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きんでん(1944)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

きんでんとは

株式会社きんでんは、大阪府大阪市北区に本店を置く、関西電力グループに属する日本最大級の総合設備工事会社である。1944年(昭和19年)に「近畿電気工事株式会社(近電工)」として設立され、戦後の関西地域の電力インフラ復旧・拡張に深く関わってきた企業である。1990年には社名を現在の「株式会社きんでん」に変更し、事業領域を電力工事だけでなく、建築設備・通信設備・空調設備などの総合設備工事へ拡大してきた。配電工事の取扱高は日本最大であり、電気設備工事業界では国内トップクラスの規模を誇る。

きんでんは、電気設備、計装設備、情報通信設備、空調衛生設備、内装設備、土木設備など幅広い事業を展開しており、ビル・商業施設・工場・発電所・変電所・公共施設・マンション・インフラ関連プロジェクトなど、建築・電力・通信の多岐にわたる領域において施工実績を持つ。関西電力グループとしての歴史的な結びつきは深いものの、関電からの受注比率は2割弱と意外に低く、電力系に依存しすぎないバランスの取れた収益構造が特徴である。

上場は1969年に大阪証券取引所1部、1970年に東京証券取引所1部に上場しており、現在に至るまで電設業界の中核企業として安定した成長を続けている。1950年代から海外展開を進めており、現在では世界90カ国に施工実績を持つなど、電設企業としては国内でも屈指の国際展開力を備えている。海外の発電所、プラント、各種インフラ工事に携わり、国内外で高い技術力が評価されている。

企業のシンボルカラーは濃緑色(グリーン)とサーモンピンクで、作業車はサーモンピンク、作業服やシステムインテグレーション関連ではグリーンが使用されている。こうした独自のブランドカラーは業界でもよく知られ、きんでんの象徴となっている。また、旧大和銀行(現りそな銀行)とその主要取引先企業で構成される「大輪会」に加盟しており、歴史的に関西の大企業ネットワークの中核を担う企業としての存在感を持つ。

きんでんは、関西電力グループとしての電力インフラ工事の強みを持ちながら、建築・通信・空調・海外事業まで幅広く展開する総合設備企業として、国内外で安定した受注基盤と高い技術力を活かし、長期的に成長を続けている。

きんでん 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(EPS) 一株配当
連23.3 609,132 37,430 40,243 28,722 140.2 40
連24.3 654,516 42,677 45,982 33,553 165.3 63
連25.3 705,058 60,979 64,546 47,250 236.3 90(記念含む)
連26.3予 730,000 67,000 70,000 52,000 261.7 100
連27.3予 750,000 68,000 71,000 53,000 266.8 100〜110

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 30,153 -27,393 -9,340
2024 38,520 -22,179 -15,978
2025 24,545 3,605 -24,976

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROA ROE PER(実績) PBR(実績)
2023 6.1% 3.8% 5.3%
2024 6.5% 4.1% 5.8%
2025 8.6% 5.7% 7.8% 高値14.7倍/安値10.1倍 2.03倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

きんでんの業績推移を見ると、まず売上は23.3期の6,091億円から24.3期に6,545億円、25.3期には7,050億円と着実な増収が続いている。電気設備、通信、空調衛生、内装、土木まで幅広く扱う総合設備会社であり、関西電力向け工事を基盤にしつつも、一般設備工事や通信インフラ工事の拡大が業績の底上げにつながっている。26.3期予想でも7,300億円と増収が見込まれており、比較的景気の影響を受けにくいインフラ系の特徴が反映されている。

営業利益は23.3期の374億円から24.3期427億円、25.3期に609億円と大幅増加しており、26.3期予想でも670億円と増益見通し。営業利益率も23.3期の6.1パーセントから24.3期は6.5パーセント、25.3期は8.6パーセントまで改善しており、利益率がはっきり底上げしている。とくに25.3期は売上拡大に加えて収益性の高い案件が増えた可能性が高く、企業体質が強くなっていることを示す。

経常利益も23.3期の402億円から24.3期459億円、25.3期645億円へと伸び、26.3期予想でも700億円と上昇が続いている。純利益も23.3期287億円、24.3期335億円、25.3期472億円へ増加、26.3期予想では520億円と、こちらも毎年増益基調が続いている。電設業としては非常に安定度の高い利益推移といえる。

EPSも23.3期140円、24.3期165円、25.3期236円としっかり伸びており、26.3期予想でも261円が見込まれている。配当も40円、63円、90円(記念含む)、そして26.3期は100円予想と増配傾向が続いている。利益成長に合わせて株主還元も強化されている点は好感度が高い。

資本効率の面では、ROEが23.3期5.3パーセントから24.3期5.8パーセント、25.3期には7.8パーセントへ改善しており、ROAも23.3期3.8パーセントから25.3期5.7パーセントと着実に上昇。総合設備会社としては高めの水準で、財務体質の改善と収益力強化が数字に表れている。

バリュエーションは、25.3期実績PERが高値平均14.7倍、安値平均10.1倍で、電設業としては標準から少し割安寄りの評価。PBRは2.03倍で、無形の技術力や海外展開(90カ国以上の実績)がある企業としては違和感のない範囲に収まる。

総合すると、きんでんは電気・通信・空調・土木といった多分野に展開する総合設備会社で、関西電力向けに偏りすぎずバランスの良い事業構造を持つ。売上・利益が毎年増え、利益率・ROE・ROAも上昇中で、企業体質が明確に強くなっている。インフラ企業らしく大きな成長株ではないが、安定しながら着実に利益を積み上げるタイプで、中期~長期の安定投資に向いた銘柄といえる。

配当目的とかどうなの?

