株価
大東建託とは

大東建託は全国規模でアパート建設と賃貸管理を手がける企業で、土地オーナー向けの賃貸住宅建設を主力として成長してきた会社だ。グループとして建設から管理、仲介までを一貫して行う「賃貸経営受託システム」は独自性が強く、建物をただ建てるのではなく、その後の運営や入居者募集、家賃保証、メンテナンスまで長いスパンで面倒を見るビジネスモデルを確立している。このワンストップ体制のおかげで、全国に管理物件が広がり、管理戸数は国内トップクラスの規模に達している。
大東建託の特徴は、建設会社でありながら“家を建てたら終わり”ではなく、その後も家主と長く関係を続け、賃貸経営全体をサポートし続けるところにある。土地活用ニーズの高まりに合わせて、アパート・マンションの企画、設計、施工を一貫して提供し、さらに建設後はグループ会社の大東建託パートナーズが賃貸管理を担う。このモデルは景気変動の影響を建設事業だけで受けるのではなく、長期的な管理収入によって安定化できる強みがある。
入居者向けには「いい部屋ネット」のブランドで賃貸仲介を展開しており、テレビCMでも広く知られるようになった。仲介店舗は全国規模で広がっており、建設・管理と連動して入居率を維持しやすい構造ができている。特に空室リスクに敏感な土地オーナーにとって、管理能力と募集力の両方を一社で担ってくれる点が大東建託の強い魅力となっている。
また、不動産周辺サービスとして、リフォームや外壁修繕、建物診断、長期修繕計画の提案なども積極的に展開しており、建物の資産価値を長期間維持する仕組みが整っている。賃貸住宅は建てて終わりではなく、メンテナンスやリフォームが収益を大きく左右するため、その部分をグループ内で完結できるのは強い競争力だ。加えて、高齢者向け住宅サービスや駐車場運営、社宅管理代行など、生活関連事業にも領域を広げており、単なる「建設会社」の枠を超えて不動産・生活インフラを包括する会社に変化しつつある。
大東建託のビジネスは、市場環境の影響がゼロではないものの、長期契約による安定収入が柱になっているため、建設市況が弱い時期でも管理収入が企業を支える構造がある。日本全体で単身世帯が増加し続ける中、賃貸住宅需要は今後も底堅いと見られており、同社の収益基盤は長期的にも大きく崩れにくい。土地オーナーからの信頼も厚く、ストック型ビジネスが徐々に比率を高めていることから、景気の波に過度に振られず、堅実な積み上げが期待される企業といえる。
総合して、大東建託は“建てる会社”と“管理する会社”の両方の顔を持ち、賃貸住宅市場の安定した需要を背景に、長期的なストック収益を築いてきた企業だ。これからの人口減少時代でも賃貸ニーズは一定残るうえ、老朽化した賃貸物件の建て替え需要などもあり、同社が持つ企画・建設・管理の一体運営モデルは中長期でも強みを発揮し続ける可能性が高い。
大東建託 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | EPS(円) | 配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 1,657,626 | 100,000 | 103,898 | 70,361 | 1,031 | 516 |
| 連24.3 | 1,731,467 | 104,819 | 108,720 | 74,685 | 1,111 | 555 |
| 連25.3 | 1,842,357 | 118,875 | 129,455 | 93,858 | 1,428 | 714 |
| 連26.3(予) | 1,970,000 | 126,500 | 128,500 | 90,900 | 1,368 | 685* |
| 連27.3(予) | 2,050,000 | 135,000 | 137,000 | 96,000 | 1,445 | 725* |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 82,102 | -57,093 | -40,063 |
| 2024 | 90,876 | -13,114 | -96,787 |
| 2025 | 85,612 | -46,505 | -45,839 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 6.0% | 17.5% | 6.6% | ― | ― |
| 2024 | 6.0% | 18.5% | 6.9% | ― | ― |
| 2025 | 6.4% | 20.1% | 7.6% | 高値平均:14.9倍 安値平均:10.7倍 |
2.02倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
大東建託の直近の業績推移を見ると、まず連24.3から連25.3にかけて売上が1兆7314億円から1兆8423億円へ約1100億円増加し、営業利益も1048億円から1188億円へ、経常利益も1087億円から1294億円へと順調に伸びている。純利益も746億円から938億円へ増えており、EPSも1,111円から1,428円へと大幅に改善している。建設・不動産管理の2本柱がしっかり機能していて、企業としての収益基盤が非常に安定していることが数字からよく読み取れる。
さらに注目なのが収益率で、営業利益率は6%前後で安定しており、ROEは17〜20%台と高水準を維持している。ROAも7%前後を確保しており、総資産を使った稼ぐ力も強い。建設業界全体で見ると、ここまで高いROEをコンスタントに維持できる企業は少なく、ストック型の賃貸管理収入が利益の安定性に大きく貢献していることが分かる。大東建託のビジネスが“単なる建設会社”ではなく、長期的に積み上がる管理事業によって利益が厚くなっている点が、財務指標にそのまま表れている。
連26.3予の数字を見ると、売上は1兆9700億円まで拡大する見込みで、営業利益も1265億円と前期より増加している。一方で、純利益は938億円から909億円へと少し減る予想になっているため、成長が完全な右肩上がりというわけではないが、限界利益率の変動や税金・支払い利息などの影響を考えれば、大きな問題ではない。EPSも1,428円から1,368円へ軽微に下がる程度で、企業の本質的な収益力が落ちているわけではなく、むしろ売上や利益の水準は安定的に積み上がっている印象が強い。
バリュエーションを見ると、実績PERは高値平均14.9倍、安値平均10.7倍と、現在の日本市場における中大型建設・不動産関連企業としては妥当〜やや割安寄りに位置している。PBR2.02倍という数字だけを見ると「高め」に見えるかもしれないが、ROE20%近い水準を維持している企業としては十分に許容できる。ROEが高い企業はPBRが高くなるのが自然で、むしろ2倍程度で落ち着いているなら割高感は強くない。
総合すると、大東建託は業績面で“非常に安定して強い”企業で、建設セクターの中でも収益の波が小さく、経営が読みやすいタイプに属している。建築事業が多少波を受けても、管理事業が安定して利益を支える構造が確立しており、長期投資家にとって安心感のある銘柄といえる。営業利益率、ROE、ROAといった収益性指標もすべて高水準に揃っていて、財務的な弱点がほぼ見当たらない。
EPSの伸び、売上規模の拡大、安定した収益力を考えると、中長期での株価上昇余地は十分あり、特に急落局面で拾って長期保有するスタイルと相性が良い。ただし、株価がすでにそれなりに評価されている分、次の利益増や大型材料が出ない限り、PERが大きく上に跳ねる余地は限定的で、劇的に割安というわけでもない。とはいえ、堅実に利益を積み上げていく企業の定番株としてポートフォリオに入れやすい企業であることは間違いない。
配当目的とかどうなの?
