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新日本建設とは

新日本建設は千葉県千葉市に本社を置く独立系の総合建設会社で、長年にわたって首都圏のマンション建設や不動産開発で実績を積んできた企業だ。ゼネコンでありながらデベロッパー機能も持っているのが大きな特徴で、自社ブランドの「エクセレントシティ」シリーズに代表されるように、土地の仕入れから企画、設計、建築、販売、そして竣工後の管理まで、自社グループで完結できる体制を整えている。一般的なゼネコンは建設請負が収益の中心だが、新日本建設の場合は「建てる利益」と「開発利益」の両方を持っており、事業ポートフォリオが強くてバランスが良い。
建設事業では、マンションの施工に強みがあり、民間主体の工事に注力している。首都圏の人口集中が続くなか、コンパクトマンションの需要は依然として根強く、新日本建設はこうしたニーズをしっかり取り込みながら安定的に受注を確保している。施工品質には定評があり、地元密着型企業として長年築いてきた信頼感が強みになっている。また、マンション以外にもオフィスビルや商業施設、医療機関、公共施設など幅広く対応しており、多様な案件に応じられる施工能力を持っている。
不動産開発事業では、同社の中核ブランドである「エクセレントシティ」シリーズが主力で、都市部での機能性・利便性の高いマンション開発を展開している。土地情報の確保からデザイン、設備仕様、販売戦略にいたるまで自社で統合しているため、外注費の削減や高い企画力につながり、収益性の高さが強みになっている。単なる施工会社ではなく「企画型・収益型のデベロッパー機能」を持っていることが、他の中堅ゼネコンとは違う特徴だといえる。
さらに、同社が力を入れているのが不動産賃貸・管理事業で、自社開発物件の賃貸運営やマンション管理、修繕計画の立案などを行っている。販売して終わりではなく、管理までを担うことでストック型の安定収益を積み上げられる点が大きく、建設景気に左右されにくくなるメリットがある。管理部門のノウハウが蓄積されるほど資産価値維持の提案力も強くなり、将来的な建て替えや追加開発のチャンスにもつながる。
リニューアル・リフォーム事業も年々重要度が増しており、とくにマンションの大規模修繕は長期的に安定した需要がある分野だ。築年数が進んだ物件が増えるにつれて改修ニーズは拡大しており、ストック市場が伸びる中で強化すべき領域になっている。新日本建設は自社で施工管理を行えるため、修繕工事にも強く、建てた後のフォローまで一貫したサービスを提供している。
総合的に見ると、新日本建設は「建てる+開発する+管理する」を自社でまとめてできる数少ない独立系ゼネコンで、事業の収益源が分散されていることが最大の強みだ。マンション建設だけに依存するわけでもなく、開発利益と管理収益のバランスが良いため、景気変動の耐性も比較的高い。首都圏のマンション市場は長期的に見ると安定しており、単身・二人暮らしの需要増や建て替え需要もあるため、同社の事業領域は今後も一定の需要を維持しやすい。
こうした背景から、新日本建設は中堅ゼネコンの中でも独自性が高く、開発力と施工力を兼ね備えた堅実な企業として位置づけられる。今後も首都圏の住宅需要が底堅く推移する限り、収益基盤も大きな崩れは起きにくく、安定成長を期待しやすい企業と言える。
新日本建設 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | EPS(円) | 配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 113,725 | 17,186 | 17,225 | 12,013 | 205.5 | 27 |
| 連24.3 | 133,517 | 17,577 | 17,671 | 12,286 | 210.1 | 53 |
| 連25.3 | 131,662 | 18,310 | 18,369 | 12,816 | 219.1 | 56(記念) |
