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ソフトバンクグループ(9984)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ソフトバンクグループとは

ソフトバンクグループは、日本を代表する巨大コングロマリットであり、同時に世界最大級のテクノロジー投資企業として知られる。創業者である孫正義氏の「情報革命を通じて人々を幸せに」という理念のもと、通信事業からAI・半導体・ロボティクスまで幅広い分野に投資を行いながら、自社グループによる事業運営も手がけている点が大きな特徴だ。

企業の中心にあるのは、世界中のテクノロジー企業に投資する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」で、これまでにAI、モビリティ、フィンテック、物流、クラウド、IoTなど多岐にわたる企業に出資してきた。ビジョン・ファンドの規模は数十兆円規模に達し、世界でも例のない巨大なテック投資ファンドである。これらの投資先企業の価値変動がソフトバンクグループの決算に大きく影響するため、一般の日本企業に比べると業績のブレ幅は非常に大きくなる。

グループにとってもう一つの重要な柱が、英国の半導体設計会社「Arm(アーム)」の存在だ。ArmはスマートフォンやIoT機器に使われる省電力CPUアーキテクチャの世界標準を作り上げた企業であり、その技術は世界中のデバイスに採用され続けている。Armは2023年に米NASDAQへ再上場したが、ソフトバンクグループは依然として大株主であり、その企業価値の成長はSBGの資産価値に直結する。AI・クラウド・データセンター向けの需要拡大により、Armは今後さらに重要度が増すと見られている。

通信事業については、日本国内の大手キャリア「ソフトバンク株式会社」を傘下に持ち、携帯電話、光回線、法人向けICTサービスを展開している。また、通信領域を軸にしながらPayPayによるキャッシュレスサービス、金融・保険、デジタルマーケティング、物流・ECなどグループ内で多くの事業シナジーを生み出している。ソフトバンク株式会社自体は安定した収益を生み出す“キャッシュカウ”として、グループ全体の財務を下支えしている存在でもある。

近年のソフトバンクグループは、AI投資を最重要戦略として位置付けており、生成AI、AIインフラ、ロボティクス、最先端半導体など、次世代テックの中心領域に積極的に資金を投じている。特に孫正義氏は「AIが人類史最大の革命を起こす」と繰り返し強調しており、グループとしてもAI関連企業への集中投資を続けている。Armとの連携や、AIスタートアップ群への投資拡大など、SBGは“AI経済圏の構築”を中期戦略の核心としている。

一方で、投資会社という性質上、株価や業績は投資先企業の評価に大きく左右されるため、一般的な事業会社のような安定性はない。利益が大幅黒字になる年度もあれば、評価損により巨額の赤字になる年度もある。ただし、これは戦略的にハイリスク・ハイリターンの投資モデルを採用しているためで、ソフトバンクグループそのものが世界的なテック投資会社という独自のポジションを確立していることの裏返しでもある。

総じて、ソフトバンクグループは「通信 × 投資 × AI × 半導体」の複合体であり、国内企業の中でも唯一無二の事業ポートフォリオを持つ存在と言える。孫正義氏の強力なリーダーシップのもと、世界のテクノロジー潮流に対して積極的に資本を投入し、未来の産業構造を形作る企業群を取り込もうとする姿勢は、他の日本企業では見られないスケールを持っている。

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直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) EPS(円) 一株配当(円)
22.3 6,221,534 -2,720,890 -869,562 -1,708,029 -1,019 44
23.3 6,570,439 -202,345 -469,127 -970,144 -652.4 44
24.3 6,756,500 659 57,801 -227,646 -171.0 44
25.3 7,243,752 4,430,901 1,704,721 1,153,332 780.8 44
26.3予 7,500,000 2,350,000 1,600,000 1,050,000 737.1 44
27.3予 7,700,000 2,100,000 1,850,000 1,280,000 898.6 44

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 741,292 547,578 191,517
2024 250,547 -841,461 -606,222
2025 203,580 -1,631,540 -1,116,384

