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KDDI(9433)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

KDDIとは

KDDI株式会社は、日本の大手通信キャリアとして「au」ブランドを中心に幅広い通信サービスを展開する企業であり、NTTドコモ・ソフトバンクと並ぶ三大通信会社の一角を占めている。2000年にDDI、KDD、IDOが統合して誕生した経緯を持ち、固定通信・モバイル通信・データ通信・法人向けICT・金融・エネルギーサービスまで、現代の生活と産業を支える多岐にわたるサービスを提供している。通信事業を軸にしながらも、「通信 × ライフデザイン」という経営戦略のもと、通信以外の領域にも積極的に展開している点がKDDIの特徴である。

まず中核となるのは、auブランドによるモバイル通信事業だ。全国のスマートフォンユーザーに向けて高品質な4G・5Gネットワークを提供しており、通信品質の改善、エリア拡大、基地局の高度化を継続的に進めている。また、格安ブランド「UQ mobile」も好調で、価格重視のユーザー層を獲得し、グループ全体のユーザー基盤を強化している。モバイル事業は安定した収益源であり、KDDIの強固な財務基盤を支える柱となっている。

一方で、法人向けICT事業もKDDIの成長戦略において極めて重要な位置を占める。企業向けにはクラウド導入支援、IoTシステム構築、AI・データ分析、セキュリティソリューション、海外ネットワーク構築など多様なITサービスを提供しており、工場・物流・小売・交通・自治体など幅広い産業のデジタル化(DX)を支えている。KDDIはIoT分野で国内トップクラスの実績を持ち、製造ラインの最適化や車両の遠隔管理、社会インフラの監視システムなど、具体的な産業ソリューションの提供にも強みがある。

KDDIの大きな特徴として、「通信以外の非通信分野」を戦略的に伸ばしている点が挙げられる。金融サービス(au PAY、auじぶん銀行、auカブコム証券、auフィナンシャルHD)、EC・エンタメ(auスマートパス、動画・音楽配信)、電力サービス(auでんき)、保険事業など、多角的なサービス展開により“通信契約者との長期的な関係”を築くエコシステムを構築している。通信料金だけに依存するのではなく、生活全体を支えるサービスへ広げることで、収益の安定性と成長性を両立している。

近年では地方創生や地域DXにも注力しており、自治体と連携したスマートシティ化、農業のスマート化支援、防災・減災技術の導入など、社会課題の解決にも力を入れている。さらに、災害時の通信確保に向けたStarlink(衛星インターネット)との連携、AIを活用したネットワーク最適化など、新技術の導入にも積極的だ。海外事業も成長を続けており、特にアジア地域での通信サービス・法人ITサービスを拡大している。

事業領域は広いが、KDDIの根幹にあるのは「安定した収益基盤」と「複数の成長分野」という強力な組み合わせだ。通信キャリアとしての確固たる地位に加え、非通信領域の拡大による収益分散が進んでいるため、景気の影響を受けにくいバランスの取れた事業構造を持っている。まさに日本の通信インフラ企業としての安心感と、成長企業としての側面を合わせ持つハイブリッドな企業と言える。

KDDI 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 税前利益(百万円) 純利益(百万円) EPS(円) DPS(円)
23.3 5,671,762 1,075,749 1,077,878 677,469 155.1 67.5
24.3 5,754,047 961,584 992,725 637,874 150.6 70
25.3 5,917,953 1,118,674 1,104,625 685,677 169.3 72.5
26.3(予) 6,330,000 1,178,000 1,200,000 748,000 195.7 80

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 1,078,869 -732,480 -669,837
2024 1,706,498 -832,433 -476,477
2025 1,249,042 -1,180,103 -33,555

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 18.9% 13.2% 5.6%
2024 16.7% 12.1% 4.5%
2025 18.9% 13.3% 4.0% 高値平均 15.8倍
安値平均 12.6倍
2.08倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

