株価
日本M&Aセンターホールディングスとは

日本M&Aセンターは、中堅・中小企業を対象とした友好的M&Aに特化した国内最大手の仲介会社です。1991年4月、公認会計士・税理士ら専門家の賛同を得て創業し、以来30年以上にわたり事業承継問題を中心に企業の存続と成長を支援してきました。国内では東京本社を中心に、西日本支社(大阪)、中部支社(名古屋)、中四国支社(広島)、九州支店(福岡)、北海道営業所(札幌)、沖縄営業所の計7拠点を展開し、日本全国を網羅する体制を構築しています。
さらに海外では、シンガポール・インドネシア・ベトナム・マレーシア・タイの現地法人を設立し、アジアを中心としたクロスボーダーM&Aにも積極的に対応。国内外を問わず幅広いネットワークを持つ点が大きな強みとなっています。
同社は業界最多の約640名のM&A専門コンサルタントを抱えており、案件規模・業種・地域を問わず幅広いアドバイスを提供。全国1,076の会計事務所、317の地域金融機関(地方銀行の約9割、信用金庫の約8割)と提携し、日本最大級のM&A情報ネットワークを構築しています。こうした広範な連携体制を背景に、年間約1,078件という国内トップクラスの成約支援実績を誇ります。
また、中小企業庁・商工会議所など公的機関との連携にも積極的で、登録M&Aアドバイザーとしての活動や政策検討委員としての協力も行っています。日本企業の事業承継問題が深刻化する中、『2025年には245万社の経営者が70歳以上となり、そのうち127万社が後継者不在』という現状を踏まえ、同社は「1社でも多くの企業をM&Aで救う」ことを使命として掲げています。
日本M&Aセンターが扱うM&Aは、いずれも「友好的M&A」であり、企業の価値を引き継ぎながら発展させることを目的としています。M&Aは単なる会社売却・買収にとどまらず、事業承継の解決手段としてだけでなく、成長戦略・新規事業・エリア展開・人材確保など、幅広い経営課題に対して強力な選択肢となるものです。同社は、M&Aを通じて「中小企業の存続と発展」「中堅・上場企業のさらなる成長」を支援し、地域経済、そして日本経済全体の活性化へと貢献することを目指しています。
創業以来、税理士・会計士との強いパートナーシップ、全国の金融機関との連携、豊富な専門人材によるサポート体制という三つの柱を軸に、同社は国内M&A市場の拡大と事業承継問題の解決において中心的な役割を果たしてきました。今後も国内事業だけでなく、アジア圏を中心とした海外展開を強化することで、より多くの企業の未来を支える存在として成長を続ける企業です。
日本M&Aセンターホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 41,315 | 15,298 | 15,472 | 9,842 | 29.8 | 23 |
| 連24.3 | 44,136 | 16,066 | 16,518 | 10,727 | 33.0 | 23 |
| 連25.3 | 44,077 | 16,715 | 16,918 | 10,955 | 34.5 | 29(特) |
| 連26.3予 | 46,300 | 17,000 | 17,000 | 11,000 | 34.7 | 29(特) |
| 連27.3予 | 50,000 | 18,000 | 18,000 | 11,500 | 36.2 | 29(特) |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 8,153 | -3,999 | -6,093 |
| 2024 | 10,547 | -18,224 | -15,232 |
| 2025 | 13,116 | 11,982 | -8,753 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(実績) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 37.0% | 18.0% | 14.9% | ― | ― |
| 2024 | 36.4% | 24.4% | 18.2% | ― | ― |
| 2025 | 37.9% | 23.2% | 17.7% | 22.4〜43.4倍 | 4.84倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
日本M&Aセンターは、国内の中堅・中小企業向けM&A仲介において圧倒的な地位を築いている企業で、収益構造の強さと事業環境の追い風という二つの要素が非常に分かりやすく組み合わさった銘柄である。まず業績面を見ると、売上・利益ともに大きなブレがなく、むしろ安定的に増収増益を続けている点が特徴的だ。営業利益は2023年152億円、2024年160億円、2025年167億円と右肩上がりで、営業利益率はおおむね37%前後を維持している。一般的な仲介・コンサル業で営業利益率が15%前後でも優良企業と言われるなか、日本M&Aセンターはその2倍以上の高収益体質であり、これは同社のビジネスモデルが極めて強固で、他社が容易に模倣しにくい構造を持っていることを示している。
