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不二家(2211)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

不二家とは

株式会社不二家は、ケーキや洋菓子を中心とする老舗の食品メーカーで、1910年(明治43年)に横浜の元町で創業した。創業当初は、コーヒーや紅茶、デコレーションケーキ、シュークリームを3銭均一で提供する洋菓子舗としてスタートし、当時としては非常に先進的なスタイルの菓子店だった。その後、長い歴史の中でスイーツ文化を築き、日本を代表する洋菓子メーカーへと成長した。現在は東京証券取引所プライム市場に上場している。2008年からは山崎製パンの子会社となっており、同グループの中で製菓部門の中核を担っている。

社名の「不二家」は、創業者・藤井家の「藤」、日本の象徴である「富士山」、さらに「二つとない存在=不二」という意味が込められており、唯一無二の洋菓子ブランドを目指す想いが表されている。また、不二家のシンボル「ファミリーマーク(Fマーク)」は、デザイナーのレイモンド・ローウィによって制作され、「F」には不二家の頭文字だけでなく、ファミリア(親しみ)、フラワー(花)、ファンタジー(夢)、フレッシュ(新鮮)、ファンシー(かわいらしい)の5つの意味が込められている。イメージキャラクターとして知られるペコちゃんとポコちゃんは日本中に浸透しており、1998年にはカーネル・サンダース像に続いて立体商標の登録を受けている。

不二家は製菓・洋菓子の製造だけでなく、全国に広がる直営店やフランチャイズの洋菓子店、レストラン「不二家レストラン」の運営など、小売・外食事業も展開している点が特徴である。洋菓子に加え、ミルキーやカントリーマアム、ルックチョコレートなどの定番商品をはじめ、多くのヒット商品を持つ製菓メーカーとしての側面も強い。特に「ミルキー」は不二家の利益の柱であり、安定した収益源となっている。また、アイスクリーム事業も手掛けており、B-Rサーティワンアイスクリーム(B-R31)の持分法適用会社としても知られている。

一方で、不二家は過去に大きな問題にも直面している。2006年には埼玉工場で賞味期限切れ(正確には社内規定の使用期限切れ)の牛乳を使用したことが発覚し、2007年に内部告発を受けて報道されたことで大きな社会問題となった。洋菓子販売の一時休止、消費者から1,700件を超える苦情、食品衛生管理のずさんさが次々に指摘され、当時の食品偽装問題の象徴的事件とも言われた。この問題を受け、本社ビルの売却と移転、管理体制の抜本的見直しなど大規模な改革が行われ、現在の文京区大塚の本社はその際に移転したものである。

近年では、製菓・洋菓子に加えて通信販売、ライセンス事業、不動産賃貸、受託業務など多角化も進め、安定した事業基盤の構築を進めている。2月28日を「不二家の日」に定めて感謝キャンペーンを行うなど、企業イメージの向上にも力を入れている。山崎製パン傘下によるグループ化によって製造・物流・販売面の効率化も進み、洋菓子チェーンと製菓メーカーの両側面を持つ独自のビジネスモデルを展開していることが、不二家の特徴であり強みでもある。

不二家は100年以上の歴史の中で、日本の洋菓子文化の発展を牽引してきた企業であり、現在もミルキー、カントリーマアム、ホームパイ、LOOKチョコレートなどのロングセラー商品を中心に高いブランド力を持つ食品メーカーとして存在感を保っている。

不二家 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度(単位百万) 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
2021.12 104,751 4,146 5,218 3,173 123.1 30(記念)
2022.12 100,614 4,334 5,545 3,376 131.0 30
2023.12 105,534 1,374 2,104 969 37.6 30
2024.12 109,984 2,298 3,130 1,672 64.9 30
2025.12(予) 118,000 2,500 3,200 1,800 69.8 30
2026.12(予) 130,000 3,000 3,700 2,100 81.5 30

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2022 4,948 -7,739 -1,549
2023 6,775 -7,967 -1,240
2024 4,260 -6,905 1,746

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績/予想) PBR(実績)
2023 1.3% 1.7% 1.1%
2024 2.0% 2.8% 1.8% 38.9〜44.2倍(実績) 1.19倍
2025 2.1% 3.1% 1.9% 38.25倍(予想)

出典元:四季報オンライン

投資判断

不二家の直近の業績を見ると、まず売上は2023年の1055億円から2024年には1099億円、2025年予想では1180億円と堅調に増えており、食品メーカーとしては比較的安定した成長が続いている。一方で利益面を見ると、2023年の営業利益は13億円とかなり低い水準だったが、2024年には22億円、2025年には25億円とゆるやかに回復してきている。経常利益も同じ傾向で2023年の21億円から、翌年には31億円、2025年には32億円と改善が続いている。純利益も2023年は9億円と落ち込んでいたが、2024年には16億円、2025年には18億円とこちらも持ち直している。

ただし、利益規模自体は売上に比べて小さく、営業利益率を見ても2023年は1%台前半、2024年で2%、2025年予想でもようやく2%強と、食品メーカーの中でもかなり低い部類といえる。ROEも2023年の1%台から2024年に2%台、2025年に3%台と改善傾向ではあるが、依然として低水準であり、資本効率が高いとは言えない状態が続いている。ROAも1〜2%台と低く、事業構造として高収益とは言い難い。

PERを見ると、2024年の実績PERは約39〜44倍とかなり割高な水準で、利益の小ささに対して株価が高く評価されている構図になっている。2025年の予想PERも38倍程度と依然として高く、現時点の不二家の収益力から見ると割高感は否めない。一方、PBRは1.19倍と比較的低めで、純資産に対して株価が極端に高いわけではないが、低ROEと割高PERの組み合わせは、企業価値が利益成長よりもブランド力に依存していることを示している。

