株価
野村ホールディングスとは

野村ホールディングスは、日本を代表する証券グループであり、世界的にも存在感のある総合金融企業です。創業100年を超える歴史を持ち、日本の証券市場の発展とともに歩んできた会社で、今では世界30以上の国と地域に拠点を構えるグローバルな金融グループへと成長しています。本社は東京都中央区大手町に所在し、国内最大級の顧客基盤と運用残高を抱える、日本の証券会社の象徴的な存在とも言える企業です。
野村の強みは、個人・法人・機関投資家・海外の大型顧客まで、幅広い層にサービスを提供できる総合力にあります。中核会社である野村證券は、全国に支店を持ち、個人投資家向けの株式投資・投資信託・債券・保険など幅広い運用サービスを提供しており、日本国内におけるリテール営業の存在感は非常に大きいものがあります。また、大企業や機関投資家向けには、IPOの主幹事、M&Aアドバイザリー、債券・株式の引受業務といった投資銀行ビジネスを展開し、企業の資金調達や事業戦略を金融面で支える役割も担っています。
さらに、野村ホールディングスは海外事業の割合が高い点も特徴で、米国、欧州、アジアなどを中心に、トレーディング・投資銀行・アセットマネジメントなどの国際業務を行っています。世界的な金融市場の動向に大きく関わるポジションを持っており、海外での収益が業績の重要な柱となっています。特にグローバルマーケッツ部門は、株式・債券・為替・デリバティブなど幅広い商品を取り扱い、トレーディング収益やマーケットメイク業務など、市場に流動性を提供する役割を担っています。
アセットマネジメント事業も強く、野村アセットマネジメントは国内最大級の運用会社として知られています。個人投資家向けの投資信託だけでなく、年金基金や保険会社などの機関投資家からの資金を運用し、多様な投資戦略を展開しています。最近では、ESG投資やサステナブル投資にも力を入れており、長期的な運用分野で存在感を増しています。
また、野村は富裕層向けのウェルス・マネジメントサービスにも積極的で、プライベートバンキング機能を通じて、相続・事業承継・不動産・海外資産管理など、総合的な資産戦略をサポートしています。こうした高度な金融ニーズに応えることができるのは、長年培ってきた知識・ネットワーク・分析力を持つ野村ならではの強みです。
デジタル分野にも力を入れており、オンラインサービスやスマホアプリの強化、フィンテック企業との連携など、新しい金融サービスの提供にも積極的です。証券業界は競争の激しい分野ですが、野村は時代の変化に対応しながら、リテールからグローバル業務まで一貫して幅広くカバーできる点が他社との大きな違いになっています。
このように、野村ホールディングスは国内最大級の証券会社でありながら、海外展開と専門的な投資銀行業務にも強みを持つバランス型の金融グループです。個人顧客の資産運用から企業の資金調達、国際的なマーケット業務まで、幅広く事業を展開しているため、収益源が多様で、市況が悪化しても比較的耐性があるのが特徴です。長い歴史と強固な顧客基盤、そしてグローバルネットワークを持つ野村は、日本の金融業界の中でも特に影響力のある企業のひとつと言えます。
野村ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 営業収益(百万円) | 営業利益 | 税前利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ◎22.3 | 1,593,999 | ‥ | 226,623 | 142,996 | 46.7 | 22 |
| ◎23.3 | 2,486,726 | ‥ | 149,474 | 92,786 | 30.9 | 17 |
| ◎24.3 | 4,157,294 | ‥ | 273,850 | 165,863 | 55.0 | 23 |
| ◎25.3 | 4,736,743 | ‥ | 471,964 | 340,736 | 115.3 | 57 |
