株価
東京海上ホールディングスとは

東京海上ホールディングスは、日本を代表する損害保険グループであり、国内・海外合わせて膨大な顧客基盤を持つ世界的な保険企業です。本社は東京都千代田区大手町2丁目6−4の常盤橋タワーに置かれており、東京海上日動火災保険を中心とした“国内損保事業”を核に、生命保険、海外保険、そして金融・その他事業まで幅広く展開しています。創業のルーツは1879年の「東京海上保険会社」にまで遡り、日本で最も歴史ある損害保険会社として長年にわたり国内トップクラスの地位を築いてきました。
事業構造の中心となるのは国内損害保険事業で、自動車保険、火災保険、地震保険、傷害保険、海上・貨物保険、企業向け保険など、多種多様な商品を取り扱っています。特に自動車保険と火災保険は国内シェアが非常に高く、安定した収益源となっています。また、自然災害のリスクが高まる日本市場において、再保険の活用や商品設計の高度化によって「収益の安定性」と「リスク管理の精度」を強化している点も大きな特徴です。
生命保険事業では、東京海上日動あんしん生命を中心に、医療保険・がん保険・死亡保険・年金商品などを提供しており、特に医療保険やがん保険は顧客満足度が高く、近年契約数が着実に拡大しています。生保部門は損保と比較すると規模は小さいものの、収益性が高く、グループ全体の安定化に寄与しています。
さらに東京海上HDの強みとして特筆すべきは 海外保険事業の圧倒的な規模 です。北米・欧州・アジアを中心にM&Aを積極的に行い、海外売上比率はすでに国内比率を上回るレベルに達しています。特に米国の保険会社買収が成功し、アメリカ市場での収益が大きな柱となっています。海外事業は長期的な成長ドライバーであり、人口増加・経済成長が続くエリアでの契約増加が今後の利益拡大にも直結しています。
また、「金融・その他事業」では、投資顧問・資産運用サービス・不動産管理・介護事業など保険事業を補完する周辺ビジネスも展開しており、グループ全体での収益多角化が進んでいます。保険会社は本来、保険引受による保険料収入だけでなく、巨大な資産を運用して利益を生み出すビジネスモデルを持ちますが、東京海上はこの運用力が非常に高く、安定した投資収益が毎期の利益に大きく貢献しています。
総合的に見ると、東京海上HDは「国内損保の圧倒的なブランド力」「海外事業の成長」「強固な資産運用力」の3つを武器に、日本の金融セクターの中でも非常に強い安定性と成長性を両立した企業です。自然災害が多い日本において、リスク管理・収益モデルの質の高さは際立っており、収益のブレが小さく、長期的に利益を積み上げられる企業体質が形成されています。
750超の海外拠点を含む世界展開、安定的な配当方針、そして日本国内で絶大な信頼を持つ保険ブランドという強みから、長期投資や高い収益基盤を求める視点で見ても非常に評価の高い大型銘柄です。
東京海上ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 経常収益 (百万円) |
正味保険料 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
1株益(EPS) (円) |
1株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連24.3 | 7,424,667 | 4,824,986 | 842,576 | 695,808 | 351.6 | 123 |
| 連25.3 | 8,440,114 | 5,305,182 | 1,460,007 | 1,055,276 | 542.2 | 172 |
| 連26.3予 | 8,500,000 | 5,450,000 | 1,270,000 | 930,000 | 486.5 | 210 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,007,582 | 18,193 | -1,009,226 |
| 2024 | 1,072,124 | -627,647 | -406,204 |
| 2025 | 1,345,080 | 164,619 | -1,188,437 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均/安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | ― | 10.3% | 1.3% | ― | ― |
| 2024 | ― | 13.4% | 2.2% | ― | ― |
| 2025 | ― | 20.7% | 3.3% | 14.0倍/8.7倍 | 2.10倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
