもしない“無難なレンジ”です。

そして悪い場合ですが、もし世界景気が弱くなったり、半導体投資が停滞したり、カメラも市場縮小が加速したりすると、精機もカメラも両方苦しい状態になります。こうなると利益が低水準のまま長引き、株価は1,300〜1,600円くらいまで押し下げられる可能性があります。ただし、すでにPBR0.9倍という資産価値に近い水準まで落ちているため、ここからさらに大きく暴落し続けるような展開は想定しづらい点も押さえておきたいところです。

総じて、今のニコンは「悪材料を織り込んで割安に放置されている状態」と言えます。もし精機やカメラが持ち直せばしっかり反発する余地はあり、逆に回復が遅れれば株価はしばらく停滞するそんな二面性を持つ銘柄です。中長期で回復に賭けるなら魅力がありますし、安全志向なら慎重に業績を見極める必要がある銘柄です。

この記事の最終更新日:2025年11月18日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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