きんでんの予想配当利回りは26.3期、27.3期ともに1.89パーセントで、これは日本株の平均利回り(およそ2パーセント前後)と比較しても「やや低め」の水準にある。利回りだけを見ると、高配当株と呼べる部類ではなく、インカム狙い一本で選ぶ銘柄としては物足りない数値になる。

しかし、きんでんは業績の安定性が非常に高く、純利益も売上も毎年確実に伸びているため、配当自体の「安全性」はかなり強い。電設業の中でもきんでんは関西電力グループとしての電力インフラ工事を持ちながら、一般建築設備工事、通信インフラ工事、空調・衛生設備工事など幅広い分野でバランスよく収益を上げている。このため特定の分野が落ち込んでも全体で下支えできる構造になっており、景気悪化時でも利益が大きく崩れにくいという特徴がある。

実際、純利益は23.3期287億円 → 24.3期335億円 → 25.3期472億円と安定成長が続いており、26.3期予想の520億円も十分に実現可能な範囲。EPSも140円 → 165円 → 236円 → 261円と綺麗に伸びているので、配当余力は十分ある。配当性向も過度に高くなく、増配を続けても企業体質に無理が出ない財務状況になっている。

きんでんは利回りだけを見ると魅力的とは言えないが、「安定して増配しやすい企業」という点が評価ポイントになる。特に電設業界は都市再開発、データセンター、通信インフラ、電力インフラ更新といった長期需要が控えており、きんでんもその波に乗りやすい。大きく業績が落ち込むリスクが少ないため、減配リスクは低く、長期保有でじわじわ配当が積み上がるイメージになる。

総合的に見ると、きんでんは「高利回りではないが、安定配当+増配余地が十分にある堅実銘柄」。利回りで選ぶタイプではなく、安定した業績と低リスクな事業構造を前提に、長期で配当を積み増したい投資家向けの銘柄と言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

きんでんの株価は現在6,331円。電設大手の中でも規模が大きく、関西電力グループながら電力依存は2割弱と低く、建築設備・通信インフラ・空調衛生・土木など幅広い事業により収益が分散されている。最近ではデータセンターや高速通信網、都市部の設備更新、再開発、再エネ関連の需要が継続的に業績を押し上げている。

売上は6,091億円 → 6,545億円 → 7,050億円と安定した増収が続き、26.3期も7,300億円が見込まれる。設備工事業にありがちな景気による大きな乱高下が少なく、事業基盤が非常に安定している。営業利益も374億円 → 427億円 → 609億円と伸び、利益率も8.6パーセントまで改善。純利益も増加が続き、ROEやROAなどの効率性指標も年々良くなっており、企業体質の強化がはっきりしている。

株価は急騰しにくいが、下値も崩れにくい典型的な“インフラ系ディフェンシブ株”。市場全体が強い時も派手に上がるタイプではなく、業績に合わせて緩やかに評価される傾向がある。こういった背景を踏まえて、5年後のきんでんの株価をシナリオ別にまとめると次のようになる。

良い場合
再開発や通信インフラ投資、電力設備更新、データセンター、再エネ関連の受注が継続して増え、利益率が8パーセント台後半~9パーセントに安定するケース。海外案件も堅調でROEが常時8パーセント台を維持できると、市場評価がPER12〜14倍へ引き上がり、株価は7,200〜8,000円が視野に入る。増配が続けば総合リターンはさらに上乗せされ、長期投資としては比較的高い期待値を持てる展開になる。

中間の場合
売上・利益が現在のトレンドどおり、年に3〜5パーセントのペースで伸び、利益率も7〜8パーセント台で安定するケース。この場合はバリュエーションがPER10〜12倍に落ち着き、株価は6,300〜7,000円のレンジで推移しやすい。現状の株価水準から考えると、緩やかに底値を切り上げつつも大きく跳ねる可能性は高くない。最も現実的なシナリオで、値動きは堅調そのもの。

悪い場合
景気後退や資材高騰、人手不足の深刻化、再開発の一時停止などが重なり、利益率が低下するケース。PERが8〜10倍まで下がれば、株価は5,000〜5,700円程度の調整が起こり得る。ただし、きんでんは電力・通信・建築・海外の分散が強く、インフラ系工事は需要が完全に消えるわけではないため、極端な下落は考えにくい。悪いシナリオでも下げ幅が限定されやすいのが特徴。

総合的に見ると、きんでんは急成長・急騰を狙う銘柄ではなく、売上・利益・ROEが着実に改善していくことでゆっくりと企業価値が積み上がり、それに合わせて株価が少しずつ評価されていくタイプ。長期で保有するほど配当と株価上昇の両面でメリットが出やすい「堅実な中長期保有向けの株」といえる。

この記事の最終更新日:2025年11月25日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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