東京海上ホールディングスの直近の業績を見ていくと、この企業が国内の損害保険グループの中で圧倒的な強さと安定感を持っていることがよく分かります。まず売上に当たる経常収益は連24.3期の7兆4,246億円から、連25.3期には8兆4,401億円へと約1兆円も増えており、正味保険料も4兆8,249億円から5兆3,051億円へと着実に拡大しています。自然災害や自動車事故といった要因で収益が変動しやすい損害保険ビジネスでありながら、これだけの増収を実現している背景には、東京海上が国内で最大級の契約基盤を持っていること、そして海外保険事業の成長がしっかりと寄与していることが挙げられます。
利益面を見ると、その成長はさらに顕著です。連24.3期の経常利益は8,425億円でしたが、連25.3期には1兆4,600億円へと大幅に増加しており、純利益も6,958億円から1兆552億円へと1兆円を突破しました。損害保険会社の利益規模としては国内トップクラスで、世界の大手損保と比較しても見劣りしない水準にまで成長しています。EPSも351.6円から542.2円へと大幅に伸びており、企業価値の積み上がりが非常に力強いことが分かります。
加えて、資本効率の面からも東京海上は非常に優秀です。ROEは10.3%から13.4%、そして直近では20.7%にまで上昇しており、損保企業としては異例とも言える高い水準です。一般的に損害保険会社のROEは5〜10%程度が多い中で、この20%超という数値は、収益構造が大きく強化されたことを示しています。ROAも1.3%、2.2%、3.3%と改善が続いており、巨大な総資産を抱える保険会社としては驚くほど高い効率性を達成しています。
一方でバリュエーションを見ても、東京海上は過度に割高というわけではありません。2025年のPERは高値平均で14.0倍、安値平均で8.7倍と比較的落ち着いた水準にあり、利益の伸びとROEの高さを踏まえると、むしろ適正〜割安に収まっていると言える状況です。PBRも2.10倍と高く見えるものの、ROEが20%前後の企業であればこの水準は決して割高ではなく、長期的に株価が見直されやすい組み合わせになっています。
こうした数字を総合すると、東京海上ホールディングスは安定した増収増益が続き、純利益が1兆円規模へ跳ね上がるほどの成長力を見せており、EPSも大きく増えています。また、ROE20%超という極めて高い資本効率を達成しているほか、海外事業の拡大や収益基盤の強化も進んでおり、将来の成長余地が十分に残されています。株価の指標面でも割高感が強くないことから、投資妙味はかなり高いと評価できます。
国内の損害保険市場は成熟しているものの、東京海上は海外保険事業の比率を大きく高めることで“世界で稼ぐ保険グループ”へと進化しており、収益源の多様化とグローバル展開によって安定性と成長性を両立させています。市場環境が多少ブレても大きく崩れにくい堅さを持ちながら、業績は確実に伸びているため、中長期の資産形成においてはポートフォリオの中心に据えても良いレベルの優良株だと判断できます。
配当目的とかどうなの?
東京海上ホールディングスを配当目的で見た場合、この企業は国内大型株の中でもかなり魅力的な部類に入ります。まず予想配当利回りですが、連26.3期・連27.3期ともに 3.80% の水準が見込まれており、3%台後半というのは大型の金融株としては十分に高い利回りです。しかも東京海上は連続増配や安定配当を長く続けてきた企業であり、配当方針も「安定的かつ持続的な増配」を明確に掲げているため、単に利回りが高いだけでなく“減配しにくい強み”があります。
この安定した配当が維持できる理由は、同社の収益基盤が国内損保だけでなく海外保険事業にも大きく広がり、景気変動や自然災害の影響を受けても収益が落ち込みにくい構造に進化していることにあります。実際に純利益は連24.3期の6,958億円から、連25.3期には1兆552億円へと大きく伸びています。これだけ利益が伸びている企業であれば、配当の支払い余力が大きく、安定配当を維持しながら増配も狙いやすい状況です。
さらにEPSが351.6円から542.2円へと大幅に伸びていることも、配当目的の投資にとっては大きな安心材料です。EPSが増えればその分だけ“配当余力”が増えるため、たとえ市場環境が逆風でも企業は減配せず配当をキープしやすくなります。加えてROEが20%前後という極めて高い資本効率を達成しているため、企業としての収益性が強く、株主還元の原資が継続的に積み上がっていく点もプラスです。
