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大阪ガス(9532)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

大阪ガスとは

大阪ガスは、大阪府を中心に関西一円へ都市ガスを供給する、日本を代表する総合エネルギー企業である。いわゆる「関西のガス会社」として知られているが、近年はガス事業だけでなく電力販売、海外エネルギー開発、産業用エンジニアリング、都市開発など幅広いビジネスを展開している。大企業・工場・商業施設・家庭向けまで幅広い顧客を持ち、関西の都市インフラを支える中心的存在となっている。

事業の柱である都市ガス供給では、液化天然ガス(LNG)を海外から輸入し、自社の基地で気化処理を行い、広範囲にわたるパイプライン網を通じて供給している。関西は工場・商業施設が多く、大口需要家の比率が高いため、安定した需要を持つことが大阪ガスの強みでもある。また、ガス料金や契約形態の多様化にも取り組んでおり、家庭向けの省エネ提案、セット割、ガス機器の販売・メンテナンスなど、生活に密着したサービスも提供している。

電力事業にも積極的で、電力自由化以降はガスと電気のセット販売を強化し、関西以外でも顧客を拡大している。自前の火力発電所の運営に加えて、再生可能エネルギー(太陽光・風力・バイオマスなど)の開発にも注力しており、ガス会社から「総合エネルギー企業」への転換を進めている。電力販売量も年々拡大しており、ガスと電気の二本柱で安定した収益基盤を築いている。

海外事業にも積極的で、LNG関連の事業投資、資源開発、海外の発電事業、エネルギーソリューションなど、国際展開を強化している。特に東南アジア・北米・欧州などでエネルギーインフラ事業に参画しており、国内だけでなく世界規模で収益源の多様化を目指している。

さらに大阪ガスは、エンジニアリング・産業用エネルギーソリューションにも強みを持つ。工場向けの省エネ設備、ガスコージェネレーションシステム、業務用空調、各種プラント設備の開発・設計など、企業向け総合エネルギーサービスを幅広く展開している。近年では、水素活用やカーボンニュートラルメタン(メタネーション)の開発など、脱炭素分野への取り組みも積極的に進めており、“未来のエネルギー会社”としての方向性を明確に打ち出している。

不動産・生活サービス事業も行っており、オフィスビルや商業施設の開発、都市再開発プロジェクトへの参画、リフォーム・住宅設備サービスなど、暮らし全体をサポートするビジネスも幅広く展開している。長年のインフラ運営で築いた信頼とネットワークを活かし、エネルギー以外の事業でも安定した収益を生み出している。

総合すると、大阪ガスは「ガス会社」という枠を超え、ガス・電力・海外エネルギー・エンジニアリング・都市開発といった多角的な事業で成長を続ける大手エネルギー企業である。関西地域の生活・産業インフラを支える基盤を持ちながら、新しいエネルギー事業に積極的に投資し、脱炭素時代に対応した企業進化を続けている点が大きな特徴となっている。

大阪ガス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) EPS(円) 1株配当(円)
連23.3 2,275,113 60,001 75,649 57,110 137.4 60
連24.3 2,083,050 172,553 226,563 132,679 320.6 82.5
連25.3 2,069,019 160,731 189,647 134,414 333.3 95
連26.3予 2,040,000 139,000 165,000 127,000 323.0 105

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 33,572 -203,938 119,617
2024 312,609 -215,944 -110,123
2025 283,681 -255,626 -34,085

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 2.6% 4.1% 2.0%
2024 8.2% 8.4% 4.4%
2025 7.7% 7.9% 4.1% 高値平均 13.7倍
安値平均 9.9倍
1.22倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

大阪ガスの直近の業績推移を見ると、この企業が「安定したエネルギーインフラ企業でありながら、利益面では比較的ブレが小さく、長期保有に向いたバランス型の銘柄」であることがよく分かる。まず、売上高は2兆円前後で安定しており、23.3期〜26.3期予想までほぼ横ばいのレンジで推移している。電力会社と違い、ガスを中心とした事業構造であるため、燃料価格の急上下に影響されにくく、売上の安定性は比較的高い。

利益面を見ると、23.3期は営業利益が600億円と低水準だったが、24.3期には1,725億円へ急回復し、25.3期1647億円、26.3期予想1390億円と、利益水準は良い意味で“常識的なレンジ”に落ち着いている。24.3期はLNG価格の急落や在庫評価などプラス要因もあり利益が跳ねたが、それ以降は企業の本来の実力で利益を稼いでいると見てよい。売上規模に対する利益の安定感は十分にあり、エネルギー企業としての収益基盤は堅固だ。

経常利益も同様に安定しており、23.3期756億円→24.3期2,265億円→25.3期1,896億円→26.3期予1,650億円という推移で、極端に赤字に転落するような不安定さは一切ない。純利益も安定的に黒字を維持しており、EPSは137円→320円→333円→予想323円と、十分な利益を株主に返せる力を持ち続けている。

指標面を見ても、営業利益率は2.6%→8.2%→7.7%と明確に改善傾向にあり、事業効率が高まっていることが分かる。ROEは4.1%→8.4%→7.9%、ROAも2.0%→4.4%→4.1%と、エネルギーインフラ企業としては標準的〜やや高い水準。電力大手に比べても収益構造が安定しており、財務の健全性も問題ない。

