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オリンパス(7733)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

オリンパスとは

オリンパスは、日本を代表する医療機器メーカーで、特に「内視鏡」の分野で世界トップクラスのシェアを誇るグローバル企業です。創業は1919年で、現在の本社所在地は 東京都八王子市石川町 にあります。かつて光学機器・カメラメーカーとしての知名度が高い企業でしたが、経営資源を医療分野に集中させたことで、今では完全に“医療機器のオリンパス”というポジションを確立しています。

事業の中心は、何と言っても 内視鏡(エンドスコピー)事業 です。胃や大腸の検査で使われる消化器内視鏡をはじめ、気管支、泌尿器、耳鼻科、手術用スコープなど、世界中の病院で使われている医療機器を製造しています。特に消化器内視鏡では 世界シェア約70%前後 と言われており、技術力・画質・操作性・耐久性などあらゆる面でトップクラスです。

また、診断だけでなく治療に使われる治療具(処置具)でも幅広いラインアップを持ち、低侵襲手術(体の負担が少ない手術)の推進にも貢献しています。近年はAIを使った早期がん検知支援や、病変の見落としを防ぐ画像処理技術の開発にも力を入れており、医療の高度化に直結する製品展開が進んでいます。

医療以外には 科学事業(ライフサイエンス顕微鏡・産業用顕微鏡) を展開しています。研究機関、大学、製薬会社、素材メーカーなどで利用され、細胞観察から材料分析、工業検査まで幅広い用途で使われています。医療ほどの規模ではないものの、安定した需要がある事業です。

かつてはPENやOM-Dなどのデジタルカメラが人気を集めていましたが、すでに映像事業は分社化・売却しており、現在のオリンパスは医療分野へ完全にシフトしています。この事業構造の転換によって、利益率と安定性が大きく向上し、企業としての柱がより強固になりました。

総じて、オリンパスは 内視鏡技術を中心に世界中の医療現場で欠かせない医療機器メーカー です。高齢化や医療需要の増加を背景に、今後も長期的に安定した需要が期待できる企業で、医療分野のグローバルリーダーとしての地位を固めています。

オリンパス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当
2023/3期 881,923 186,609 182,294 143,432 113.2 16
2024/3期 936,210 43,598 35,854 242,566 199.9 18
2025/3期 997,332 162,462 159,070 117,855 103.0 20
2026/3期(予想) 998,000 136,000 131,000 94,000 85.9 30

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023/3期 98,490 -58,414 -143,178
2024/3期 42,365 359,992 -276,010
2025/3期 190,463 -65,469 -211,542

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
2023/3期 21.1% 22.4% 9.5%
2024/3期 4.6% 32.0% 15.8%
2025/3期 16.2% 15.6% 8.2% 28.0倍 19.0倍 3.11倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

オリンパスの直近3年間の数字を見ると、まず特徴的なのは「業績の振れ幅が大きい」という点です。2023年は営業利益1866億円、営業利益率21.1%と非常に高い収益性を示しましたが、2024年は営業利益436億円、営業利益率4.6%と大きく落ち込んでいます。ただ、2025年には営業利益1624億円まで回復し、利益率も16.2%まで戻っているため、2024年は一時的な要因による減益だった可能性が高いと言えます。

純利益の動きも特徴的で、2024年だけ24,256億円という異常値のような跳ね方をしており、これは明らかに特別利益などの一過性要因によるものと考えられます。2025年はほぼ通常水準の1178億円に戻っているため、本業ベースでは2023年 → 2025年の水準が参考になります。

効率性を見ると、ROEは 22.4% → 32.0% → 15.6% と非常に高い伸びと調整が入り混じった推移です。2024年のROE32%は特別利益の影響が強いと推測され、2025年の15.6%が“本来の稼ぐ力の実力”に近いと考えられます。それでも15%超えというのは極めて高い水準で、資本効率が非常に良い企業であることが分かります。ROAも 9.5% → 15.8% → 8.2% と十分高く、企業全体の収益性は高めです。

一方で株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値28倍、安値19倍 とやや高めの水準です。PBRも 3.11倍 とかなり高く、市場はオリンパスに“安定成長+医療機器の強いブランド力”を織り込んでいる状態と判断できます。医療関係の大型銘柄でPBR3倍超えは割安とは言い難く、高水準の評価が続いている銘柄と言えます。

つまり、オリンパスは 本業の収益力が高く、資本効率もよいが、株価指標は割高寄り というのが結論です。特に内視鏡という圧倒的トップシェアの独占的事業を持つ企業なので、利益率が戻れば株価がさらに評価される余地はありますが、すでに市場はそれなりに期待を織り込んでいることが数字に表れています。

配当目的とかどうなの?

オリンパスの予想配当利回り(2026・2027年度)は1.45%前後で、これは正直なところ配当目的の投資としてはあまり魅力的な水準ではありません。日本株の平均利回り(2%程度)より低く、高配当株の部類にも入らないため、「配当でしっかり利益を取りたい」というタイプの投資には向きにくい銘柄だと言えます。

ただ、オリンパスの場合は業種特性やビジネスモデルを考えると、この低い利回りが企業の弱さを示しているわけではありません。むしろ内視鏡という世界シェアトップの事業を抱え、安定収益を生む力がある会社なので、配当に回す比率を抑えて、その分を研究開発や成長投資にしっかり回しているという企業戦略が背景にあります。医療機器メーカーは技術競争が非常に激しいため、事業の強さを維持するにはR&Dを継続しないといけません。そのため配当が低めでも不自然ではなく、むしろ“成長寄りの企業として標準的”な形です。

配当そのものは毎年しっかり出しており、減配リスクが極端に高い会社でもありません。業績に波こそあるものの、医療需要の底堅さがあるため、急激に配当が途絶えるタイプの企業でもありません。長期で見れば多少の増配は期待できますが、爆発的に増えていくような銘柄でもなく、あくまで控えめな水準で安定して出すタイプです。

総合すると、オリンパスは「配当を稼ぐための銘柄」というよりは、「安定した医療企業を長期で持ちながら、ついでに配当ももらえる」という性格に近いです。利回りを目的とするなら他にもっと良い銘柄がある一方で、事業の安定性やブランド力を評価して長期保有したいなら、低いながらも安心感のある配当がついてくる。そんな立ち位置です。

今後の値動き予想!!(5年間)

オリンパスの株価を今の2,065円から5年先まで考えると、やはり中心になるのは「内視鏡という圧倒的なトップシェア事業がどれだけ伸びるか」という点です。医療機器は景気変動に左右されにくい安定したビジネスですが、その一方で、技術投資のタイミングや病院の設備投資サイクルによって成長スピードに差が出やすい側面があります。今のオリンパスは利益率が回復しつつある段階なので、この回復がどこまで続くかが株価の大きな分岐点になります。

まず「良い場合」ですが、世界的に内視鏡の需要が伸び、治療具やAIを使った診断支援分野も成長していくと、オリンパスの収益はさらに安定度を増します。特にアメリカや欧州での医療需要は底堅く、高齢化の進行で検査件数は増え続けていくため、この流れが続けば市場の評価も上向きになります。このパターンでは株価が2,600〜3,100円あたりまでじわじわ買われる可能性があります。

次に「中間の場合」ですが、これは最も現実に近いシナリオで、内視鏡事業は安定して売れるものの、成長スピードはやや落ち着いてくるパターンです。医療機器メーカーとしての強みは揺るぎませんが、大きな飛躍よりも堅実な推移という展開で、株価は2,100〜2,400円ぐらいのレンジで動きやすくなります。大きな上下は少なく、今の水準を中心にゆるやかな値動きが続くイメージです。

最後の「悪い場合」は、世界景気の減速や医療機関の設備投資が一時的に鈍化し、内視鏡や治療具の売上が伸び悩むケースです。オリンパスは利益率が高い会社なので、利益が落ち込むと市場の評価が少し下がり、株価も弱含みになります。このシナリオでは1,600〜1,850円ぐらいまで調整する可能性があります。ただ、オリンパスは内視鏡という強固な独占事業を持つため、そこから大崩れして長期低迷に入るようなリスクは比較的低いと考えられます。

結局のところ、医療機器という「安定性の高い分野」に属する企業だけあって、オリンパスの株価は大きく跳ねるというより、業績に応じて穏やかに上か下かに動くタイプです。内視鏡という強力な収益源を持つため、長期的には安定した成長を期待しやすく、5年間というスパンで見ると「中間シナリオ寄りの堅実な推移」が一番イメージしやすい流れです。

この記事の最終更新日:2025年11月18日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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