| ◎26.3予 | 4,500,000 | ‥ | 455,000 | 325,000 | 110.8 | 45〜47 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | -694,820 | -233,225 | 1,283,937 |
| 2024 | 132,640 | -887,938 | 1,012,850 |
| 2025 | -678,611 | -848,647 | 1,679,697 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | ― | 2.9% | 0.1% | ― | ― |
| 2024 | ― | 4.9% | 0.3% | ― | ― |
| 2025 | ― | 9.8% | 0.5% | 15.4倍 / 9.8倍 | 0.94倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
野村ホールディングスの直近の業績推移を見ると、ここ数年で業績の波はあるものの、証券会社としての収益力が確実に底上げされてきていることが分かります。まず営業収益は、22.3期の 1兆5,939億円 から23.3期に 2兆4,867億円 へと大きく伸び、さらに24.3期には 4兆1,572億円、25.3期には 4兆7,367億円 と、一貫して増収が続いています。特に24.3期と25.3期の営業収益の伸びは非常に強く、株式、債券、デリバティブなどグローバルマーケッツ業務の好調さがそのまま数字に表れています。
営業利益の細かい数値は未提示ですが、税前利益を見れば収益力の改善は明らかで、22.3期の 2,266億円 から23.3期に 1,494億円 と調整を経た後、24.3期には 2,738億円、そして25.3期には 4,719億円 と大幅に利益が拡大しています。証券業は市況の影響を強く受けるため、年によって利益がぶれるのは当然ですが、25.3期の税前利益4,700億円超えは特に強く、収益基盤の厚みが増したことを示しています。
純利益も同じ流れで、22.3期の 1,429億円 から23.3期には 927億円 に落ち込んだものの、24.3期に 1,658億円 と回復し、25.3期には 3,407億円 と過去でも上位に入るレベルまで跳ね上がっています。EPSも46.7円 → 30.9円 → 55.0円 → 115.3円と倍増しているため、企業価値は明確に回復し、株主に帰属する価値がしっかり増えていることが分かります。
指標面でも魅力は強く、野村ホールディングスのPERは一般的に 8〜13倍 のレンジで推移しており、株価が過度に割高になることはほとんどありません。PBRも 0.7〜1.1倍 程度の推移が多く、特に現在の水準は1倍前後で“純資産とほぼ同価格で買える”割安ゾーンに入っています。日本の大手証券会社は総じてPBRが1倍前後で推移する傾向がありますが、野村のようにEPSが大きく伸びている局面では、PBR1.2〜1.4倍への見直しが入ることも珍しくありません。
また効率性指標に目を向けると、野村のROEは一般的に 5〜10% のレンジで推移しており、特に25.3期の利益改善を踏まえると、ROEはさらに上昇していると考えられます。証券会社は市況依存性が高いものの、野村の場合は海外のマーケッツ業務や投資銀行業務が強いため、世界の金融市場が動くタイミングでは国内証券会社の中で最も恩恵を受けやすい体質を持っています。ROAについても改善傾向にあり、総資産に対して安定して利益を生み出せる体制になりつつあります。
総合すると、野村ホールディングスは「営業収益の安定成長」「税前・純利益の強い回復」「EPSの大幅増加」「割安なPER・PBR」「ROE改善」という複数の強みが揃っている銘柄です。市況によって短期的な変動は発生しますが、24.3期〜25.3期の数字を見る限り、収益力は明らかに強化されており、特にマーケッツ業務の拡大と海外展開の強みが株主価値の増加に直結しています。
結論として、野村ホールディングスは、中期〜長期で業績成長と株主還元を狙える“割安バリュー+好業績”の投資先です。下値不安が小さく、業績次第では株価の再評価も十分見込めるため、証券株の中でも比較的買いやすい銘柄と言えます。
配当目的とかどうなの?
野村ホールディングスは、配当目的の投資先として見た場合、かなり魅力の高い銘柄です。まず予想配当利回りが26.3期、27.3期ともに 4.55% と、国内大型企業の中でも上位水準の高さになっており、金融株の中でも「高配当銘柄」として十分に存在感があります。利回りが4%を超えてくると、単純な値上がり益を狙うだけでなく、配当収入目的の長期保有という観点でも積極的に検討できるラインに入ります。
配当利回りが高いだけでなく、野村ホールディングスの直近の純利益とEPSの伸びを見ても、十分な配当余力があることが分かります。純利益は22.3期の1,429億円から23.3期に927億円へ一度落ち込んだものの、そこから24.3期に1,658億円、25.3期には3,407億円へと急回復しています。EPSも46.7円 → 30.9円 → 55.0円 → 115.3円と倍以上に伸びており、利益の水準自体が大きく改善しているため、配当が安定しやすく、かつ維持・増配余力も十分にあります。
また野村の場合、事業構造が以前よりも安定性を増してきていることも配当の安心材料になっています。日本のリテール営業だけでなく、海外のマーケッツ業務や投資銀行業務が収益源として確立しつつあり、国内市況が弱い時でも海外の取引が収益を補うケースが増えています。収益の柱が複数あることで、景気敏感といわれる証券業の中でも比較的バランスの良い利益構造を形成しています。
さらに、野村ホールディングスは株主還元の姿勢が強い企業です。配当だけでなく自社株買いも実施することが多く、株主価値の向上を意識した経営方針が明確です。とくに利益が大きく改善した25.3期以降は、株主還元の継続と拡大が期待できるため、高配当銘柄としての安定性は以前よりも増していると言えます。
株価指標の面でも、野村はPBRが1倍前後で推移することが多く、過度に割高になることはありません。むしろ現在のバリュエーションは割安寄りで、高配当かつ割安という組み合わせは、配当目的の投資家にとって非常に魅力的な条件が揃っています。一般的にPBR1倍付近の銘柄は下値が固く、長期保有時のリスクが小さいため、配当狙いで保有するには適したタイプの銘柄です。
総合すると、野村ホールディングスは「予想利回り4.55%」「利益急回復」「EPS倍増」「割安バリュエーション」「株主還元の積極性」と配当投資に求められる条件がほぼ揃っている銘柄です。
もちろん証券株である以上、短期的には市況に左右される局面もありますが、長期で見ると高い利回りを安定的に享受できる可能性が高く、配当目的の投資先としては十分に有力な選択肢になります。大きく値上がりする銘柄ではありませんが、あくまで“配当収入を堅実に積み上げる銘柄”としての適性は非常に高い企業です。
今後の値動き予想!!(5年間)
野村ホールディングスの現在値1,119.5円という株価は、直近の業績回復やEPSの急伸、そして4.5%台という高い配当利回りを考えると、まだ企業価値の伸びを十分に織り込んでいない水準にあります。特にここ数年は、グローバルマーケッツ部門の収益拡大や投資銀行業務の改善などが影響し、営業収益は4兆円台、純利益も3,400億円超えと好調で、EPSも115円に達しています。これまでの野村のように上下の波が大きいというよりも、収益構造が少しずつ強化され、海外での利益貢献も大きくなっているため、以前より安定感を増している印象があります。
こうした状況を踏まえて、野村ホールディングスの今後5年間の株価がどのように動くかを考えます。
まず良い場合には株式市場が堅調に推移し、IPOの増加や投信販売の好調、グローバル市場での取引増などが重なって業績がさらに伸びる可能性があります。EPSが100円台を維持し、ROEが10%付近で安定するような展開になれば、PBRが1.3〜1.5倍へ見直されても不思議ではなく、その場合株価は1,600円から2,000円あたりまで上昇する余地があります。現在の株価水準から見ると40%〜80%程度の上昇で、配当収入も含めると総合リターンはかなり大きくなる強気シナリオです。
一方で最も現実的なのは中間のシナリオで、野村が現在の安定した基盤を維持しつつ、緩やかに成長するパターンです。純利益が1,500億〜3,000億円の間で推移し、海外事業の収益が下支えを続ければ、PBRは1.1〜1.2倍程度の評価に落ち着き、株価は1,250円から1,450円の範囲でじわじわと上値を切り上げていくイメージになります。現在値から10〜30%程度の上昇となり、派手さはないものの、配当をしっかり受け取りながら長期で育つタイプの安定した動きが期待できます。
悪い場合のシナリオでは、世界的な株価調整や投信の資金流出、IPOの減少などが重なり、証券業界全体が弱くなる展開です。ただし野村の場合は、海外のマーケッツ部門が強いことや、リテール基盤が大きいことから、利益が完全に崩れるというよりは、業績が鈍化し株価が1,050円から900円あたりまで下落する可能性があります。それでも現在値からの下落幅は限定的で、配当利回りが5%前後まで上昇するため、長期投資家にとってはむしろ買い場になりやすい局面となります。
総合して見ると、野村ホールディングスは短期の値動きに左右されやすい市況敏感株でありながら、長期で見れば業績回復と高配当が支えとなり、株価の下値は固められやすい特徴を持っています。過度な期待を背負って急騰する銘柄ではないものの、業績が堅実に続き、配当を受け取りながらじっくり保有することで総合的なリターンが積み上がっていくタイプの銘柄です。現在の株価水準は割安感もあり、5年間という時間軸で見れば、ゆっくり安定的な上昇と配当の両方を取りにいける“堅実な金融株”として扱いやすい位置にあると言えます。
この記事の最終更新日:2025年11月21日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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