株価
エクシオグループとは

エクシオグループ株式会社は、東京都渋谷区に本社を置く通信建設会社で、日本の通信インフラ工事を支える代表的な大手企業である。1954年に前身となる協和エクシオが設立され、当時の日本電信電話公社(現NTT)の通信設備工事を担ったことが同社の原点であり、その後も日本の通信ネットワーク整備に深く関わり続けてきた長い歴史を持つ。今日の日本の通信基盤の多くに、同社が携わってきた施工や技術が反映されていると言える。
現在のエクシオグループは、NTTグループやKDDIなど主要通信キャリア向けに、光ファイバー網の敷設、通信ケーブル工事、5G基地局、無線通信設備、ネットワーク機器の導入、データセンター設備構築といった通信基盤工事を幅広く展開しており、通信建設業界ではコムシスホールディングス、ミライト・ワンと並ぶ国内トップクラスの規模を誇る。日本全国にネットワークを持ち、通信障害対応やメンテナンスといった運用保守の領域でも高い技術力を発揮している。
事業領域は通信建設にとどまらず、電気設備工事、建築設備工事、土木工事、プラント関連設備、さらにはICTソリューション事業まで広がっている。クラウド・AI・IoTを活用したデジタルソリューション、無線LANシステム構築、監視カメラネットワーク、防災・減災システム、スマートシティ関連インフラなど、通信とICTを融合させた高付加価値分野へも事業を拡大している。企業や自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)ニーズに応えることで、通信以外の領域でも収益基盤を広げているのが近年の大きな特徴である。
通信インフラ市場の背景として、光回線需要の増加、5G基地局の整備、データセンター投資の加速、IoT端末の普及などが続いており、通信トラフィックは今後も増え続ける見通しである。こうした環境の中で、エクシオグループは通信建設の“必須プレイヤー”として安定した需要を享受しやすく、景気変動の影響を受けにくい構造を持っている。
また、海外展開にも力を入れており、アジアを中心に通信インフラ整備や電力設備工事を展開している。成長国では通信設備投資が拡大しているため、同社の海外事業は今後も成長余地が大きく、国内と海外の二本柱で事業を広げている。国際展開を進めることで、通信工事の技術や運用ノウハウを国外市場にも活かし、グローバルな通信インフラ構築企業としての存在感を高めている。
エクシオグループは東京証券取引所プライム市場に上場しており、収益力・ガバナンス・流動性などが評価され、JPX日経インデックス400にも採用されている。通信インフラは社会の基盤であり、常に維持・更新が求められるため、同社の事業は継続的な需要に支えられている。通信工事の技術に強みを持ちつつ、ICTソリューション分野やスマート社会インフラへ事業を広げることで、長期的な成長が期待される総合通信エンジニアリング企業である。
エクシオグループ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3* | 627,607 | 32,552 | 33,771 | 22,233 | 102.5 | 51 |
| 連24.3* | 614,095 | 34,121 | 36,922 | 20,058 | 94.8 | 60 |
| 連25.3 | 670,822 | 42,465 | 43,508 | 26,855 | 129.0 | 63 |
| 連26.3予 | 710,000 | 47,000 | 48,000 | 30,000 | 145.9 | 66 |
| 連27.3予 | 735,000 | 49,000 | 50,000 | 31,500 | 153.1 | 66〜72 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 5,483 | -13,332 | 3,298 |
| 2024 | 41,902 | -13,591 | -30,555 |
| 2025 | 6,842 | -18,432 | 2,887 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.1% | 3.8% | 7.3% | ― | ― |
| 2024 | 5.5% | 3.3% | 6.4% | ― | ― |
| 2025 | 6.3% | 4.1% | 8.3% | 14.8〜11.0倍 | 1.53倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
エクシオグループの業績を見ると、売上は連23.3期の約6,276億から連25.3期には6,708億へ増加し、連26.3期予想では7,100億と引き続き安定した成長が見込まれている。通信インフラ工事は景気変動の影響を受けにくい業種で、NTTやKDDIなど通信大手からの受注を基盤に、毎年安定して売上が積み上がる構造になっている。
営業利益は連23.3で約326億、連24.3で341億、連25.3で424億へと増加しており、連26.3予では470億が見込まれている。利益の安定性と成長の両方が見て取れ、収益力は確実に向上している。また経常利益もほぼ同じペースで増えており、通信工事以外にICTソリューション事業、電気設備、海外工事など事業領域を広げることでバランスのよい利益構成になっている。
純利益は連23.3期で222億、連24.3期で200億、連25.3期で268億、連26.3期予想では300億と、多少の上下はあるものの、全体として安定成長の流れを保っている。EPSも102円→129円→145円へと改善しており、一株利益の伸びから見ても企業の稼ぐ力が強まっていることがわかる。
指標面では、営業利益率が5.1パーセント、5.5パーセント、6.3パーセントと年々上昇してきており、通信建設業界でも上位の収益性を維持している。ROEは7.3パーセントから8.3パーセントへ改善し、ROAも3.8パーセントから4.1パーセントへ向上するなど、資本効率も少しずつ良くなっている。設備工事企業としては適正で、無理なレバレッジに頼らずに改善している点は安心材料になる。
2025年の実績PERは11〜14倍と割安〜中立水準で、通信インフラの安定成長性を考えると評価は比較的落ち着いている。PBRも1.53倍で、過度に割高とは言えない。
総合すると、エクシオグループは通信インフラという安定性の高い市場に強固な基盤を持ち、売上・利益ともに堅実な成長が続いている。利益率や資本効率も向上傾向にあり、今後も5G関連投資、光通信・データセンター需要、スマートシティ関連の設備投資によって長期的な成長が期待できる。急激に跳ねるような成長株ではないが、安定成長・安定収益が特徴のディフェンシブ寄りのインフラ株として、長期保有に向いた堅実な銘柄と言える。
配当目的とかどうなの?
エクシオグループの予想配当利回りは連26.3期・連27.3期ともに2.73%で、インフラ関連企業としては標準的からやや高めの水準にある。3%には届かないものの、通信インフラという景気の影響を受けにくい分野を主力にしているため、配当が大きく落ち込むリスクが小さく、長期で安定した配当を得たい投資家にとって相性が良い。エクシオはNTT向けを中心に光ファイバー、基地局、5G設備、データセンターなど通信量の増加とともに需要が続く領域をカバーしており、設備投資が途切れにくいことから利益のブレも比較的小さい。配当投資で重視される「安定性」の点では十分な強みを持っている。
過去数年の推移を見ると、営業利益や純利益は年度によって多少の上下はあるものの、全体としては成長基調を維持しており、一株利益(EPS)も着実に増えている。EPSが伸びる企業は将来的な増配の余地が広がるため、中期的にも安定した配当が期待できる。さらにエクシオは株主還元に前向きで、極端な減配を避けてきた歴史もあり、通信インフラという安定的な市場環境と相まって、配当の持続性は比較的高いといえる。
ただ利回り自体は3%超の明確な高配当株と比べると控えめで、配当収入を最大化したい投資家にはやや物足りないかもしれない。それでもエクシオは株価の下落リスクが限定的で、長期的にじわじわ成長するタイプの企業でもあるため、配当と株価の安定性を重視した長期投資には向いている。極端な値下がりで利回りが急上昇するような不安定さがない点も安心材料だ。
総合すると、エクシオグループは2.7%前後の安定した配当を維持し、通信インフラの継続需要によって利益が安定しやすく、EPSの成長が続くことで将来的な増配余地もあり、大幅な減配リスクが小さい企業といえる。高配当銘柄というよりは、安定性と継続性を重視するタイプの配当投資家に向いた銘柄で、長期でじっくり保有しながら配当を受け取るスタイルに適している。
今後の値動き予想!!(5年間)
エクシオグループの株価は現在2,415円で、通信インフラ工事を中心とした比較的安定した事業構造を持っているため、5年間で大きく乱高下するタイプではなく、業績とバリュエーションに沿ってゆっくり動く傾向が強い。通信量の増加、5G投資、データセンターの拡張など中長期の需要は底堅く、安定成長が期待できる一方、急激に成長する業界ではないため、株価が短期間で跳ね上がるような展開は想定しにくい。
良い場合は、通信キャリアの設備投資が継続し、5G整備や光ファイバー更新需要、データセンター関連工事などの案件が増えて利益が安定的に成長するケースで、営業利益率が6パーセント台後半へ改善し、ROEも8〜9パーセント程度まで伸びていくような状況であれば市場からの評価も上がりやすい。この場合、PERが13〜15倍程度まで上昇する展開も考えられ、株価は2,800〜3,200円のレンジが見えてくる。外部環境が追い風であれば3,300円台に乗る可能性もあるが、飛躍的な上昇よりは着実に上値を切り上げていくイメージになる。
中間の場合は最も現実的なシナリオで、売上や利益が年度ごとに上下しながらも緩やかな成長基調を維持するケースになる。通信インフラの更新投資は急減しにくいが、景気や通信キャリアの投資タイミングによって多少の波は避けられない。この場合の株価は2,300〜2,700円の範囲で推移しやすく、現在の2,415円から大きく乖離せず、横ばいからやや堅調な動きになる。派手さはないが、配当を受け取りながら安定して保有できる最も堅実な動きになる。
悪い場合は、通信キャリアの投資抑制、資材高騰、人件費上昇などが重なって収益性が低下するケースで、営業利益率が5パーセント前後まで戻ってしまうような状況になると、市場の評価も弱まりPERが10倍前後に下がる可能性がある。こうした局面では株価は2,000〜2,200円あたりまで調整する可能性があり、さらに悲観的な状況が続くと1,900円台に触れる場面も考えられる。それでも通信インフラ関連の安定した需要があるため、長期的に極端な下落を続けるリスクは相対的に小さい。
総合的に見ると、エクシオグループは急成長よりも安定性を重視する企業で、株価も業績に沿って緩やかに推移していくタイプになる。上にも下にも大きく動きにくいという特性があり、5年間で狙えるのは「じわじわとした上昇」か「安定配当を受け取りながらの横ばい」であり、中長期の安定資産として保有しやすい銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2025年11月25日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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