株価
E・Jホールディングスとは

E・Jホールディングス株式会社は、岡山県岡山市北区に本社を置く持株会社で、総合建設コンサルタントを傘下に持つ企業グループである。同社は、官公庁向けの社会インフラ関連業務を中心に事業を展開し、道路、橋梁、河川、砂防、上下水道、都市計画、環境、防災、測量、地質調査など、幅広い分野で日本のインフラ整備を支えている。代表取締役社長は小谷裕司で、資本金は20億円となっている。
同社の成り立ちは他の建設コンサル企業と異なり、2005年に夢真ホールディングスが日本技術開発(後のEJビジネス・パートナーズ)に対して敵対的TOBを仕掛けたことが大きな転換点となっている。その際、エイトコンサルタント(現・エイト日本技術開発)がホワイトナイトとして友好的なTOBを実施し、日本技術開発の親会社となった。こうした経緯から、エイトコンサルタントと日本技術開発の協力関係が強まり、2007年に両社が経営統合してE・Jホールディングスが発足した。
エイトコンサルと日本技術開発の統合により、グループの技術領域は大きく広がり、社会インフラの計画・設計・調査・管理を一体的に担う総合建設コンサルタントとしての基盤が確立された。特に官公庁向けの案件を中心とした安定した受注体制が強みで、国土強靭化、災害対策、インフラ老朽化対策といった国家的テーマに対して高い貢献度を持つ。建設コンサル業界は景気変動の影響が比較的小さい分野であり、公共投資の継続性が高いことから、E・Jホールディングスも事業が非常に安定している。
現在では、エイト日本技術開発やEJビジネス・パートナーズなど複数の専門会社を傘下に持ち、技術力の強化、海外展開、新領域でのコンサルティングなどにも取り組んでいる。老朽化インフラの維持管理需要の高まりや、防災・減災分野の案件増加を背景に、安定した成長が期待される企業となっている。
E・Jホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益EPS(円) | 配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 22.5 | 36,668 | 4,491 | 4,706 | 3,121 | 197.5 | 43 |
| 23.5 | 37,509 | 4,462 | 4,636 | 3,059 | 195.8 | 50 |
| 24.5 | 37,207 | 4,348 | 4,597 | 3,032 | 193.6 | 55 |
| 25.5(予) | 42,705 | 4,481 | 4,633 | 3,203 | 204.1 | 67 |
| 26.5(予) | 47,000 | 5,000 | 5,100 | 3,350 | 186.0 | 69 |
| 27.5(予) | 48,500 | 5,400 | 5,500 | 3,600 | 199.9 | 69〜71 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,382 | -1,487 | -924 |
| 2024 | 3,940 | -941 | -1,058 |
| 2025 | 4,135 | -7,909 | 5,944 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均/安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 11.8% | 10.2% | 7.7% | – | – |
| 2024 | 11.6% | 9.3% | 7.3% | – | – |
| 2025 | 10.4% | 9.4% | 6.1% | 9.2倍 / 6.7倍 | 0.86倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
E・Jホールディングスの業績を見ると、売上高はほぼ横ばいからやや増加傾向で、公共工事を中心とした建設コンサルという業界特性から、景気に左右されにくい安定した事業構造を持っている。23.5期から24.5期にかけて売上が少し減っているものの、利益水準はほぼ横ばいで推移し、25.5期には再び売上が伸びている。26.5期予想でもしっかり増収となっており、社会インフラ更新需要を背景に安定成長を続けていることが分かる。
利益面では、営業利益は43~50億のレンジで推移しており、営業利益率も10%前後と建設コンサル業としては比較的高水準を維持している。ただし、営業利益率は年々わずかに低下しており、同業他社との競争や人件費上昇の影響が出ている可能性がある。それでも公共案件中心の受注構造のため利益のブレは小さく、事業の安定性は非常に高い。
ROEは9~10%前後で推移しており、極端に高い水準ではないものの、安定した資本効率を維持している。建設コンサル業は設備投資が重い業種ではなく、資本効率が高まりやすい分野ではあるが、同社は堅実に利益を積み上げており、資本効率としては合格点と言える。
株価評価を見ると、PBR0.86倍と1倍割れで放置されており、市場からの評価は控えめで“割安株”に分類される。PERも高値平均9倍、安値平均6倍と非常に低い評価で、利益が比較的安定している企業としては割安感が強い。つまり、利益は安定している一方で株価は割安に放置されている典型的な銘柄で、バリュー株としての魅力が高い。
配当面では、年々増配を続けているのも注目ポイントである。50円→55円→67円→69円予想と増加傾向にあり、EPSの伸びに合わせた堅実な株主還元が続いている。PBR1倍割れ・PER10倍未満の企業でありながら、安定した増配姿勢を取っている点は大きな投資魅力で、インカムゲインを狙う投資家にも向いている。
総合すると、E・Jホールディングスは景気に左右されにくい建設コンサルという業態と、公共案件中心の安定した受注環境を背景に、収益が大きく落ち込みにくい堅実な企業である。その一方でPBR0.8倍台という割安な株価水準が続いており、バリュー株としての投資妙味が高い。増配傾向も強く、長期保有しながら配当を受け取るスタイルにも向いている。派手な成長は期待しづらいが、業績の安定性と割安感のバランスが良く、中長期でじっくり保有するには適した銘柄と言える。
配当目的とかどうなの?
