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山崎製パン(2212)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

山崎製パンとは

山崎製パン株式会社は、東京都千代田区岩本町に本社を置く、日本最大の製パンメーカーであり、国内パン市場で圧倒的な存在感を誇る企業である。製パン業界ではフジパングループ本社、敷島製パンとともに「製パン大手3社」の一角を成し、国内シェアは約4割を占める圧倒的トップ企業として知られている。世界規模で見ても、北米・中南米に巨大ネットワークを持つメキシコのグルーポ・ビンボに次ぐ“世界第2位の製パン企業”であり、日本のみならず海外でも年々存在感を高めている。

取り扱う製品領域は極めて広く、食パン、菓子パン、惣菜パン、和洋菓子、米飯類、弁当・おにぎり、ジャム、デザート、ビスケット、クッキー、米菓、レトルト食品に至るまで膨大なラインナップを抱えている。特に菓子パンカテゴリーは国内No.1の柱であり、「ランチパック」「薄皮シリーズ」「ロイヤルブレッド」「ダブルソフト」など長年愛されるロングセラー商品を多数持つ。全国の自社工場・協力工場による強大な生産ネットワークを持ち、日本中どこでも“毎日届けられる”供給力の強さが最大の競争力となっている。

また、「デイリーヤマザキ」「ニューヤマザキデイリーストア」ブランドでコンビニエンスストア事業も展開し、製造から小売まで垂直統合型のビジネスモデルを構築している点も独特である。パン・惣菜・弁当を自社で製造し、自社流通で店舗へ送り届ける仕組みは、安定供給と品質管理において他社に真似できない強みとなっている。

2016年にはナビスコとのライセンス契約が終了したことを受け、子会社のヤマザキナビスコを「ヤマザキビスケット」へ改称し、独自ブランドとして「ルヴァン」「ノアール」などを発売。結果的にこの独自展開は成功し、ビスケット市場でも確固たる地位を築いた。

グループ企業としては、不二家、東ハト、ヤマザキビスケット、サンデリカなど著名メーカーを傘下に収めており、持分法適用会社として日糧製パンやB-Rサーティワンアイスクリームもグループ関係にある。菓子・スイーツから惣菜、冷菓、外食まで幅広い食品領域をカバーし、食品業界でも最大規模の総合食品グループを形成している。

海外展開にも積極的で、2025年時点ではタイ、マレーシア、シンガポール、中国、台湾、ベトナム、インドネシア、アメリカ、フランスなど、多国展開を進めている。アジア圏での成長加速を重視し、現地の味覚に合わせた製品開発や、日系パン文化の浸透にも力を入れている。

シンボルマークとして使われる「太陽マーク」は、万物の源である太陽のように“日々の食卓に光を届ける存在でありたい”という創業者の理念を象徴しており、品質と誠実さを大切にする同社の企業姿勢を表している。また、同じ「ヤマザキ」でも惣菜パックで知られるヤマザキ(もう一品など)とは資本・業務提携を含めて一切関係がない点も付記される。

総合すると、山崎製パンは国内最大級の製パン企業であり、パン・菓子パン・和洋菓子からコンビニ事業まで幅広く手掛ける強固な巨大食品グループである。圧倒的な製造力と流通網、全国ブランド力、傘下企業とのシナジーなど、あらゆる面で国内食品業界を代表する存在となっている。

山崎製パン 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(円) 一株配当(円)
連21.12 1,052,972 18,359 21,382 10,378 48.6 22
連22.12 1,077,009 22,032 26,127 12,368 59.1 22
連23.12 1,175,562 41,962 45,526 30,168 146.2 25
連24.12 1,244,488 51,873 56,305 36,015 178.6 45
連25.12予 1,296,000 58,000 60,000 38,300 193.9 50
連26.12予 1,348,000 60,500 62,500 39,900 202.0 55〜60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位百万) 営業CF 投資CF 財務CF
2022 52,773 -41,984 -26,695
2023 73,689 -45,659 -18,834
2024 73,974 -43,492 -15,038

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 3.5% 7.5% 3.7%
2024 4.1% 8.7% 4.1% 25.7倍(高値) / 15.9倍(安値) 1.49倍
2025(予) 4.5% 9.4% 4.5% 18.50倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

山崎製パンの直近3年間の業績推移を見ると、まず売上の拡大が非常に安定している点が特徴的で、2023年の1兆1755億から2024年には1兆2444億、2025年予想では1兆2960億と、毎年しっかり成長している姿が見て取れる。食品メーカーの中でもトップクラスの規模であり、パン市場では国内シェア4割の圧倒的プレーヤーであるため、売上規模が落ちにくく、緩やかに積み上げていくタイプの企業といえる。

利益面でも改善が続いており、営業利益は2023年の419億から2024年には518億、2025年予想では580億と増加基調にある。経常利益も同じく、2023年の455億から2024年の563億、2025年予想の600億と、しっかりステップアップ。純利益も301億 → 360億 → 383億と、食品企業としては堅実な伸びを示している。山崎製パンはパン・菓子パンだけでなく惣菜、和洋菓子、米飯まで幅広く商材を持ち、かつ全国供給の物流体制も優れているため、規模の経済が効きやすい点が利益成長の背景にある。

利益率を見ても、営業利益率は4%台に乗ってきており、かつての「低収益」イメージから徐々に脱却しつつある。ROEは2023年の7%台から2024年は8%台、2025年には9%台に届く予想で、食品大手としては標準以上に改善している。ROAも3〜4%台で安定し、総資産を使った収益力も堅調だ。事業規模の大きさに対し、着実に効率性が上がっていることを示しており、企業体質の強化が進んでいる印象を受ける。

株価指標を見ると、2024年はPERが高値25倍前後と割高だったが、2025年予想では15倍台まで低下しており、利益の伸びと比較すると“適正〜やや割安寄り”の水準に入ってきている。PBRも1.4〜1.5倍程度で推移し、食品大手としては標準的であり、財務基盤とブランド力の強さを考えると妥当な評価といえる。

総合すると、山崎製パンは「売上の安定成長」「利益の持続的な改善」「海外展開の拡大」「子会社群の強み」を背景に、中長期的にも業績が大きく崩れにくいタイプのディフェンシブ株であることがわかる。利益率は高くはないものの、改善基調にあり、規模を活かした収益増が今後も期待できる。配当はまだ高利回りとは言えないが、増配傾向が顕著で、株主還元姿勢も強まっている。

結論として、山崎製パンは「安定した中長期保有に向く銘柄」であり、急成長はしないが大きく崩れにくい、安全性の高い投資先といえる。業績の着実な伸びを背景に、長期でじわじわ株価が評価されるタイプのため、急騰を狙うよりも安定志向の投資に向く銘柄と判断できる。配当だけでなく値上がり益も堅実に狙えるバランスの良い企業といえるだろう。

配当目的とかどうなの?

山崎製パンの予想配当利回りを見ると、2025年が1.52%、2026年が1.67%となっており、食品大手としては標準的ではあるものの、「高配当株」として魅力が強い水準とは言い難い。特に、近年は物流費・原材料費の高騰などコスト負担が重い業界環境の中で、同社は積極的な増配よりも、まず本業の利益改善と安定供給のための投資を優先している印象が強い。そのため、現時点では“配当利回りを目的とした投資”というより、“安定した企業成長の中で緩やかに増える配当を期待する長期保有”という位置づけのほうが近い。

ただし、山崎製パンは非常に安定性の高いビジネスモデルを持っており、売上が景気に左右されにくいディフェンシブ企業である点は、配当安全性の面でプラスに働く。食品メーカーの中では利益の波が小さく、しかも毎年利益を着実に積み増していることから、減配リスクが極めて低い銘柄といえる。また、ここ数年は増配傾向が続いており、配当方針として“利益が伸びれば配当も増やす”という流れが明確になっているため、長期で見れば配当額そのものは徐々に増えていく可能性が高い。

総合的に見ると、山崎製パンは“配当利回りで選ぶ銘柄”ではないものの、“安定収益 × 減配リスクの低さ × 緩やかな増配”という点では非常に堅実な選択肢になる。高配当を求めるタイプの投資家には物足りないが、長期保有で手堅い企業を持ちたい人にとっては、安定した配当収入を得ながら中長期の株価上昇も期待できる、バランスの良いディフェンシブ銘柄と言える。配当目的でも“安全性重視”タイプなら十分に選択肢に入る企業である。

今後の値動き予想!!(5年間)

山崎製パンの現在値が3,276円だとして、今後5年間の株価を考える場合、まず押さえるべきは、同社が国内最大の製パン企業であり、売上が景気に左右されにくく、利益も安定して積み上がっているという点である。事業の性質上、急激な成長は期待しづらい一方で、ディフェンシブ性が極めて高く、不況下でも業績が崩れにくい特徴を持つ。また、ここ数年は利益率の改善が続いており、営業利益や純利益が着実に増加していることから、企業力としては“安定成長型”に分類される。

良い場合は、コスト改善がさらに進み、物流網や生産効率の向上によって利益率が5%台に近づいていくシナリオである。海外展開の強化や、子会社の不二家・東ハト・ヤマザキビスケットとのグループシナジーによって収益力が底上げされれば、市場の評価も高まり株価は着実に上昇していく。PERが適正水準を維持しながら業績が伸びれば、5年後には3,800〜4,200円程度まで上値を伸ばす可能性がある。急騰株にはならないが、ディフェンシブ株としては堅実な上昇が期待できる。

中間の場合は、現在と同じペースで売上と利益が増え続けるが、大きな構造改革やシェア拡大は進まず、安定成長にとどまるシナリオである。山崎製パンの事業モデルは成熟しており、急激な利益改善は起こりにくいが、安定性は非常に高い。この場合、株価は3,200〜3,500円を中心にゆるやかに推移し、5年後でも現在値付近から大きく乖離しない可能性が高い。値上がり益よりも“安心して持ち続けられること”が最大のメリットになる。

悪い場合は、原材料費や物流費が長期的に高止まりし、利益率の回復が鈍化するシナリオである。食品業界は値上げが容易ではなく、コスト高が続くと利益圧迫が進みやすい。また、コンビニ事業の競争激化や消費者の低価格志向が加速した場合も収益性のリスクになる。この場合、株価は2,700〜3,000円まで下押しされる可能性がある。ただし、山崎製パンは非常に安定した企業で、不況期でも極端な業績悪化が起こりづらいことから、大きく崩れるリスクは比較的小さい。

総合すると、山崎製パンの今後5年間の株価は「大きく上には行かないが、大きく下にも行きづらい」典型的な安定銘柄の動きをする可能性が高い。ディフェンシブ性、ブランド力、供給力の強みから長期保有での安定性が魅力であり、運用で安心感を求める投資家に適した銘柄といえる。一方、大幅な株価上昇を狙う投資には向かず、着実な業績成長を背景にゆっくり株価が評価されるタイプの企業である。

この記事の最終更新日:2025年11月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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