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北陸電気工事(1930)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

北陸電気工事とは

北陸電気工事は、電気工事を主力とするインフラ系の設備工事会社で、北陸電力グループの中核企業として電力インフラの整備・保守を担っている。北陸電力向けの売上が全体の3割強を占めており、地域密着の電力工事会社として長年の強固な信頼関係を築いている。ただ、特定顧客依存が大きい一方で、近年は地盤である北陸から徐々に全国へ事業エリアを広げており、電力関連工事の高い技術力を生かして新規エリアの案件を獲得し始めている。

事業内容は、送電線・配電線工事、変電所設備の建設・更新、ビルや公共施設の電気設備工事、情報通信設備工事、空調・防災設備工事など多岐にわたる。とくに送電・配電網の高経年化が全国的に課題となっている中、設備更新や耐震補強、老朽化対策の需要が安定して続いており、同社の受注環境は中長期的にも堅調といえる。

また、北陸電気工事は電力インフラの将来を見据えた新分野の提案にも積極的で、系統用蓄電池の導入を提案する営業活動を進めている。再生可能エネルギー比率が高まる中、電力の需給調整には蓄電池が不可欠となりつつあり、送配電工事の知見を持つ同社にとって新しい収益源に育つ可能性を持つ領域である。

一方で、国内だけでなく海外にも展開しており、インドネシアの銀行から太陽光発電設備工事を受注するなど、再エネ分野での実績も積みつつある。アジア地域は電力網の整備が進展途上であるため、設備工事の需要は大きく、今後の展開次第では海外案件の比率が徐々に高まることも期待できる。

北陸新幹線の延伸に伴い、北陸地域ではホテル建設や商業施設の開発が増加しており、その電気設備工事や通信設備工事も同社の受注機会につながっている。地域インフラと観光開発が同時に進む中で、同社の電気設備工事が幅広く活かされている。

財務面では堅実な経営を続けており、DOE(株主資本配当率)3%を目標に掲げていることから、株主還元にも一定の配慮を見せている。安定収益を背景に大きく冒険しない堅実な配当政策を採用しており、長期保有に向いた企業としての色が強い。

総合すると、北陸電気工事は北陸電力の子会社として長年電力インフラを支えながら、電力設備の更新需要、再エネ対応、蓄電池提案、海外案件の獲得など、安定と成長の両方を備えた企業に成長している。電力網の維持・更新は今後数十年続くテーマであるため、業績は中長期でも底堅い動きを見せやすく、地域密着で培った施工力を武器に全国へ領域を広げつつある点も同社の強みになっている。

北陸電気工事 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3 44,846 2,356 2,531 1,628 58.2 36
連24.3 53,398 3,425 3,645 2,209 78.9 40
連25.3 55,607 4,351 4,611 3,187 113.9 44
連26.3予 61,000 4,500 4,700 3,200 112.9 44〜49
連27.3予 64,000 4,700 4,900 3,300 116.4 44〜50

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 3,314 -2,935 -900
2024 2,255 -1,419 -1,289
2025 7,603 -3,418 -1,393

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 5.2% 3.9% 2.9%
2024 6.4% 5.2% 3.5%
2025 7.8% 7.2% 5.2% 高値平均 14.1倍
安値平均 9.6倍
0.84倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

北陸電気工事の業績推移を見ると、まず売上高が23年から25年にかけて着実に増加しており、電力インフラ工事の安定した需要を背景に、年々規模が拡大していることがわかる。特に送電網・配電網の更新需要が強いほか、北陸新幹線延伸に伴うホテルや商業施設の電気設備工事、さらに全国展開による受注エリアの拡大が成長を後押ししている。

利益面でも改善が続いており、営業利益は23年の23億円から25年の43億円まで約2倍に増加している。営業利益率も5.2%から7.8%に上昇しており、採算改善が進んでいることが読み取れる。これは、電力設備工事の高付加価値案件が増えていることや、物価上昇分の価格転嫁が徐々に進んだことが要因と考えられる。26年予想も45億円と増益が見込まれており、利益成長が一過性でない点は評価できる。

経常利益・純利益も営業利益と同様に安定して上向いており、純利益は23年の16億円から25年には31億円へと伸びている。ROEは23年の3.9%から25年には7.2%へ改善しており、資本効率の面でもしっかりと改善が進んでいる。ROAも2.9%から5.2%へと向上しており、会社全体の効率性が上がっていることがわかる。

株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値で14.1倍、安値で9.6倍と、建設・設備工事セクターとしては過度に割高でも割安でもない妥当な評価となっている。一方でPBRは0.84倍と1倍を下回っており、純資産に対して株価がやや低く評価されている。高い利益成長と改善したROEを踏まえると、今後の業績次第ではPBR1倍超えを目指せる余地もある。

総合すると、北陸電気工事は電力インフラ更新という長期テーマに乗った安定成長企業であり、利益率の改善と全国展開による受注増を背景に、中長期で堅調な業績が期待できる。特に電力網の老朽化、再エネ普及による蓄電池設備の拡大、海外(インドネシア等)の受注など、成長分野を複数持っている点が強みである。株価指標も割高感はなく、地味ながらしっかり業績を積み上げるタイプで、中長期の安定投資に向いた銘柄と言える。

配当目的とかどうなの?

北陸電気工事の予想配当利回りは26.3期・27.3期ともに3.26%で、建設・設備工事セクター全体で見ると標準よりやや高い、安定感のある水準となっている。同社の事業は電力インフラ関連の工事が中心であり、北陸電力向けの安定した工事需要が売上の3割超を占めているため、景気変動による大きな収益悪化が起こりにくい構造になっている。この安定的な事業基盤が配当の継続性を支える要因になっており、インカムゲインを目的とする投資家にとっては扱いやすい銘柄といえる。

利益の推移を見ても、23年から25年にかけて売上・利益ともに伸びており、EPSも58円 → 78円 → 113円と順調に増加している。26年予想ではEPSは112円台とやや横ばいになるものの、利益水準は十分に配当を維持できるラインにある。安定性を重視する企業らしく、配当は大きく跳ねることはないものの、減配の可能性も低い「守りに強い配当方針」といえる。

また、同社はDOE(株主資本配当率)3%を目標に掲げており、純資産に対して一定の水準で還元を行う方針が明確になっている。このDOE採用は、景気や利益のブレに左右されにくく、中期的に安定した配当を実現するメリットがある。実際、過去の配当推移を見ても、大幅減益でない限り、配当を据え置きまたは増配する傾向が続いており、株主還元姿勢は比較的手堅い。

さらに、同社は送電・配電設備の更新、再生可能エネルギー関連工事、蓄電池の提案営業、インフラの高経年化対策など、今後も需要が続く事業領域を多く抱えている。これらの工事は長期テーマであり、維持補修・更新案件が継続する限り、安定した収益が見込めることから、将来的にも配当の維持・小幅増配が期待できる環境にある。

総合すると、北陸電気工事は大きな増配や高配当株を狙うタイプではないものの、電力インフラという安定した基盤と、堅実な財務とDOE方針に支えられた「比較的下落リスクの低い安定配当株」という位置づけになる。3%強という利回りは配当株として十分に魅力があり、長期で安定的にインカム収入を得たい投資家にとって、安心して保有しやすい銘柄といえる。

今後の値動き予想!!(5年間)

北陸電気工事の株価が現在の1,350円から今後5年間でどう推移していくかを考える際、まず前提になるのは、同社が電力インフラ工事を主軸とする企業であり、北陸電力向けの安定した受注を持ちながら、全国展開も進めているという点である。送電・配電設備の高経年化対策、再生可能エネルギー関連工事、蓄電池導入の提案営業など、長期テーマの仕事が多く、事業そのものが景気に左右されにくい。そのため、株価も大きく崩れにくいタイプだが、一方で急上昇もしにくい、比較的ゆるやかな値動きになりやすい。

良い場合のシナリオでは、電力インフラ更新需要が全国的に拡大し、送電線・配電網の再整備や変電所設備更新が活発化することで、北陸電気工事の受注が大きく増えるケースが想定される。さらに、蓄電池関連の案件が本格的に動き始め、再エネ対応工事が新たな柱として育つことで、営業利益が現在の40億円台から50億~60億円規模へと伸びていく可能性もある。この場合、市場の評価が改善しPERが13〜15倍で安定すれば、株価は5年後に1,700〜1,900円程度まで上昇するシナリオが見えてくる。電力設備は国策とも言える強いテーマのため、上昇の持続性も期待しやすい。

中間シナリオでは、業績が堅調に推移しつつも大きな伸びは見られず、現状の緩やかな成長が続くパターンが想定される。電力設備工事は更新需要が続くため売上は増えるものの、採算の波や案件ごとの変動によって営業利益は40億~50億円のレンジで推移する可能性が高い。この場合、株価は1,350円前後を中心に上下しつつも、長期では徐々に底上げされ、1,450〜1,600円前後を目指す動きになる。配当利回り3%台の安定感が下支えとなるため、大きな下落は起こりにくい安定型の展開である。

悪い場合のシナリオでは、原材料価格や人件費の高止まりが続き、採算の低い案件が増えることによって利益が圧迫されるケースが考えられる。また大型案件の端境期が重なれば、受注が一時的に鈍り、営業利益が30億円台前半まで落ち込むリスクもある。この場合、市場の評価が保守的になりPERが10倍前後まで低下すれば、株価は1,100〜1,250円の範囲まで下押しされる展開もあり得る。ただし電力インフラ工事という底堅い事業構造があるため、大幅な下落を続けるような悲観シナリオは描きにくく、落ちても戻りやすい銘柄と言える。

総合すると、北陸電気工事は「安定的に配当をもらいながら、緩やかに値上がりを期待する」タイプの銘柄であり、電力インフラという強固なテーマに支えられているため、崩れにくく堅実な値動きを見せやすい。大きなボラティリティはないが、中長期で見れば1,400〜1,800円程度を目指していく展開が最も現実的なシナリオといえる。

この記事の最終更新日:2025年11月25日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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