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高島屋(8233)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

高島屋とは

高島屋は日本でも屈指の歴史を持つ老舗百貨店で、百貨店業界の中でも特に「ブランド力」「品格」「高品質な接客」で知られる企業です。本社は大阪にあり、日本橋店や新宿店、横浜店、大阪店、京都店といった国内主要都市の大型百貨店を中心に展開しています。老舗の百貨店というと古めかしいイメージを持たれることもありますが、高島屋は伝統を守りながらも時代に合わせた設備投資や商業施設開発を積極的に行っており、百貨店という枠に留まらない総合小売企業として発展している点が大きな特徴です。

高島屋の事業の核はやはり百貨店事業です。衣料品や生活雑貨、化粧品、宝飾品、食料品、ギフトなど幅広い商品を取り扱い、「質の高い商品をしっかり揃えている」という信頼感が長年支持されてきました。特にギフトや外商部門の強さは業界でも有名で、個人富裕層から法人企業まで幅広くカバーし、この外商部門が長く高島屋の収益を支えてきたと言っても過言ではありません。お中元・お歳暮など季節ギフトの売上規模も大きく、百貨店らしい“強さ”を持っている部分です。

一方で高島屋は、単なる百貨店企業というより「商業施設・不動産事業にも強い百貨店」でもあります。新宿の「タカシマヤタイムズスクエア」は代表的な成功例で、百貨店に専門店や大型店を組み合わせた複合商業施設として国内でも高い評価を受けています。こうした不動産賃貸や商業施設の運営は、景気に左右されにくい安定収益を生み出すため、近年の百貨店業界では重要な柱になっています。高島屋もこの領域に積極的で、百貨店売上が伸び悩む時期でも、不動産収入が収益を支えている構図があります。

また高島屋は海外展開にも強いこだわりを持つ企業で、特にシンガポールの「高島屋オーチャード店」は現地でも非常に高いブランド力を持ち、アジア圏の富裕層や観光客から強い支持を得ています。海外百貨店は撤退していく企業も多い中、高島屋は海外店舗を堅調に維持できており、アジア市場との相性の良さが数字にも表れています。台湾やベトナムでも事業展開しており、海外事業が長期的な成長の柱になる可能性もあります。

さらに、百貨店業界全体の流れとしてEC化・デジタルシフトが欠かせなくなっている中で、高島屋もオンラインストアやギフトECに力を入れています。特にギフトはオンラインでも需要が高く、「百貨店品質のギフトをネットで買える」という強みから売上が伸びており、リアル店舗とECを組み合わせたビジネスモデルが浸透しつつあります。

総合的に見ると、高島屋は“伝統の百貨店”というイメージを持ちながらも、実際には百貨店・商業施設・不動産・EC・海外事業を複合的に展開する総合小売企業です。百貨店業界は縮小傾向にあるとよく言われますが、高島屋は外商の強さ、不動産収益の安定性、海外店舗のブランド力といった要素があるため、ただ単に売り場が縮小するだけで終わらない企業体質を持っています。老舗でありながら、百貨店という枠にこだわらず多角化を進めてきた企業で、業界の中でも生き残り力の強い企業と言えます。

高島屋 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
EPS
(円)
配当
(円)
2023/2 443,443 32,519 34,520 27,838 84.9 13
2024/2 466,134 45,937 49,199 31,620 100.2 18.5
2025/2 498,491 57,503 60,396 39,525 126.3 24.5
2026/2(予) 493,000 50,000 53,000 40,000 137.8 26

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
2023/2 36,497 -10,707 -32,428
2024/2 59,536 -38,501 -20,600
2025/2 72,493 -39,694 -41,772

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023/2 7.3% 6.7% 2.3%
2024/2 9.8% 6.9% 2.4%
2025/2 11.5% 8.3% 3.0% 高値平均:11.7倍
安値平均:7.6倍
0.99倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

高島屋の直近の業績指標を並べて見ると、百貨店という成熟産業に属しながらも、着実に収益力を回復させている企業であることがわかります。まず営業利益・経常利益・純利益の推移を見ると、2023年から2025年にかけてすべての利益が増加しており、トップラインの売上高もしっかり増えている点は明確なプラス材料です。百貨店業界全体は長期的に縮小傾向と言われていますが、その中で高島屋は利益をしっかり伸ばしている点が大きな特徴で、特に2025年の営業利益率が11.5%まで改善しているのは業態の構造改善が効いている証拠でもあります。通常、百貨店は利益率が低くなりがちですが、10%を超える水準まで来ているのはかなり優秀な数字です。

ROEやROAといった収益性指標も改善が続いており、ROEは6〜8%台へ、ROAも2%台から3%へ上昇しています。派手な数字ではありませんが、「安定して改善している」という点が重要で、特に2025年のROE8.3%は百貨店業界としては悪くない水準です。財務効率が上がっている背景には、外商部門の強さや不動産収入の安定、海外店舗(特にシンガポール)の好調などが寄与していると考えられます。百貨店単体ではなく、不動産・商業施設運営・海外事業といった“百貨店+α”の複合収益モデルが機能していると言えるでしょう。

バリュエーションを見ると、2025年の実績PERが高値平均11.7倍、安値平均7.6倍と、かなり割安なゾーンにあります。成熟業界であることを考えても、PER10倍前後は割高とは言えず、むしろ保守的に評価されている印象です。さらにPBRは0.99倍と“ほぼ純資産並み”の評価で、解散価値と同程度のバリュエーションにとどまっています。これはマーケットが「百貨店=成長が鈍い」というイメージを強く持っていることの裏返しですが、利益が改善し、収益性も上向いている現状を考えると、少し過小評価されている可能性があります。

