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アイティメディアとは

アイティメディア株式会社は、東京都千代田区に本社を置くインターネット専業のニュースメディア企業で、IT・テクノロジー・ビジネス分野に特化した専門ニュースサイトを多数展開している。同社はソフトバンクグループ傘下の「SBメディアホールディングス」のグループ企業であり、出版・コンテンツ・マーケティング事業を統括するメディア企業群の一翼を担っている。
同社の前身は、1997年にソフトバンク出版事業部とZiff-Davisが共同で立ち上げた「ZDNet JAPAN」であり、米国Ziff Davisが運営するZDNetの日本版としてスタートした。その後、2000年にZiff-DavisがCNET Networksに売却されたことに伴い、日本版ZDNetもライセンス満了により終了する形となった。そして2004年1月、「ZDNet JAPAN」は「ITmedia」として再スタートし、現在の基盤となるIT系ニュースサイトが本格的に形成された。なお、現在存在している「ZDNet Japan」は、後に別会社である朝日インタラクティブが新規に立ち上げたもので、旧ZDNet JAPANとは別物である。
運営会社としては、ソフトバンク出版事業部から始まり、1999年にはZiff Davisとの合弁会社「ソフトバンク・ジーディーネット」を設立。2004年の独立と名称変更を経て「ソフトバンク・アイティメディア」となり、2005年には@IT(アットマーク・アイティ)を運営していた株式会社アットマーク・アイティと合併し、社名を「アイティメディア株式会社」へと変更した。さらに2006年には出版社「メディアセレクト」と合併し、同社の出版事業を引き継いだ歴史があり、月刊アイティセレクトやサーバセレクトなどの雑誌・書籍も発行していた。そのためアイティメディアは出版者記号「86147」を現在も保有している。
現在の主力事業は、IT・テクノロジー・ビジネス分野を中心としたニュースサイトの運営であり、「ITmedia」「ITmedia NEWS」「@IT」「ねとらぼ」など多様な専門メディアを抱えている。収益の中心は広告モデルで、記事広告、純広告、タイアップ企画、ホワイトペーパー配布、企業向けのリードジェネレーション(見込み顧客獲得)事業などを幅広く展開している。特に企業向けIT領域では、オンラインイベント、ウェビナー、マーケティング支援などBtoBサービスが強く、IT関連企業のプロモーションプラットフォームとして高い評価を得ている。
IT関連ニュースメディアとしての発信力は国内トップクラスで、最新技術や業界動向の解説記事にも強みがあり、専門性の高いユーザーから一般ユーザーまで幅広く支持されている。また、KADOKAWAグループのネットワークを活かしたコンテンツ展開やデジタルマーケティングの強化も進んでおり、オンラインメディア企業として成長を続けている。
アイティメディア 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益EPS(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 8,752 | 2,930 | 2,923 | 1,974 | 99.8 | 28 |
| 24.3 | 8,001 | 2,228 | 2,231 | 1,501 | 77.0 | 115 |
| 25.3 | 8,100 | 2,028 | 2,087 | 1,496 | 77.2 | 100 |
| 26.3(予) | 8,500 | 2,100 | 2,100 | 1,500 | 77.3 | 100 |
| 27.3(予) | 9,000 | 2,300 | 2,300 | 1,650 | 85.0 | 60〜100 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,876 | -53 | -660 |
| 2024 | 1,374 | -164 | -1,246 |
| 2025 | 1,840 | -1,175 | -2,044 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均/安値平均) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 33.4% | 20.9% | 17.6% | – | – |
| 2024 | 27.8% | 15.3% | 13.1% | – | – |
