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丸大食品(2288)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

丸大食品とは

丸大食品株式会社は、大阪府高槻市に本社を構える老舗食品メーカーで、創業90年以上の歴史を持つ。日本の食卓に欠かせないハム・ソーセージ・ベーコンといった加工肉の分野で長く存在感を示してきた企業であり、日本ハム、伊藤ハム米久HD、プリマハムと並ぶ“4大ハムメーカー”として発展してきた。かつては業界4位だったが、近年の市場競争激化や再編の影響により順位は6位まで下がっているものの、依然として国内大手として幅広い販売網と高いブランド認知を誇っている。

同社の大きな特徴は、畜肉製品だけでなく魚肉ソーセージや多種多様な加工食品まで扱う“総合デリカメーカー”である点だ。「燻製屋熟成あらびきポークウインナー」や「味の主演」シリーズ、「うす塩」シリーズといった定番商品に加え、ロースハムやベーコンでも特級グレード商品を展開し、家庭向けからギフト需要までカバーしている。また「藻塩の匠」「淡路島の藻塩仕立て」など、素材・産地にこだわった商品も手掛け、差別化を図っている。

加工食品・総菜分野でも力を入れており、チキンハンバーグ、ミートボール、チキンナゲット、から揚げ、水餃子、炭火焼シリーズ、スンドゥブシリーズなど、時短調理の需要が高まる市場にしっかり対応している。特に中食市場(惣菜・簡便調理食品)の拡大は同社にとって追い風となっており、共働き世帯や単身者の増加によってこの分野は中長期で成長余地が大きい。

さらに、丸大食品は外食・業務用向け事業にも重きを置いており、レストラン、ホテル、学校給食向けの加工肉や惣菜も提供している。スーパーや量販店だけでなく、業務用市場にも深く浸透している点は、業績の安定を支える重要な柱となっている。

製造面では、長年のノウハウを生かした高い品質管理体制を構築しており、ISO、HACCP取得など「安心・安全」を徹底している。同社は不祥事の多い食品業界において、地道に信頼を積み重ねてきた企業であり、この品質に対する真摯な姿勢がブランド価値を支えている。

市場としては、少子高齢化や原材料高騰など逆風も多いが、中食需要・たんぱく質需要の増加といった追い風もあるため、丸大食品は“安定した需要を持つ生活密着型メーカー”として堅実に事業を展開している企業といえる。伝統的な加工肉の強みを持ちながら、時代の変化に合わせて惣菜や簡便食品へのシフトも進めており、今後も幅広い層の食卓を支える存在であり続ける企業である。

丸大食品 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益EPS(円) 一株配当DPS(円)
連23.3 221,979 -1,400 -897 -4,987 -198.8 20
連24.3 228,808 3,117 3,639 -9,414 -377.7 20
連25.3 234,970 5,469 6,056 5,488 222.1 50
連26.3予 240,000 6,300 6,700 5,000 203.2 55
連27.3予 245,000 6,800 7,200 5,100 207.2 55〜60

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

年度 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 2,906 -4,516 534
2024 10,014 -4,882 -2,380
2025 5,396 -2,884 -3,196

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(倍) PBR(倍)
2023 -0.7% -7.3% -4.0%
2024 1.3% -15.2% -7.8%
2025 2.3% 8.2% 4.5% 高値 8.8 / 安値 6.9 0.76

出典元:四季報オンライン

投資判断

丸大食品の業績や指標を眺めていくと、この会社の特徴が非常に分かりやすく表れている。まず大前提として、食品メーカーは売上が急激に増減しにくい“安定業界”で、丸大食品も例外ではなく、売上は毎年2,200〜2,400億円の範囲に収まっている。しかし、24.3期に大幅な赤字(純利益 -94億)を計上したことで一時的に利益が崩れた点が目立つ。この赤字は本業の崩壊というより、一時的な損失計上の影響が大きいと考えられ、実際その翌年の25.3期には営業利益54億・純利益54億に戻しており、会社としての収益基盤は崩れていないことが分かる。

利益率を見ると、この業界らしく非常に薄い構造になっており、営業利益率は1〜2%台と低水準。それでも25.3期、26.3期の予想では徐々に改善しつつあり、効率化や価格改定がようやく効果を出し始めている印象を受ける。一方でROEは24.3期が-15%と大幅に落ち込んだが、翌期にはプラスに戻り、26.3期では8%前後を確保できる水準まで回復している。食品企業としての平均的な回復力を持っていて、“極端に弱い企業ではない”ということを示している。

株価指標の観点では、丸大食品は非常に割安に放置されやすい銘柄で、PBR0.76倍、PERも実力値で6〜9倍程度とかなりの低水準にある。食品メーカーは成長期待が薄いため市場から高い評価を受けにくいが、それでもこの指標の低さは“明確な割安”と言って差し支えないレベル。大きく売り込まれるというよりは、長く買われないまま放置されるタイプの株だが、その分下値は堅い。

配当についても特徴的で、赤字の翌年でも配当を20円で維持し、25.3期には50円に増配している。業績が悪くても一定の配当を出し続ける姿勢は株主還元として評価できるし、ディフェンシブ銘柄としての性格を強めている。食品メーカーの特性上、景気悪化でも売上は安定するため、無配になるリスクも比較的低い。

総合的に見ると丸大食品は、爆発的な成長を期待する銘柄ではなく、家庭向け加工食品という生活必需品を支える“守りの企業”。利益率は薄く、競争も激しいため株価の急上昇は期待しにくいが、一方で事業は安定しており、黒字が続く限りは配当維持も期待でき、株価の下支えにもなりやすい。つまり、長期で大きく儲けるタイプではなく、割安で買ってじっくり持ち、時々増配があればプラス、という“ディフェンシブ配当株”としての魅力が中心の銘柄といえる。

配当目的とかどうなの?

