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日本ハウスホールディングス(1873)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日本ハウスホールディングスとは

日本ハウスホールディングスは、全国展開している住宅メーカーの中でも、特に「国産材を使った木造注文住宅」にこだわりを持ってきた会社で、以前は東日本ハウスという社名で東北地方を中心に成長してきた。現在は社名の通りグループ化が進み、住宅建築から不動産開発、リフォーム、ホテル・リゾート運営まで幅広く事業を手がけている。そのため、単なる“家を建てる会社”というより、地域密着型の住宅・不動産総合企業として位置づけられている。

同社の一番の特徴は、木造住宅に徹底してこだわってきた点で、特に国産材を積極的に使用し、木の温もりや質感、湿度調整などを重視した住まいづくりを進めてきた。木造軸組工法に独自の技術改良を加え、耐震性と断熱性を両立させた住宅を展開している。住宅メーカーにはツーバイフォーや鉄骨系の大手も多いが、日本ハウスは木材の扱いに深く精通したメーカーとして“自然素材を活かした家づくり”をブランドの中心に据えている。

注文住宅が主力事業ではあるものの、分譲住宅や宅地開発にも力を入れており、土地と建物をセットで提供する体制も整えている。また、近年は既存住宅ストックが全国的に増えていることもあり、リフォーム事業の比率拡大も進んでいる。外壁や屋根のメンテナンスから断熱リフォーム、耐震補強まで幅広く対応しており、注文住宅だけに依存しない収益モデルを作りつつある。

もう一つ大きな特徴は「ホテル・リゾート事業」を持っている点で、地方の観光・宿泊施設の運営を通して、建設業だけでは補えない継続的な収益確保を行っている。住宅需要は景気の影響を受けやすいが、ホテル・リゾート事業を組み合わせることで収益の安定化を図っている印象がある。地方創生や観光業の回復とも相性が良く、グループ全体での事業シナジーを狙った動きが見られる。

同社は全国に展示場や営業所を持ち、「地元に根づく住宅メーカー」というポジションを維持してきた。住宅メーカーの中には広告宣伝費を大きくかける大手も多い中、日本ハウスは過度な宣伝よりも地域密着型の営業スタイルを重視している。とくに東北や北海道など寒冷地での施工実績が多く、断熱性能の高い住宅構造は長年のノウハウが反映されたものになっている。

全体として見ると、日本ハウスホールディングスは大手ハウスメーカーのように全国広告で一気に拡大するモデルではなく、“木の家を核にした堅実経営・地域密着・多角化”というスタイルで事業を広げてきた会社。注文住宅市場は人口減少により縮小傾向にあるが、リフォーム需要の拡大や高性能住宅への移行が追い風になっており、同社としては複数の事業を組み合わせながら収益の底堅さを維持している状況といえる。

日本ハウスホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) EPS(円) 配当(円)
連22.10 42,778 2,523 2,329 1,474 36.9 20
連23.10 39,103 973 684 -47 -1.2 11
連24.4変 12,890 -1,274 -1,455 -1,244 -31.1 5
連25.4 34,980 2,335 2,057 1,135 28.4 11
連26.4予 34,500 1,800 1,550 820 20.5 11
連27.4予 37,000 2,600 2,300 1,220 30.5 11

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023/10 連 2,520 -1,855 -3,091
2024/04 連 -1,403 -237 2,293
2025/04 連 3,450 -709 -2,143

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023/10 連 2.4% -0.3% -0.2%
2024/04 連 -9.9% -6.0% -2.9%
2025/04 連 6.6% 5.2% 2.6% 高値平均:13.7倍
安値平均:9.7倍
0.58倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず連24.4変の年度は相当厳しい内容だったことがはっきり分かる。売上高は128.9億円まで落ち込み、営業利益がマイナス12.74億円、経常利益マイナス14.55億円、純利益はマイナス12.44億円と、主要利益がすべて赤字になっている。EPSもマイナス31.1円で、この年度は明確に「赤字で収益が崩れた年」という位置づけになる。住宅会社にとって資材価格の高騰や金利動向の変化が重なり、一気に収益が圧迫されたタイミングだったと読み取れる。

そこから翌期の連25.4では、売上高が349.8億円まで急回復し、営業利益は23.35億円、経常利益20.57億円、純利益も11.35億円と黒字に戻っている。EPSも28.4円に改善し、赤字年度からの立ち直りとしてはかなり綺麗な反発になっている。前年度の落ち込みが大きかった分、正常化すればここまで戻るという構造がある程度確認でき、会社としての収益基盤が完全に崩れていたわけではないことが数字から読み取れる。

ただ、連26.4予を見ると、売上高は345.0億円とほぼ横ばいで推移している一方、営業利益は18.0億円、経常利益15.50億円、純利益8.20億円と減益予想になっており、勢いよく右肩上がりの回復が続くという形にはなっていない。EPSも20.5円予想と前期より落ちており、黒字を維持できるものの、利益成長が力強いとは言いづらい状況が続いている。

営業利益率やROE・ROAを合わせて見ると、連24.4変は営業利益率がマイナスで、ROE・ROAも大幅なマイナスだったことから、資本や資産が全く利益を生んでいなかった典型的な赤字決算だったと言える。連25.4で黒字に戻ったとはいえ、ROEがまだ一桁台にとどまり、成長株としての魅力が強い水準ではない。安定してROE二桁を出し続ける企業とは性質が異なり、収益が市況に揺れやすい体質が残っている。

一方でバリュエーションを見ると、実績PBRが0.58倍という極端な低評価で、株価が純資産に対して割安に放置されている状態が続いている。赤字年度を挟んだ企業は、収益安定性に疑問が残っている限り市場から高く評価されない傾向が強く、日本ハウスもまさにそうしたタイプに分類される。ただし裏を返せば、資産バリューという観点では見直し余地がある価格帯とも言える。

