株ウォッチング

すべての株の情報を表示し管理人のアドバイスも一言


ウェルネオシュガー(2117)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

,

株価

ウェルネオシュガーとは

ウェルネオシュガー株式会社は、東京都中央区に本社を置く日本の大手製糖メーカーであり、2024年10月に日新製糖と伊藤忠製糖を吸収合併して誕生した事業会社である。もともとは、住友商事系列の日新製糖(家庭用砂糖「カップ印」ブランド)と、伊藤忠商事子会社の伊藤忠製糖(業務用に強い「クルルマーク」ブランド)の経営統合によって成立した持株会社であり、両社の統合後の名称として「ウェルネオシュガー」が採用された。法人格としては東証プライム市場に上場していた旧・日新製糖ホールディングスの流れを引き継ぎ、業界の中でも存在感のある上場企業として位置づけられている。

経営陣は旧両社からバランスよく選ばれ、代表取締役会長には日新製糖の樋口洋一氏、代表取締役社長には伊藤忠製糖の山本貢司氏が就任している。資本面では、筆頭株主が伊藤忠商事(出資比率35.9%)、続いて住友商事(24.1%)が株式を保有しており、日本の巨大総合商社2社が共同で支える珍しい企業構造となっている。商社の物流力、原料調達力、グローバルネットワークを背景に、国内外での砂糖供給体制が強化されており、単独企業では難しいスケールメリットを享受できる点が大きな特徴となっている。

日新製糖と伊藤忠製糖の2022年3月期の連結売上高を合算すると約770億円となり、これは業界最大手であるDM三井製糖ホールディングスに次ぐ規模を誇る。特に日新製糖は家庭用砂糖市場で高いシェアを持ち、一方の伊藤忠製糖は飲料・製菓・外食産業など業務用で強固な販売網を持つため、両社の統合は極めて自然であり、供給チャネルの重複が少なく、工場配置も互いに補完関係にある。製造拠点や物流の最適化、ブランドラインナップの統合、研究開発の協働など、統合による相乗効果が期待される点も多い。

経営統合の背景には、日本の砂糖産業が抱える構造的な苦しさがある。国内の砂糖消費量は、少子化や人口減少、食生活の変化、健康志向の高まりなどによって減少傾向が続いており、令和元〜2砂糖年度(2019年10月〜2020年9月)には、コロナ禍の影響で砂糖消費量が前年比12万トン減の172万トンまで落ち込んだ。また、2021年以降は世界的な原材料価格の高騰やエネルギー価格の上昇が重なり、製糖各社は複数回の値上げを行ったものの採算悪化を完全には防ぎきれず、収益環境は厳しさを増していた。

こうした業界環境のなか、2021年には三井製糖と大日本明治製糖が経営統合し、DM三井製糖ホールディングスを発足させ、2022年には完全統合によってDM三井製糖が誕生するなど、製糖業界全体で“再編の波”が大きく進む状況となっていた。日新製糖と伊藤忠製糖も、2021年頃から経営統合の検討に入り、両社の強みが明確に補完し合うこと、研究開発分野の相性の良さ、工場・物流の効率化が大きく進むことなどを理由に、最終的に統合へと踏み切った。

こうした背景を経て、2024年10月1日に日新製糖と伊藤忠製糖の両社はウェルネオシュガーによって吸収合併され、統合持株会社ではなく“事業会社”として新しい体制へと移行した。さらに2025年10月には第一糖業が統合し、2026年10月には東洋精糖の吸収合併まで予定されており、ウェルネオシュガーは今後も国内製糖業界の中心的な企業として存在感を高めていく見込みである。つまり同社は“業界再編の核”として、日新製糖・伊藤忠製糖・第一糖業・東洋精糖を束ねる新たな巨大製糖グループへと成長していくフェーズにある。

国内市場の縮小という逆風がある一方で、ウェルネオシュガーは商社系2社の強みを活かして海外調達力を強化し、機能性食品素材や液糖、業務用食品など付加価値の高い分野での事業拡大も狙っている。砂糖という生活必需原料を扱う企業としての安定性と、再編を通じた業界シェア拡大の両面を持つ企業であり、今後の動向は製糖業界全体の方向性にも大きな影響を与える存在となっている。

ウェルネオシュガー 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当(DPS)
23.3 58,347 1,606 1,804 1,062 43.3 70
24.3 92,192 5,802 7,627 5,524 168.6 102
25.3 97,069 8,024 8,377 5,565 170.1 102
26.3予 114,000 8,500 8,500 5,900 180.3 108
27.3予 116,000 8,700 8,700 6,100 186.4 108〜112

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2023 -1,625 4,609 -3,684
2024 6,662 -822 -4,593
2025 8,927 -8,977 2,986

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 2.7% 1.5% 1.1%
2024 6.2% 7.7% 5.7%
2025 8.2% 7.6% 5.0% 高値平均:24.8倍
安値平均:19.5倍
1.22倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

ウェルネオシュガーの直近の業績推移を見ると、経営統合効果が数字に明確に現れており、砂糖市場が縮小傾向にある中でも利益体質が着実に強化されていることが確認できる。まず売上は、23.3期の583億円から24.3期には921億円へ大幅に増加し、25.3期も970億円まで伸びている。これは旧・日新製糖と旧・伊藤忠製糖が統合によって工場配置・物流網・販売チャネルを補完し合い、安定供給力と販売効率が大きく向上したことが背景にある。26.3期は1,140億円が見込まれており、統合効果がまだ継続している段階といえる。

利益面を見ると、23.3期の営業利益16億円から24.3期には58億円、25.3期には80億円と利益水準が急速に改善しており、営業利益率も2.7%から6.2%、8.2%へと着実に上昇している。製糖業界は原料価格やエネルギーコストに左右されがちだが、規模拡大によるコスト削減、工場の最適配置、研究開発の効率化などが利益率改善に明確に寄与した形となっている。26.3期の営業利益も85億円予想と高水準を維持しており、統合後の収益基盤が安定してきた印象が強い。

経常利益についても、23.3期の18億円から24.3期は76億円、25.3期は83億円と高い水準で推移している。純利益は23.3期の10億円から24.3期の55億円、25.3期の55億円へと急改善しており、EPSも43円から168円、170円へと大きく伸びている。26.3期の純利益予想は59億円で、EPS180円台が見込まれ、企業価値の積み上がりが継続している。

株価指標を見ると、25.3期のPERは高値平均24.8倍、安値平均19.5倍と、業界再編の中心企業としては妥当なプレミアムがついている。一方、PBRは1.22倍と控えめで、ROEも7〜8%、ROAも5%前後と、製糖業界としては健全な収益性を確保している。高成長株とまではいかないものの、収益改善が続いている企業として評価されていることが伺える。

総合的に判断すると、ウェルネオシュガーは「成熟市場の中で統合効果による収益力改善を実現している珍しい製糖メーカー」であり、業界再編の大きな流れの中で主導権を握った企業と言える。利益率の改善、EPSの成長、ROEの着実な向上を踏まえると、中期的に企業価値の向上が期待できる一方、PERが高めのため短期的に割安感は薄い。とはいえ市場縮小の中でも確かな成長を示せている点は高く評価でき、業界内では“安定成長型の優良株”に分類される。

大きく急騰するタイプではないが、統合メリットと商社系グループの強力な調達網を背景に、安定した利益を積み上げる可能性が高く、長期でじっくり保有するには十分適した銘柄といえる。

配当目的とかどうなの?

ウェルネオシュガーを配当目的で見た場合、結論としては「安定高配当を狙う投資家にとって十分魅力的な銘柄」といえる。予想配当利回りは26.3期、27.3期ともに3.82%と、国内株の平均利回りをしっかり上回っており、業界再編の中心企業としては比較的高い利回り水準にある。製糖業界は景気変動に左右されにくいディフェンシブな性質を持ち、食料基礎原料を扱うため、急激な業績悪化が起こりにくいという強みがある。この“事業の安定性”が、配当目的としての安心感につながっている。

直近数年で大きく改善してきた収益構造も、配当の持続性を裏付ける要素になっている。統合によるコスト最適化や工場配置の見直し、業務用と家庭用のバランス改善などによって、営業利益率は2~3%台から一気に6~8%台まで改善しており、利益が年度ごとに積み上がる構造が整いつつある。EPSも年々伸びており、企業として配当を“出せる力そのもの”が強まっている点は非常に大きい。

また、ウェルネオシュガーは伊藤忠商事と住友商事という2大商社の資本を背景に持つため、原料糖の調達力や物流ネットワークの強さは国内製糖企業の中でも突出している。事業規模に比べてキャッシュフローのブレが小さく、製糖という性質上、設備投資が過度に膨らみにくいこともあり、配当の継続には有利な構造がそろっている。

一方で、爆発的な増配が見込めるわけではなく、あくまで「安定配当」を前提とした銘柄である点は理解しておく必要がある。日本の砂糖消費量は長期的な減少傾向にあり、今後の成長性は機能性甘味料、食品添加物、業務用素材など付加価値領域をどこまで伸ばせるかが鍵になる。従来型の砂糖需要だけでは増配余地は限定されるため、配当目的であっても“安定配当株”としての位置付けが最も適切と言える。