東京海上は国内損保の中でも最もグローバル展開が進んでおり、海外事業が大きな利益を生み出しているおかげで、国内の自然災害による突発的な損失が発生しても、全体としての利益が大きく揺らがないという特徴があります。これは「減配しにくい企業かどうか」を判断する際に非常に重要なポイントです。安定性が高い収益構造を持つ企業は、景気後退局面でも配当を維持しやすいため、長期投資に向いていると言えます。
こうして総合すると、東京海上ホールディングスは利回り3.8%という安定した高配当だけでなく、EPSの成長、ROEの高さ、海外事業による収益の底上げなど、配当を長期にわたって維持・拡大できるだけの実力がしっかり備わっている企業です。高配当株としての評価は非常に高く、減配リスクも低めで、長期保有して配当を積み上げたい投資家にとって相性の良い銘柄だと言えます。安定性と成長性の両方を兼ね備えているため、ポートフォリオの中心に置いても安心できるタイプの配当銘柄と判断できます。
今後の値動き予想!!(5年間)
東京海上ホールディングスの株価は現在5,541.0円ですが、今後5年間の値動きを考える上で重要なのは、同社が国内損保の枠を超えて“世界的な保険グループ”へと成長している点です。損害保険という業種は自然災害や景気変動によって収益が大きく振れやすいイメージがありますが、東京海上の場合は国内だけでなく北米・欧州・アジアまで大規模な事業展開をしているため、リスクを分散しながら収益を積み上げる体制が整っています。実際に連25.3期の純利益は1兆円を超え、EPSも急伸し、ROE20%超という高い資本効率を示していることからも、同社の収益体質が近年大きく進化していることは明らかです。
こうした業績面・収益基盤・資本効率の改善が中長期の株価にも大きく影響してくるため、ここでは「良い場合」「中間」「悪い場合」の3シナリオで東京海上の5年後の株価を考えていきます。
まず 良い場合のシナリオ では、国内損保が安定的に推移しつつ、海外保険事業がさらに利益を伸ばし、現在のROE20%前後の水準を維持できるケースが想定されます。特に北米市場は東京海上の利益の柱になっており、アメリカでのM&Aが成功していることから、今後も契約数と利益が拡大する可能性は十分にあります。また、自社株買いや増配など株主還元が積極的に行われれば、PERの水準が押し上げられる展開もあり得ます。このように収益成長と株主還元が両立する環境では、株価は 7,800〜9,200円 のレンジを目指す可能性が高く、5年という期間で見れば強気シナリオとして現実的な範囲に入ります。
次に、最も現実的と考えられる 中間シナリオ です。この場合は、日本国内の損保事業が安定して推移し、海外事業も堅調だが急成長というほどではなく、EPSが緩やかに伸びていくケースを想定します。自然災害の影響は時期によって多少あるものの、東京海上の場合はリスク管理と再保険戦略が非常に強固であるため、利益が大きく減るような事態は起こりにくいと考えられます。また、配当利回り3%台後半という安定した株主還元も株価の下支えとなるため、大きく崩れにくいのが特徴です。この標準的な成長シナリオでは、株価は 6,300〜7,200円 の範囲に収まる可能性が高く、現在値から見ても堅実な上昇が期待できます。
最後に 悪い場合のシナリオ を見てみると、世界的な金融市場の不安定化、巨大自然災害の連発、海外保険事業での逆風、為替の大幅な円高など、同社にとってマイナスとなる複数の要因が重なるケースです。この場合、PERが現在の水準より下に見積もられ、投資家のリスク回避姿勢が強まることで、一時的に株価が押し下げられる可能性があります。しかし、それでも東京海上は契約基盤の大きさと事業の多角化によって利益の“底”が非常に厚いため、極端に株価が崩れるリスクは高くありません。この悪材料が出そろった場合でも、株価は 4,800〜5,300円 の範囲で踏みとどまる可能性が高いと考えられます。
総合的に見ると、東京海上ホールディングスは収益基盤の強さ、海外事業の成長、ROE20%という高い資本効率、安定した配当などから考えて、長期的には株価が上昇しやすい企業です。5年間という中期スパンで見て、下値リスクは相対的に小さく、上方向への期待値が高い銘柄と言えます。
良い場合は7,800〜9,200円、中間では6,300〜7,200円、悪い場合でも4,800〜5,300円程度と、どのシナリオでも“極端に大きく崩れにくい強さ”が特徴です。配当を受け取りながら中長期で保有するのに非常に適した銘柄だと判断できます。
この記事の最終更新日:2025年11月22日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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