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クラフティア(1959)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

クラフティアとは

クラフティアは1944年に福岡市で設立された、九州電力グループの中核を担う総合設備工事会社であり、旧社名の「九電工」として長く知られてきた企業である。現在も本社は福岡県福岡市中央区天神に置かれ、九州を中心に全国規模で事業を展開している。電気設備工事を主軸としながら、電力系電工会社の中では特に空調・給排水衛生工事の売上比率が高く、大規模な地域エネルギーセンター、集落排水処理施設、環境関連設備、各種プラント工事など、環境・エネルギー分野にも強い技術力を持っている。2000年度から2006年度の売上高構成では、一般電気工事が約半分を占め、空調管工事と配電線工事がそれぞれ約4分の1というバランスの取れた事業構造となっており、電気・空調・配電の三本柱によって安定した収益基盤を形成している。

クラフティアの事業領域は幅広く、建物の基盤となる受変電設備、照明設備、非常用電源、情報通信設備などの電気設備工事に加え、大規模ビルや工場の空調設備、クリーンルーム設備、産業用空調設備など、多様な空調ニーズに対応している。給排水衛生設備では上下水道設備、衛生設備、厨房設備など、建物のライフラインを支える重要なインフラ整備を一括して担うことができる。また、送電線建設、変電所設備、配電ネットワークの整備といった電力インフラ工事も長年にわたって実施しており、九州電力との強固なパートナーシップを活かした安定した受注環境が特徴である。さらに近年は再生可能エネルギーの普及や脱炭素社会の流れを受け、太陽光発電設備や省エネ関連のエネルギーマネジメント分野の工事も増加しており、設備工事会社としての領域を時代と共に広げている。

工事事業にとどまらず、クラフティアは遠隔医療システムやBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)などの情報分野の開発にも早期から取り組んでおり、ITと設備工事を組み合わせた先端領域にも対応できる技術力を持つ。さらに、リース事業、設備の維持管理業務、保険代理業、ホテル経営、ゴルフ場経営といった周辺事業にも展開を広げ、多角経営によって企業の安定性を高めている。

クラフティアは企業スポーツでも有名で、特に陸上競技部は日本でも屈指の強豪として知られている。長く歴史を持つ陸上部には、箱根駅伝で活躍した西田勝雄や、メキシコシティオリンピック男子マラソン日本代表の佐々木精一郎などが所属していた。近年では2009年世界陸上マラソン代表の前田和浩、同年世界陸上走幅跳代表の桝見咲智子、さらに2016年リオデジャネイロ五輪10000m銀メダルのポール・タヌイ(ケニア)など、国際的に活躍する選手も名を連ね、企業ブランドの向上にも貢献している。

総合すると、クラフティアは電気・空調・衛生・配電といった建物設備の総合力を持ち、環境・エネルギー・情報分野まで幅広くカバーする九州屈指の総合設備工事会社である。公共工事から民間大規模プロジェクトまで幅広い領域で施工実績を重ね、安定した収益と技術力を背景に、これからも社会インフラの発展に欠かせない存在として成長を続けている。

クラフティア 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当りの配当(円)
連23.3 395,783 32,083 35,462 26,349 371.9 110
連24.3 469,057 38,016 42,362 28,017 395.9 120
連25.3 473,954 41,388 44,434 28,883 408.4 140
連26.3(予) 490,000 44,500 47,500 32,000 452.4 180
連27.3(予) 500,000 46,000 49,000 33,000 466.6 180〜190

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 17,386 -3,113 11,615
2024 43,969 -2,314 -11,032
2025 8,656 -8,910 -24,552

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均 / 安値平均) PBR
2023 8.1% 10.1% 5.9%
2024 8.1% 9.7% 5.5%
2025 8.7% 9.3% 5.9% 14.6倍 / 8.6倍 1.73倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

連23.3期の売上高は3957億円、営業利益は320億円、経常利益は354億円、純利益は263億円となっている。連24.3期は売上高4690億円、営業利益380億円、経常利益423億円、純利益280億円、連25.3期は売上高4739億円、営業利益413億円、経常利益444億円、純利益288億円まで伸びており、連26.3期の予想では売上高4900億円、営業利益445億円、経常利益475億円、純利益320億円が見込まれている。売上・利益ともに毎年ジワジワと積み上がっていて、設備工事会社としてはかなりきれいな右肩上がりの形になっている。

収益性の面では、営業利益率が8.1%→8.1%→8.7%と改善傾向にあり、単価や案件ミックス、コスト管理がそれなりに効いている印象だ。ROEは10.1%→9.7%→9.3%と少しずつ下がってはいるが、自己資本が増えて安全性が高まる中でこの水準を維持しているので、収益力が落ちているというより「堅くなっている」という捉え方のほうがしっくりくる。ROAも5.9%→5.5%→5.9%とおおむね安定しており、資産効率も設備・インフラ系としては悪くない。

株価指標を見ると、2025年の実績PERが高値平均で14.6倍、安値平均で8.6倍、PBRが1.73倍というレンジなので、「超割安でも超割高でもない、安定成長株としてそこそこ評価されている水準」というイメージになる。PERが8〜9倍に近いゾーンではわりと割安感があり、15倍近辺では「いい会社だけどあえて突っ込んで買う水準ではないかな」という印象だと思う。配当も110円→120円→140円→180円と増配が続いており、EPSも371.9円→395.9円→408.4円→452.4円と伸びているので、利益成長と株主還元の両方をしっかり意識している会社と言える。

こうした数字をまとめて見ると、この銘柄は「ドカンと成長して株価が何倍にもなるタイプ」ではなく、インフラ・設備需要の底堅さを背景に、売上と利益をコツコツ積み上げていく安定成長銘柄という位置づけになる。業績も配当も大崩れしにくい構造で、ROEやROAも水準なりに確保できていることから、中長期でのインカム重視、安定志向の投資家とは相性が良い。個人的なスタンスとしては、PERが二桁前半〜一桁後半にいるようなタイミングで配当利回りもそこそこ確保できるなら、「長く持って配当を取りに行く銘柄」として検討しやすいタイプだと判断できる。

配当目的とかどうなの?

クラフティアの予想配当利回りは連26.3期・連27.3期ともに2.27%となっていて、配当狙いの銘柄としては「高配当株ではないが、十分に候補に入る中位の利回り」という位置づけになる。銀行株や商社株のような3〜4%台の高配当銘柄と比べると見劣りはするものの、設備工事会社としては配当性向が安定しているうえ、業績がブレにくいタイプなので、利回りの“維持力”という点では評価できる。

この会社は売上も利益も緩やかに成長していて、純利益も263億円→280億円→288億円→320億円予想とほぼ毎年増えている。EPSも371円→395円→408円→452円ときれいに伸びており、利益が積み上がる分、無理なく増配してきている。実際、配当も110円→120円→140円→180円と順当に増えてきているので、今後も大幅な減配リスクは低い。

配当利回り2.27%という数字だけを見ると“普通”だが、「安定したEPSの成長」と「定期的な増配」を組み合わせて考えると、長期での累積リターンは意外と悪くない。そのうえ、設備工事業は社会インフラに近い性質があって、全国の建物更新、空調・衛生設備の入れ替え需要、電力関連の継続的な投資などが背景にあるため、景気が悪くても利益が大きく落ちづらい特徴を持っている。つまり配当の安定性に関しては高配当株よりも安心して見ていられるケースも多い。

ただし難点としては、利回り2%台前半という水準では「配当利回りだけを目的に買う銘柄」とは言いにくい。配当だけを求めるなら3〜4%台の銘柄に軍配が上がる。一方でクラフティアのような安定成長+増配タイプの銘柄は、利回りがそこまで高くなくても長期保有との相性が良く、気づくと配当額そのものが増えていてトータルリターンが大きくなっている、というタイプに分類される。

結論としては、クラフティアは純粋な高配当株ではないが、安定した利益体質と継続的な増配を背景に、「長期保有してコツコツと配当を積み上げるタイプの投資」とは相性が良い。短期的に利回りを高く取りたい人には向かないが、安定感と増配の実績を重視する人にとっては十分候補に入る銘柄と言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

クラフティアの株価現在値は7,920円で、設備工事会社としては比較的しっかりとした評価を受けている株価水準となっている。直近の業績を見ても、売上は約3957億円から4690億円、4739億円へと緩やかに伸びており、最新予想では4900億円と安定的な増加が続いている。営業利益も320億円から380億円、413億円、445億円予想と右肩上がりで、営業利益率も8%台前半から8.7%まで改善してきている。こうした堅調な業績の積み上げと、EPSが371円から395円、408円、452円予想と着実に伸びていることが、株価の底堅さにつながっている。

5年先の株価を考えるにあたり、まずポイントになるのは「業績の安定性」と「PERの評価レンジ」である。クラフティアの過去のPERは8.6倍から14.6倍の範囲で動いており、設備工事という業態の性質を踏まえると、景気が悪くてもPER8〜9倍まで下げ止まり、景気や工事需要が強い時期は12〜14倍台まで評価される傾向がある。また、配当も110円、120円、140円、180円と増配を続けており、株主還元姿勢が明確であるため、仮に株価が大きく崩れる場面でも配当利回りが一定の下支え力になる。こうした前提を踏まえて、5年後の株価を良い場合、中間、悪い場合の3通りで見ていく。

良い場合のシナリオとしては、再生可能エネルギー関連の設備投資、老朽化インフラ更新、電力関連の設備強化、都市開発などの需要が継続し、売上が5000億円を超えて利益もさらに積み上がるケースである。EPSも現行の452円予想から500円〜520円程度まで上昇した場合、PERが13〜15倍で評価されて株価は9,000円台後半から10,000円台に入り、長期的には11,000円台にタッチする可能性もある。設備工事会社でここまでの評価がつくには一定の追い風が必要だが、ゼネコンより利益率が安定している同社の特性を考えると、十分射程圏内と言える。

中間のシナリオは、おそらく最も現実的で、現在と同じように安定成長を続けるケースである。利益は横ばいか緩やかな増加、EPSも480円〜500円程度のラインに収まるイメージで、PERは10〜12倍前後にとどまる。株価としては8,000円〜9,200円あたりで推移し、極端に上がることも下がることもなく、穏やかな動きを続ける展開になる。増配は毎年続いていく可能性が高いため、株価が停滞しても配当収入を含めたトータルリターンがしっかり積み上がるタイプの動きになる。

悪い場合のシナリオでは、設備投資の縮小や工事単価の低下、電力関連の投資調整などが重なり、利益が伸び悩む、もしくは一時的に減益となるケースが想定される。EPSが伸びずに450円前後を維持、もしくはわずかに下振れるような展開なら、市場の評価がPER8〜9倍あたりまで落ち込み、株価は6,200円〜7,300円程度まで下押しされる可能性がある。ただしクラフティアはインフラ系の安定業態であるため、急落してそのまま戻らないようなリスクは低い。景気悪化や工事環境の変動によって一時的に評価が下がるとしても、下値は比較的固い部類に入る。

こうして良い場合、中間、悪い場合の三つのシナリオを比べると、クラフティアの株価は大きく跳ねるタイプではないものの、安定性の高さと増配の継続を背景に「下がりにくく、上がる時はしっかり評価される」構造になっていることがわかる。相場の状況次第でPER帯は動くが、安定したEPS成長がある以上、長期的にみると株価レンジ全体がじわじわ切り上がる可能性が高い。短期的な値動きよりも、中長期での安定成長と増配を狙いたい投資家にとっては、比較的組み入れやすい銘柄と言える。

この記事の最終更新日:2025年11月26日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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