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太平電業(1968)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

太平電業とは

太平電業株式会社は、東京都千代田区に本社を置く総合エンジニアリング企業であり、主に発電プラントを中心とした各種プラント工事を手がけている。1947年の設立以来、火力発電所、原子力発電所、バイオマス発電設備など、エネルギーインフラに関わる工事・保守で豊富な実績を築いてきた。特に関西電力や中部電力の原子力発電所に強みを持ち、同地域の原発関連工事では長年にわたって主要パートナーとしての地位を確立している。

同社の事業は、ボイラー設備、タービン設備、配管設備、電気設備などの据付工事から、点検・補修・更新工事といったメンテナンスまで幅広く展開されている。発電プラントは安全性・安定稼働が最重要であり、これらの工事には高度な技術と経験が求められるため、太平電業はその専門性を武器に業界内で高い信頼を得ている。とりわけ火力発電所向けのボイラー関連工事では国内有数の技術力を持ち、長年にわたり電力供給の裏側を支えてきた。

近年では、従来の“発電所工事主体の会社”という枠を越え、より幅広い分野を手がけるエンジニアリング企業への転換を模索している点も特徴的である。環境保全プラントやバイオマス発電設備、省エネ設備など、新たなエネルギー関連工事にも力を入れており、地域循環型のバイオマス事業にも積極的に参入している。木質バイオマスを活用した発電や地域資源の循環に貢献する事業は、再生可能エネルギーの普及に対応した新しい収益源として期待されている。

さらに、原子力発電の廃炉作業・廃止措置工事にも本格的に取り組んでおり、福井工業大学と共同で除染技術の研究開発を進めている。廃炉関連技術は今後数十年規模でニーズが続く分野であり、同社が持つ原発工事の実績と融合することで、安定した新領域を開拓している。また、バイオマス事業と連動する形で、林業における伐採・集材の新工法の検証も進めており、燃料供給から発電までを一体で考える地域連携型モデルを構築しつつある。

総じて太平電業は、長年培った発電プラント工事・保守の専門技術を基盤にしながら、原発廃炉・環境プラント・バイオマス事業など新しい領域にも踏み込むことで、「発電所工事の会社」から「総合エンジニアリング企業」への転身を図っている。インフラ工事、エネルギー技術、環境技術を組み合わせた総合力を高めている点が、同社の大きな特徴となっている。

太平電業 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当りの配当(円)
連23.3 125,774 14,345 15,092 10,619 558.4 120
連24.3 129,363 10,049 11,512 8,395 441.0 135
連25.3 125,670 13,037 13,808 9,753 482.8 175
連26.3(予) 130,000 14,000 14,800 10,000 475.4 201
連27.3(予) 140,000 15,000 15,800 10,500 499.2 201〜210

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 32,501 -1,445 -1,766
2024 -4,639 -895 -1,676
2025 -2,525 51 2,622

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(高値 / 安値) PBR
2023 11.4% 12.0% 7.2%
2024 7.7% 8.4% 5.4%
2025 10.3% 8.5% 6.2% 10.1倍 / 7.2倍 1.19倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

太平電業の業績推移を見ると、売上はおおむね1,250〜1,300億円のレンジで安定しており、発電所関連の工事会社として典型的な“横ばい型のインフラ系収益構造”を持っていることがわかる。大きく伸びるタイプではないが、逆に急減する可能性も低いという特徴がある。特に発電プラント向け工事は、景気の波よりも設備の更新サイクルや定期補修の計画に左右されるため、売上が比較的安定して推移しやすい。

利益面を見ると、連24.3期だけ営業利益・経常利益が落ち込んでいるが、これはプラント工事の採算変動や大型案件の減少などが響いた年度であり、一過性の要因が大きい。その後の連25.3期・連26.3予ではしっかりと利益が戻ってきており、営業利益は130億→140億と回復している。利益率も7.7%から10.3%へ改善しており、本来の水準に戻りつつあると考えられる。

ROEも12% → 8.4% → 8.5%と推移しており、直近は10%に届かないものの、設備工事業としては十分に及第点の数字である。ROAも6%台と悪くなく、総じて資本効率は安定している部類に入る。一方でバリュエーションを見ると、PERが7.2〜10.1倍、PBRが1.19倍と、全体的に“割高感はまったくない”。むしろ利益の安定性や財務健全性を考えれば割安に放置されている印象が強い。原発関連工事、特に廃炉・除染技術など長期需要が見込める領域を持っていることを踏まえると、少なくとも“過度に売られる理由はない株”と判断できる。

配当も増配傾向にあり、EPSに対して十分余裕があるため、配当を継続できる体力は十分。財務CFを見ても手元資金が減りすぎているわけでもなく、長期的に配当株としての魅力も高い。

総合すると、太平電業は派手な成長株ではないものの、売上が安定し、利益率が回復基調にあり、PBR・PERともに割安圏に位置している“堅実でバリュー寄りのインフラ銘柄”である。原子力関連工事、廃炉・除染、バイオマスなど長期案件の多い事業を抱えているため、急な業績悪化の可能性も低く、長期保有に向いた企業と言える。大きな株価急騰を求めるよりも、配当と比較的安定した値動きを重視する投資家との相性が良い銘柄だと判断できる。

配当目的とかどうなの?

太平電業の予想配当利回りは連26.3期・連27.3期ともに3.00%となっており、インフラ系プラント工事会社としては“標準よりやや高め”の利回り水準にある。3%というのは決して高配当株と呼ばれるほどではないが、安定的に受注が発生する発電所向け工事会社であることを考えると、配当を維持しやすい特性が強い点が大きなメリットになる。

太平電業は売上こそ横ばいだが、純利益はおおむね90〜100億円前後の安定したレンジにあり、EPSも400円台後半という十分な稼ぐ力がある。そのため、配当201円という水準でも配当性向は40〜45%程度に収まっており、無理をして支払っている印象は全くない。むしろ財務体質はかなり健全で手元資金も厚いことから、今の配当水準を維持する余力は十分にある。

また、太平電業は発電所向け工事の比率が高く、火力・原発・バイオマスなど複数のエネルギー源に対応しているため、景気変動に左右されにくい収益構造を持っている。さらに、原発関連では廃炉や除染といった長期に続く工事需要を取り込みつつあり、安定した受注基盤が今後も続くという意味では、配当の継続性はかなり高い企業と言える。同業他社よりも“仕事が数十年単位で続く”業界にいる点は、配当投資家にとって見逃せない強みだ。

配当利回り3%という数値自体は中堅配当株として妥当だが、太平電業のように業績が急落しにくい企業の場合、実際の投資価値は数字以上に高くなるケースが多い。株価が落ち着いており、流動性に過度な波がないため、長期でじっくり持って毎年配当を積み上げていく“インカム型の投資”とは相性が良いタイプの銘柄である。

総合すると、太平電業は配当利回りが特別高いわけではないものの、業績の安定性、配当余力、事業の持続性という3つの要素が揃っており、「安心して長期保有できる中堅インカム株」として十分に評価できる。短期の値上がり益よりも、毎年の配当を確実に受け取りたい投資家に向いている銘柄と言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

太平電業の現在株価2,227円を基準に今後5年間の値動きを考えると、この会社は発電所工事を中心としたインフラ系の安定収益モデルを持つため、急激な上昇よりも“じわじわと評価が高まっていくタイプ”の銘柄と言える。原発、火力、バイオマスと幅広い発電設備に対応しており、廃炉関連の長期需要も見込めるため、業績が大きく崩れる可能性は比較的低い。一方で好材料が続いたときの株価の伸びも限定的で、あくまで堅実なレンジ内での推移になりやすい。

良い場合を想定すると、原発関連の保守・補修工事や廃炉工事の受注が安定的に増え、さらにバイオマス発電など新しい領域の案件も積み上がる展開だ。営業利益率が10%前後を維持し、純利益も毎期改善する形になると、株価の評価は自然と高まり、PERが現在の7〜10倍程度から10〜12倍まで評価される可能性がある。この場合、株価は5年後に 2,800〜3,200円 程度まで上昇する見通しで、条件がさらに良い場合には 3,300円台 も視野に入ってくる。派手な成長はないが、安定した右肩上がりの展開が期待できるシナリオだ。

中間の場合は、現在の横ばい〜微増の業績がそのまま続くケースである。売上は1,250〜1,300億円のレンジで動き、利益も年間100億円前後を維持し、特別なプラス材料は少ないが、大きなマイナス要因も発生しない状態。市場の評価も大きく変わらず、PERも8〜10倍前後で安定し、株価は 2,300〜2,500円 程度で推移する可能性が高い。現在の株価水準と大きく離れず、配当目的の長期保有に向いた落ち着いた値動きになる。

悪い場合は、電力会社の設備投資が縮小したり、原発関連工事の延期が発生したりして、受注が一時的に弱くなるケースだ。発電所関連工事は必ず需要があるものの、タイミングのズレで売上が落ち込むこともあるため、利益率が低下する可能性がある。特に営業利益率が7%台まで戻ってしまうと、PERは7倍前後に放置されやすく、株価は 1,800〜2,000円 程度まで下押しされる展開も考えられる。ただし、インフラ工事・廃炉・保守という性質上、長期的な業績低迷のリスクは高くなく、下落しても大きく崩れる可能性は低い。

総合すると、太平電業は極端に上がりも下がりもしない“堅実な中庸株”であり、業績の安定性を重視する投資家には扱いやすい銘柄となっている。5年間の視点では大きな成長株とは言えないが、一定の増益と配当を受け取りながら、株価もゆっくりと上昇していくことを期待できるタイプだ。

この記事の最終更新日:2025年11月26日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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