経常利益・純利益も同様に安定しており、純利益は98億→107億→109億と、景気変動の影響をほとんど受けずに成長が続いている。これはM&A仲介という事業が「景気の良し悪しで需要が大きく変動しにくい」ことに理由がある。後継者不足という構造的問題は業績サイクルとは無関係に深刻化しているため、中小企業のオーナーが引退を考えた瞬間に必ず相談先が必要となる。その領域で圧倒的なネットワークを持つ日本M&Aセンターは、事業承継市場の成長の恩恵を最も強く受けているプレイヤーと言える。
同社のネットワークの規模は圧倒的で、全国1,076の会計事務所、317の地域金融機関(地方銀行の9割・信用金庫の8割)と提携し、M&A案件情報の入手力で他社を大きく引き離している。このネットワークこそが最大の参入障壁であり、競合のストライクやM&A総研が急成長しているとはいえ、日本M&Aセンターの構造的優位性を脅かすほどではない。また、アジアでの拠点展開によりクロスボーダー案件の取り扱いが増える見込みで、これは中長期的に収益基盤の拡大につながるポジティブ材料だ。
財務指標を見ると、ROEは2023年18%、2024年24%、2025年23%と非常に高い水準を維持しており、ROAも15〜18%と高収益企業の典型的な水準で推移している。これらは企業が保有する資本を高効率で利益に変換できている証拠であり、経営の優秀さとビジネスモデルの強さを裏付けている。一方、PERは2025年実績で22.4倍〜43.4倍とレンジが広いが、過去の傾向を踏まえると30倍を割るあたりが割安レンジ、40倍付近がやや割高となりやすく、株価は市場センチメントに大きく左右される傾向がある。PBRは約4.8倍で、利益成長力を織り込んだ“質の高い割高株”という印象が強い。
ここで注意すべき点として、M&A仲介業界は一時的に案件数が変動することはあるものの、長期的なトレンドは明確に上向きであるということ。日本では2025年時点で245万社の経営者が70歳以上になり、そのうち127万社が後継者不在という極めて大きな社会的課題が存在する。これは国レベルの構造問題であり、国や自治体、商工会議所もM&A仲介を積極的に後押しする方向に進んでいる。つまり、同社にとっての市場規模は今後10年以上にわたって拡大し続けると考えられ、短期的な数値ブレよりも長期トレンドを重視するのが正しい見方となる。
総合的に見ると、日本M&Aセンターは「高収益 × 高ROE × 安定成長 × 構造的に拡大する市場」という投資家にとって非常に読みやすい銘柄であり、長期保有で報われやすい企業である。ただし、一方で市場が過熱した局面ではPERが40倍前後まで買われることが多く、その場合は利益成長以上に期待先行で株価が上がりすぎている可能性がある。したがって投資戦略としては、22〜25倍程度のPERゾーンに入ったタイミングで押し目買いを狙い、中長期でゆっくり値上がりを取るのが合理的だと考えられる。
日本M&Aセンターは急成長株ではないが、長期的に安定した利益成長が見込める稀有な企業であり、中小企業の事業承継問題という巨大テーマに乗ることができる点でも魅力が大きい。高収益・高ROE企業としての評価は妥当であり、株価が割安圏にあるなら保有を検討する価値は十分ある銘柄と言えるだろう。
配当目的とかどうなの?
日本M&Aセンターを配当目的で考えたとき、まず目につくのは予想配当利回りがおよそ3.96%という、現在の日本株市場では比較的高めの水準にある点だ。一般的な日本企業の平均利回りが2%台前半であることを考えると、明らかに“配当を出す意思が強い企業”であることが分かる。ただし、この会社は典型的な高配当株というより、「高収益企業が適正に株主へ還元しているタイプ」の銘柄であり、いわゆるJTや三菱HCキャピタルのような“配当が主役”の銘柄とは性格が異なる。そのため、配当だけを求めて投資するというより、成長性も含めてトータルでリターンを狙うタイプの投資家のほうが、この銘柄とは相性が良い。
しかし、利回り3.9%という数字そのものは魅力的だし、何より業績が安定しているため、急激な減配リスクは低い。営業利益率が37%前後もあるような超高収益体質の会社なので、業績が多少ぶれても配当を維持できる余力は十分ある。また、中小企業の後継者不足という構造的な社会問題が背景にあるため、M&A市場自体が長期的に拡大していく見込みが強く、事業の安定性は非常に高い。この点は、配当株として見たときに“安定的に配当が続きやすい企業かどうか”という観点において大きなプラス要素になる。
ただし注意したいのは、株価が割高になりやすい点だ。日本M&Aセンターは、収益性の高さや成長性からPERが30倍を超えることが珍しくなく、人気化すると40倍前後まで買われることもある。株価が高くなれば当然、配当利回りは同じ水準の配当でも数字上は下がるので、「利回り3.9%だから買いだ」と単純に判断するのは早い。配当目的で買うのであれば、できればPERが22〜25倍程度の割安圏にあるタイミングを狙いたい。それを超えてくると、成長性を織り込みすぎた株価になっており、同じ配当をもらうにも効率が悪くなる。
