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エス・エム・エス(2175)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

エス・エム・エスとは

株式会社エス・エム・エスは、東京都港区に本社を置く日本の情報サービス企業であり、2003年に諸藤周平、田口茂樹らによって創業された。介護・医療・キャリア・ヘルスケア/シニアライフ領域に特化した多様なオンラインサービスを展開しており、高齢社会における社会課題の解決を企業ミッションとしている。日本国内だけでなく、アジア・オセアニア13か国へ事業を拡大しており、医薬情報サービスから人材紹介、経営支援まで幅広く提供している。

エス・エム・エスは、医療・介護分野の人材不足、生産性改善、情報格差といった構造的課題を解決するため、領域ごとに多様なプラットフォーム型サービスを展開している。介護領域では「カイポケ(介護事業者向け経営支援)」を中心に、ケアマネジャー向けコミュニティ「ケアマネドットコム」、介護職コミュニティ「けあとも」、家族向け情報サイト「安心介護」、高齢者住宅検索「かいごDB」、介護リフォーム支援「ハピすむ」、高齢者向けデイサービス情報「デイサービスナビ」など、多数のサービスを運営している。これにより、介護事業者、介護職、利用者家族など多様な立場を横断的につなぐエコシステムを構築している。

医療領域では、看護師向けブランド「ナース専科」を軸とし、看護学生向け雑誌・書籍、看護師向け学術メディア「ナースプレス」、看護師向け通販「PURE NURSE」のほか、薬剤師向けコミュニティ「ココヤク」、病院経営者向け情報サービス「ガレノス」、訪問薬局・訪問看護ステーション情報サイトなど、医療従事者と医療機関の双方をサポートするプラットフォームを多数展開している。

キャリア領域では、介護職向けの「カイゴジョブ」、ケアマネジャー向け「ケア人材バンク」、PT・OT・ST(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)向け人材紹介、栄養士、薬剤師、検査技師、放射線技師など医療系専門職向けの特化型人材紹介サービスを展開している。看護師向けには「ナース専科 転職」「ナース専科 求人ナビ」「ナース専科 就職ナビ」など、学生から経験者まで幅広くカバーするサービスを提供している。

組織・教育領域では、介護資格スクールの「カイゴジョブアカデミー」、資格講座資料請求サービス「シカトル」、治療家向け求人情報「ジョブノート」、治療家向け人材紹介「ウィルワン」などのサービスを展開し、介護・医療従事者の教育、キャリアアップ支援にも注力している。

ヘルスケア/シニアライフ領域では、認知症情報サイト「認知症ねっと」、糖尿病専門サイト「糖尿病ねっと」、健康に関するQ&Aサイト「なるカラ」、栄養士向けコミュニティ「エイチエ」、健康診断データを活用した予防ソリューション事業など、生活習慣病予防から専門家向け情報まで幅広いサービスを展開している。

総合すると、エス・エム・エスは介護・医療の人材不足解消、事業者の経営改善、従事者の教育支援、家族・利用者の情報不足解決といった、多角的な課題にアプローチするプラットフォーム企業であり、高齢化社会を背景に今後も成長が見込まれる領域で事業を展開する特徴的な企業である。

直近の業績・指標

決算期 売上高 営業利益 経常利益 純利益 一株益(EPS) 一株配当
2023.3 45,667 7,279 8,759 6,406 73.5 15
2024.3 53,973 8,269 9,901 7,227 83.0 20
2025.3 60,952 6,335 8,357 6,054 71.0 28.5
2026.3(予) 67,500 7,280 9,460 7,030 85.6 28.5〜30
2027.3(予) 74,500 8,200 10,400 8,000 97.5 28.5〜30.5

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
2023 8,504 -3,763 -3,043
2024 9,773 -3,739 -5,020
2025 5,806 -4,071 -4,148

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均/安値平均) PBR
2023 15.9% 16.8% 9.8%
2024 15.3% 16.4% 9.9%
2025 10.3% 12.8% 7.9% 42.9倍/24.7倍 2.57倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

エス・エム・エスの直近3期の業績を見ると、売上は綺麗な右肩上がりで、介護・医療分野の需要の強さがそのまま数字に表れている。ただし利益面はやや癖があり、営業利益は82億→63億→72億(予想)と増減がある。これは人材紹介やプラットフォーム領域での広告費用や投資負担が増えた影響と考えられる。

営業利益率は15%前後から10%台前半へ低下しており、高成長SaaS企業と比較すると収益性は若干弱含みになっている。一方でROEは16%前後、ROAも8〜10%台と、日本株としては十分高めの水準を維持しており、事業の稼ぐ力は安定している。

純利益は72億→60億→70億(予想)と一時的に落ち込んだあと回復傾向にあり、EPSも再び増加基調に戻りつつある。配当も毎年増配傾向で、28.5〜30円と安定性が高い。営業キャッシュフローが毎年しっかりプラスになっている点も、事業モデルの強さを示している。

