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日本航空(9201)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日本航空とは

日本航空(JAL)は、日本を代表する大手航空会社であり、国際線・国内線の両方で広いネットワークを持つ航空輸送グループである。日本の空の玄関口として長年にわたり旅客・貨物輸送を担い、ビジネスや観光、国際交流、物流など幅広い領域で国家レベルの役割を果たしてきた企業である。現在は持株会社制のもと、航空運送事業を中心に、整備・サービス・旅行事業・マイレージ事業など多岐にわたる事業を展開し、JALグループ全体として「安全・品質・信頼性」を強みとしている。

JALの基盤となるのは旅客輸送事業であり、国内線では羽田・成田・伊丹・新千歳・福岡を中心とした主要路線に加え、地方都市同士をつなぐネットワークも充実している。ビジネス需要から観光需要まで幅広い客層に対応し、日本国内の移動インフラとして欠かせない存在となっている。また国際線ではアジア・北米・欧州を中心に、世界各地への中長距離路線を幅広く展開しており、海外旅行者のみならず、貿易・経済活動・国際会議など、さまざまな国際交流を支える役割を担っている。

さらに、JALは世界的航空連合「ワンワールド(oneworld)」のメンバーであり、世界中の航空会社と連携することで、単独ではカバーしきれない広大なグローバルネットワークを構築している。これにより、乗り継ぎの利便性向上や国際線ネットワークの強化が可能となり、世界中の主要都市へのアクセスが容易になっている。

旅客輸送に加えて、貨物輸送事業もJALの重要な柱である。航空貨物は半導体、医薬品、食品、国際小口貨物などタイムクリティカルな物流を支え、日本と世界の産業にとって欠かせない存在となっている。近年はEC需要の拡大により航空貨物の需要が高まりつつあり、物流面での役割も拡大している。

JALグループは航空事業以外にも強みを持つ。航空機の安全運航を支える整備事業、空港地上支援業務(ハンドリング)、旅行事業(JALパック)、マイレージプログラム「JALマイレージバンク」、さらには機内食製造や関連サービスなど、多岐にわたる事業をグループ会社が担っており、航空ビジネス全体を一体的に支える構造となっている。近年ではデジタル化やデータ活用、会員サービスの強化など、新たな収益源の開拓にも力を入れている。

また、環境対応(ESG)も重要テーマのひとつで、CO₂削減に向けた機材更新や省燃費運航、次世代のSAF(持続可能な航空燃料)の導入など、国際的な環境規制への対応を積極的に進めている。航空業界全体が脱炭素の流れにあるなか、JALもその一端を担っている。

このように日本航空は、日本国内外の移動インフラを支える重要企業であり、旅客・貨物・サービス・マイレージ・旅行事業など多角的なビジネス構造を築きながら、安全運航を最優先に経営を続けている。伝統ある航空会社としてのブランド力に加え、世界規模でのネットワークとサービス品質の高さが大きな特徴となっている。

日本航空 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) EPS(一株益・円) DPS(配当・円)
23.3 1,375,589 65,059 52,429 34,423 78.8 25
24.3 1,651,890 140,932 139,306 95,534 218.6 75
25.3 1,844,095 168,605 158,900 107,038 245.1 86
26.3(予) 2,000,000 200,000 185,000 118,000 270.2 92

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 292,908 -112,766 -38,465
2024 363,945 -195,099 -105,031
2025 381,527 -281,107 -64,910

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 4.7% 4.2% 1.3%
2024 8.5% 10.4% 3.6%
2025(予想) 9.1% 10.9% 3.8% 高値平均 21.0倍
安値平均 15.5倍
1.26倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

日本航空の直近の業績推移を見ると、コロナ禍からの回復が明確に数字へ反映されており、売上も利益も力強く伸びている。2023年3月期の営業利益は約650億円規模だったものが、2024年3月期には1,400億円規模へと大幅に増加し、2025年3月期には1,680億円まで拡大した。さらに2026年3月期についても営業利益2,000億円が見込まれており、航空需要の本格的な戻りと国際線ネットワークの再構築が継続的に収益を押し上げていることがわかる。

