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世紀東急工業(1898)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

世紀東急工業とは

世紀東急工業株式会社は、東急グループに属する道路舗装大手で、関東を中心に東日本を主要な基盤とするインフラ企業。道路舗装工事を中心に、舗装の新設・補修・維持管理まで一貫して対応するのが特徴で、高速道路、国道、一般道路まで幅広い案件を手がけている。東急系の強みを背景に、公共工事に強く、道路舗装分野では長年トップクラスの施工実績を持つ。

同社は、京都や神戸地区で高速道路の大型舗装補修案件を受注するなど、西日本でも確実に実績を積み上げている。さらに関東エリアでは給水管の取り換え工事などインフラ更新事業の受注も増えており、道路以外の都市インフラ分野にも対応領域を広げている。舗装技術を軸にしながらも、上下水道、橋梁、法面、造成など土木工事全般を手がけられる総合力を持っており、災害復旧工事や老朽化対策にも積極的だ。

環境関連の取り組みも進んでおり、環境負荷の小さい「低炭素アスファルト混合物」によるCO2削減技術の開発など、脱炭素に向けた技術革新を強化している。低騒音舗装、雨水浸透型舗装、再生アスファルトを活用したリサイクル工法など、多様な環境対応型技術を保有しており、都市部での景観舗装やカラー舗装にも強みがある。

また、自社プラントで製造するアスファルト合材の外販事業も展開しており、舗装工事と資材供給を両軸に安定した収益基盤を形成している。合材供給による品質管理面の強みは、同社の大きな競争力のひとつとなっている。

こうした背景から、世紀東急工業は「東急系の道路舗装大手」として、環境技術の開発、都市インフラの更新、舗装材外販の三本柱で事業を広げており、今後も道路の老朽化対策や都市更新に伴う需要が見込まれる企業となっている。

世紀東急工業 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3 92,414 2,669 2,647 1,127 30.7 30
連24.3 88,037 4,091 4,078 2,740 75.2 90
連25.3 99,358 5,842 5,788 3,887 106.5 90
連26.3予 100,500 5,900 5,700 3,900 106.5 70

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 2,380 -5,028 -2,022
2024 10,949 -2,873 -2,823
2025 -971 -1,339 -3,376

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 2.8% 2.8% 1.4%
2024 4.6% 6.7% 3.6%
2025 5.8% 9.3% 4.7% 高値平均 24.4倍
安値平均 15.6倍
1.39倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

世紀東急工業の業績推移を見ると、23年度から25年度にかけて利益面が大きく改善しており、営業利益は26億円から58億円へ、純利益も11億円から39億円へと伸びている。特に24年度から25年度にかけての利益成長が顕著で、営業利益率も2.8%から5.8%まで上昇しており、舗装工事やアスファルト合材の採算改善が進んでいることが分かる。道路補修関連は国や自治体の予算に左右されにくく、老朽化対策需要が強いため、この改善は一時的というより構造的な改善と考えやすい。

ROEも23年度の2.8%から25年度には9.3%へ、ROAも1.4%から4.7%へ向上しており、資本効率が確実に改善している。典型的な道路舗装会社は利益率が低くなりがちだが、同社は環境対応型舗装、合材の外販、インフラ更新工事の受注増加などにより利益の底上げが進んでいる印象がある。

PERは過去の平均からみて15〜24倍程度が市場の評価レンジになっており、建設セクターとしてはやや高めの評価を受けている。これは利益が安定して伸びている点や、東急グループという信用力、道路舗装と資材供給の両輪による堅実な収益基盤を市場が評価していると考えられる。PBRも1.39倍と建設株としては比較的高めで、割安放置というより「安定成長企業としての適正評価」に近い。

リスク面としては、26年度予想で配当が90円から70円に減っており、株主還元の弱さがやや気になる。利益は横ばいの見通しであるにもかかわらず配当を減らしているため、資材価格や工事コストの上昇、設備投資負担、財務キャッシュフローの悪化などが背景にあると推測される。また、25年度の営業CFがマイナスで、財務CFも毎年マイナス方向で推移している点は注意が必要。利益は出ているがキャッシュ創出能力にやや波がある。

総合すると、世紀東急工業は「急成長はしないが、インフラ更新需要を背景に利益の底上げが続く安定型の建設株」という位置づけになる。利益率改善・ROE上昇などの良い流れが続いていることから中期的には堅調な展開が期待できるものの、26年度の配当減額とキャッシュフローの弱さは短期的な懸念材料。長期で見るなら悪くないが、強気で買い増すというより「押し目で拾って中期保有」が合うタイプの銘柄だと判断できる。

配当目的とかどうなの?