| 連26.3(予) | 135,000 | 18,600 | 18,800 | 13,100 | 224.0 | 56 |
| 連27.3(予) | 146,000 | 20,500 | 20,700 | 14,300 | 244.5 | 56 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 10,585 | 123 | -1,278 |
| 2024 | 11,699 | -247 | -1,880 |
| 2025 | 2,654 | -34,434 | -3,740 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 15.1% | 11.7% | 7.6% | ― | ― |
| 2024 | 13.1% | 10.8% | 7.3% | ― | ― |
| 2025 | 13.9% | 10.4% | 7.4% | 高値平均:7.0倍 安値平均:4.4倍 |
0.87倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
新日本建設の直近の業績を見ると、まず売上の規模自体は大きな乱高下がなく、1137億円 → 1335億円 → 1316億円 → 1350億円予想 と、1200〜1400億円前後で安定推移しているのが特徴的だ。マンション中心の建設会社は景気の波で受注が大きく動くことも多いが、この会社の場合、建設請負だけでなく自社開発のマンション事業や管理事業も持っているため、売上のブレが比較的小さく、事業構造が安定していることが数字からわかる。
利益面を見ると、営業利益は171億円 → 175億円 → 183億円 → 186億円予想と、右肩上がりとまではいかないものの、毎年確実に積み上がっている。経常利益もほぼ同水準で推移しており、純利益も120億円 → 122億円 → 128億円 → 131億円予想と安定した成長が続いている。マンション開発会社は利益が年によって大きく振れることが一般的だが、新日本建設は比較的安定していて、開発案件と請負工事のバランスが良く取れているため、収益が崩れにくい体質になっている。
EPSも205円 → 210円 → 219円 → 224円と堅実に伸びていて、株主価値の積み上がりが毎年続いている。派手さはないものの、“着実に利益を積み増す中堅優良企業”という位置付けがしっくりくる動きをしている。
収益性の指標を見ても、営業利益率は15.1% → 13.1% → 13.9%と非常に高水準。通常、建設会社は営業利益率が5〜8%前後に落ち着くことが多いが、新日本建設は自社開発(デベロッパー収益)が一定割合を占めているため、収益率が高い。ROEも11〜12%台、ROAも7%台と、資本効率・総資産効率ともに優秀で、企業としての稼ぐ力は同業中堅ゼネコンの中でも上位に位置する。
さらにバリュエーションを見ると、実績PBR0.87倍という数字は明らかに割安ゾーンで、純資産以下で放置されている状態にある。実績PERも高値平均7倍、安値平均4.4倍という極めて低い水準で、割安株としての魅力が強い。ここまで利益水準やROEが安定している企業がPBR1倍を割れているのは、市場の評価が追いついていないタイプの典型とも言える。
総合して考えると、新日本建設は“成長は派手ではないが、収益が崩れずに毎年しっかり積み上がる優良企業”であり、なおかつ市場ではかなり低評価のまま放置されている割安株だといえる。開発利益と施工利益のバランスが良く、収益率も高いため、長期的な企業価値は十分に上昇しているのに、株価だけが追いついていない状態になっている。
投資家目線では、急成長を期待する銘柄というよりも、地味に強い業績を背景に「PBR1倍修正」「PER6〜8倍ゾーンへの見直し」が起こった時に株価が素直に上昇するタイプの銘柄。現状は収益安定&割安という組み合わせが魅力であり、リスクのわりに安定したリターンを狙いやすい銘柄だと言える。
配当目的とかどうなの?