経常利益や純利益の推移も同じ流れで、2023年3月期は純利益344億円だったのが、2024年には955億円まで増加し、2025年には1,070億円規模を見込むまでに改善した。国際貨物や旅客収入の回復、そして円安による収益押し上げ効果などが業績を支えており、ANAと比較してもJALはコスト管理が極めて厳格で、利益率の改善ペースが速い点が特徴的である。

営業利益率を見ても、2023年時点では4%台だったものが、2024年には8%台、2025年には9%台と順調に改善している。航空会社として営業利益率が10%近い水準に迫っているのはかなり健全で、コロナ前の水準に戻るどころか、それ以上の効率化が進んでいる可能性すら感じさせる。ROEも2023年の4%台から、2024年には10%台、2025年もその水準を維持する見通しで、資本効率の改善もはっきりと見て取れる。

このような数字を並べていくと、日本航空はコロナ収束後の回復が本格化し、航空需要の正常化によって利益が自然な成長軌道に乗っていることが明確である。営業利益率やROEの改善も顕著で、国際線需要の戻りと円安が追い風となり、着実に収益体質が強化されている。そのうえ、JALらしい堅実なコスト管理も健在で、利益のブレが過度に大きくならない点も安心材料といえる。

ただし、評価指標に目を向けると、2025年の実績PERは高値平均で21倍、安値平均で15倍と、航空株としては標準からやや割高に見える水準にある。それでも業績改善がしっかり続いているため市場から許容されている面が強い。またPBRも1.26倍と極端な割高水準ではなく、業績の回復とともに“適正価格帯”に収まっている印象がある。

総合的に判断すると、日本航空はコロナ禍後の回復シナリオをほぼ順調に歩んでおり、短期的な大きな景気悪化さえなければ「堅実に回復するタイプの大型株」として評価しやすい銘柄である。航空業界全体が燃油価格、為替、世界景気、地政学リスクといった外部要因の影響を強く受けるため、成長株のようにPERが跳ね上がっていくタイプではないが、着実に利益を積み上げ、ほどよく株価がついていく“安定回復銘柄”という性格が濃い。

現時点での位置づけとしては、極端な割高・割安感があるわけではなく、業績が伸び続ける限りは中長期で堅調な推移を期待できる“実力相応の価格帯で落ち着く安定銘柄”という評価が最も現実的だろう。

配当目的とかどうなの?

日本航空の配当利回りを見ると、2026年3月期の予想配当利回りは3.09%、翌2027年3月期には3.22%と、国内の大型株の中では比較的高めの水準に位置している。利回りだけを見れば一定の魅力があり、安定したインカムゲインを狙う投資家にとっては悪くない数字だといえる。特に航空株は一般的に高配当セクターではないことを考えると、3%台に乗せてきている点はJALの回復力を裏付けるものでもある。

ただ、配当を評価する際は利回りだけで判断するのではなく、配当の“持続力”と“増配余地”をみることが重要になる。直近のJALの業績を見ると、コロナ後の正常化が進んでおり、営業利益・純利益ともにしっかり回復しているため、今の段階では配当の安定感は高いといえる。2023年から2025年にかけて利益は急回復し、営業利益率やROEも改善しており、財務基盤も整いつつある。こうした業績面の強さが、現在の配当水準を支えている。

一方で、航空業界はどうしても外部要因の影響を強く受ける。燃油価格の上昇、為替の急変、世界景気の減速、地政学リスク——こうした要因が一つでも重なると、利益が一気に圧迫される可能性がある。つまり、配当の“安定性”は一定以上確保されているが“増配が続くか”といえばやや不透明な部分も残る。JALはコスト管理能力が高い企業ではあるものの、原価の大半が変動費であるため、外部環境次第では配当の伸びが鈍化することも考えられる。

