株価
アクシーズとは

アクシーズは、九州を中心に鶏肉の生産・加工・販売を行っている食品メーカーで、自社グループ内で鶏の飼育から食鳥処理、加工、カット、製品化、販売まで行う「完全一貫生産体制」を強みにしている企業である。この一貫体制により、一般的な鶏肉メーカーよりも品質管理の徹底やトレーサビリティの確保がしやすく、消費者や取引先に対して高い安全性と安定供給能力を提供できる点が評価されている。特にサルモネラ対策や衛生管理に注力しており、安心・安全な鶏肉を提供することでブランド価値を築いてきた会社である。
主力のブロイラー事業では、自社農場で育てた鶏を自社工場で処理し、フレッシュな生肉やカット商品、さらに唐揚げなどの惣菜・加工食品へと展開している。これらの製品はスーパーやドラッグストア、飲食店、外食チェーンなど幅広い販路に供給されている。また、家庭向けだけでなく業務用の需要も高く、特に外食業界の需要回復局面では恩恵を受けやすい構造になっている。冷凍食品や簡便調理品のラインアップも拡大しており、生活スタイルの変化に合わせた商品展開も進めている。
原料価格の変動や飼料コストの高騰が利益に大きな影響を与える業界であるため、収益が安定しにくい面もあるが、アクシーズは生産効率の改善や加工比率の向上によって利益体質の強化を図っている。また、国産鶏肉の需要は輸入品よりも安定していることから、国内市場での優位性も一定程度確保している。近年は海外輸出にも力を入れており、特に加工食品や高品質な鶏肉製品はアジア地域での需要が伸びている。
同社は環境配慮型の事業運営にも取り組んでおり、排水処理やエネルギー効率改善などサステナビリティに関連する設備投資も継続している。食の安全性への社会的関心が高まる中、アクシーズは「安心できる国産鶏肉メーカー」としての立ち位置を強化しつつ、加工食品や業務用食材など多角的な製品展開によって事業拡大を進めている。
アクシーズ 公式サイトはこちら直近(2025年)の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | EPS(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.6 | 21,160 | 3,372 | 3,508 | 2,412 | 429.5 | 90 |
| 連22.6 | 21,725 | 2,453 | 2,669 | 1,943 | 346.1 | 95 |
| 連23.6 | 24,101 | 1,911 | 1,977 | 1,410 | 251.2 | 96.5 |
| 連24.6 | 25,836 | 1,570 | 1,780 | 1,239 | 220.7 | 98.5 |
| 連25.6 | 26,426 | 2,121 | 2,171 | 1,720 | 306.4 | 112.5 |
| 連26.6予 | 26,500 | 2,000 | 2,050 | 1,400 | 249.3 | 112.5〜113 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 2,635 | -2,180 | -572 |
| 2024 | 3,729 | -2,182 | -584 |
| 2025 | 2,915 | -1,719 | -578 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均〜安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 7.9% | 7.1% | 6.2% | – | – |
| 2024 | 6.0% | 5.9% | 5.0% | – | – |
| 2025 | 8.0% | 7.9% | 6.8% | 13.0倍〜10.8倍 | 1.05倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
アクシーズの直近の業績推移を見ると、売上自体は24.6期から26.6期予想まで堅調に伸びており、年間2〜3%程度の安定したトップラインの成長が続いている。ただし、利益面を見ると明らかに波があり、安定性という点では課題が見えてくる。
まず営業利益は、23.6期の19.1億円から24.6期で15.7億円に落ち込み、その後25.6期では21.2億円まで戻っている。利益率は 7.9% → 6.0% → 8.0% と上下が大きく、飼料価格・光熱費・物流費など外部要因に影響されやすい構造がそのまま数字に表れている。26.6期予想では営業利益20億円とやや減少見込みで、利益の伸びが継続的ではない点はやはり弱点となる。
経常利益・純利益の動きを見ても同じ傾向で、23.6期の純利益14.1億円から24.6期で12.3億円へ減少し、その後25.6期で17.2億円まで回復している。EPSは 251円 → 220円 → 306円 とこちらも上下が激しい。26.6期は純利益14億円予想でEPSも249円と下がる見通しで、成長が右肩上がりに積み上がっていくタイプの企業ではない。
ROE・ROAの推移を見ても、利益の増減に合わせて数字が振れるため、財務効率としては並程度。利益が出る年は数字が改善するが、弱い年は一気に落ちるため、安定した成長企業という評価は難しい。また、PERは13.0〜10.8倍、PBRは1.05倍と、指標面では割高感は強くない一方、利益の安定度が低いため高くも評価されにくい「中間層のバリュエーション」に留まっている。
総合的に見ると、アクシーズは売上は安定して伸びているが利益が外部環境に左右されやすく、収益性も年によって変動するため、強い成長性のある企業とは言い難い。とはいえ利益が大きく落ち込むほどの脆弱性はなく、食品メーカーとしての基盤は比較的堅固で、国産鶏肉の需要を背景に中期的な安定性は確保している。株としては「大きく伸びる成長株ではないが、大きく崩れもしない中堅食品株」という位置付けに近い。
投資判断としては、短期的な値上がり益を狙うような銘柄ではなく、中期で安定した食品関連株を保有したい投資家に向いている。ただし利益の上下があるため、過度な期待を持つより、安定配当と中程度の成長を評価して静かに保有するスタンスが適していると言える。
配当目的とかどうなの?
アクシーズを配当目的で考える場合、この銘柄は「中堅食品株としては悪くないが、強い魅力があるわけでもない」という中間的な位置づけになる。予想配当利回りは26.6期・27.6期ともに 2.75% と、東証プライム平均(約2%前後)よりは少し高いが、高配当株と呼べるほどではない水準である。
配当の安定性という点では、同社は長年にわたり配当を着実に増やしてきており、23.6期 96.5円 → 24.6期 98.5円 → 25.6期 112.5円 と、緩やかながら増配を続けている。26.6期予想も112.5〜113円と据え置きで、減配リスクが高い会社ではない。食品メーカーとして比較的堅めの収益基盤があり、鶏肉という生活必需品に近い分野を扱っているため、赤字転落しにくい点も配当投資としてはプラス要素になる。
一方で、利益の安定性という点では課題が残る。営業利益は外部環境(飼料価格・エネルギーコスト・物流費など)によって大きく変動しやすく、実際に 23.6期 → 24.6期 → 25.6期 と利益が上下している。利益が伸びても翌年下がることがあり、この不安定さは長期配当投資の観点からは気になる部分になる。
また、25.6期の純利益17.2億円に対して配当112.5円という水準は、配当性向としては決して高すぎるわけではないが、利益が少し落ちただけで配当維持が重くなる可能性も否定できない。今後飼料価格が再び高騰したり、経営環境が悪化した場合には、配当維持の難易度が上がる可能性はある。
総合すると、アクシーズは「そこそこの利回りを得ながら、食品株として比較的安定した保有ができる」という意味では悪くない銘柄だが、「高配当株」として積極的に選ばれるほどの魅力はない。配当利回りは平均以上だが、利益の上下があるため、長期で確実な配当成長を求める投資家には向きにくい。
配当を主目的にする場合は、アクシーズ単体で勝負するよりも、より高利回りで安定性のあるインフラ株や食品大手、ディフェンシブな高配当銘柄と組み合わせてポートフォリオを組む方が現実的である。アクシーズは「ほどほどの利回り」と「ほどほどの安定性」を両立した中間的な銘柄として位置づけるのが妥当だろう。
今後の値動き予想!!(5年間)
アクシーズの現在の株価(4,090.0円)が今後5年間でどのように推移していくかを考えるとき、まず前提になるのは「同社の業績は売上が伸びても、利益が外部環境に非常に左右されやすい」という特徴である。鶏肉ビジネスは飼料価格、原油・物流費、為替の影響を大きく受け、安定した収益を出し続けるのが難しい業態で、アクシーズも例外ではない。実際にこの数年間も、売上は毎年伸びているにもかかわらず、営業利益や純利益は上下が激しく、利益率も5〜8%台の間を行き来している。こうした構造的な特徴を踏まえた上で、良い場合、中間の場合、悪い場合の3パターンに分けて5年後の株価を考える必要がある。
良い場合は、飼料価格が落ち着き、物流費やエネルギーコストも安定し、利益率が改善していくシナリオである。鶏肉需要は国内外とも底堅く、特に中食・業務用向けが伸びているため、それが業績追い風につながる可能性がある。さらに、加工食品比率が上がることで収益構造が改善すれば、営業利益率が8%前後を安定して維持できるようになり、EPSは250〜320円水準をキープする未来もあり得る。このような収益安定化が進めば、市場の評価も高まり、PBRが現在の1.0倍台から1.2〜1.4倍程度に上がる可能性がある。こうした流れが続けば、株価は4,000円台から一段階上のゾーンへ移行し、5年後には5,000〜5,800円程度まで上昇する余地が見えてくる。
中間の場合は、現在の延長線上にある状況だ。売上は年数%ずつ増える一方、利益は飼料価格や為替、物流費の影響で上がったり下がったりを繰り返す。営業利益率が5〜7%程度に収まり、EPSも200〜280円の範囲で推移するイメージである。市場から見ると「安定はしているが強い成長はない中堅食品株」という評価に落ち着き、過度に買われることも売られすぎることもない。この場合、株価は大きく動かず、4,000〜4,500円を中心としたレンジ相場が続く可能性が高く、現在の株価位置を基準とした“横ばい”が5年後のもっとも現実的なシナリオとなる。
悪い場合は、飼料価格が再び高騰したり、円安が進んでコストが上昇したり、物流費・電気代などが重荷になるケースである。こうした外部要因は鶏肉事業に直撃しやすく、営業利益率が4〜5%を割り込むような年が続くと、EPSも150〜200円まで低下しかねない。特にアクシーズは利益が小さく変動しやすい構造のため、環境が逆風になると市場の評価は一段下がり、PERやPBRも割り引かれる可能性がある。投資家から“割高に見える鶏肉株”として敬遠されると、株価はじりじりと下落し、5年後には3,200〜3,600円あたりまで落ち込む可能性も十分考えられる。
総合的に考えると、アクシーズは急成長で株価が大きく跳ねるようなタイプではない一方で、基盤が脆弱で急落する危険性が極端に高い企業でもない。売上は安定して伸びているものの、利益の変動が大きいことから、5年後の株価は“中間シナリオ”が最も現実的で、現在の4,000円台を中心に緩やかに動く可能性が高い。業績が改善して利益が安定して初めて株価の持続的上昇が期待できる構造であり、現状は「堅実だけど大きくは伸びにくい食品株」という位置づけに落ち着いている。
この記事の最終更新日:2025年11月23日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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