株価
東亜道路工業とは

東亜道路工業は、道路舗装工事を中心に全国でインフラ整備を担っている老舗の舗装専業会社で、日本の道路インフラを語るうえでは欠かせない存在のひとつだ。高速道路、一般道路、空港滑走路、港湾エリアの舗装など、国の大動脈となる交通インフラの施工実績が豊富で、とくにアスファルト舗装の分野では長年トップクラスの技術力と実績を持つ。創業からの歴史の中で培ってきた舗装技術や品質管理のノウハウは業界内で高く評価されており、公共工事の安定的な受注基盤を形成している。
同社の大きな特徴は、単なる舗装工事会社という枠を超えて、道路インフラの「建設から維持管理まで」を一貫して行える体制を確立している点にある。道路や橋梁、空港滑走路などは、一度造ったら終わりではなく、老朽化に対して継続的な補修が必要になる。特に近年は道路や橋梁の寿命問題が全国的な課題になっており、国交省や自治体も補修・維持管理に多くの予算を投じている。この状況は、東亜道路工業のような専門性の高い舗装会社にとって大きな追い風となっており、公共インフラの更新需要が同社の安定収益につながっている。
舗装工事の中でも、とくに同社が強いのがアスファルト混合物の製造から施工までの一貫体制だ。東亜道路工業は自社でアスファルトプラント(製造工場)を持ち、道路工事に使用するアスファルト混合物を安定的に供給している。自社供給により施工現場の品質管理を徹底でき、外部調達に頼らない効率的な施工が可能になる。さらに、外部販売も行っているため、原材料事業としてのストック型収益も確保できる。この“舗装材の内製化”と“技術力に裏付けられた施工品質”の2つが、同社の競争力の源泉といえる。
また、道路舗装の高度化が進む中で、低騒音舗装、排水性舗装、耐久性向上舗装など、先端技術の需要が増している。東亜道路工業は研究施設を持ち、新たな舗装材や工法の開発に継続的に取り組んでおり、独自技術を活かした高付加価値舗装で公共・民間双方からの信頼を獲得している。こうした技術開発への積極投資は、長期的に競争優位を維持するための重要なポイントとなっており、同社の成長力の裏付けとなっている。
さらに、環境配慮型舗装の領域でも存在感を高めている。リサイクルアスファルトを使った舗装材の普及や、CO2排出を抑えた新工法の導入など、環境負荷を低減する取り組みを強化している。建設業界全体が環境対応を求められる中で、舗装材のリサイクル技術を持つ企業は優位性が高く、公共工事の評価項目にもプラスに働きやすい。
道路舗装に必要な土木工事も幅広く手がけており、道路の基礎工事、側溝、排水設備、外構工事、橋梁補修、耐震補強など、交通インフラに必要な工種を一括で請け負える施工体制がとれている点も強みのひとつだ。舗装専業でありながら土木の領域にも強く、道路・空港・港湾関連の特殊環境に対応できる高い技術力を持っている。
総合的に見ると、東亜道路工業は「道路舗装のスペシャリスト」という明確な強みを持ちながら、原材料供給、技術開発、補修・維持管理までを自社で完結できる専門性の高い企業だ。道路の老朽化や維持管理の需要は今後も長期的に増え続けると予想されており、景気に左右されにくい公共インフラを中心にした事業構造は極めて安定的。道路インフラの長寿命化・更新需要が続く限り、同社の事業は確かな安定性を持ち、その競争優位も維持されると考えられる。
東亜道路工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | EPS(円) | 配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3* | 118,721 | 4,736 | 4,957 | 3,160 | 66.7 | 18 |
| 連24.3* | 118,060 | 5,473 | 5,707 | 3,793 | 79.9 | 42 |
| 連25.3 | 126,575 | 5,015 | 5,206 | 4,127 | 89.2 | 90 |
| 連26.3(予) | 127,000 | 6,500 | 6,600 | 4,100 | 88.7 | 90 |
| 連27.3(予) | 130,000 | 7,500 | 7,600 | 4,800 | 103.8 | 90 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 2,180 | -2,971 | -853 |
| 2024 | 10,911 | -3,995 | -2,693 |
| 2025 | -1,754 | -1,222 | 1,057 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 3.9% | 6.1% | 3.6% | ― | ― |
| 2024 | 4.6% | 6.9% | 4.0% | ― | ― |
| 2025 | 3.9% | 7.4% | 4.5% | 高値平均:15.8倍 安値平均:9.3倍 |
1.43倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
東亜道路工業の直近の業績を見ていくと、売上規模は1180億円前後から1265億円へと緩やかに増加しており、連26.3予でも1270億円と微増傾向が続いている。道路舗装を中心としたインフラ工事はどうしても公共予算の動向に左右されやすいが、国や自治体が老朽化した道路や橋梁の補修に積極的に予算を投じているため、事業環境そのものが安定していることが数字からも読み取れる。
利益面では、営業利益が47億円から54億円、そして一度50億円まで落ち着いた後に65億円予想まで回復しており、全体として緩やかに利益水準が底上げされている印象だ。経常利益もほぼ同じレンジで推移し、純利益も31億円から38億円、41億円と着実な積み上がりを見せている。急激に成長するタイプではないものの、公共インフラを中心とする企業らしい安定伸長型の収益構造がそのまま表れている。
EPSの動きも堅実で、66.7円から79.9円、89.2円と右肩上がりに改善し、直近予想の88.7円も高い水準を維持している。利益が急伸するわけではないが、会社の稼ぐ力が年々強化されていることが分かる。収益性を示す営業利益率は3.9%から4.6%、そして再び3.9%という推移で、舗装専業としては標準からやや良い水準に収まっている。道路舗装は利幅が大きくなりにくい業種にもかかわらず、このあたりを安定して維持している点は評価できる。ROEも6.1%、6.9%、7.4%と着実に改善し、ROAも3.6%から4%、4.5%へと伸びており、資本効率・総資産効率ともに年々良化している。
バリュエーションに目を向けると、PERは高値平均で15.8倍、安値平均で9.3倍と、建設・インフラ関連としては適正からやや割安といった位置づけだ。PBR1.43倍という数値は、インフラ企業としては少し高めに見えるものの、ROEが7%台まで上がってきている点やEPSの着実な積み上がりを考えれば十分に妥当で、むしろ市場の評価がようやく企業価値に追いつき始めた状況とも捉えられる。
こうして全体を眺めると、東亜道路工業は決して急成長を狙うタイプの銘柄ではないものの、売上は安定的に微増し、利益は大きなブレがなく赤字リスクが極めて低い。EPSも長期的には右肩上がりで推移しており、道路インフラの補修需要が今後も続くことを考えれば、事業の土台は非常に堅固だ。ROEやROAも改善傾向が続いており、企業としての効率性も向上している。
派手な株価上昇は期待しにくいものの、大きく崩れにくい堅実さを持っており、長期の資産保全や安定したリターンを重視する投資家には非常に相性の良い企業と言える。道路インフラの更新が続く限り、同社の安定性は崩れにくく、中期・長期でじっくり持てるインフラ系銘柄として十分な魅力があると判断できる。
配当目的とかどうなの?