つまり、日本M&Aセンターは“配当ももらえて成長も期待できる”という、いわゆる両取りタイプの銘柄だ。ただし高配当株のように配当利回りだけで選ぶ銘柄ではなく、買うなら株価位置を見極めたい企業である、ということになる。利回り3.9%は十分魅力的だが、最適な買い場は株価が落ち着いている時期であり、割高圏で慌てて買うと利回りが一気に薄まる。逆に言えば、安値圏で拾えれば、配当も安定的に受け取れ、かつ中長期的に値上がりも取りにいける優秀な銘柄になる。
総じて、配当目的で考えても「悪くないどころか、むしろ優良」。ただし、配当株としての性格は純粋高配当株とは違うため、利回りだけで飛びつくのではなく、成長性と株価位置を計算したうえでじっくり持つタイプの投資が向いている企業だと言えるだろう。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本M&Aセンターの現在の株価732.2円を基準に、今後5年間で株価がどのように動く可能性があるのかを考えると、まず基礎となる前提として、この会社は「景気敏感株ではないが景況の影響を完全に無視できるわけでもない」という微妙な立ち位置にあるという点が大きい。事業承継の波という構造的な追い風があるため長期的な市場成長はほぼ確実だが、M&A仲介という商売自体は、企業側の投資意欲や金融機関の姿勢に影響されやすく、外部環境によって案件の盛衰はどうしても発生する。だからこそ、良い場合・中間・悪い場合で、株価の姿も大きく変わってくる。
まず良い場合のシナリオだが、これは「M&A市場の拡大が今以上に進み、日本M&Aセンターの収益性がほとんど落ちずに成長を続ける」状態である。営業利益率は既に37〜38%という超高収益領域にあり、この水準を維持できる企業は国内でも稀有。さらにROE20%超、ROA17%前後という数字が安定しているのは、単純に“稼ぐ力が強い企業”であることを示している。こうした収益性の高さが継続すれば、株価の評価指標であるPERは市場平均(15~20倍)より高く推移し、中長期では25〜30倍が普通になる可能性がある。利益自体も微増ながら伸びているため、この二つの掛け算で株価の上昇余地が出てくる。この条件が整えば、5年後の株価は1,200〜1,400円程度までじわじわ値を伸ばすシナリオは十分にあり得る。中小企業の後継者不足は今後10年以上続くと言われており、その巨大な構造問題に支えられるビジネスモデルであることを考えれば、「市場の恩恵を受けながら成長し続ける」という前提は現実的だ。
次に中間の場合だが、これは現実的には最もあり得るラインだと思われる。すなわち、業績は安定的に推移するが、急激な伸びがあるわけでもない状態。営業利益率やROEは一定の幅に収まり、M&A市場も拡大はするが劇的な伸びではない。競合企業の台頭も意識されつつも、日本M&Aセンターが業界トップの座を維持しながら堅調に業績を積み上げるといった状況だ。この場合、PERは20〜22倍程度で落ち着くため、株価も極めて穏やかな上昇を描く。5年後の株価は900〜1,050円程度が妥当なレンジになり、現在の株価から見れば20〜40%程度の上昇に収まる可能性が高い。配当利回りも約4%前後で安定しているため、株価上昇+配当のトータルで見れば十分魅力的なリターンが期待できるが“大化け株”のような爆発的な伸びは見込みづらい。このシナリオのポイントは、安定性と堅実性を重視する長期投資家に向いているということだ。
最後に悪い場合のシナリオだが、これは市場環境が逆風に回った場合に起こり得る。例えば景気後退や金利上昇で企業が保守的になり、M&A案件が減少するケース。また競合が急成長して日本M&Aセンターの案件シェアが奪われる、あるいは手数料率の低下などで利益率が下がるといったリスクもある。こうした状況ではPERが15〜18倍程度まで低下し、成長性を織り込んだプレミアムが消える。その場合の株価レンジは600〜700円程度で、現在の株価を割り込む可能性も十分にある。ただし、日本M&Aセンターは高収益体質であるため、仮に市場の逆風が来ても赤字転落や大きな業績不振に陥りにくいという強さはあり、株価がそこまで崩れるリスクは限定的とも言える。悪い場合でも企業価値が大きく毀損するよりは、「成長期待が剥落した分だけ株価がじわっと沈む」という展開になることが多いタイプの銘柄だ。
まとめると、日本M&Aセンターの株価の5年後を考えるうえで鍵となるのは「市場の期待」と「収益性の維持」、そして「M&A市場全体の成長スピード」である。良いシナリオでは1,200〜1,400円、中間では900〜1,050円、悪い場合には600〜700円という値動きが予想される。現在の732.2円という株価は、ちょうど“中間〜やや割安側”に位置している印象で、配当利回りも4%前後あるため、長期投資としては悪くないエントリーポイントになり得る。急騰は期待し過ぎず、配当を受け取りながらじっくり育てるタイプの銘柄として位置づけるのが現実的な見立てだろう。
この記事の最終更新日:2025年11月29日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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