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五洋建設(1893)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

五洋建設とは

五洋建設は、国内の準大手ゼネコンの中でも特に「海上土木(マリコン)」分野で圧倒的な存在感を持つ企業であり、日本のマリコン市場では首位の地位を確立している。港湾、護岸、空港造成、浚渫、埋立といった高度な海洋工事に強く、海底地盤の改良や巨大構造物の海上施工など、他社が簡単には真似できない特殊技術を持つ点が特徴だ。明治時代の創業以来、国内の港湾整備・海岸防災の歴史と共に歩んできた企業で、長年蓄積したノウハウと保有船舶・起重機船・浚渫船といった巨大資機材が同社の競争力を支えている。

海上土木は一般の土木工事に比べて参入障壁が非常に高く、専門の作業船や熟練のオペレーターが欠かせないため、同社のような専門性の高いマリコンは国内でも数が限られている。中でも五洋建設は、圧倒的な機材保有量と施工実績を背景に、国内マリコン市場の“トップ企業”として安定したポジションを確保している。

国内では、港湾の浚渫・護岸補強・防波堤造成・耐震補強・高潮・津波対策など、近年需要が高まっている防災・減災関連工事の中心プレイヤーとして活躍している。さらに公共インフラだけでなく、民間の物流施設や工場、臨海部の再開発など陸上建築の実績も多く、総合的なゼネコンとしての側面も強い。

海外事業にも積極的で、特にシンガポールを中心とした東南アジアでは、港湾造成・空港拡張・埋め立て工事など多くの大型案件を手掛けてきた“名門マリコン”として知られている。海外の施工実績は非常に豊富で、アジアでの存在感は日本のゼネコンの中でも随一と言えるほど。港湾造成などの超大型インフラに強いため、国家レベルのプロジェクトを受注することも多い。

建築分野でも、倉庫・物流センター、医療施設、商業施設、オフィス、工場など幅広い建築案件を展開し、近年は都市再開発にも参画。海洋土木だけでなく、建築面でも安定した受注基盤を持っている点は、収益の安定性を高める大きな要因になっている。

総合すると、五洋建設は「海上土木の王者」といえる専門性の高さと、国内外の幅広い事業展開を両立した準大手ゼネコンであり、技術力・施工力・海外実績の三拍子が揃った企業。港湾や海岸の防災需要、東南アジアのインフラ拡大、国内の建築案件といった複数の収益源を持つことから、景気変動に左右されにくい安定的な事業構造を持つことが大きな特徴となっている。

五洋建設 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) EPS(円) 1株配当(円)
連23.3 502,206 4,119 1,415 684 2.4 24
連24.3 617,708 29,152 27,221 17,875 62.7 24
連25.3 727,491 21,697 18,839 12,460 44.1 24
連26.3予 727,000 39,500 36,000 25,000 90.5 34
連27.3予 742,000 41,000 37,500 26,000 94.1 34〜36

キャッシュフロー

年度 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 19,689 -11,701 -6,960
2024 9,139 -6,406 6,710
2025 -23,331 -23,216 43,883

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 0.8% 0.4% 0.1%
2024 4.7% 10.3% 3.1%
2025 2.9% 7.2% 1.8% 高値平均:115.2倍
安値平均:91.2倍
2.40倍

投資判断

五洋建設の業績推移を改めて“正しい単位=億円”で見直すと、まず売上は5022億円 → 6177億円 → 7275億円と、3年間でしっかりと規模が拡大している。国内の公共工事だけでなく、シンガポールを中心とする海外の大型港湾工事が継続的に寄与しており、マリコン首位らしく海洋インフラの安定需要が成長のベースになっている。

連23.3は営業利益41億円、純利益6.8億円と低調だったが、これは工事採算のブレや一部の海外案件の影響が大きかった年。しかし翌期の連24.3では営業利益291億円、経常利益272億円、純利益178億円と一気に改善しており、 EPSも2.4円 → 62.7円に急回復している。これは五洋建設の特徴でもある“利益の波”で、海上土木特有の大型案件の利益計上タイミングが前後することが大きく影響している。