E・Jホールディングスを配当目的で考える場合、まず大きなポイントとなるのが、予想配当利回りが26.5期・27.5期ともに4%台を維持しているという点である。日本株の中で4%を超える利回りを安定して提示している企業は限られており、特に業績が安定している建設コンサル業界では、かなり魅力的な水準だと言える。さらに同社はこれまで増配傾向が続いており、50円→55円→67円→69円と、しっかり配当を積み増している点も注目点になる。
また、E・Jホールディングスの事業は公共案件が中心で景気変動の影響を受けにくく、売上や利益が大きく落ち込むリスクが小さいという特徴がある。そのため、配当が極端に減配されにくい業態であり、安定配当を期待する投資家と非常に相性が良い。実際、利益水準は毎年ほぼ40〜50億円で安定しており、純利益も30億円前後をキープしているため、配当を支払いながら内部留保を積み増す余力も十分にある。
さらに、株価面でもPBRが0.86倍と1倍を大きく割り込んでおり、いわゆる“割安株”として放置されている状態にある。PERも6〜9倍と低水準で、株価が過剰に評価されているような状況ではない。つまり、株価がぜいたくに買われている配当銘柄とは違い、割安な株価水準で利回り4%台を取れるという点で、配当目的の投資としての魅力が非常に高い。下値の堅さも期待できるため、長期保有にも向いている。
唯一の懸念点を挙げるとすれば、利益が爆発的に伸びるタイプの成長企業ではないため、配当が急激に増えることも期待しにくい点である。しかしながら、業績が大きく落ち込むリスクが小さく、配当性向も適切な範囲に収まっていることから、長期で安定的に配当収入を得たい投資家には非常に向いた銘柄だと言える。
総合すると、E・Jホールディングスは配当目的としては優秀な選択肢で、4%を超える予想利回り、増配傾向、安定した公共事業中心の収益構造、さらに割安な株価水準など、多くの点で配当重視の投資家にとって魅力的な条件が揃っている。大きな成長を求める銘柄ではないが、長期保有しながら安定したインカムゲインを得るには非常に適した銘柄と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価1,696円を基準にして、E・Jホールディングスが今後5年間でどのような値動きをたどるかを考えると、この会社の特徴である「安定した公共コンサル需要」と「割安に放置されやすい株価評価」が鍵になってくる。建設コンサル業界は景気変動の影響を受けにくく、国土強靭化や災害対策、インフラ老朽化対応など、国の政策と密接に動くため、売上・利益が大きく崩れるリスクが比較的少ない。一方で爆発的な成長が出る業界でもないため、株価は業績に合わせてじわじわ動く傾向が強い。
まず良い場合のシナリオでは、国が引き続き防災・インフラ更新投資を積極的に行い、同社が安定的に受注を伸ばすことで、売上は毎年3〜5%ほど増加し、利益も緩やかに上昇していくパターンが考えられる。業績の伸びとともに市場からの評価もやや改善し、PBR1倍超え、PER10〜12倍程度までの見直し買いが入る可能性がある。この場合、5年後の株価は2,100円から2,400円程度が見込まれ、インフラ需要が特に強く進む局面では2,500円を超える可能性もある。
中間のシナリオでは、インフラ需要は一定の強さを維持しつつも、大きな政策変化や市場の評価変動がなく、売上・利益が緩やかに増える程度のパターンとなる。PERも現在の6〜9倍のレンジを維持し、株価は緩やかに推移する可能性が高い。この場合、5年後の株価は1,700円から2,000円あたりに収まると見られ、現在の株価近辺での安定推移が続くことになる。大きく上がらないが大きく崩れることもない、堅実な推移になるシナリオだ。
悪い場合のシナリオでは、公共事業の予算が一時的に削減されたり、人件費上昇により利益率が低下したり、競争激化で受注が鈍化したりすることが想定される。また、株価評価が依然として割安圏のままで、PBRが1倍に戻らない状況が続くと、株価は評価されにくいまま推移する。業績が少しでも鈍化するとPERがさらに圧縮されるリスクもあり、この場合の株価は1,300円から1,500円あたりまで下落する可能性がある。最悪のケースでは1,200円台も視野に入るが、事業内容の安定性から急落リスクは限定的だと考えられる。
総合すると、E・Jホールディングスは景気の影響を受けにくい業態で、利益が大きく崩れる可能性は低い一方で、劇的な成長も見込みにくいという特徴がある。そのため、株価は急伸よりも堅実な値動きになりがちで、バリュー株として安定した推移が期待できる銘柄と言える。特に現在の配当利回り4%台は魅力で、下値を支えやすい環境が続く。長期でコツコツ持ちながらインカムゲインを得るスタイルに適した企業であり、株価も合理的な業績推移に沿って堅調に動く可能性が高い。
この記事の最終更新日:2025年11月29日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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