一方で2025年の予想PERは高値平均42倍、安値平均24倍と割高に評価されやすい銘柄で、市場の期待が高いぶん株価が上下に振れやすい面がある。また営業利益率が以前より低下している点は、成長ステージを考えると今後の改善が求められるポイントになる。

総合的に見ると、この銘柄は「売上は強い、利益は上下がある、株価は期待先行で動きやすい」という特徴がある。介護・医療という長期成長テーマに乗っているため事業基盤は堅く、中長期では安定した成長が期待できるが、利益率の改善が進まないと現在のPER水準を正当化しづらくなる。

結論として、やや割高感はあるものの長期テーマの強さと収益基盤の安定を考えると、調整局面で買って中長期で保有するには悪くない銘柄。ただし短期では値動きが荒くなりやすいため、エントリーのタイミングは慎重に見極めたい。

配当目的とかどうなの?

エス・エム・エスを配当目的で考える場合、結論としては「悪くはないが、配当目的として特別魅力が強い銘柄ではない」という評価になる。実際の配当実績を見ると、2023年は15円、2024年は20円、2025年は28.5円となっており、毎年28.5〜30円の範囲を維持しているわけではない。近年の配当は段階的に増えてきた形であり、安定して高い水準を出しているとは言いにくい。

ただし同社は介護・医療・人材の領域で事業を展開しており、景気に左右されにくい特徴があるため、営業キャッシュフローは毎年しっかりプラスになっている。配当余力が急激に崩れるようなリスクは小さく、事業基盤の安定性という意味では安心感がある。

一方で、配当利回りは連26.3で2.07%、連27.3で2.07%と標準的な水準で、高配当株というカテゴリには入らない。むしろ利益成長や事業投資を優先する企業のため、配当より成長を強調する経営姿勢が強い。そのため、配当額が大きく伸びにくい構造になっている。

業績自体は売上が右肩上がりで成長しており、利益も2025年以降は回復傾向にあるため、中長期では増配余地は残っている。しかし利益率の変動が大きいことや成長投資が続いていることを考えると、配当を主目的に投資する銘柄として最優先に選ぶタイプではない。

総合的に見ると、エス・エム・エスは「成長企業の中で配当もそこそこ出してくれる銘柄」という位置づけになる。長期テーマである介護・医療の需要は堅く、中長期で売上が伸びていく構造のため、成長+少し配当を求める投資家には相性が良い。一方で、高配当株として利回りだけを目的に買うには弱いので、成長ストーリーを評価しつつ、配当は“おまけ”として受け取るくらいの感覚で保有するのがバランスの良いアプローチと言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

エス・エム・エスの現在値1,373円を起点に、今後5年間の株価がどのように推移していくかを考えると、まず押さえておくべき前提は「この会社は介護・医療という長期的に需要が伸び続ける領域に位置し、売上は安定して成長する一方で、利益率には波がある」という特徴だ。事業基盤は強く、営業キャッシュフローも毎年プラスでしっかりしているが、広告費や成長投資の影響で利益が年度ごとに変動しやすい。この特性がそのまま株価の動きにも反映される可能性が高い。

良い場合のシナリオでは、介護・医療のDX化がさらに進み、同社のプラットフォームや人材サービスが市場シェアを拡大し、利益率が再び上向く。営業利益が安定成長に戻り、EPSも継続して増えていく形になれば、市場が同社を「成長企業」として評価し、PERが25〜35倍程度まで再評価される可能性がある。その場合、株価は5年後に2,400〜3,200円程度まで上昇しても不思議ではない。とくに高齢化の加速で介護・医療需要がさらに強まり、同社のデータ・マッチング領域が拡大すれば、上振れする余地もある。

中間のシナリオでは、売上はしっかり増えるが利益率は急速には改善せず、EPSの伸びも緩やかになる。ただし、事業リスクが小さく、介護・医療の需要は底堅いため、減益リスクは限定的となる。この場合、PERは20倍前後に落ち着き、株価は1,800〜2,200円程度のラインが現実的なレンジとなる。成長企業としては控えめな伸びだが、安定した売上拡大と配当の底堅さを背景に、じわじわと株価を押し上げるタイプの動きになる。

悪いシナリオでは、利益率の低下が長引いたり広告費が重くのしかかり、EPSの伸びが鈍化するケースだ。競合との広告競争が激化したり、採用環境が厳しくなったりすると、一時的に利益が圧迫される可能性がある。この場合、市場は同社を高成長株として評価しなくなるため、PERは10〜14倍程度まで低下する恐れがある。結果として株価は1,200〜1,400円前後で停滞し、現在値付近を上下するような展開になりやすい。

総合的に見ると、エス・エム・エスはテーマ性の強さと事業の安定性から中間以上のシナリオが期待できるが、利益率の改善速度が株価のカギになる。短期で大きく跳ねるタイプではなく、売上を確実に積み上げながら時間をかけて株価が評価されていくスタイルの銘柄。長期保有との相性は良いが、エントリーのタイミングを間違えると値動きが重く感じられる可能性もあるため、押し目を狙って丁寧に拾う投資スタンスが適している。

この記事の最終更新日:2025年11月29日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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