| 2025 | 25.0% | 15.9% | 13.6% | 24.3倍 / 14.4倍 | 3.75倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
アイティメディアは、IT系ニュースサイトを複数運営するインターネット専業メディア企業で、広告収入とリード獲得サービスを主力としている。そのため景気や広告市場の強弱の影響を受けやすいという特徴がある。売上高を見ると87億から80億にいったん減少した後、25.3期は81億、26.3期予想では85億とゆるやかに回復している。大きな成長ではないが底堅い推移で、企業向けマーケティング支援サービスは安定している様子がうかがえる。
一方で利益面は23.3期の29億をピークに、24.3期で22億、25.3期で20億と減少している。営業利益率も33%から27%、25%と3年連続で低下しており、収益性にやや陰りが見えている。メディア業界全体で広告単価が厳しい状況が続いていることや、人件費上昇の影響が出ていると考えられる。ただ、26.3期予想では21億と若干の回復が見込まれており、底打ちの兆しは見えてきている。
純利益も23.3期の19億から15億前後へと縮小しており、EPSも100円弱から70円台まで落ち込んでいる。ROEも20%台から15%前後へと低下しており、企業としての資本効率はまだ高い水準だが伸びは鈍化している。ROAも同様にじりじりと低下しており、純利益率の縮小が資本効率の低下に現れている。
バリュエーション面を見ると、PBRが3.75倍と比較的高く、IT関連のネットメディア企業として市場から一定の評価を受けている。一方でPERは高値平均24倍、安値平均14倍と幅があるものの、今の利益成長性を考えるとPER20倍以上の評価を維持するには業績の底打ちと再成長が必要になる。ここ数年は利益の伸び悩みが続いているため、PERが高めに評価される状況は今後やや限定的になる可能性もある。
総合的に見ると、アイティメディアは利益水準が一定程度確保されており財務も安定しているが、直近数年は収益性の低下が続き、成長の勢いが弱まっている印象が強い。今後のポイントは、IT広告市場の回復、企業向けBtoBマーケティング事業の強化、メディアブランド力の維持と改善にある。業績が反転すればPERの再評価が期待できるが、現状は「大きく伸びる成長株」というより「安定性の高いメディア株」という位置づけが近い。
結論としては、短期で積極的に買っていく銘柄というよりは、業績の底打ちと改善を確認しながら慎重に判断したい銘柄で、成長よりも安定性を重視する投資家に向いたタイプと言える。配当も安定しているため長期保有には向くが、利益成長が鈍い間は株価の大幅な上昇は期待しにくいというのが現状の見方となる。
配当目的とかどうなの?
アイティメディアを配当目的で考える場合、まず注目したいのは26.3期の予想配当利回りが6.49%と非常に高い水準になっている点だ。東証プライムの平均が2%台であることを考えると、6%台というのは明確に“高配当株”の部類に入る。ただしその一方で、27.3期の予想利回りは3.89%と一気に下がっており、この落差をどう解釈するかが投資判断のポイントになる。
もともとアイティメディアはIT系ニュースサイトを運営するネットメディア企業で、利益の伸びは大きくないが安定感のある収益構造を持っている。その収益性を背景にここ数年は手厚い株主還元が続いてきたが、広告市況の変動や人件費の上昇などで利益が以前ほど伸びなくなっている。そうした中で無理に高配当を続けると財務負担が重くなるため、27.3期で配当をやや抑え気味にする方針はある意味では自然な動きとも言える。
この配当利回りの変化を見ると、26.3期は“異常に高い”状態で、27.3期が企業の実力値に近い水準と言える。つまり、安定的に6%を期待できるタイプの高配当株ではなく、たまたま特定年度だけ利回りが跳ね上がったパターンで、その後は4%前後が現実的な水準になりそうだ。
一方で3.89%という利回りも決して低くはなく、メディア企業としては比較的高めの配当を維持している。利益が大きく崩れているわけではなく、純利益が14〜15億円程度で安定しているため、今後もゼロや極端に低い配当に落ち込むリスクは小さいと考えられる。ただし、アイティメディアは高成長型の銘柄ではないため、株価の値上がり益と組み合わせて利回りを享受するタイプではなく、「値動きは重くても安定した配当を受け取る」という長期保有スタイルに向いている。
総合すると、アイティメディアは“26.3期の6.49%だけに惹かれて飛びつく”タイプの銘柄ではなく、むしろ“今後はおそらく4%前後の落ち着いた配当利回りを期待しながら保有する”というイメージの銘柄だと言える。高配当株としてはやや割高感のあるPBRだが、収益の安定性はあるため、配当目的の長期保有には一定の魅力がある。ただし、利回り6%が継続するわけではない点には注意したい。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価1,540円を起点に、アイティメディアが今後5年間でどういった株価推移をたどる可能性があるのかを考えると、まず前提として押さえておくべきなのは、この会社が景気敏感株でありながら、利益が極端に落ち込むことは少ない“中庸型”のメディア企業だという点だ。IT系ニュースサイトという事業の性質上、広告市況や企業のIT投資に影響を受けやすい一方で、既存メディアのブランド力と固定読者が多いため、急激な業績悪化が起こりにくいという安定感がある。売上は80億前後、営業利益は20億前後、純利益は14〜15億円のレンジで安定しており、利益率は高めだが成長スピードは控えめという独特のバランスを持っている。
まず良い場合のシナリオでは、広告市場が回復し、企業のIT投資が再び活発になることで、アイティメディアの広告単価が上昇するパターンが想定される。とくに企業向けのリード獲得サービスやオンラインイベント事業は景気の回復局面で伸びやすく、営業利益率が再び30%前後まで改善してくる可能性もある。もし利益水準が23.3期の29億円に近づくような展開になれば、市場からの評価も戻り、PERは20倍前後の水準を再び目指すだろう。この場合、5年後の株価は2,000円から2,500円台まで上昇する可能性が高く、広告市況の追い風が強ければ2,800円近くまで伸びることもあり得る。アイティメディアはKADOKAWAグループの一員であるため、コンテンツ連携や動画領域の拡大などが加速すればさらに上振れする要素も残されている。
次に中間シナリオでは、広告市場の波を受けながらも、現在のような安定的な収益構造が続くケースとなる。アイティメディアは強い固定ファンと企業向けのBtoBサービスを持っているため、売上が大きく跳ねることはなくても安定して取り込める広告需要が一定量存在する。この場合、売上は年1〜3%の緩やかな成長幅で、営業利益も20億前後を維持するイメージとなる。市場の評価であるPERは10〜15倍の範囲に収まりやすく、株価は1,600円から1,900円あたりで推移し、急騰も急落もない落ち着いた動きになる可能性が高い。配当利回りが3〜4%台という点が株価の下支えとなり、安定配当を受け取りながら保有していくスタイルが最も相性の良い投資法になる。
悪い場合のシナリオでは、広告市場が冷え込み、企業のIT関連マーケティング費用が削減される一方、AIによる自動広告最適化や他メディアとの競争が激しくなることで、広告単価がさらに落ち込むパターンが考えられる。加えて、メディア業界全体での人件費上昇やコンテンツ制作費の増加が重荷となり、営業利益率が20%を割れるようなケースもあり得る。市場からの評価も下がり、PERは10倍前後まで縮小しやすく、株価は1,200円から1,400円あたりに落ち込む可能性がある。最悪の場合、広告依存度が高いという弱点が露呈し、成長性への期待が完全に剥落すれば1,100円台まで下ぶれするリスクもなくはない。
ただし、アイティメディアは収益基盤が安定しているため、極端に悲観する必要はなく、5年単位で見れば大崩れするタイプの企業ではない。コンテンツ力、検索流入、固定読者の多さ、企業向けリード獲得の強さなど、メディア企業としての基盤がしっかりしているため、悪いシナリオでも致命的な業績悪化にはつながりにくい。逆に言えば、劇的な成長も起こりにくいという特徴があり、派手な株価の上昇よりも安定配当を受け取りながら長期保有するスタンスが最も現実的な投資スタイルになる。
総合すると、アイティメディアは、急成長株ではないが安定したメディア収益と比較的高めの配当を武器に、中期的にはじわじわと評価が戻る可能性のある銘柄だと言える。株価の上昇余地は良いシナリオで2,500円前後、中間シナリオで1,700円前後、悪いシナリオで1,300円前後というイメージで、極端な上下よりも緩やかな推移が予測される。値上がり益よりも、安定配当と堅実運用を重視したい投資家に向いた銘柄であり、長期保有でじっくり育てるスタンスが最も相性が良いと言える。
この記事の最終更新日:2025年11月29日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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