総合すると、日本ハウスホールディングスは連24.4変で大きく崩れたが、その後の連25.4で黒字復帰し、連26.4予でも黒字を維持する見通しで「底は抜けていない」ことは確認できる。ただし、業績が上下しやすく、住宅市況に影響を受ける体質は変わっていないため、長期で安定してEPSが右肩上がりになるタイプの企業とは言い難い。どちらかというと、市況や業績の波を見ながら割安圏で拾い、再評価局面で利確するような投資スタイルに向いた銘柄という印象が強い。

PBR0.5倍台という超低評価は、資産価値を意識する投資家にとっては魅力的だが、持ち続ければ必ず上がるタイプではなく、明確な業績改善が見えたところでようやくPBR0.8倍〜1倍への見直しが入る、という性質を持っている銘柄だと考えるのが自然だ。

配当目的とかどうなの?

日本ハウスホールディングスの予想配当利回りは、連26.4で3.52%、連27.4でも同じく3.52%と、住宅株としては比較的高めの利回り水準に位置している。利回りだけを見れば一見すると「配当目的でも悪くない」と感じる数字だが、実際には注意しておきたい点も多い。

まず、この会社は収益のブレがかなり大きい。直近では連24.4変で大きく赤字転落した一方、翌期には黒字復帰、そしてさらにその翌期は再度の減益予想という流れになっていて、利益の安定感が高い企業とは言えない。利益が安定していない会社は、基本的に「配当を長期で安定して出し続ける体質」になりにくく、あくまで今期・来期の利益水準がある程度確保されているから成立している配当利回りという見方になる。

また、EPSが大きく振れやすく、連24.4変ではEPSがマイナス31.1円まで落ち、翌期は28.4円に戻り、さらに翌期は20.5円予想という具合に安定しない。こうした企業の場合、配当性向を一定に保つのが難しく、業績悪化が続くと減配のリスクは普通より高い。

とはいえ、今の3.5%台という利回りは株価が割安に放置されていることも影響しており、PBR0.5倍台という非常に低い評価が続いているため、その「安さによって利回りが引き上がっている」側面もある。つまり、株価が安いから利回りが見栄えしている部分があるとも言える。

総合すると、日本ハウスホールディングスは「連続増配銘柄」や「毎年安定して配当を出し続ける企業」とは性格が違うため、純粋な配当目的で長期保有するのはややリスクがある印象になる。一方で、株価が低い割に一定の配当を維持しているため、短期〜中期での“割安+利回りのセット”として狙うのは十分に選択肢になる。

要するに、安定配当型というより、業績次第で上下しやすい“景気敏感株の利回り狙い”という位置づけだと思う。

今後の値動き予想!!(5年間)

日本ハウスホールディングスの株価は今312円と、かなり低いところに置かれたままになっている。業績の振れ幅が大きい会社だけに、市場から慎重に見られやすいのは事実だが、ここ数年の収益の流れを見ると「確かに赤字があったが、その後しっかり黒字へ戻っている」という動きも見えていて、完全に弱り切っている企業というわけではない。ただ、住宅業界そのものが金利や市況の影響を受けやすく、利益が安定しにくい業種であるため、株価もどうしても地味で低位に張り付きやすい。

とはいえ、PBR0.5倍台という評価はかなり低く、純資産に対して半値程度で放置されている状態なので、過剰に売られている面もある。割安に放置されている銘柄は、ちょっとした業績改善で反応しやすく、良い材料が出れば株価が早めに動くことも多い。日本ハウスもそのタイプにかなり近く、現状は「悪い材料が織り込まれすぎている」と感じる部分もある。

5年スパンで考えると、まず住宅需要が底打ちしてリフォームや建て替え需要が自然に増えていくような環境に入れば、業績はじわじわ改善していく可能性がある。ホテル事業の収益が安定し、住宅部門も利益率が少しずつ戻ってくれば、株価は今の水準からゆっくりと評価を取り戻し、450円から600円くらいのところまでは十分狙える。驚くほど急騰する銘柄ではないが、割安なところから普通の企業評価に戻るだけでもこれくらいの上昇余地は出てくる。

一方、黒字は維持するものの業績が強い年と弱い年を繰り返すような展開になると、株価は大きくは動かないものの、緩やかに上のレンジを目指すような動きになる。350円から420円あたりが中心で、市況が良ければ一時的に430円台をつけることもあるだろうが、恒常的に伸び続けるというよりは波を打ちながら横ばいに近い形になりやすい。とはいえ、現状の312円から見れば、中間シナリオでも多少の上値余地は確保されている。

逆に悪い場合は、住宅市況がもう一段冷え込んだり、金利上昇が長引いたり、資材価格が再び上がるなどして利益が圧迫されるパターン。こうなると株価は再び低位での放置状態に戻り、250円から300円あたりで長く停滞する可能性が高い。ただ、この会社の規模や事業構造を考えれば、200円を割り込むような極端な事態は起きにくく、あくまで弱いながらも“低空飛行が続く”という印象になる。

総合して見ると、日本ハウスホールディングスは派手な成長株ではないものの、現在の株価水準から考えれば、良い方向に転べば反発の余地は十分にあり、悪い場合でも致命傷になりにくいという“割安株の特徴”をそのまま持った銘柄だと思う。強い追い風が吹けば600円前後まで評価され、中間なら350〜420円、悪くても250〜300円あたりで踏みとどまる。今の312円という株価は、そのちょうど真ん中あたりで、これから先の住宅市況や金利環境次第でどう動くかが決まってくる位置にある。

この記事の最終更新日:2025年11月24日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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