大東建託の予想配当利回りは、連26.3で4.60%、連27.3で4.87%とかなり高い水準にある。日本株全体で見ると3%を超えるだけでも配当株としての魅力は十分だが、大東建託の場合は5%近い利回りが見込めるため、配当目的の投資としてはかなり優秀なカテゴリに入る銘柄といえる。
配当利回りが高い銘柄の多くは、業績が不安定で利益が落ち込みやすく、その結果として株価が低迷して利回りだけが高く見えるケースが多い。しかし、大東建託の場合はそうした“逆に危険な高配当株”とは性質がまったく違う。営業利益・経常利益・純利益とも安定しており、売上規模もしっかり伸びている。ROEが17〜20%台と非常に高く、ROAも7%前後を維持していることからも分かるように、収益基盤が強くて経営効率も高い。つまり、配当利回りが高いのは「株価が不当に低いから」ではなく「利益がしっかり出るから配当水準を高く保てる」という健全な理由によるものだ。
また、大東建託は賃貸住宅の管理事業という安定したストック収益を持っているため、景気の波があっても利益が極端にブレにくい。建設会社ではあるものの、一般的なゼネコンのように工事単価や工期遅れに収益が振り回されるタイプではなく、長期的に積み上がる管理収入が企業の底支えになっている。この点が、配当の安定性という面で非常に大きな安心材料になる。
さらに、過去の配当実績を見ても、大東建託は基本的に配当をしっかり出し続ける企業であり、単なる一時的な高利回りではない。来期の予想では4.87%という高い水準を維持しており、今の業績推移を踏まえる限り、減配リスクはそれほど高くない。むしろ業績が積み上がっていることを考えると、今後も継続的に高配当が期待できるタイプの銘柄になっている。
総合すると、大東建託は「高利回りなのに安定性も高い」というバランスの良い配当銘柄で、配当目的の長期投資と非常に相性が良い。高配当株には不安材料を抱える企業も多いが、この会社の場合は本業の強さと収益の安定性がしっかり裏付けとなっており、安心して保有しやすいタイプの高配当株だと言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
大東建託の現在株価は2,973.5円と、業績水準や配当利回りから見ても比較的落ち着いた評価になっている。事業構造の安定性と収益力の高さを考えると、ここから先の5年間は「大崩れしにくいが、爆発的に上がる銘柄でもない」という、大東建託らしい値動きが続く可能性が高い。ただし、賃貸住宅の管理事業というストック収入のおかげで業績がぶれにくく、長期投資との相性は良い。そこで、良い場合、中間、悪い場合の3パターンで将来の株価を考えてみる。
まず良いシナリオでは、賃貸住宅の需要が安定して伸び続け、管理戸数の増加と高い入居率が維持されることで、EPSも増加傾向を続けるパターンだ。建設部門も大きく崩れず、売上が今後も1兆9,000億〜2兆円台をキープできれば、利益率も改善し、ROE20%前後という高収益体制を維持しやすい。こうなると市場は企業価値を素直に評価し、PERも15倍前後まで戻る可能性がある。EPSが1,400〜1,500円台で推移することを考えると、株価は4,500円〜5,500円あたりが見えてくる。強めに評価される局面では6,000円近くまで買われても不思議ではなく、5年間では緩やかだが着実な上昇が期待できる。
中間のシナリオでは、業績は伸びるものの、利益が大きく増え続けるという状況にはならず、管理事業が安定して下支えしつつ、建設部門の上下が多少の波を作るような動きになる。EPSは1,300〜1,450円のあたりを行き来し、配当利回りは4〜5%台を維持しながら、株価も大きくは崩れないが、突出して強い上昇も起きにくい。PERは10〜12倍あたりで推移すると仮定すると、株価は3,300〜3,900円程度が中心となり、良い時には4,200円を試す場面もあるだろう。現状の株価から見ると「じわじわ右肩上がりに近い横ばい」という安定した動きになりやすい。
悪い場合は、建設部門が弱含み、賃貸住宅着工の鈍化や金利の上昇が負担となって、管理事業の伸びだけでは利益の維持が難しくなるパターンだ。とはいえ、大東建託は管理事業の収益が厚いため、赤字になるような極端な事態は起きにくいものの、EPSが1,100〜1,250円あたりまで下がる可能性はある。市場の評価もやや慎重になり、PERは9〜10倍と控えめな水準で推移することが想定される。この場合の株価レンジは2,600〜3,000円あたりで、ずっと低位に張り付くような“動きの重い”展開になりやすい。ただし、大きく崩れて2,000円台前半に突っ込むようなシナリオは、事業構造的に可能性は低い。
まとめると、良い場合は4,500〜6,000円、中間は3,300〜4,000円、悪い場合は2,600〜3,000円というイメージになり、現在の2,973.5円という株価は「かなり中間に近い水準」に位置している。大東建託は配当利回りも高く、事業の安定感も抜群なので、時間を味方にしながらじっくり育てるタイプの銘柄としては非常に扱いやすく、長期でのリターンが期待しやすい企業と言える。
この記事の最終更新日:2025年11月24日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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