東亜道路工業の予想配当利回りは連26.3・連27.3ともに5.57%とかなり高い水準にあり、配当を中心に考える投資家にとっては強い魅力を持つ銘柄といえる。5%台後半という利回りは、日本株全体の中でも高配当の部類に入り、銀行株や商社株と比べても遜色ない実力を持っている。しかも、この利回りの高さが「業績が悪いから高い」というタイプではなく、むしろ東亜道路工業の収益が比較的安定していることが背景にある点が非常に重要だ。
同社は道路舗装を中心にしたインフラ会社であり、国や自治体のインフラ補修予算が底堅く推移しているため、景気敏感株に比べると業績が大きく崩れにくい。売上も毎年微妙に伸びており、営業利益・経常利益・純利益も急激に増えるわけではないが安定して推移している。この「収益が乱高下しない」といった安定性が高配当銘柄としては大きな安心材料だ。減配リスクの低さは高配当株を選ぶ上で最重要のポイントだが、東亜道路工業はまさにその条件に合っている。
EPSも66.7円 → 79.9円 → 89.2円と順調に伸びており、配当を支える源泉となる純利益の伸びもそれなりに続いている。配当性向が極端に高いわけではなく、無理をして配当を維持している会社ではない点も好印象だ。また、公共インフラの補修需要は今後10年以上続くと見込まれているため、事業環境自体が安定しており、長期保有前提の配当投資と非常に相性が良い。
株価面でも、東亜道路工業は派手に上昇するタイプではないが、インフラ系の安定株らしく上下のブレが小さい。そのため、利回りの高さに加えて「株価が大きく沈みづらい」という点でも配当狙いと相性が良い。PBR1.43倍という数値はやや高めに見えるが、ROEが7%台へ改善しつつあることを考えれば不自然ではなく、むしろ市場が適正評価をし始めたとも言える。
総合すると、東亜道路工業は「高利回りでありながら業績が安定していて減配リスクが低い」という、珍しくバランスの取れたタイプの高配当銘柄となっている。景気敏感株のように上下に振れず、地味だが確実に配当を積み重ねられるタイプで、長期の配当収入を狙う投資家には非常にマッチする銘柄だと言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価1,613円という水準は、予想配当利回りが5.57%とかなり高く、業績も比較的安定していることから、株価が大きく崩れにくい“高配当・安定型”の位置にあるといえる。道路舗装という業種は景気変動の影響を受けにくく、老朽化インフラの補修需要が今後も続くため、下値が固い構造を持ちやすい。一方で急成長が期待できる業種でもないため、上昇の幅もやや限定的になりやすい。この前提を踏まえて、良い場合・中間・悪い場合で5年間の株価イメージをまとめる。
まず良い場合は、道路補修の需要が安定して続き、同社の業績が売上・利益ともに緩やかに増えていくパターンだ。営業利益が65億円予想からさらに70億円台へ、EPSも90円台から100円台前半へ乗れば、PERが10倍前後で評価される可能性がある。その場合、株価は2,000円台前半〜中盤が射程に入り、強気な局面では2,200〜2,300円あたりまで上昇する余地がある。高配当利回りの銘柄は市場が再評価すると一気に買われることがあるため、長期金利が落ち着く局面ではこうした展開も十分あり得る。
中間のシナリオでは、売上が1200億円台後半〜1300億円台前半で横ばいを続け、利益も現在と大差なく安定するパターンだ。EPSは80〜95円を行き来し、PERは8〜10倍のレンジで落ち着くため、株価も1,700〜1,900円前後がメインレンジになりやすい。ときどき市場が配当利回りに注目して買われることがあり、その場合に2,000円あたりまでタッチする場面はあり得るが、基本的には安定したボックス圏の動きが続くと考えられる。最も現実的なのはこのパターンで、配当を受け取りながらゆっくり値上がりを待つ形になる。
悪い場合は、公共工事の時期的な遅れやコスト上昇で利益が圧迫され、EPSが80円を割り込むようなケースだ。ただし道路舗装業は景気敏感株よりも強い下支えがあり、利益がゼロ近くまで落ち込むようなことは考えにくい。そのためPERが7倍前後まで売られたとしても、株価の下値は1,400〜1,500円あたりが中心になりやすい。配当利回りが6%台に乗る水準では投資家の買いも入りやすく、極端な下落は起きにくいと予想される。
総合すると、良い場合は2,200〜2,300円、中間では1,700〜1,900円、悪い場合は1,400〜1,500円というイメージになり、現時点の株価1,613円は“やや割安寄りで下値が固い位置”にいる。業績の安定性と高い配当利回りを考えると、長期で保有しながら配当を受け取りつつ、ゆっくりとした株価上昇を期待するスタンスが最も向いている銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2025年11月24日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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