総合的に見ると、ウェルネオシュガーは配当目的の長期投資に十分向いた銘柄であり、利回り3.8%前後の水準を維持しそうな安定性がある。景気敏感株のように大きく乱高下しないため、短期の値動きを気にせず、長期でコツコツ配当を積み上げていきたい投資家に適している。業界再編の中心企業として企業基盤が強化されていることもあって、今後も高い確度で安定配当を続けられるであろう銘柄といえる。

今後の値動き予想!!(5年間)

ウェルネオシュガーの株価2,824円を基準に今後5年間の値動きを考えると、同社は製糖業界再編の中心企業であり、旧・日新製糖と旧・伊藤忠製糖が統合したことで、国内の砂糖流通の大きな部分を支える立場となった。商社系(伊藤忠・住友商事)という強力なバックボーンを持っており、原料糖の調達力、国内製糖工場の稼働バランス、物流ネットワークの最適化など、他社にはない強みが明確にある。この“統合メリットが継続的に効く体質”を前提とすると、株価の5年後の姿は以下の3パターンに整理される。

【良い場合】
統合後のシナジーがさらに発揮され、老朽化設備の統廃合や物流効率化、新製品の投入、機能性甘味料分野の拡大など、複数の好材料が重なる展開である。このケースでは、原料糖価格が落ち着き、工場稼働率が高水準で推移し、利益率が毎年じわじわと改善する。EPSが180〜200円台で安定的に推移し、ROEも8〜9%に乗るような流れになれば、市場の評価は現在よりも高まり、PBRも1.4〜1.6倍のレンジまで切り上がる可能性がある。ここでは砂糖事業の枠を超えて、機能性素材や調味料、工業用製品などの“非砂糖領域”の伸びがポイントとなる。結果として株価は3,600〜4,200円まで上昇するシナリオで、製糖企業としては非常に強いリターンを示すことになる。大きく跳ねるタイプではないが「脱・砂糖依存型の安定成長企業」として再評価される流れだ。

【中間の場合】
最も現実的と考えられるのがこのシナリオである。国内砂糖需要は長期的に減少し続けており、製糖コストもエネルギー価格や海上輸送費の影響を受けやすい。このため統合による効率化が進んでも、売上や利益が大幅に伸びるわけではなく“緩やかな改善”にとどまるケースである。EPSは170〜185円前後を維持し、PBRも現在の1.2倍前後が続く。株価は業績に連動して上下するが、最終的には現在値の近くへ収斂していき、5年後の株価は2,800〜3,100円付近に落ち着く可能性が高い。製糖業界が大きな拡大産業ではないため、値上がり幅は限定されるものの、配当利回り3.8%前後を維持できれば、保有期間中のインカムゲインを含めた総合リターンは十分確保できる。景気に左右されにくく、株価の変動も比較的落ち着いているため、長期保有で安定収入を狙う投資家に向いたシナリオとなる。

【悪い場合】
原料糖価格の高騰や海上運賃の上昇、円安の長期化、そして国内砂糖消費量の減少幅が想定以上に加速するケースでは、利益の伸びが止まるだけでなく、逆に利益率が低下してくる可能性がある。営業利益率が縮小し、EPSが150円を下回る展開になると、市場の評価は明確に下がり、PBRは1.0倍近く、場合によっては0.9倍台まで落ち込む。株価としては2,300〜2,500円台までの下落が視野に入る。ただし、ウェルネオシュガーは商社の支援を受けており、国内製糖設備の再編の主導権を握っている点を踏まえると、事業が大きく傾くリスクは低い。資産価値も一定以上あるため、下落したとしても底割れのような暴落は起こりにくく、ディフェンシブ株らしい“ある程度の下支え”は期待できる。

【総括】
ウェルネオシュガーは、急成長を求める銘柄ではない一方で、統合によって収益基盤を固めたことで、製糖企業としてはかなり珍しい“緩やかな成長+安定配当”のモデルを実現しつつある。株価の大幅な上昇より、安定した利益と比較的高めの配当を積み上げていくスタイルに向いており、リスクも比較的抑えられる。良い場合で3,600〜4,200円、中間では2,800〜3,100円、悪い場合でも2,300〜2,500円と、極端に大きなブレが出にくい点が特徴で、長期保有前提のディフェンシブ銘柄として非常に扱いやすい。

この記事の最終更新日:2025年11月28日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP