株価
コナミグループとは

コナミグループは、日本を代表する総合エンターテインメント企業であり、ゲームからスポーツ、アミューズメント、カジノ向けシステムまで幅広く事業を展開している。1969年の創業から50年以上にわたり、時代の変化に応じて事業を進化させてきた企業で、現在では世界中にファンを持つコンテンツメーカーへと成長している。
同社の中核を担うのが「デジタルエンタテインメント事業」で、家庭用ゲーム、モバイルゲーム、カードゲーム、eスポーツを含む幅広い分野をカバーしている。代表的なタイトルとして、世界中で人気のある『遊戯王』シリーズ、長年愛され続けるサッカーゲーム『ウイニングイレブン』(現在は「eFootball」に改称)、誰もが知る国民的パーティゲーム『桃太郎電鉄』、さらに『ときめきメモリアル』『メタルギアソリッド』など、業界でも屈指のIP(知的財産)群を保有している。このIPの強さこそがコナミの最大の競争力であり、カードゲーム、スマホアプリ、アニメ化、グッズ展開など多角的な収益化を可能にしている。
特に『遊戯王OCG(Official Card Game)』は世界規模のトレーディングカードゲーム市場で圧倒的な人気を誇り、毎年安定した売上を生み出す“超優良ストックビジネス”となっている。カード市場は景気変動の影響を受けにくく、イベントや大会運営によってコミュニティが継続的に盛り上がるため、今後も長期安定収益が見込める分野である。またeスポーツにも積極的で、『eFootball』では国際大会の開催やプロリーグの運営など、デジタルとスポーツを融合させた新しい分野にも挑戦している。
アミューズメント事業では、ゲームセンター向けの音楽ゲームやメダルゲーム、アーケード筐体の開発を長年続けており、日本のアミューズメント文化を支えてきた。特にBEMANIシリーズは、90年代から続くロングセラーで、音楽ゲームの代名詞とも言える存在だ。『beatmania IIDX』『SOUND VOLTEX』『jubeat』などは若者を中心に根強い人気があり、国内アミューズメント市場を牽引している。
「ゲーミング&システム事業」では、カジノ向けスロットマシンやゲーミングシステムを北米やアジアに展開している。日本ではまだカジノ市場が存在しないが、海外ではコナミのゲーミング機器が高い評価を受けており、この事業は同社の海外収益の柱のひとつになっている。カジノ運営を支える管理システムやメンテナンスビジネスも手掛けており、継続的な収益が見込めるストック型ビジネスとして期待されている。
さらにコナミスポーツを中心にした「スポーツ事業」では、全国でフィットネスクラブやスイミングスクールを運営し、トレーニング、健康管理、運動指導などのサービスを提供している。子ども向けスクールやシニア向け健康プログラムなど幅広い年齢層を対象としており、健康志向の高まりとともに安定した需要が続いている。
総合すると、コナミグループは「デジタルエンターテインメント、アミューズメント、ゲーミング、スポーツ」という4つの柱を持つ多角的なエンターテインメント企業である。ゲームIPの強さ、アミューズメント機器の技術力、海外ゲーミング市場での存在感、国内スポーツクラブの運営実績など、多分野に強固な基盤を持っていることが大きな特徴だ。景気変動に左右されにくい事業と成長性の高いIPを両立している稀有な企業で、今後も国内外で安定した収益成長が期待される。
コナミグループ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | EPS(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 314,321 | 46,185 | 47,120 | 34,895 | 258.8 | 124 |
| 24.3 | 360,314 | 80,262 | 82,685 | 59,171 | 436.5 | 131 |
| 25.3 | 421,602 | 101,944 | 104,008 | 74,692 | 551.0 | 165.5 |