新日本建設の予想配当利回りは連26.3・連27.3ともに2.97%となっており、数字だけを見ると“高配当株”というほどではないが、安定配当を狙う投資家にとっては十分選択肢になる水準だといえる。利回りが3%近くというのは、日本株の平均が2%前後であることを踏まえれば悪くないラインで、しかも新日本建設の特徴は「利益の安定感が極めて高いこと」にあるため、配当の安心感という観点ではかなり心強い。
まず業績面を見ても、純利益は120億円前後でずっと推移しており、EPSも205円 → 210円 → 219円 → 224円と着実に積み上がっている。さらに営業利益率が13〜15%と建設会社としては驚くほど高い収益率を維持しており、ROEも10%前後を安定して確保、ROAも7%台と総資産を効率よく稼げている。つまり「業績がブレにくく、利益率が高い」という配当株として理想的な基盤を持っている企業だ。
多くの建設会社は、景気や建設投資の波で利益が上下しやすいため、配当も減配リスクを抱えやすい。しかし新日本建設は請負だけでなく自社マンション開発(エクセレントシティ)での利益が大きく、さらに建物管理などのストック型収益も積み上がっているため、典型的なゼネコンよりも収益の変動が小さい。利益が安定している企業は配当も安定するので、利回りが3%弱でも“質の高い配当”といえる。
また、同社は業績に対して極めて割安に放置されており、PBR0.87倍、PERは4〜7倍で推移している。株価が低めに抑えられているため利回りが3%近く出ているという側面はあるが、業績が崩れて低利回りになっているわけではなく、むしろ「利益は安定しているのに市場の評価だけが低い」という構図になっている。そのため、配当目的と同時に“割安是正による株価上昇”も狙えるのが新日本建設の面白いところだ。
総合すると、新日本建設は「利回りはそこそこ・業績は超安定・割安で放置」という三拍子が揃った堅実な配当株で、3%弱という利回り以上に安心感のある銘柄。利回りが5%の高配当株とは性質が違い、減配リスクの小ささや業績のブレの少なさを重視する投資家に向いている。地味ながら長期保有との相性はかなり良い企業だといえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
新日本建設の現在の株価1,884円という水準は、同社の安定した利益水準や高い営業利益率、さらにPBR0.87倍という明らかな割安感を考えると、かなり低く評価されている位置にある。利益が毎年120〜130億円前後で安定し、EPSも200円を超える水準を維持している企業としては、PER4〜7倍という低評価はやや行き過ぎと言っていい。こうした背景を踏まえると、5年間の株価推移は「会社の安定した業績と市場の再評価がどの程度進むか」でほぼ決まる展開になりやすい。
まず良いシナリオでは、同社の強みであるマンション開発と建設請負のバランスの良さが生きて、売上が順調に1400億円台へ、営業利益も190〜210億円台へ乗っていき、EPSが250円前後まで伸びるケースだ。市場が企業価値を素直に評価すればPERも8〜10倍程度までは戻りやすく、その場合株価は2,500円〜3,000円が十分に視野に入る。業績が堅実なうえにPBR1倍割れの割安状態が続いているため、どこかで“PBR1倍修正”の流れが来れば株価が一気に跳ねる可能性もあり、強気な場面では3,200円前後まで到達することもあり得る。
一方、中間のシナリオでは、現在の安定した業績がそのまま横ばい気味に続くパターンとなる。売上は1300〜1400億円前後で推移し、利益も180億円前後で安定し、EPSも210〜230円台を維持するが、株価が強く動くほどの材料にはならないケースだ。PERは依然として6〜8倍程度で推移し、割安感は続くものの、急騰するほどのインパクトはない。株価のレンジとしては2,000〜2,300円が中心となり、良い時に2,400円前後まで買われることがある、という落ち着いた動きがメインになる。
悪い場合は、マンション市況がやや冷え込んだり、建設コストの上昇が利益を圧迫したりするケースだ。ただ、新日本建設は業績のブレが小さい企業であり、開発利益と請負利益が両輪になっているため、大幅な赤字や利益の崩壊が起きる可能性は低い。EPSが200円前後までやや下がるくらいの調整で済むと考えられ、その場合でもPERは4〜6倍で推移するため、株価は1,600〜1,800円のレンジにとどまりやすい。悪材料が出ても底割れしにくいのがこの会社の特徴で、1,500円を割るような極端な下落は起きにくいと見られる。
総合すると、良い場合は2,500〜3,200円、中間では2,000〜2,300円、悪い場合は1,600〜1,800円というイメージになり、現在の1,884円という株価は“中間の少し下寄りの位置”にいる。業績は非常に安定しており、しかも市場では割安放置が続いているため、長期でじっくり狙うならリスクが低く、値上がりも期待しやすい銘柄といえる。地味だが堅実に伸びていくタイプで、安全性と割安性が両立した扱いやすい中堅株だと思われる。
この記事の最終更新日:2025年11月24日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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