丸大食品を配当目的で考える場合、まず押さえておきたいのは、ここが“高配当銘柄”というよりは「安定配当を長く続けるタイプのディフェンシブ株」だという点です。予想配当利回りは連26.3期、連27.3期ともに約2.97%で、食品業界の中では平均より少し高い水準。特別に高利回りというわけではありませんが、安定性という面で見るとかなりしっかりした性格を持っています。

ポイントは、2024年3月期に純利益が−94億円という大赤字に転落したにもかかわらず、配当を20円から減らさなかったことです。普通の企業なら真っ先に減配するところを、丸大食品は維持した。これは株主還元の姿勢がかなり強く、配当を簡単に切らない企業であることを示しています。食品メーカーは景気に左右されにくく、加工食品や総菜は日常需要があるため、売上が急激に減ることも少ない。生活必需品を扱うセクターゆえ、業績のブレが小さく、配当も安定しやすいという構造を持っています。

最近の決算を見ると、24.3期の赤字から25.3期には黒字へ復帰し、26.3期予想でも営業利益・経常利益は増加、純利益は横ばい〜微減程度で着地見通し。大きく伸びる会社ではありませんが、堅実に黒字を維持しながら積み上げていくタイプで、ひたすら業績が右肩上がり、という企業ではないものの、“配当を安定して出す”という点では非常に相性が良い。

株価も今のところ割高感はなく、PBRは0.7倍台と純資産の割に株価が安い状態。つまり下落リスクが大きくない点は長期保有にはプラス材料です。配当利回りが3%前後で、株価も下がりにくく、業績も極端に落ち込むことが少ない構造である以上、長期で保有しながら配当を受け取る“守りの投資”には向いている銘柄といえます。

まとめると、丸大食品は“高配当でガッツリ稼ぐ銘柄”ではなく“安定性を求める長期保有向けの配当株”。景気に強く、減配しづらく、株価も上下が大きくないため、放置しながら毎年の配当を受け取るスタイルと特に相性が良いタイプです。

今後の値動き予想!!(5年間)

丸大食品の現在株価は2,187円だが、この会社は長い歴史を持つ老舗で、ハム・ソーセージを中心に家庭向けの惣菜や冷凍食品まで幅広く手がける総合食品メーカーである。業界6位とはいえブランドの知名度は高く、「燻製屋」や「味の主演」シリーズなど定番商品も多く、家庭の冷蔵庫には一度は丸大の商品が入っていると言ってもよいほど生活密着型の企業だ。ただ、売上規模に対して利益率が低く、その点が長年の課題になっている。

直近の業績を見ると、2023年は営業赤字、2024年も利益は出たが営業利益率1%台と厳しい状況が続いたものの、2025年にはようやく営業利益率が2%台に戻り、黒字基調が定着しつつある。とはいえ食品大手の中では収益性が弱く、価格転嫁がスムーズに進むかどうかで業績が大きく揺れやすい構造が続いている。PBR0.7倍台と低評価なのは、この収益の不安定さが投資家の警戒感となっているためだが、逆に言えば「割安株」としての見直し余地を秘めているともいえる。

今後5年間の株価を考える際は、原材料価格や物流費の動向、値上げの浸透度、惣菜・冷凍食品分野の伸びなどが鍵になる。これらを踏まえて3つのシナリオで整理すると、次のようなイメージになる。

まず良い場合だが、原材料価格が落ち着き、2024年以降の値上げがきちんと利益に反映され、惣菜や冷凍食品の販売が伸びて収益改善が本格化するパターン。営業利益率が3%前後まで安定してくれば市場評価も見直され、今のPBR0.7倍が1倍付近まで戻る可能性もある。こうなると株価は強めの上昇トレンドに入り、5年後には3,000円台前半まで届く展開も期待できる。

次に中間の場合だが、売上は緩やかに増えつつも利益率は2%前後で横ばい、競合との価格競争も続き、収益の改善ペースが限定的なケース。この場合、株価は大きく上にも下にも動きにくく、2,200〜2,500円のレンジで推移するようなイメージが強い。配当は維持されるため安定感はあるが、資産株として保有する程度の位置づけになる。

最後に悪い場合だが、原材料高や物流費上昇が再び強まったり、景気悪化で値上げができなくなると、利益率が再び低下し、投資家の評価も下がる可能性がある。営業利益率が1%台に沈むような状況が続くとPBRは0.6倍前後まで売られ、株価は1,600〜1,800円台への下落リスクが出てくる。

総じて丸大食品は生活必需品に分類されるディフェンシブ企業であるため、大暴落しにくい一方、急成長もしにくい。堅実で安定した企業体質は評価できるが、利益率の改善が株価上昇の必須条件になる。業界再編や惣菜分野の強化が上手くハマれば化ける可能性があり、逆に改善が進まなければ株価は停滞する。その意味で「安く買ってじっくり待つタイプの銘柄」という位置づけが一番しっくりくる企業といえる。

この記事の最終更新日:2025年11月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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