ただし、現在のJALはコロナ禍のダメージから立ち直り、利益体質を強化してきている。その結果、無理なく3%前後の配当を出せる状態になっており、“配当が急に削られる可能性は低い段階”まで戻ってきているのは間違いない。増配余地は大きくないが、配当の安定を優先する投資家にとっては「ちょうど良い安心感のある銘柄」といえる。

総合してみると、日本航空は配当利回りが3%台と標準以上で、直近の業績回復も相まって“安定的な配当を受け取る”という目的にはかなり適している銘柄といえる。景気循環の影響を受けやすい点は注意が必要だが、大きな増配を期待するよりも、安定配当を長期で受け取るタイプのインカム投資として相性が良いだろう。

今後の値動き予想!!(5年間)

日本航空(JAL)の株価は現在2,975円だが、この銘柄を5年という中期スパンで見る場合、航空業界特有の景気敏感性と、同社が持つ強みの両方を理解しておく必要がある。コロナ禍からの回復がほぼ完了し、国際線の旅客数も正常化に向かって回復が続く一方で、燃油価格や為替、世界景気といった外部要因が依然として収益を左右するため、株価は緩やかに動きやすい反面、急激な爆発的成長は期待しづらいという特徴がある。

まず、良い方向に進むケースでは、世界的な航空需要の回復がもう一段と進むことが前提となる。北米・欧州路線のビジネス需要が戻り、アジア圏の観光・出張需要も継続的に伸びていけば、JALの国際旅客収入は強く押し上げられる。また、航空業界にとっては為替も重要で、円安基調が続けば海外収益の円換算が増えやすく、採算がさらに改善する。こうした追い風が揃うと、業績の安定成長というシナリオが現実的になり、その結果として株価も穏やかに上昇していくことが期待できる。5年後の株価は 3,600円から4,200円程度 を射程に収めるような、無理のない上昇トレンドが描けるだろう。

中間的なシナリオでは、国際線の回復は一通り進むものの、その後の伸びが鈍化し、航空需要が高止まりしたまま落ち着くケースが考えられる。航空業界は景気と連動しやすいため、世界経済が緩やかに推移する限り、利益も一定の範囲で安定しやすい。燃油価格や為替が極端にブレなければ、JALの収益は大きく崩れず、ほどほどの配当と安定した利益が続く可能性が高い。この場合、株価は現在の価格を中心にしたボックス相場になりやすく、2,800円から3,300円前後 を行ったり来たりしながら、落ち着いた値動きになる可能性が高い。

一方で、悪い方向に振れるシナリオでは、世界景気の減速、燃油価格急騰、円高、地政学リスクの高まりなどが重なって航空需要が落ち込む状況が考えられる。航空業界は外部環境に大きく左右される産業であるため、こうした要因が一つでも強く出ると、JALの利益は圧迫されやすい。特に国際線は景気に敏感で需要変動が大きいため、国際旅客収入の低下が続けば株価にも下押し圧力がかかる。このような局面では、株価は 2,300円から2,600円台 まで下落する可能性があり、投資家はリスクに対して慎重な姿勢を取らざるを得なくなるだろう。

総合すると、日本航空は「急激に伸びるグロース株」というよりは、「外部環境が落ち着いていれば着実に利益を出し、株価も穏やかに動く安定寄りの銘柄」という評価が適切である。航空需要の回復がどこまで維持されるか、そして燃油・為替・世界景気といった変動要因がどれだけ穏やかに推移するかによって、株価レンジは大きく変わる。とはいえ、現在の回復基調が維持される限り、JALは中長期で安定性のある大型株として位置づけられ、極端に割高・割安に振れづらい“実力相応の価格帯”で推移する可能性が高い。

この記事の最終更新日:2025年11月23日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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