ところが連25.3では営業利益216億円、経常利益188億円、純利益125億円と再び利益が落ち込んでいる。ただし、売上は7275億円まで伸びており、トップラインは極めて好調。利益だけが調整したのは、工事採算の一時的な悪化や資材費の高止まり、工期のズレなど“ゼネコン特有の年次変動”によるものと見られる。赤字に落ちるほどの弱さではなく、むしろ海洋土木企業としては想定の範囲内。

そして最も注目すべきは連26.3予の利益見通しで、営業利益395億円、経常利益360億円、純利益250億円と、連24.3の高収益期をも上回る内容になっている。

EPSも90.5円予想と非常に高く、工事採算が改善し、大型案件の利益計上が進むタイミングに入っていると考えられる。五洋建設は海外港湾工事や国内港湾防災で大型案件が多いため、こうした利益の“山”が周期的に出てくるのが特徴であり、今年はその山が来ていると見るのが自然。

営業利益率を見ると、0.8% → 4.7% → 2.9% と年度ごとにバラつくが、これはマリコンの宿命。しかし利益が出る年は営業利益率4〜5%に乗ってくることが多く、連26.3予の内容から見れば再び高い利益率が期待できる。

ROEも同様で、連24.3では10.3%と優秀、連25.3は7.2%に落ちているが、連26.3予の利益規模なら再びROE10%超が見えてくる水準。資本効率が安定して二桁に乗るゼネコンは少ないため、五洋建設の企業価値評価は上がりやすい。

一方でバリュエーションは、実績PERが高く見えるのはEPSが低かった年の数字をベースにしているためで、連26.3予のEPS90.5円で見れば、現在のPBR2.40倍でも“超割高”というほどではない。むしろ国内外の大型インフラ需要が強く、五洋建設は海上土木のトップという代替不可能なポジションにあるため、PBR2倍台は市場が正当に評価し始めているとも言える。

総合すると、五洋建設は売上が安定して成長し、利益は年度ごとに上下するものの、連26.3予のように大きく跳ねる年が必ず出てくるタイプの企業。海洋土木という高い参入障壁、海外港湾案件の豊富な実績、国内の防災需要の強さという“三つの安定軸”があるため、長期的にはEPSも純利益も上昇トレンドに入りやすい。

年度ごとの利益ブレはあるものの、構造的な弱さはなく、むしろ“強い年が巡ってくるたびに評価される銘柄”というタイプ。中期的には企業価値が確実に積み上がる方向にあるため、海洋インフラ需要を背景にした“安定成長+利益の山で株価が跳ねる”という投資ストーリーのある銘柄と言える。

配当目的とかどうなの?

五洋建設を配当目的で見る場合、基本的には「高配当株として積極的に選ぶ銘柄ではない」という評価になる。予想配当利回りは連26.3・連27.3ともに 2.13% と、ゼネコン業界の中では平均か、やや低めの水準にとどまっている。利回りだけを目的にする投資家からすると物足りない数字で、三井住友建設や東急建設、安藤ハザマのように3〜4%台が出る企業と比べると、五洋建設は「配当で選ぶ銘柄」というタイプではない。

ただし五洋建設の特徴は、配当額そのものよりも、事業構造の安定性と利益が出る年にしっかり増配する姿勢にある。マリコンという業種上、利益が年度ごとに大きくブレやすいが、赤字に落ちにくいビジネスモデルで、売上の安定性は非常に高い。過去にも営業利益が低迷した年でも配当を維持しており、業績悪化=即減配になるような不安定な会社ではない。

連26.3予・連27.3予を見ても、会社計画では配当は34〜36円程度で安定維持となっており、急激な増配はないものの、減配リスクも低い。これは海洋土木の長期安定需要(港湾の補修、防災、浚渫、埋立など)を背景とした安定経営があるためで、キャッシュフローの変動はあっても、企業体力は強い。

配当利回りそのものは平均的だが、五洋建設は「長く持っても安心」「突然の無配リスクが低い」タイプであり、高配当ではなく安定配当銘柄に近い存在といえる。

ただし、配当で大きく儲けたい場合には向いていないので、五洋建設に投資する理由はどちらかというと、配当ではなく業績と株価の中期的な成長・安定性を狙う投資が本筋になる。