世紀東急工業は、配当利回りという観点で見ると26期・27期ともに4.4%台と、建設セクターの中では比較的高い水準に入る。もともと配当性向が極端に高い企業ではないものの、利益が伸びている中での利回り4%超は、インフラ系の安定銘柄としては十分魅力がある。道路舗装工事は景気変動の影響を受けにくく、国・自治体の老朽化インフラ更新需要が半永久的に続くため、利益水準が急落しにくい点も利点のひとつ。

一方で気になるのは、25期の配当90円から26期に70円へ減配している点で、これは短期的には投資家心理にマイナス。利益は横ばい予想であるにもかかわらず配当を下げているため、今後の工事コストの高止まりや、設備投資・プラント維持に必要なキャッシュを内部留保として確保したい意向がうかがえる。財務キャッシュフローが毎年マイナスで、25期の営業CFがマイナスだったこともあり、手元資金を丁寧に管理している印象が強い。

ただし、利回りは4%台に乗っており、再度の増配があれば評価は戻りやすい。東急グループという背景もあり、極端な無配転落などは考えにくい。高利回り株として「長期保有でコツコツ受け取る」には向いているが、「毎年増配してほしい」タイプの投資家にはやや物足りなさが残る。

総合すると、世紀東急工業は高利回りを狙いつつ値下がりしにくいインフラ系の安定銘柄を求める投資家には十分選択肢になるが、増配を求める配当成長投資とは相性が弱い銘柄といえる。

今後の値動き予想!!(5年間)

世紀東急工業の株価が今後5年間でどう動くかを考えると、まず前提として同社は急成長するタイプの企業ではなく、道路舗装・インフラ更新といった安定需要に支えられた「堅実な建設株」に分類される。そのため、景気循環や国のインフラ予算に大きく左右されるセクターよりも値動きは穏やかで、長期的には利益水準の変化や配当方針に沿って緩やかに推移する傾向が強い。

良い場合のシナリオとしては、舗装工事の採算改善が続き、営業利益率がさらに6%台に乗るような展開になれば、利益成長とともに市場評価も上がりやすい。政府のインフラ老朽化対策や環境配慮型舗装の需要が増加し、京都・神戸エリアの大型補修工事や関東の更新工事が安定的に積み上がると、業績の底上げが続く可能性がある。この場合、株価は1,582円から5年後に2,000〜2,300円程度までじわじわと上昇していくイメージで、大きく跳ねるというより「静かに右肩上がり」の形になりやすい。

中間の場合は、利益が現在の水準(営業利益50〜60億円台、純利益40億円弱)で横ばいに推移し、営業利益率も5〜6%程度で落ち着くシナリオ。業績は堅調だが市場評価が特段変わらないため、株価は1,500〜1,800円のレンジをゆっくりと行き来し、5年後も同程度の水準に収まりやすい。配当利回りが4%台と高いため、株価が極端に売り込まれる場面も起こりにくく、安定推移が基本線になる。

悪い場合は、資材価格の上昇や工事コストの増加で利益が圧迫され、営業利益率が再び4%台に低下する展開。さらに、工事受注のタイミングずれやキャッシュフローの悪化が続くと、市場が不安視してPBR1倍割れの評価に戻る可能性もある。この場合、株価は1,200〜1,350円程度まで下落する余地が出てくる。ただし、道路舗装という事業特性上、極端な業績悪化は想定しにくく、下値は比較的限定的になりやすい。

総合すると、世紀東急工業の株価は「急騰よりも堅実さが売り」のタイプで、5年スパンで見ても大きなレンジを動くより、利益と配当次第でゆるやかに推移する展開が中心になる。配当利回りが安定して高いため、値上がり益よりも総合利回り(インカム+多少の値上がり)を狙う長期保有向きの銘柄という印象が強い。

この記事の最終更新日:2025年11月25日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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