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均 / 安値平均) PBR
2023 -3.1% -10.8% -2.3%
2024 0.0% -2.1% -0.5%
2025 61.1% 9.9% 2.5% 15.6倍 / 8.2倍 1.72倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ソフトバンクグループの直近の業績推移を見ると、この企業が一般的な事業会社というより、世界規模のテクノロジー投資会社としての性格が非常に強いことが改めてわかる。売上高は毎年6〜7兆円台で推移し、規模としては日本トップレベルだが、問題は利益の振れ幅の大きさだ。23.3期は営業利益がマイナス2,023億円、税前利益はマイナス4,691億円、純利益はマイナス9,701億円という大幅赤字。これはビジョン・ファンドの評価損が重くのしかかった典型例で、投資採算が悪化すると決算が一気に赤字化する構造がよくわかる。

24.3期はわずかに黒字へ転じたものの、純利益はまだマイナス2,276億円と完全回復には至っていない。営業利益は659百万円とプラスに浮上したが、収益構造は依然として不安定で、投資先企業の株価や事業環境に強く左右される状態が続いている。

しかし25.3期になると一気に改善し、営業利益は4兆4,309億円、税前利益1兆7,047億円、純利益1兆1,533億円と大幅黒字に転換した。これはArm(アーム)関連の利益寄与や、ビジョン・ファンド投資先の評価改善が大きく影響している。EPSも 780.8円と一気に黒字化しており、業績の回復スピードは非常に速い。

26.3期予想でも売上7.5兆円、営業利益2兆3,500億円、税前利益1兆6,000億円、純利益1兆500億円が見込まれており、引き続き投資評価益やArmの価値上昇が収益を支える見通しだ。ただし、この大幅な黒字が「安定的な事業収益」ではなく「投資評価益によるもの」という点には注意が必要で、投資先環境が悪化すれば再び赤字転落する可能性は常に残っている。

指標面を見ると、25.3期の営業利益率は61.1%と異次元の数字だが、これは通常の利益率ではなく、投資収益が大きく乗った結果の特殊値。ROEは23.3期・24.3期がマイナスで、25.3期に9.9%へと急回復しているが、こちらも「投資益次第で大きく上下する」性質の数字で、一般的な企業のような安定成長を評価する用途には向かない。ROAも同様に、赤字期はマイナス、黒字期は2〜3%台へ戻るという典型的な投資会社の動きになっている。

PERは26.3期予想で高値平均 15.6倍、安値平均 8.2倍 と、過去の投資会社としての評価レンジを考えれば比較的妥当な水準。PBRは1.72倍と、投資会社としては高めの評価がついているが、Armの持分価値やAI関連投資への期待を織り込んだ数字と見ることができる。配当は年間44円で固定されており、EPSが大幅に増減しても配当はほとんど動かないため、配当目的の銘柄ではない。

総合すると、ソフトバンクグループは「安定収益を積み上げていく企業」ではなく、「世界のテック市場と投資先の成否に未来が左右される巨大投資会社」。そのため、赤字と黒字を繰り返す構造は今後も続く可能性が高い。一方で、ArmやAI関連企業の価値が伸びれば、利益は一気に跳ね上がり、株価も大きく上昇するポテンシャルがある。

つまりソフトバンクグループは、通常の製造業・通信会社・インフラ企業とはまったく異なる評価軸を必要とする銘柄で、「安定して配当を受け取る」「EPS成長を基準に投資する」というスタイルには不向き。どちらかと言えば、テック投資の波に乗りたい投資家向けのハイリスク・ハイリターン株であり、大きく上下する株価を許容できる場合にのみポートフォリオに組み入れる価値があると言える。

配当目的とかどうなの?

ソフトバンクグループを配当目的で保有するという視点で見ると、この銘柄は配当投資とは極めて相性が悪い。予想配当利回りは 26.3期・27.3期ともに 0.25% とほぼゼロに近い水準で、国内平均利回りの2%前後はもちろん、高配当株の3〜5%と比べても比較にならない。利回りが低い理由は単純に「配当金が44円と固定されている一方、株価が高いため利回りが上がらない」という構造にある。

さらに配当が安定しているわけでもなく、株主還元を強化する方針があるわけでもなく、配当政策はあくまで“最低限の水準を毎年出す”という程度にすぎない。利益が大幅に増えた年ですら配当は据え置きとなるケースが多く、配当性向を重視するタイプの企業ではない。

そもそもソフトバンクグループは「通信会社ではなく世界規模のテクノロジー投資会社」であり、キャッシュはArm、AI分野、スタートアップ投資、ビジョン・ファンドの運用などに優先的に回される。将来の成長領域へ資本を集中投下するスタイルのため、配当を増やすという発想そのものが薄い。一般的な事業会社の“安定配当”とは仕組みが全く異なっており、配当利回りを軸に投資する銘柄ではない。

加えて、ソフトバンクグループの利益自体が投資評価益に大きく依存しており、赤字と黒字を行き来する構造という点も、配当投資に向かない理由のひとつ。安定利益が出ない以上、増配を継続することも難しい。安定配当を求めるなら、電力株やインフラ株、銀行株、商社株などのほうが圧倒的に適している。

総合すると、ソフトバンクグループは 「配当収入を期待する銘柄ではなく、AI・半導体などの成長テーマに乗った資産価値の変動を取りに行く銘柄」。配当投資という観点では完全に対象外で、利回りだけを見れば保有するメリットはほぼないと言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

ソフトバンクグループの株価を5年間という中期スパンで捉えると、この企業特有の“極端な振れ幅”を前提として考える必要がある。現在の株価は17,090円だが、同社は通信会社というより世界的な投資会社であり、特にAI・半導体・スタートアップ投資の成否が業績と株価に直結する。そのため、一般的な事業会社のように売上や営業利益の安定推移を軸に予想するのは難しく、むしろ投資環境やテクノロジー市場の動向に株価が強く影響を受ける点が最大の特徴と言える。

まず強気のシナリオでは、孫正義氏が掲げる「AI革命」の流れが加速し、Armを中心としたAI・半導体関連の企業価値が大きく上昇していくケースだ。もしAI向けCPU需要がさらに拡大し、クラウド事業者やデータセンター向けのArm採用が急増するような展開になれば、ソフトバンクグループの資産価値は劇的に増える可能性がある。また、ビジョン・ファンドの投資先の中で大型IPOや買収が続けば、莫大な評価益が計上され、一気に業績が跳ねることもある。こうした“追い風が重なるパターン”では株価は17,090円から大きく伸び、3万円台後半から4万円近くの水準まで上昇する可能性が十分にある。

次に最も現実的なシナリオとしては、ArmやAI関連の成長は続くものの、そのスピードが市場の期待ほど爆発的にはならないケースだ。この場合でも通信事業の安定収益が下支えとなり、投資部門においても評価益と評価損を繰り返しながら、トータルでは緩やかな成長を描く。AIや半導体は中長期的に確実に需要が伸びる分野であり、ソフトバンクグループがその流れに乗り続ける限り、企業価値はじわじわと積み上がっていく。株価は大きな急騰はしないものの、5年後には2万円前後から2万5,000円台といった比較的穏やかな上昇レンジに収まると考えられる。

一方で弱気のシナリオでは、世界的なIT投資の縮小、中国景気の悪化、スタートアップ市場の停滞、半導体市況の下振れ、為替の逆風など複数の悪材料が重なるリスクを考慮する必要がある。ソフトバンクグループは投資先企業の株価や評価額に大きく影響されるため、これらが急落すればグループの利益も簡単に赤字へ転落する構造にある。こうした状況が続くと株価は17,090円から下落し、12,000〜15,000円台を推移する可能性もある。ただし通信事業自体は安定しており、Armも世界的に重要な技術基盤を持つため、長期的に企業価値がゼロになるようなタイプではない。弱気でも“底抜け”というよりは“重い推移”が続くイメージの方が現実的だ。

総合すると、ソフトバンクグループは配当目的でも安定収益目的でもなく、あくまで「AI・半導体・テック投資の波に乗るための銘柄」であり、5年後の株価はシナリオによって大きく幅が出る。強気なら4万円近く、中間なら2万〜2万5千円、弱気なら1万2千〜1万5千円と、非常に広いレンジになるが、それこそが同社の投資スタイルをよく表している。言い換えれば、リスクを許容して成長テーマに賭けたい投資家向けの銘柄であり、安定優先の投資家には向かないものの“当たれば大きい”ポテンシャルを持つのがソフトバンクグループの本質だと言える。

この記事の最終更新日:2025年11月23日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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