株価
NIPPON EXPRESSホールディングスとは

NXホールディングス株式会社は、日本最大級の総合物流企業グループ「NXグループ(旧 日本通運グループ)」を統括する持株会社。2022年に持株会社体制へ移行し、グローバルブランドとして「NIPPON EXPRESS」から「NX」へ刷新した。国内物流業界ではトップクラスの規模を持ち、世界中に広がるネットワークを活用しながら、陸・海・空すべての輸送モードを組み合わせた最適な物流サービスを提供する。日本国内だけでなく海外拠点も広く展開しており、現在は世界50カ国以上・700以上の拠点網を持つ。
事業内容としては、まず国内物流が中核にあり、トラック輸送・鉄道輸送・宅配・大型機械の輸送など幅広いサービスを展開している。次に国際物流では、航空貨物・海上輸送・国際フォワーディングを軸に、グローバル企業のサプライチェーンを丸ごと支える総合物流ソリューションを提供している。また倉庫事業においても、大型物流センターや温度管理倉庫を運営し、保管・梱包・流通加工などの付帯業務を一体化した3PL(サードパーティロジスティクス)にも強みを持つ。
とくに近年は、半導体・医薬品・自動車といった高度な物流ニーズを持つ分野での事業拡大を進めており、温度管理、品質管理、セキュリティなどの高付加価値サービスを強化している。加えて、国際eコマース向けの物流や、企業の在庫最適化を支援するサプライチェーンマネジメントの分野にも積極的に投資している。
NXグループは、物流DXの推進にも力を入れており、AIによる需要予測、IoTを使った輸送状況の可視化、倉庫ロボットの導入などを進め、効率化と省力化を図っている。環境対応の面でも、モーダルシフト(トラック→鉄道・船舶への転換)を積極的に推進し、CO₂削減に取り組んでいる点も特徴の一つ。
このように、NXホールディングスは国内外の物流インフラを幅広く担う日本の基幹企業であり、今後もグローバル展開・高付加価値物流・DXという3つの軸を中心に成長戦略を進めている。
NIPPON EXPRESSホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益EPS(円) | 一株配当DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12* | 2,619,746 | 128,716 | 137,323 | 109,809 | 406.3 | 133 |
| 連23.12* | 2,239,017 | 60,098 | 61,208 | 37,050 | 139.5 | 100 |
| 連24.12* | 2,577,643 | 49,078 | 51,885 | 31,733 | 121.5 | 100 |
| 連25.12予 | 2,600,000 | 65,000 | 55,000 | 37,000 | 149.5 | 100 |
| 連26.12予 | 2,800,000 | 85,000 | 80,000 | 55,000 | 222.2 | 100 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022 | 241,107 | 14,936 | -120,491 |
| 2023 | 185,705 | -59,295 | -100,144 |
| 2024 | 227,865 | -140,742 | -164,115 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 2.6% | 4.6% | 1.7% | ― | ― |
| 2024(実績) | 1.9% | 3.7% | 1.3% | 高値平均 17.4倍 安値平均 13.2倍 |
0.99倍 |
| 2025(予想) | 1.9% | 1.1% | 0.4% | 予想PER 78.81倍 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
NXホールディングスの直近3年間の業績推移を見ると、売上高はほぼ横ばいから微増で推移しているものの、利益面は年によって増減が大きく、とくに純利益ベースでは明確な成長が見えにくい状況が続いている。2023年12月期の営業利益は約601億円、純利益は約370億円だったが、2024年12月期には営業利益が約491億円、純利益も約317億円へと縮小している。燃料費や人件費などのコスト増に加え、国際物流の需給環境の揺らぎが利益を圧迫しており、利益率の低下ははっきりと読み取れる。
2025年12月期の会社予想では、営業利益は約650億円まで持ち直す見込みが示されており、一定の回復期待は持てる。しかし、それでも“横ばい圏からわずかに反発する程度”で、成長株としての勢いが強いとは言い難い。営業利益率は一貫して 1.9〜2.6% 程度と低水準で、物流企業全体の中で特段高い収益性を持つわけではない点も気になる材料である。
財務指標を見ると、ROEとROAの低下がより深刻で、2023年12月期のROEは4.6%、ROAは1.7%と控えめな水準だったが、2024年12月期にはさらに低下し、2025年12月期予想ではROE1.1%、ROA0.4%まで落ち込む見通しとなっている。資本効率が低く、株主の資金を十分に活かし切れていない印象が強い。
加えて、株価指標の面でも積極的に買い進める理由は乏しい。2024年12月期の実績PERは高値平均17.4倍・安値平均13.2倍と割安感に欠け、2025年12月期の予想PERは約78倍と極端に割高な状態となっている。利益に対して株価が高すぎる構造になっており、割高感はかなり強い。PBRも1倍前後で、企業価値評価としても中庸で、市場から高く評価されているわけではない。
総合すると、NXホールディングスは国内最大級の物流ネットワークを背景に安定した基盤を持つ一方、利益率の低さ、資本効率の悪化、そしてPERの割高さが目立ち、成長株としての魅力は限定的といえる。物流という社会インフラを支える大型株として安定性はあるものの、現状のバリュエーションでは積極的に買い向かう場面ではない。
投資判断としては、利益率の回復、国際物流需要の明確な改善、PERの正常な水準への戻りこれら3つが確認できるまでは慎重姿勢を維持したい。
配当目的とかどうなの?
NXホールディングスの配当利回りを見ると、2025年12月期と2026年12月期ともに予想配当利回りは 3.07% とされ、国内の大型株としては平均よりやや高めの水準に位置している。利回りだけを見れば一定のインカムゲインは期待でき、安定した配当収入を狙うという点では魅力がある。
しかし、配当の質という観点では慎重に見ておく必要がある。直近の業績は伸びが鈍く、2023年から2024年にかけて純利益は370億円から317億円へと減少しており、利益が伸びない中で配当を維持している状況だ。このため、今後の業績が明確に回復しない限り、増配の余地は限定的で、実際には横ばい配当が中心になる可能性が高い。
さらに、ROEやROAといった資本効率も低下傾向にあり、2025年の予想ではROE1.1%、ROA0.4%とかなり低い数値が見込まれている。企業が持つ資産を利益に転換する力が弱くなっているため、配当の原資となる利益の質そのものが高いとは言えず、長期的な増配を期待するのは難しい。
株価評価の面でも割高感が強い。2025年の予想PERは約78倍と極めて高く、利益の水準に対して株価だけが先行している状態になっている。これでは、利回りが3%台であっても「割高株を持ちながら配当を受け取る」構図になりやすく、株価下落リスクを考慮すると魅力が薄れてしまう。
こうした要素を総合すると、NXホールディングスは“配当利回りそのものは悪くないものの、利益成長の弱さや資本効率の低下、株価の割高感によって配当の魅力が相対的に薄まる銘柄”という位置づけになる。積極的に買って高配当を取りに行くタイプの銘柄というよりは、どちらかといえば 安定的に横ばい配当を受け取りたい人向けの保守的な銘柄 であり、より高い利回りや増配期待を求めるのであれば他のセクターの方が優先度は高くなる。
今後の値動き予想!!(5年間)
NXホールディングスの現在値は3,247円だが、この銘柄の5年間の株価を考える際には、国内外の物流需要や世界経済の動向が非常に大きなカギを握る。とくに国際貨物の量や運賃は業績に直結するため、米国・中国・欧州といった主要地域の景気次第で結果が大きく変わりやすい。また、同社は営業利益率やROEが低めで、2025年予想PERも高い水準にあることから、株価が上へ大きく伸びるには“それなりの本格的な業績改善”が必要になる。一方で国内の物流インフラを押さえているため、極端に下がりにくいという特徴も持つ。
良い方向へ進むケースでは、世界的な物流需要が回復し、国際貨物の取扱量や単価がじわじわと戻っていく展開が想定される。半導体や医薬品といった荷物の動きが再び活発になり、海外事業の収益性が改善すれば、市場の評価も徐々に戻っていきやすい。このような環境が整えば、5年後の株価は現在よりもやや上を狙う動きとなり、3,800円から4,300円あたり を視野に入れるような穏やかな上昇に向かう可能性がある。急騰というほどの勢いはないものの、「緩やかな右肩上がり」という表現がしっくりくる。
中間的なシナリオでは、業績は大きく崩れず、かといって大幅に回復するわけでもないという“横ばい安定”の動きが続く。国内の荷動きは一定の需要があり崩れにくい一方、国際物流の回復が限定的だと成長ドライブにはなりにくい。こうした場合、株価は今の水準を中心に大きな方向感を持ちづらく、2,900円から3,400円前後 のレンジでゆっくりと上下しながら推移していく可能性が高い。配当目当てで長期保有する投資家が多いことから、いわゆる“ボックス相場”のような落ち着いた動きになりやすい。
悪い方向へ進むケースとしては、世界景気が軟調になり国際貨物の取扱量が落ち込むシナリオが考えられる。燃料費や人件費といったコスト負担が重くのしかかると、もともと低めの利益率がさらに圧迫され、現在の高いPERは維持できなくなる。そうなると株価は割高修正によってじわじわ下げていく展開になり、5年以内には 2,400円から2,800円台 を探るような弱含みの動きとなる可能性がある。とくに業績が想定以上に悪化すれば、配当維持に対する不安が株価に反映されやすい点にも注意が必要だ。
これらを総合して見ると、NXホールディングスの株価は、世界の物流需要に引っ張られながら穏やかに上下していくタイプであり、爆発的に上へ伸びるような銘柄ではない。良い場合はゆったりと上昇、普通なら横ばい、悪い場合は割高修正で下落という、非常に“物流株らしい安定寄りの動き”が中心になると考えられる。
この記事の最終更新日:2025年11月23日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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