KDDIの直近の業績推移を見ると、この企業が「極めて安定した収益体質」を持つことが、数字からもはっきりと読み取れる。売上高は5.6兆円、5.7兆円、5.9兆円と大きな変動はないものの着実に増加しており、2026年3月期には6.3兆円が計画されている。国内通信市場は成熟し、新規の大幅成長が難しい環境にあるが、その中でも増収を続けられるのは、KDDIが持つ強いブランド力と広い顧客基盤の存在が大きい。

利益面をより詳細に見ていくと、2024年に営業利益が一度落ち込んだものの、その後すぐに持ち直している。営業利益は2023年が約1兆755億円、2024年が9,615億円、2025年には1兆1,186億円へ回復し、2026年予想ではさらに1兆1,780億円まで伸びる見通しだ。税前利益についても同様で、2023年の1兆779億円から2024年は9,927億円へとやや減速したが、2025年には1兆1,046億円、2026年には1兆2,000億円に到達する見込みとなっている。純利益も安定しており、2023年が6,774億円、2024年が6,379億円、2025年が6,856億円と推移し、2026年には7,480億円まで伸びる計画が示されている。

このように、売上推移こそ緩やかであるものの、利益は通信の値下げ圧力があるにもかかわらず着実な回復と再成長を続けている。背景には、UQ mobileによる顧客層の広がり、法人向けICTやクラウド・DX案件の増加、そして金融・エネルギーといった“非通信領域”がしっかり利益に貢献している点が挙げられる。

特に利益率は通信業界でもトップクラスで、営業利益率は常に16〜19%台を維持している。ROEも12〜13%で安定しており、大企業として十分に高い資本効率を示している。ROAも4%台と、重厚な設備産業である通信業の中では非常に優秀な水準だ。効率性・収益性ともに安定しており、財務体質の強さが際立つ。

また、評価指標を見ると、2025年のPERは高値平均15.8倍・安値平均12.6倍、PBRは2.08倍となっている。割安ではないものの、安定成長株としては妥当〜やや割安寄りの水準に位置するといえる。過度に期待だけが先行した株価ではなく、実力に裏付けされた評価を受けている印象だ。

総合すると、KDDIは景気変動の影響を受けにくい強固な事業基盤を持ち、通信に加えて金融、エネルギー、法人ICTといった複数の収益柱がバランスよく育っているため、中長期投資と非常に相性の良い銘柄である。利益率の高さ、ROE・ROAの安定性、継続的な自社株買いと増配という株主還元姿勢を考えると“守りの資産”として保有価値が高い。一方で、事業特性として爆発的な成長は見込みにくく、短期間で株価が大幅に跳ねるタイプではない点も同時に理解しておく必要がある。安定収益を重視し、長期でじっくりリターンを積み上げたい投資家向けの銘柄だと言える。

配当目的とかどうなの?

KDDIの予想配当利回りは2026年3月期・2027年3月期ともに2.94%とされており、日本の大型株としては標準よりやや高めの位置にある。数字だけを見ると控えめな印象を受けるかもしれないが、KDDIが長年にわたって増配と自社株買いを継続してきた企業であることを踏まえると、単なる利回りの数値以上に“株主還元の質の高さ”が際立つ銘柄だと言える。

実際、KDDIは国内の通信大手の中でも特に業績のブレが小さく、EPSも綺麗な右肩上がりを続けてきた。利益が安定して積み上がるということは、配当の原資が揺らぎにくいということであり、将来的な配当維持・増配への安心感につながっている。長い歴史を振り返っても減配をしたことがなく、常に配当を守りながら、その時々の状況に応じて増配か据え置きを選択しており、典型的な“優良配当企業”として評価されている理由がここにある。

また、KDDIは配当だけではなく自社株買いにも非常に積極的で、多い年には数千億円規模の買い戻しを実施してきた。配当と自社株買いを合わせた総還元性向で見れば、実質的な株主リターンは3%台後半から4%台に達することもあり、表面的な配当利回り以上の恩恵を長期投資家にもたらしてきた。数字の見た目以上に、実際にはかなり手厚い還元が行われている企業である。

とはいえ、単純に利回りの高さだけを求めるタイプの投資家からすると、3%弱という水準は物足りなく映る可能性もある。特に4〜5%の高配当銘柄を積極的に狙う人にとっては、KDDIは“絶対的な利回りの高さで勝負する銘柄”ではない。ただ、株価の安定性や業績の安定性を踏まえると、インカム投資としての安全性は非常に高く、リスクの小ささという別の価値を持っている。

通信市場が成熟しているため、配当が急激に伸びるという期待は持ちにくいものの、それでも堅調な利益と強固な財務基盤がある限り、今後もじわりとした増配や安定した配当水準が続く見通しだ。株価の上下動を気にせず、長期にわたって安定した配当を受け取っていきたい投資家にとって、KDDIはまさに最適な存在といえる。

総合的に見ると、KDDIは利回りこそ控えめに映るものの、配当の安定性と自社株買いを含む総合的な株主還元の規模を考えれば、長期保有との相性は非常に良い。守りを重視したポートフォリオに組み入れるには理想的な銘柄であり、急成長を狙う攻めの投資ではなく、持ち続けることで確実にリターンを積み上げていくタイプの投資家に向いていると言えるだろう。

今後の値動き予想!!(5年間)

KDDIの株価は現在2,718.5円で推移している。通信大手の中でも特に業績が安定しており、利益のブレも小さい企業のため、株価が大きく上下に振れるタイプではなく、長期的には「ゆっくり上がりやすく、下がりにくい」傾向が強い。通信事業に加えて、金融・エネルギー・法人ICTの収益が着実に伸びており、今後の株価推移はこれらの成長力と株主還元の姿勢がどれほど評価されるかによって決まってくる。

良い場合のシナリオでは、法人向けICT事業の拡大や、金融・エネルギー領域の収益貢献がさらに進み、売上・利益ともに安定成長を続けるケースが考えられる。加えて、KDDIが長年取り組んできた自社株買いや増配が今後も継続されれば、需給面での下支えが強まり、株価はじわじわと上昇していく。こうした順調な環境が続いた場合、5年後には株価が 3,300〜3,800円程度 のレンジまで伸びていく可能性がある。派手さはないが、確実に評価が積み上がる展開だ。

中間のシナリオでは、通信市場の成熟による成長の鈍化や料金競争の継続などを背景に、業績は堅調ながらも大きく伸びない状態が続くことが想定される。この場合、株価は大きく崩れることもないが、強い上昇圧力も出にくいため、緩やかな値動きとなる。自社株買いが下支えとなりながら、業績に沿った形でゆっくりと推移し、5年後の株価は 2,600〜3,000円程度 の範囲で落ち着く可能性が高い。

悪い場合のシナリオでは、政府の通信料金引き下げ政策が再び強まるケースや、法人向けICTや金融事業の伸びが鈍化するケースが考えられる。また、大規模投資の増加によって利益率が一時的に低下すれば、市場の評価もやや厳しくなる可能性がある。このような複数の逆風が重なった場合、株価は弱含む展開となり、5年後には 2,200〜2,500円程度 の水準まで下振れする可能性もある。ただし、KDDIはキャッシュフローや利益安定性が極めて高く、事業基盤も強固なため、極端に暴落するような展開は考えにくい。

総合すると、KDDIの株価は大きなサプライズで急騰するタイプではないものの、安定した業績と強い株主還元によって、長期ではじわりと評価が高まりやすい。短期で大きく儲ける銘柄ではないが、下値を抑えながらゆるやかな成長と配当を積み上げていく“堅実な長期投資向け銘柄”という位置づけになるだろう。

この記事の最終更新日:2025年11月23日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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