まとめると、配当狙いの人には魅力はやや弱いが、「減配しにくく、業績が良い年にはしっかり配当が上がる安定株」として見るなら悪くない。利回りを最優先せず、事業の強さと成長性を重視する投資家には十分選択肢になり得る銘柄と言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

五洋建設の株価1,591円を起点に今後5年間を考える場合、まず前提として意識すべきなのは、この会社が国内マリコン(海上土木)で首位という強い立ち位置にあり、港湾工事、浚渫、埋立、防波堤、海岸強靭化といった特定の分野に深い専門性を持っていることだ。陸上土木のように競合が多い世界ではなく、海洋施工という特殊な領域で、巨大な浚渫船や起重機船を自社保有している点は、他の準大手ゼネコンとは圧倒的に違う。参入障壁が非常に高いため、工事単価や案件規模が比較的大きくなりやすく、売上は安定しやすい傾向がある。

その一方で、利益に関しては年度ごとに波が出る。大型の海外港湾工事、空港造成、海底地盤改良などは工期のズレや採算変動が起こりやすく、利益率は大きく伸びる年と落ちる年が交互に出るケースが多い。これは五洋建設特有の現象というより、海上土木全体の構造的な特徴であり、数字を見る際は「利益が上下しても構造的な問題ではない」という点を踏まえる必要がある。

こうした特徴を前提に、株価の5年間のシナリオを良い場合、中間、悪い場合の3つで考えていく。

良い場合は、海洋工事の採算が改善し、海外案件が順調に進み、利益の“当たり年”が周期的に訪れる展開だ。とくに東南アジアの港湾需要はまだ伸びる可能性があり、シンガポールやベトナムなど成長国の大型インフラ投資で利益が積み上がってくる。また、日本国内でも国土強靭化、港湾補修、海岸防災の需要は長期的に枯れにくい。こうした追い風のもとでEPSが90〜110円台で安定すれば、市場評価も改善し、株価は2,000〜2,400円程度のレンジまで水準を切り上げることが十分あり得る。洋上風力関連が再び注目を集める局面があれば、需給が過熱して一時的に2,500円台に到達する可能性もある。

中間の場合は、現在のように売上は右肩上がりで伸びつつ、利益は年度ごとに上下を繰り返す状況が継続するパターンだ。EPSは60〜90円の間で推移し、利益率は年によって波があるものの、安定した赤字リスクはほとんどない。市場はこの性質を理解しているため、PERも9〜12倍程度の評価に落ち着きやすい。この場合、株価は1,500〜1,900円のボックス圏が続く可能性が高く、上値を大きく追うよりも堅実な推移になりやすい。急騰することは少ないが、海洋インフラの長期安定需要を背景に、下へ崩れる心配も大きくない。

悪い場合は、海外の大型工事で採算悪化が起きたり、資材高や為替の影響でコストが増えたり、国内外の案件がずれ込んで利益計上が先送りされるケースだ。EPSが40〜60円程度の低めの水準になると、市場の評価もPER8〜9倍程度に収縮し、株価は1,200〜1,400円程度まで調整する可能性がある。ただし五洋建設は売上が極めて安定しているタイプの企業で、海洋土木の需要自体は国策的に途切れにくいため、1,000円を割り込むような深刻な下落は考えにくい。利益が弱い年があっても、それが翌年以降に戻ることが多いため、長期でみれば下値は強い。

まとめると、五洋建設は5年間というスパンで見たときに、急騰よりも“堅く育つ銘柄”としての性質が強い。海洋土木と海外大型案件という強い基盤があり、利益は上下しながらも長期的には右肩上がりになりやすい。株価の方向性としては、悪い場合は1,200〜1,400円、中間なら1,500〜1,900円、良い場合には2,000〜2,400円を目指す展開が見込まれ、テーマ性が強まれば一段高も視野に入る。派手さはないものの、安定して収益基盤を持続させながら、良いタイミングで評価が上がるタイプの銘柄といえる。

この記事の最終更新日:2025年11月25日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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