PERは26.3期で高値平均13.7倍、安値平均9.9倍と、割安でも割高でもない“中立価格”に近い評価を受けている。PBR1.22倍という数字も適正で、資産価値に対して株価が過熱しているような状況ではない。むしろこの安定性を考えると「1.2倍で買えるのはわりと妥当」という印象で、割高感はほとんどない。

総合すると、大阪ガスは大きく成長するタイプの株ではないが、安定した売上基盤、黒字・利益率の安定、財務の健全性、そして継続した増配方針を持つ“非常に手堅い中堅エネルギー株”である。市況に左右されやすい東京ガスや、原発リスクを持つ電力株に比べても、業績の読みやすさは格段に高い。短期で爆発的に上がる銘柄ではないが、長期で見れば着実に株主価値を積み上げていくタイプの企業であり、守りを重視する投資家との相性が非常に良い。

配当目的とかどうなの?

大阪ガスを配当目的で考える場合、この銘柄は「ほどよい利回りと安定感を兼ね備えた、インフラ系の堅実な配当株」という位置づけになる。予想配当利回りは26.3期で2.28%、27.3期では2.47%と、特別高い水準ではないが、安定性を重視した投資としては十分に使える利回りだ。日本株全体の平均利回りは2%前後であるため、それを少し上回る“堅めの中配当株”というイメージに近い。

大阪ガスの強みは、配当の安定性と継続的な増配姿勢にある。実際の配当を見ると、23.3期の60円から24.3期82.5円、25.3期95円、そして26.3期予想105円へと着実に増配を続けている。利益が上下する年があっても、黒字基調は崩れず、キャッシュフローも安定しているため、減配リスクが非常に小さい点は大きな魅力だ。

ガス会社は原料価格の影響を受けるものの、大阪ガスは電力販売・海外エネルギー事業・エンジニアリングなど複数の収益源を持っており、単一の市況に依存していない。これによって利益のブレが比較的小さく、配当を払い続ける余力を確保しやすい。電力会社のように赤字や原発リスクで配当が不安定になるケースが少ないため、配当目的の投資としては評価が高い。

さらに、PBR1.2倍前後という適正~やや割安の水準で推移していることからも、過度な割高感がなく、長期で配当を受け取りながら保有するのに向いている価格帯と言える。業績が極端に悪化しにくい企業体質である点を考えると、利回り2%台でも“安定して積み上がる配当”として十分な価値がある。

ただし、高配当株のように3〜5%の利回りを狙うタイプの投資家には物足りないかもしれない。あくまで大阪ガスは“リスクが低く、配当も安定している堅実株”というカテゴリであり、利回りだけを追う投資スタイルとは少し方向性が違う。利回りよりも、安定性・継続性・配当の右肩上がりを評価する投資家に向いている銘柄だ。

総合すると、大阪ガスは「大きく儲ける高配当株」ではないが、「確実に・安定して配当を受け取りたい人」にとても相性が良い。インフラ企業らしく収益基盤は硬く、市況に振り回されすぎず、増配傾向も続いており、長期で保有するほどメリットを感じやすい銘柄だと言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

大阪ガスの株価は現在 5,243.0円だが、今後5年間の値動きを考えるうえで重要なのは、LNG価格の動き、ガス・電力販売の競争環境、海外事業の利益貢献、そして脱炭素関連投資の進展など複数の要因だ。大阪ガスはエネルギー企業の中でも業績が比較的安定しており、急騰・急落が少ない“堅い株”の代表格だが、その中でもシナリオによって株価の行方は大きく変わる。

まず 良い場合 だが、LNG調達コストが安定し、ガス・電力ともに契約数が堅調に増え、海外のエネルギー事業や再エネ投資が利益貢献していく展開。設備投資が成長に繋がり、収益力が上がるような状況になれば、企業価値が見直されて株価が上向く可能性が高い。PERやPBRも上振れしやすくなり、この場合の5年後は 6,200〜7,200円 の範囲まで上昇する可能性がある。大きな材料は出なくても、じわじわと評価が高まっていくイメージだ。

次に 中間の場合 は、もっとも現実的なシナリオになる。ガス需要と電力需要は安定し、海外事業も黒字を維持するが、特別大きな成長材料も出ない状態。燃料価格が急騰したり、逆に大きく暴落したりすることもなく、普通に事業が進むパターンだ。大阪ガスは元々値動きが穏やかな銘柄のため、この場合は株価が今の水準を軸に上下しやすく、4,700〜5,600円 のレンジで推移するのが自然だ。配当を受け取りながら安定した値動きが続くような、典型的なインフラ株の動きになりやすい。

最後に 悪い場合 のシナリオでは、LNGの調達価格が再び高騰してコスト負担が重くなることや、ガス・電力販売の競争激化で利益が圧迫されるケースが考えられる。設備投資の先行や海外事業の不調が重なると、利益が細って株価の評価も下がりやすい。この場合、株価は 3,800〜4,600円 程度まで下落するリスクがあり、特に燃料価格が不安定な時期は下方向に振れやすい。

総合的に見ると、大阪ガスは大きく上に跳ねるタイプではないが、大崩れもしにくい堅実な銘柄であり、長期保有で安定を求める投資家に向いている。現在の5,243円はおおむね“中間シナリオの中心値”に近く、ここから先のトレンドは燃料市況とエネルギー政策が大きなカギを握ることになる。

この記事の最終更新日:2025年11月23日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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