総合的に見ると、高島屋は「高成長株」というタイプではありませんが、利益が毎年伸びており、営業利益率やROEも改善中、さらにPBR1倍割れに近い水準で放置されているという点を踏まえると、堅実な“割安安定株”としての魅力があります。派手さはないものの、本業の回復力と不動産収益の底堅さがあり、海外事業も順調ということから、極端に崩れにくい銘柄と言えます。

成長期待で買うというよりは、「じっくり育てる守備的な投資」や「配当と安定を重視する長期保有」に向いた銘柄です。百貨店業界は縮小と言われつつも、高島屋の場合は多角化によって収益源が複数あるため、業界そのものが低迷しても会社全体の業績が崩れにくい構造を持っています。PBR1倍前後という非常に買いやすい位置にあるため、割安株として長期保有を検討したい投資家に向いた企業です。

配当目的とかどうなの?

高島屋を配当目的で考える場合、この銘柄は「利回りが極端に高いわけではないが、業績の安定性と割安さを考えると長期保有で意外と悪くない」というタイプの株になります。予想配当利回りを見ると、2026年2月期が2.11%、2027年2月期が2.35%と、3%を超える高配当株と比べるとやや控えめに見えますが、実は高島屋の魅力は利回りの数字だけでは判断できない部分にあります。

まず、高島屋は利益が継続的に伸びており、2023年以降は売上も営業利益も純利益も右肩上がりで改善し続けています。営業利益率は7.3% → 9.8% → 11.5%と改善し、ROEも6.7% → 6.9% → 8.3%と上がっていることから、企業としての“稼ぐ力”が確実に強くなっています。利益が伸びる企業というのは、配当の原資が増えるため、今の利回りが低めでも将来的に増配が期待しやすいというメリットがあります。

さらにバリュエーションを見ると、PBRが0.99倍とほぼ純資産並みの評価で放置されており、“割安×利益改善”という組み合わせが成立しています。割安な株というのは、配当利回りが低めでも株価が崩れにくく、むしろ業績改善が続けば株価がじわじわ上がっていきやすいため、トータルリターンの観点では利回り以上に有利に働くケースが多いです。配当だけでなく、株価上昇とあわせて利益を取っていくという形で長期的に報われやすい銘柄と言えます。

また、高島屋は百貨店に依存しすぎない点が配当投資において大きな安心材料です。不動産事業の安定収益、商業施設(タイムズスクエアなど)の賃料収入、シンガポールなど海外店舗の強さ、EC事業の拡大など、収益源が複数あるため、景気が悪くてもいきなり利益が崩れるリスクが低い構造になっています。こうした「下支えの強さ」は、長期配当を狙う際にとても重要です。

総合的に見ると、高島屋は“利回りの数字だけで評価すると物足りないが、長期的な増配と株価上昇を合わせると実は悪くない”という隠れ優良銘柄で、配当目的で落ち着いて保有したい人とは相性がよい企業です。

今後の値動き予想!!(5年間)

高島屋の現在値は1,610.5円ですが、この銘柄は百貨店という成熟産業にありながら、業績が安定して改善しており、PBRがほぼ1倍と割安に放置されていることもあって、今後5年間の株価は大きく崩れにくいタイプの動きをしやすいと考えられます。百貨店だけでなく不動産収入や海外店舗の利益が安定しており、本業が多少弱っても会社全体が崩れにくい構造を持っているため、長期でじっくり保有しやすい銘柄です。そこで、良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで、5年後の株価をイメージすると以下のような流れになっていきます。

まず「良い場合」ですが、これは海外店舗が引き続き好調で、不動産収益も伸び、国内百貨店の回復も続くシナリオです。営業利益率が二桁を維持し、EPSも順調に伸びていけば、市場が見直し始めてPERの評価も上向きやすくなります。PBRも1倍から1.2倍程度まで見直しが入ると、株価はじわじわと上がり、5年後には1,950円から2,300円あたりを狙える展開になります。高島屋は急騰する銘柄ではありませんが、安定した利益が背景にあるため、良いシナリオに乗るとゆっくり株価を押し上げていく力があります。

次に「中間の場合」。これは最も現実的な予測で、業績は緩やかに伸び続け、不動産や海外事業も安定、配当も無理のない範囲で増配していくという流れです。特別な成長材料はなくても、現在の割安さと業績の底堅さが相まって、株価は1,700円から1,900円あたりで落ち着きやすい展開になります。大幅な上昇こそ期待しにくいものの、安定した配当とトータルリターンをコツコツ積み重ねることができるため、長期保有でじっくり育てたい人にはかなり向いている動きになります。

最後の「悪い場合」は、国内百貨店の売上が落ち込んだり、景気後退で消費が弱まったり、円高が進んで海外事業が目減りするようなシナリオです。この場合は利益が鈍化し、PERやPBRもさらに低評価され、株価は1,350円から1,500円程度まで下がる可能性があります。ただ、高島屋は百貨店に依存しすぎず、不動産収益や海外店舗の利益が下支えする構造が強いため、極端に崩れるリスクは相対的に低く、悪い場合でも“長期では戻す力がある銘柄”という点は変わりません。

総合的に見ると、高島屋の5年後の株価は、良い場合で2,300円前後、中間だと1,800円前後、悪い場合でも1,400円前後という比較的読みやすい範囲に収まります。成長株のような爆発力はないものの、業績の底堅さと割安さに支えられ、「大きく下がりにくく、小幅でも上がりやすい」という特性を持った優良銘柄です。長期保有で配当と株価の両方をじっくり積み上げていくのに向いた、扱いやすい銘柄だと言えます。

この記事の最終更新日:2025年11月20日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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