総合的に見ると、不二家は売上の安定感こそあるものの、利益率が低く、資本効率も弱いため、成長株として評価するのは難しい。過去の期限切れ原材料問題や管理体制の改善に時間がかかった経緯もあり、企業としての信頼性を回復しながら事業を積み上げている途中という印象が強い。ただし、ミルキーやカントリーマアムなどの強いブランド、B-Rサーティワンアイスの持分会社など安定した事業基盤は評価できるため、急激な悪化は考えにくく、ディフェンシブ性は高い。

しかし、現状の利益規模と株価水準を考えると、積極的に買いを入れるよりも、収益改善が明確になるまで様子を見る方が合理的といえる。特に利益率とROEが食品メーカーの平均水準(ROE7〜10%程度)に近づく兆候が出るまでは、大きな株価上昇は期待しづらい。株価が割安になる局面で長期保有を狙う、あるいは低リスクでブランド力の高い企業をゆっくり積み上げたい投資家向けの銘柄と言えるだろう。

配当目的とかどうなの?

不二家の配当利回りを見ると、2025年12月期と2026年12月期はいずれも1.12%となっており、配当目的の投資としてはかなり低めの水準であると言わざるを得ない。食品メーカーの中には2〜3%台の利回りを安定的に出している企業も多く、1%前後という利回りでは「配当でリターンを狙う」という観点では魅力が乏しい。

ただし、不二家は山崎製パン傘下に入って以降、経営基盤が安定し、財務も改善しているため、配当自体は安定しており、減配リスクは比較的低いという特徴がある。にもかかわらず利回りが低いのは、本業の利益率が低く、EPS(1株利益)がそれほど大きくないことが背景にある。2023年〜2025年の利益規模を見ると、売上規模の割に純利益は一桁億〜十数億円台と小さいため、結果として配当に回せる余力も限定的になる。

また、不二家は商品ブランドは強いものの、収益性・利益率が低く、設備投資や衛生管理体制の強化など、内部投資の比重が高い企業でもある。そのため大幅増配等を行いづらく、長期的にも高配当株になる可能性は小さい。配当“目的”で考えるなら、同じ食品業界でもより利回りの高い企業(JT、味の素、一部の食品卸や外食株など)のほうが適している。

結論として、不二家は「配当目的の投資には向かない」銘柄だが、ブランド力のある菓子メーカーを長期で安定保有したい人や、山崎製パングループの一角として安心感を求める投資家に対しては一定の魅力を持つ。ただし、配当を重視するのであれば、優先度はかなり低い位置づけになるだろう。

今後の値動き予想!!(5年間)

不二家の現在値が2,670円だとして、今後5年間の株価を考える場合、まず押さえておくべき特徴は「売上は安定して増えているが、利益率が低く、収益性は高くない」という点である。ミルキーやカントリーマアム、LOOKチョコレート、ホームパイといった強いブランド力を持つものの、製造コストや物流費が重くのしかかり、営業利益率は2%前後と食品業界でも低めだ。その一方で、長期的に安定した売上基盤、山崎製パン傘下としての経営安定性が支えとなり、急激に悪化しにくい体質でもある。こうした特性を踏まえると、5年間の株価動向は大きな爆発力はないが、急落もしにくい、比較的穏やかな推移を描くと考えられる。

良い場合は、原材料価格の落ち着きや物流効率の改善、店舗改革の進展などにより利益率が徐々に上向き、営業利益が毎年確実に積み上がっていくシナリオである。洋菓子事業の採算改善や、新商品のヒット、訪日観光客向け需要の強まりなどが重なれば、利益の伸びとともに市場の評価も上がり、株価がゆっくりと上昇する可能性がある。この場合、5年後の株価は3,200〜3,500円程度まで上値を伸ばすイメージが現実的で、ディフェンシブ銘柄としては比較的良い伸びとなる。

中間の場合は、現在の利益率のまま横ばい気味に推移し、売上は増えても利益は大きく改善しないシナリオである。不二家はブランド力が強いため売上は大きく崩れにくいが、コスト構造の改善が遅れると収益の伸びは限定的になる。この場合、株価は2,600〜2,900円の間でゆるやかに上下しつつ、全体としては現在値付近に収まりやすい。食品メーカーらしい安定感はあるが、株価の大きな値上がりは期待しにくい。

悪い場合は、原価高騰が長引いたり、物流費がさらに上昇したり、店舗運営の採算悪化が進むケースである。不二家は利益率がもともと低いため、コスト増の影響を受けやすい体質がある。加えて、菓子市場での競争激化や、トレンド商品の不発などが続くと利益が伸び悩み、EPSも改善しにくくなる。その場合、株価は2,200〜2,400円程度まで下押しされる可能性がある。ただし山崎製パンの傘下で財務基盤が強固なため、急落・暴落といった極端なシナリオにはなりにくい点も特徴的である。

総合すると、不二家は「大きく伸びないが、大きく崩れない」タイプの典型的なディフェンシブ銘柄で、5年間の値動きも比較的穏やかなものになると考えられる。収益性の改善が進むかどうかが株価の上昇余地を決める最大のポイントであり、利益率が明確に改善する兆しが見えない限り、現在値付近を中心とした狭いレンジで推移する可能性が高い。長期で安定性を求める投資には向くが、株価成長を期待する場合は少し慎重になる必要がある。

この記事の最終更新日:2025年11月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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