| 26.3予 | 450,000 | 116,000 | 116,000 | 82,000 | 604.9 | 166〜182 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 36,098 | -42,786 | -27,467 |
| 2024 | 103,061 | -29,216 | -24,199 |
| 2025 | 114,620 | -67,885 | -25,784 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値/安値) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 14.6% | 9.2% | 6.3% | – | – |
| 2024 | 22.2% | 13.8% | 9.7% | – | – |
| 2025 | 24.1% | 15.5% | 11.2% | 31.7倍 / 17.4倍 | 6.35倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
コナミグループの直近の業績推移を見ると、この企業の強さが非常に分かりやすく表れている。まず売上高は23.3期の3,143億円から、26.3期予想の4,500億円へと3年で約1.4倍に伸びており、成長速度はエンタメ企業の中でもかなり高い部類に入る。特に伸びが大きいのは利益面で、営業利益は23.3期の461億円 → 26.3期予想では1,160億円と、3年で2倍以上に拡大している。この高い成長率は、ゲーム・カード・ゲーミング(カジノ向け)・スポーツなど複数事業がバランスよく伸びている結果であり、ビジネスモデルの強固さを示している。
経常利益・純利益も同様に右肩上がりで、純利益は23.3期の349億円から25.3期には746億円、26.3期予想では820億円に達する見込みとなっている。収益性の改善が明確で、特に25.3期と26.3期は過去最高クラスの利益水準だ。EPS(1株利益)も258.8円 → 551.0円 → 604.9円と急速に伸びており、株主価値が大きく積み上がっていることが分かる。このEPSの伸び方は国内ゲーム企業の中でもかなり優秀で、同社が成長モードに入っていることを示す重要なサインだ。
利益率に目を向けると、営業利益率は23.3期の14.6%から25.3期には24.1%と、非常に高収益体質に移行している。20%を超える営業利益率を安定的に維持できるゲーム会社は強いIP(知的財産)を複数抱えている場合が多く、コナミの場合は『遊戯王』『eFootball』『桃鉄』など、国内外で長期収益を生むタイトルが揃っていることがこれを裏付けている。
ROEも9.2% → 13.8% → 15.5%と順調に改善し、企業の効率的な資本運用が進んでいる。ROAも6.3%から11.2%に上昇しており、事業全体の収益性が大幅に改善していることが分かる。特にROE15%超は優良企業の指標としてよく用いられるラインで、コナミはこの水準に到達している。
指標面を見ると、PERは高値基準で31.7倍、安値基準で17.4倍と幅があるが、市場から「成長企業」としてしっかり評価されている状態だ。またPBRは6.35倍と高めで、純資産に対して市場評価がかなり強い。これはIPビジネス中心の企業では珍しくない傾向で、ディズニーや任天堂などと同じく、「ブランド価値やコンテンツ価値がPBRの高さを正当化する」タイプの企業に分類される。
総合的に見ると、コナミは「中期的に売上・利益がしっかり伸びる成長企業」であり、業績の安定性と成長性の両方を兼ね備えている。強力なコンテンツ群と多角的な収益源(ゲーム、カード、カジノ機器、スポーツクラブ)を持つため、特定事業に依存するリスクも小さい。業績が落ちにくく、成長も期待できるバランスの良さが際立っている。
ただし株価はPER30倍前後まで買われることもあるため、過度に高い水準でのエントリーは短期的な調整リスクを伴う。一方、安値PER17倍台付近では割安に近く、中期保有前提なら比較的買いやすい局面となる。
結論として、コナミは「安定した利益成長+IPの強さ+高収益」を備えた優良成長株であり、長期の資産形成にも向く銘柄と評価できる。
配当目的とかどうなの?
コナミグループを配当目的で考える場合、この銘柄はハッキリ言って「配当狙いには向かない」。予想配当利回りは26.3期・27.3期ともに0.68%と1%を大きく下回る水準で、日本株としてはかなり低い部類に入る。高配当株を求める投資家にとっては、候補から外れてしまうレベルの利回りと言える。
ただ、この低い利回りには明確な理由がある。コナミは近年、ゲーム事業・カード事業・ゲーミング事業(カジノ向け)の好調で利益が急拡大しており、企業価値そのものが市場で高く評価されている。それに伴って株価が上昇し、結果として配当利回りが低く見えてしまっている構造になっている。つまり「配当が少ない」のではなく、「株価が高いから利回りが下がっている」という状態だ。
実際に配当自体は毎年しっかり増えている。23.3期は124円だった年間配当が、24.3期に131円、25.3期は165.5円、26.3期予想では166〜182円へと増配トレンドが続いており、“企業の成長に合わせて無理なく配当を伸ばしている”タイプの銘柄だ。EPSも急成長しているため、配当性向はむしろ低く、利益の多くをゲームIP開発や設備投資、海外ゲーミング事業の強化に回している。このため、長期成長を最優先する経営方針が色濃く反映されている。
コナミを保有する投資家は、配当収入を目的にするのではなく、「EPSの成長による株価上昇」や、「IPの強さによる長期の企業価値向上」を狙うケースが多い。配当がちょっとずつ増えることは嬉しいが、それ以上に株価そのものの成長が大きなリターンを生むタイプの銘柄である。
また、コナミのビジネスはデジタルエンタメ、カード、カジノ機器、スポーツクラブなど多角化されており、特に遊戯王のトレーディングカード事業やeFootballなどのデジタル収益は長期的に強いストックビジネスとして機能する。そうした背景から、配当よりも“持っているだけで企業価値が積み上がる成長株”に分類される。
総合すると、コナミは「配当を目的に買う銘柄ではなく、成長を目的に長期で保有するタイプのグロース寄り優良株」。配当利回り0.68%という数字だけで判断すると低いが、堅実な増配と企業の利益成長が続いているため、資産形成という観点では魅力は大きい。一方で、配当収入を重視したい投資家には適性が低く、別の高配当銘柄を選んだ方が効率的と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
コナミグループの今後5年間の株価を、現在値24,160円を起点にして長期視点で考えると、この企業の持つ事業構造の強さがそのまま将来の株価シナリオにつながっていくことがよく分かる。コナミはゲーム、カード、カジノ向けゲーミング、スポーツクラブという4本柱を持っているが、特に「遊戯王OCG」「デジタルゲーム(家庭用・アプリ)」「ゲーミングシステム」の3領域は世界的にも強い収益源となっている。これらは景気の影響を受けにくい“強いIP”ビジネスであり、しかも利益率が高いのが特徴だ。
ここ数年の利益成長を見ると、営業利益が4,600億→8,000億→1兆円超えと一段階ずつ成長しており、EPSも258円→436円→551円→604円と力強く伸びている。EPSが右肩上がりの企業は、株価も長期的にはそれに連動しやすいため、コナミも中期的な成長シナリオを描きやすいタイプの銘柄だといえる。また、海外売上比率が高まっていることも長期的な強みで、特に北米のカジノ向けゲーミングシステムが好調で、同分野は景気に左右されにくい高収益モデルが確立しつつある。
まず「良い場合」は、複数事業が順調に伸び、IP価値の高まりと海外収益の増加が重なって企業価値が大きく評価されるパターンだ。この場合、EPSが800円台〜1,000円台に乗り、PERも25〜30倍の高評価が維持される可能性があり、株価は3万円台から場合によっては3万5千円近くまで上昇する余地がある。遊戯王の世界需要やゲーミングシステムの拡大が続けば、十分実現可能なシナリオだ。
一方で、「現実的な中間シナリオ」では、過度な期待はなくとも、堅実な成長が続くと考えられる。EPSは650〜750円程度に上昇し、PERは18〜22倍程度で落ち着くと、株価は26,000〜29,000円の範囲で推移する可能性が高い。このパターンが最も現実的で、派手ではないが着実に株主価値が積み上がっていく動きになる。
逆に「悪い場合」を考えると、ゲーム市場の調整やスポーツクラブ部門の収益悪化、カード市場の一時停滞などが同時に起こるケースが挙げられる。利益の伸びが鈍り、EPSが600円付近で頭打ちになり、PERも市場平均の15倍近くまで下がっていくと、株価は20,000〜22,000円台まで落ち込む可能性がある。ただし、コナミはIPとブランドが非常に強いため、他のエンタメ企業のように業績が急落したり、大幅な下振れが起きる可能性は比較的低く、悪い場合でも底堅さは残りやすい。
総合すると、コナミグループは強いIPと複数の収益源を持つ安定した成長企業であり、5年という中長期スパンでは株価がじわじわと積み上がっていく可能性が高い。上振れの余地も十分にあり、下値も比較的固いという、成熟企業と成長企業の良いところを併せ持つ珍しいタイプの銘柄だといえる。今の株価水準から見ても、長期で保有しやすい企業であり、今後の収益成長とIP価値の拡大がどこまで続くかが、5年後の株価レンジを決める大きなカギになるだろう。
この記事の最終更新日:2025年11月23日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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