株ウォッチング

すべての株の情報を表示し管理人のアドバイスも一言


亀田製菓(2220)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

,

株価

亀田製菓とは

亀田製菓株式会社は、新潟県新潟市江南区に本社を構える、日本を代表する米菓メーカーであり、せんべいやあられなどの米菓分野では国内最大手として知られている。会社の始まりは1946年までさかのぼり、当時の中蒲原郡亀田町の農民たちが共同で出資して亀田郷農民組合を立ち上げ、水飴の加工・製造から事業をスタートさせた。戦後復興期の食糧難の中で生まれた加工所だったが、その後1950年に法人企業として組織変更し、亀田町農産加工農業協同組合として米菓の製造へと本格的に転換していく。1961年には大ヒット商品となった「あられ サラダホープ」を発売し、これが同社の名を全国に広める大きなきっかけとなった。

1970年代に入ると、亀田製菓は設備投資を積極的に行い、製造ラインの大規模な近代化を推し進めた。その結果、1975年度には総売上165億円を突破し、米菓メーカーとして日本一の売上を達成した。以降、「柿の種」「ハッピーターン」「ぽたぽた焼」といったロングセラーを次々に生み出し、現在に至るまで米菓市場を代表する存在としての地位を確固たるものにしている。特に「亀田の柿の種」は全国の家庭で親しまれる商品となり、期間限定フレーバーの展開や海外向け商品の開発も行われている。

一方で、国内市場においては少子化や食の多様化が進む中、米菓需要の伸びが鈍化することを見越して、亀田製菓は早い段階から事業の多角化と海外展開に力を入れてきた。米菓の枠を超えた食品カテゴリーへの進出として、米飯加工品、乳製品、グルテンフリー食品、健康志向の食品ブランドの開発など、米を中心としながらも幅広い食品分野へ事業領域を広げている。特に健康食品分野では、米由来成分を活用した独自製品の開発を進め、米菓メーカーという枠にとどまらない総合食品企業への進化を目指している。

海外展開については、アメリカでの「Kameda USA」をはじめ、アジア・欧州などでも販路を拡大しており、特に北米で販売されている柿の種はアジアンフードとして一定の評価を獲得している。海外市場では米菓が“新しいスナック文化”として受け入れられる場面も増えており、成長余地が大きいことから、グローバル戦略は今後も同社の収益拡大の柱になると考えられている。また、現地企業との提携やM&Aにも前向きで、世界的な食品メーカーへの進化を意識した動きが随所に見られる。

経営面でも大きな転換点があり、2022年6月にはインド出身で1984年に来日したジュネジャ・レカ・ラジュがCEOに就任した。外国人CEOの誕生は米菓業界としては初であり、同社が国際市場を視野に入れたグローバル企業へと本格的に舵を切った象徴的な出来事となった。多様性を重視した経営体制への転換は、海外展開の加速や新規事業の推進において大きな役割を果たすと期待されている。

現在の亀田製菓は、伝統的な米菓メーカーでありながら、老舗であることに安住するのではなく、将来の国内市場縮小を見据えた多角化・海外戦略を着実に進める企業へと変化してきている。ロングセラー商品による安定したブランド力を維持しつつ、時代の変化に合わせて新しい市場へ挑戦し続けている点が特徴である。

亀田製菓 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度(単位百万) 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益EPS(円) 一株配当DPS(円)
連23.3 94,992 3,564 5,215 1,892 89.8 55
連24.3 95,534 4,467 6,798 2,257 107.1 56
連25.3 103,262 5,500 6,916 5,417 257.0 57
連26.3予 138,000 7,300 7,500 24,400 1,157 58〜59
連27.3予 141,000 7,700 7,900 4,600 218.2 58〜60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度(単位百万) 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 8,285 -8,442 972
2024 9,730 -8,140 -1,255
2025 9,442 -7,830 -1,215

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(実績) PBR(実績)
2023 3.7% 2.9% 1.7%
2024 4.6% 3.2% 1.8%
2025 5.3% 7.1% 4.3% 高値平均 39.1倍
安値平均 31.5倍
0.91倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

亀田製菓の直近3年を見ると、売上は安定しており、利益も少しずつ増えてきている。営業利益は35億から44億、そして55億へと着実に伸びており、米菓メーカーとしては堅実な成長をしている。経常利益も同様に増加しており、財務面でも無理をしていない印象を受ける。純利益も2025年で54億と大きく伸びており、EPSが257円まで上昇していることから、収益性が改善してきているのがはっきり見て取れる。

ただし、2026年の純利益244億という予想は明らかに異常値で、通常の事業とは関係のない一時的な利益が計上される可能性が高い。そのため、この数字だけを見て急成長と判断するのは危険で、実質的な実力値は2025年の純利益54億あたりが妥当とみるのが現実的だ。

利益率の推移を見ると、営業利益率が3.7%、4.6%、5.3%と少しずつ改善しており、低収益体質だった過去から抜け出しつつある。ROEも2.9%から7.1%まで改善し、ROAも上昇しているため、資本効率も良い方向に向かっている。食品メーカーとしては派手さはないが、堅実に利益を積み上げているタイプで、収益改善は本物と言える。

株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均39倍、安値平均31倍と高めの評価がされており、割安株というより「安心感を買われる銘柄」という位置づけになっている。PBRは0.91倍と割安に見えるが、これは純資産が厚く、安全性が高い食品メーカー特有の特徴で、必ずしも「本当に割安」という意味ではない。市場は利益よりも安定性とブランドを評価して価格をつけている。

総合的に見ると、亀田製菓は急成長を狙う銘柄ではないものの、安定成長と収益改善が同時に進んでいる堅実な企業という評価が妥当になる。米菓市場は伸びにくいが、海外展開や健康食品などの新分野への投資も進んでおり、中長期ではじわじわ評価が上がる可能性がある。リスクとしては原材料費の高騰や円安、少子化による国内需要の伸び悩みがあるが、倒れにくい体質の企業で大きな不安は少ない。

一方で、配当利回りは高くなく、投資妙味としては控えめなので、配当目的で買うタイプではない。むしろ安定成長と企業のブランド力を重視する保守的な投資家向けの銘柄と言える。結論としては、大きなリターンを狙う銘柄ではないが、堅実に成長を積み上げているため、長期保有には向いている企業。株価が過度に割高になる場面では無理に買わず、押し目を狙って拾うのが現実的な戦略になる。

配当目的とかどうなの?

亀田製菓を配当目的で考える場合、結論としては「配当目当てで買う銘柄ではない」という評価になる。予想配当利回り(2026・2027年度)が連続して1.41%程度で推移しており、食品株の中でも利回りはかなり低い部類に入る。一般に配当狙いで選ばれる銘柄は2%後半から3%以上が多いので、1%台前半の利回りでは配当の旨味はほとんど感じられない。

さらに亀田製菓は、もともと高配当志向ではなく、あくまで安定した利益とブランド価値をベースに経営してきた企業で、株主還元を大幅に強化するタイプの会社でもない。配当金も55円→56円→57円→58〜59円と、確かに微増しているものの、利回りが大きく上がるほどの増配ではない。配当性向も無理をしてまで高くしているわけではなく、業績に見合った自然な水準を維持している。

また、2026年のEPSが1,157円と異常に高く見えるが、これは明らかに一時的な利益(負ののれん等)が入っている可能性が高く、継続的な高収益とは言えない。そのため、今後配当が急に増えるとか、大幅な還元が実施されるという期待を持つのは現実的ではない。

亀田製菓は、どちらかというと株価の値上がりや高配当を期待する銘柄ではなく、安定して事業が続くことに価値があるタイプの企業だ。市場もそれを分かっていて、PERは高めに評価される一方、配当利回りは低めで推移している。つまり、高成長ではないが安心感がある銘柄として評価されているということ。

配当目的で亀田製菓を選ぶメリットがあるとすれば、減配リスクが低めであることくらいだが、それでも利回り1.4%という水準を考えると、より配当が魅力的な銘柄が他にたくさんあるのが実情だ。食品株でも3%前後の銘柄は普通に存在しており、利回りの観点では比較にならない。

まとめると、亀田製菓は配当目的で買う銘柄ではなく、株主還元よりも事業の安定性やブランド力を評価する長期投資家向けの企業。配当狙いで保有するなら全く向いておらず、利回りを求めるなら別の銘柄を見たほうが効率がいい。

今後の値動き予想!!(5年間)

亀田製菓の株価を現在の4,095円から5年後まで考える場合、この企業の特徴である「安定した米菓ビジネス」と「積極的な海外展開」、そして「劇的な成長は見込みにくいが大きく崩れにくい」という体質を踏まえておく必要がある。長年「柿の種」や「ハッピーターン」などの定番ブランドを持つ企業で、国内では米菓市場のトップに君臨してきたが、その反面、市場全体の成長性が低いため爆発的な伸びは期待しづらい。その代わり安定性は高く、景気に左右されにくい食品メーカーとして、投資家にとっては“守りの銘柄”としての側面が強い。

まず良い場合のシナリオでは、亀田製菓がここ数年取り組んでいる新規事業や海外展開、健康志向食品などの分野が実を結び、米菓依存体質から徐々に脱却していく流れが続くことが前提になる。例えばアメリカやアジアで進む米菓の需要拡大、グルテンフリー食品の市場成長、海外ローカルメーカーとの提携、または米菓を“ジャパニーズスナック”として世界的に評価される流れにうまく乗れば、売上規模の底上げが期待できる。さらに原材料コストが落ち着き、価格転嫁も順調に進められるようになれば、営業利益率も改善し、ROEも安定して高い水準を維持できる。市場がこうした“安定成長+海外伸びしろ”を織り込み始めれば、PERが高めに評価されることもあり、株価は5年後に6,000円〜7,000円近くまで上昇するシナリオは十分あり得る。

中間のシナリオでは、国内市場の成長が鈍いながらも、主要商品が安定して売れ続ける一方、海外事業がゆっくりと成長していくという、現実的でバランスのとれた未来になる。この場合、売上や利益が急激に伸びるわけではないが、企業としての基盤が非常にしっかりしているため、業績は上下しながらも徐々に積み上がっていく。景気変動や原材料高の影響を受けても、需要そのものが大きく落ちることは少ないため、企業体質の安定性が株価の下支えとなる。結果として5年後の株価は4,500円〜5,500円程度のレンジに落ち着く可能性が高い。急騰はないが暴落もしにくく、長期保有の安心感を求める投資家にはちょうど良いシナリオになる。

悪い場合のシナリオでは、国内市場の縮小や少子化による需要減退がより大きな影響を及ぼし、原材料価格の高騰が続き、利益を圧迫し続けるケースが考えられる。特に米菓メーカーは原料である米だけでなく、砂糖や油、物流、人件費などさまざまなコスト要因に左右されやすい業界で、これらが同時に重くのしかかると一気に利益が削られてしまう。また海外戦略や新規事業が期待ほど伸びず、国内依存体質が強いままだと、投資家の期待値も下がり、株価もジリジリと下落する可能性がある。この場合、5年後は3,000円〜2,500円台へ下ぶれするシナリオも十分考えられ、保守的な株としての評価も揺らぎやすい。

亀田製菓の株は、もともと高成長を狙うタイプではなく、景気に強く安定感があることが魅力の企業だが、一方で株価上昇の余地は地味で、配当利回りも1%台と高くないため、配当目的でも大きな魅力はない。株価の評価はどちらかといえばブランドの安定性や事業の継続性に寄っているため、株価が大きく上がる局面は業績が予想以上に改善した時くらいに限られる。

まとめると、亀田製菓は「大勝はしにくいが大負けもしにくい」タイプの銘柄で、長期で持つなら安心感はあるが、短期間で大きな値上がりを狙うなら他の成長株を選んだほうが早い。しかし、堅実な経営、ブランド力、海外需要の伸びしろなどを考えると、長期的な資産安定を目的に少しずつ積み上げるには悪くない企業だと言える。

この記事の最終更新日:2025年11月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP