株ウォッチング

すべての株の情報を表示し管理人のアドバイスも一言


四電工(1939)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

,

株価

四電工とは

四電工は、四国電力グループに属する総合設備工事会社で、長年にわたり四国地域の電力・インフラ設備を支えてきた企業である。四国電力向けの売上比率は5割未満と一定の依存はあるものの、電力会社一社に偏らないバランス型の収益構造を形成しており、近年は四国外への市場開拓に積極的に取り組んでいる。主力事業となる電気設備工事と空調設備工事は、ビル・商業施設・工場・病院・公共施設など幅広い現場で求められる基盤技術で、地域を問わず継続的な需要が発生する分野でもある。

同社の最大の特徴は、「複数の専門領域を統合してワンストップで提供できる総合力」にある。電気工事を中心に、空調・給排水、情報通信設備、電気計装設備、制御システムなどを組み合わせることで、単なる施工会社ではなく、設備エンジニアリング企業として、施設全体の最適化を一括して担うことができる点が強みだ。例えば、ビルの新築工事では、電気設備と空調設備を一体で設計し、最適なエネルギー効率で運用するための提案まで含めて対応する。工場向けでは、電気計装と制御プログラムを組み合わせて生産ラインの自動化や効率化を実現するなど、単なる配線工事を超えた高度な技術提案が可能になっている。

同社はこれまでやや弱かった都市圏での空調管工事にも注力し始めており、中部・近畿・首都圏の市場拡大を進めている。都市部は再開発や設備更新需要が多く、安定した受注を確保しやすい領域であるため、四電工にとって大きな成長余地となっている。また、再生可能エネルギー分野への進出も顕著で、メガソーラー事業とくに「水上太陽光発電」の実績を持っている。初号案件が初年度で黒字化するなど、企画・設計・施工・運用まで手がける総合力が収益に結びついており、今後の新規案件の拡大が期待される。ただし、水上太陽光の第2弾以降は補助金制度や外部環境の影響を受けやすく、事業化の難度が上がる可能性もある。

さらに、四電工は総合設備工事だけでなく、災害復旧や電力インフラの更新など公共性の高い分野でも重要な役割を担っている。電力設備や通信ネットワークは老朽化が進んでおり、今後も更新投資は必ず必要とされるため、安定需要が長期にわたり継続する見込みが強い。DX化の進展に伴い、都市インフラや建物の電気設備は高度化し、スマートビル・スマート工場化の流れも進むため、四電工の技術が活きる場面はさらに広がっていく。

また、現在策定中の新中期経営計画では、配当性向の見直しも検討されており、株主還元姿勢が強化される可能性がある。電力設備というディフェンシブな事業を軸にしながら、都市圏市場、再エネ、情報通信といった新領域を取り込み、収益構造をより多角化していく体制づくりが進んでいる。これにより、四電力依存の減少だけでなく、中長期的な利益成長も期待できるフェーズに入っている。

総じて四電工は、電気・空調・通信・計装など幅広い技術を統合した総合設備工事会社としての強みを持ち、安定的な電力インフラ需要と都市圏の成長市場、再エネ分野の拡大を背景に、中長期で確実に成長できる土台を築いている企業である。

四電工 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3* 89,120 4,970 5,567 3,764 79.7 30
連24.3* 92,112 6,444 7,012 4,571 96.7 46.7
連25.3* 105,877 8,073 8,536 5,173 109.5 65
連26.3予 100,000 7,000 7,500 5,000 105.6 65
連27.3予 103,000 7,500 8,000 5,300 112.0 65〜67

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 3,809 148 -3,134
2024 6,037 -598 -3,106
2025 -536 -1,180 -4,280

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均/安値平均) PBR
2023 5.5% 6.7% 3.8%
2024 6.9% 7.4% 4.4%
2025 7.6% 7.9% 5.1% 12.8倍/7.6倍 1.04倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

四電工の直近の業績推移を見ると、まず売上高は連23.3期の8,912億円から連24.3期9,211億円、連25.3期1兆584億円へと堅調に伸びており、電気工事・空調工事を中心とした受注が着実に積み上がっていることがわかる。利益面でも同様に改善傾向が見られ、営業利益は497億円 → 644億円 → 807億円と段階的に拡大している。経常利益も556億円 → 701億円 → 853億円と安定成長を示しており、四国電力依存の高さを維持しながらも、四国外の案件や再エネ関連工事を取り込み収益力が改善している。

純利益については376億円 → 457億円 → 517億円と順調に伸びており、EPSも79.7円 → 96.7円 → 109.5円と増加している。これは利益成長が株主価値の向上に直結していることを意味する。連26.3期は純利益500億円とやや減速予想だが、売上と利益の水準は過去よりも高い位置で安定しており、利益の落ち込みというよりも高採算案件の減少や投資負担による一時的な調整と見られる。

営業利益率は23.3期が約5.5%、24.3期が6.9%、25.3期が7.6%と改善が続いており、工事単価の改善や付加価値の高い案件比率の上昇が要因として考えられる。ROEも6.7% → 7.4% → 7.9%とじわじわ上向いており、資本効率の改善が進んでいる点はプラス。ROAも3.8% → 4.4% → 5.1%と安定的に推移しており、インフラ系工事会社としては十分健全な水準にある。

評価指標を見ると、25.3期ベースでPERは高値平均12.8倍、安値平均7.6倍、PBRは1.04倍と割安感のある水準に位置している。収益が安定し、四国外にも積極展開していることを考えると、実力値としてのPER10倍前後は妥当で、過度に割高・割安のどちらにも偏っていない価格帯といえる。

総合すると、四電工は売上・利益ともに右肩上がりで、電力インフラ・空調設備・再エネ工事など社会インフラと密接に結びつく事業を主体とするため、景気に左右されにくい安定した収益構造を持っている。利益率の改善が続き、ROE・ROAも上向きで、財務の健全性やキャッシュフローも堅調な点から、中長期でじっくり保有できるタイプの堅実な銘柄と判断できる。

大きな成長を狙うタイプではないが、安定した業績と堅い顧客基盤、着実な利益積み上げが期待できるため、中期的にじわじわ株価が評価されていく可能性が高い企業といえる。

配当目的とかどうなの?

四電工の予想配当利回りは、連26.3期・連27.3期ともに4.42%と、電気工事・設備工事セクターの中でもかなり高い水準に位置している。利回り4%台前半というのは、建設・設備関連銘柄の中では上位に入る高さであり、配当目的の投資家から見ても十分魅力的な利回りといえる。とくに同社は電力インフラ関連の工事を多く手掛けているため、景気の影響を受けにくく、業績とキャッシュフローが比較的安定している点が配当の持続性につながっている。

配当の推移を見ると、23.3期の30円から24.3期46.7円、25.3期65円と増配が続いており、利益成長とともに株主還元も強化されている。連26.3期以降は業績が多少落ち着く見込みとなっているものの、配当は65円を維持し、連27.3期も同水準の65〜67円が予想されている。このことから、配当を簡単には落とさない姿勢がうかがえ、株主還元の安定性は比較的高い企業といえる。

また、四電工は電気設備・空調設備・通信設備・電力関連工事といった、社会インフラに不可欠な分野を幅広く扱っており、需要が継続しやすい業界構造にある。加えて、四国外への市場開拓や再エネ・空調管工事の拡大、水上太陽光への取り組みなど、今後も受注機会が広がる可能性があるため、利益水準が極端に悪化しにくい点も配当の安定感を高めている。さらに、現在の中期経営計画の見直しで配当性向引き上げが検討されている点も、今後の株主還元強化に期待を持てるポイントとなる。

総合すると、四電工は安定した利益構造、増配の実績、4%超の利回り、低リスクの事業基盤といった要素を兼ね備えており、配当目的の長期投資に向いた銘柄といえる。爆発的な成長を期待するタイプではないものの、安定したインカム収入を重視する投資家には非常に相性の良い企業である。

今後の値動き予想!!(5年間)

四電工の現在値1,470円を基準に今後5年間の株価を考えると、同社の事業構造は「大きく崩れにくいが、急激に跳ねる要素も少ない」という特徴があるため、シナリオごとの振れ幅は比較的穏やかになる。ただし、電気・空調・通信・電力関連といった社会インフラど真ん中の領域を扱っているため、長期で見ると底堅い需要が続く可能性が高い。四国電力向けの売上依存度を徐々に下げながら、四国外のビル・工場・公共施設工事を獲得しつつ、空調管工事や水上太陽光など新たな収益源の育成も進めている点が、中長期での株価評価のカギになる。

良い場合
四国外での市場開拓が順調に進み、ビル空調工事、工場の電気計装工事、通信インフラ更新工事などの受注が想定以上に積み上がると、売上・利益の成長が鮮明になる。再エネでは水上太陽光やメガソーラー案件が再び伸び始め、採算性の高い案件が増えた場合は営業利益率がさらに改善し、EPSも継続的に上昇していく。こうした流れの中で市場が「ディフェンシブで安定成長する会社」として四電工を評価すれば、PERが10〜12倍前後まで切り上がり、株価は5年で1,900〜2,200円程度まで上昇する可能性がある。高配当を受け取りながら株価も値上がりする、比較的理想的な成長パターンで、じわじわと資産価値が増えていくシナリオとなる。

中間の場合

最も可能性が高いシナリオは、現状の事業が堅調に推移しつつ、四国外案件が少しずつ増えるパターンである。設備やビル工事、通信工事、再エネ工事などが安定的に受注され、EPSもゆっくり増加していく。大きな成長ではないが確実な収益積み上げが続き、PERは8〜10倍の範囲で推移しやすい。この場合の株価は1,550〜1,800円程度のレンジで推移し、配当を受け取りながら手堅い値動きを享受できる。特に四電工は配当利回り4%超を維持しており、株価が大きく動かない局面でも配当収入によって投資リターンが安定しやすい。

悪い場合
電力関連工事が一時的に減少したり、四国外での営業強化が思ったほど成果につながらないと、利益は現在水準で横ばいまたはやや減少しやすくなる。再エネ案件は補助金制度の影響を受けやすいため、政策変更や資材価格の上昇が利益を押し下げる可能性もある。景気後退局面では企業の設備投資が鈍り、官公庁案件以外の受注が抑制されるため、EPSが伸び悩み、PERも7〜8倍まで低下するケースが想定される。この場合の株価は1,200〜1,350円程度のレンジに収まる。ただし、四電工はインフラ関連の工事比率が高く「急激に売上が減るタイプではない」ため、極端な下落リスクは限定的となる。

総合すると、四電工は「急成長ではなく、じっくり育つタイプ」の銘柄であり、株価が大きく跳ねるよりも、長期的に安定した収益とインカム収入を期待する投資家と相性が良い。電力インフラ、空調工事、通信工事といった必要不可欠な分野を支えているため、事業需要は長期的に底堅く、株価も大きく崩れにくい。現在値1,470円という水準は割安寄りの評価であり、今後数年間は配当を受け取りながら、緩やかな株価上昇の可能性を期待できる銘柄といえる。

この記事の最終更新日:2025年11月25日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP