株ウォッチング

すべての株の情報を表示し管理人のアドバイスも一言


S FOODS(2292)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

,

株価

S FOODSとは

エスフーズ株式会社は、兵庫県西宮市鳴尾浜に本社を置く食肉加工メーカーで、家庭用・業務用の焼肉用食肉、牛ホルモン、加工食品を中心に幅広い事業を展開する企業である。旧社名は「スタミナ食品株式会社」で、創業時には地元で「甲子園の味」というブランド名で親しまれるなど、地域密着型の企業としてスタートした。その後、事業拡大とともに現在の社名へ変更し、全国規模の加工食品メーカーとして発展した。現在は大手総合商社・丸紅が議決権比率17.3%を保有しており、丸紅グループとの連携を活かした調達力・販路拡大も同社の強みとなっている。

エスフーズの象徴的な商品が、国民的ロングセラーである牛ホルモン加工品「こてっちゃん」である。1980年代から続く人気ブランドで、その味付けと調理の手軽さから家庭の定番商品として定着している。2003年のBSE問題により一時販売休止を余儀なくされたが、その間に代替商品として登場した「とんてっちゃん」も人気を獲得し、現在は両商品がラインナップとして共存している。2007年から段階的に販売再開され、2008年には「こてっちゃん」が完全復活し、ブランドの地位をさらに強固なものとした。

季節性商品としては「こてっちゃん牛もつ鍋シリーズ」が秋冬の主力として成長している。醤油・味噌・キムチ味などのスープに加え、家庭で具材を足すだけで本格的なもつ鍋が楽しめる設計が消費者に支持されており、季節ごとの売上拡大に大きく貢献している。

同社は牛肉・内臓肉の輸入において日本の先駆者的存在であり、特にホルモン系の加工技術と調達ネットワークに大きな強みを持つ。こうしたバックボーンから、加工食品だけでなく食肉小売り店舗の展開、焼肉店などの外食事業にも事業領域を広げている。業務用食材も幅広く取り扱い、外食チェーンやスーパーなどの中食市場にも深く入り込んでいる。

海外展開にも積極的で、米国に自社工場を持ち、現地での食肉加工や和風味付け商品を展開。アジア圏への輸出も拡大しており、日本式加工肉の海外普及に貢献している。グローバルサプライチェーンの構築により、価格変動リスクや原料調達リスクへの耐性を高めている点も特徴的である。

また、食の安全性・品質管理に強いこだわりを持ち、HACCP・ISOなどの国際基準を背景にした高度な衛生管理体制を整備。消費者の「安全・安心」志向に応える品質保証体制がブランド信頼に直結している。

総合すると、エスフーズ株式会社は「こてっちゃん」に象徴される加工食品の強みと、牛肉・ホルモン輸入、加工、外食・小売りまで一貫した食肉バリューチェーンを構築することで、国内外で存在感を発揮する食肉加工企業である。調達力、商品開発力、海外展開力を武器に、中長期的にも成長を狙える企業と言える。

S FOODS 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益EPS(円) 一株配当DPS(円)
連23.2 399,208 14,571 15,841 10,570 334.3 78
連24.2 425,011 12,673 14,390 9,073 286.9 84
連25.2 444,546 5,143 6,388 2,667 84.3 89
連26.2予 475,000 8,000 9,000 4,800 151.5 104
連27.2予 570,000 10,000 11,000 7,000 221.0 104〜106

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 13,707 -13,167 3,139
2024 8,952 -14,465 7,335
2025 7,375 -15,016 -2,031

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(倍) PBR(倍)
2023 3.6% 9.6% 5.1%
2024 2.9% 7.6% 4.0%
2025 1.1% 2.1% 1.1% 21.3〜14.9 0.68

出典元:四季報オンライン

投資判断

エスフーズの直近3年の業績と収益指標を並べて眺めると、この企業は明確に「減益からの回復途中」にあることがよくわかる。まず数字を見ると、24.2期は営業利益126億・純利益90億と比較的好調だったが、25.2期には営業利益51億・純利益26億まで落ち込んでいる。これは原材料の牛肉価格上昇、ホルモン輸入コスト、エネルギー費、物流費など、外部環境の悪化が重なったことが背景にあると考えられる。エスフーズはホルモン加工に強みがある一方、牛肉価格や輸入コストの影響を大きく受ける事業構造で、収益が安定しづらい特徴を持っている。

ただし26.2期予想では営業利益が80億、純利益48億と、一定の回復を見込んでいる。まだ完全には戻らないものの、25.2期の急落からはしっかり持ち直しており「底は過ぎた」と評価できる。とはいえ、利益率自体は依然として低い水準にあり、営業利益率は1〜3%台、ROEは2〜9%、ROAは1〜5%と、食品セクターの中でも控えめな数字が続く。高い稼ぐ力を持つ企業とは言えず、安定成長というより「需要はあるが利益率が薄いビジネス」を淡々とこなしている印象だ。

一方で株価指標を見るとかなり割安に放置されており、実績PBRは0.68倍と1倍を大きく下回っている。利益水準が低いとはいえ、安すぎる評価になっているのは事実で、財務リスクが高い企業ではないため、このPBR0.6〜0.7倍は明らかに割安圏と言える。PERについては14.9〜21倍と食品株として妥当な水準で、割安というよりは「普通」。ただしPBRが大きく割れていることを考えると、市場はエスフーズの成長性を低く見積もっており、株価はしばらく低空飛行が続きやすい。

配当に関しては堅実で、84円 → 89円 → 104円 と増配を継続している点は好印象。利益の上下はあるものの、キャッシュフローの範囲内で無理なく配当を維持しており、還元姿勢は強い。配当利回りも比較的安定しており、株価が割安な分、利回りは高めに出やすい。

総合すると、エスフーズは「成長株」ではないが、「割安株+配当株」としての魅力はある会社。大きく値上がりしていくタイプではなく、原材料の影響で業績が振れやすいので短期的な波はある。ただし事業自体は安定需要があり、「こてっちゃん」「牛もつ鍋」などの定番ブランド、丸紅との連携、海外工場の存在など一定の強みもある。

したがって、投資判断としては、短期で大きく儲ける銘柄ではないが、安値圏で拾って中長期でそこそこの配当を受け取りながら、業績回復に期待する「堅実配当型の銘柄」という位置づけになる。成長性を求める投資家向けではないが、食品ディフェンシブ銘柄の中で割安放置されているため、配当目的や安定したポートフォリオ構築には十分採用価値がある企業といえる。

配当目的とかどうなの?

エスフーズを「配当目的」で考える場合、この銘柄は派手さこそないものの、安定した配当収入を狙うタイプの投資家に向いた“堅実系”の食品株だと言える。予想配当利回りは連26.2期・連27.2期ともに 3.92% と、食品ディフェンシブ株の中ではかなり高水準に入る。一般的に食品メーカーは2〜3%台が多い中で、ほぼ4%の利回りを出している点は魅力が大きい。

業績面は原料価格や円安、物流費の影響を受けやすく、増益と減益を繰り返しやすい特性があるが、エスフーズは無理な増配をせず、利益の増減に合わせながらも「ある程度安定した配当を維持する」企業姿勢が見られる。過去の実績を見ても赤字のような極端な期でない限り、配当を大幅に削るようなケースは少なく、この点は配当狙いの投資家にとって安心材料になる。

さらに、同社は今の実績PBRが0.7倍前後とかなり割安な水準で放置されている。食品株でここまで価値が低く評価されているものは珍しく、資産株としての側面も強い。株価の下値が比較的固いタイプで、長期間持って配当を受け取りながら、いつか見直し買いが入ることを期待するような投資スタイルと相性が良い。

もちろん注意点として、利益が原料市況に左右されるため、毎期同じように安定した利益成長を続けるタイプではない。増益 → 減益 → 増益という波はどうしても起こりやすい。それでも、急激に配当を削る企業ではなく、業績のブレをある程度吸収して配当を続けてきた実績は評価に値する。

総じて、エスフーズは“高利回り・割安・ディフェンシブ”という三拍子が揃った、長期での配当収入を目的とする投資家にとって扱いやすい銘柄。短期で大きく跳ねるような株ではないが、じっくり構えて配当を受け取り続けるという意味ではとても相性が良い企業だと言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

エスフーズの株価2,650円を基準に、今後5年間の株価推移を考えると、この企業は典型的な「ディフェンシブ食品株」であり、大きく跳ねるタイプではなく、外部環境に左右されながらも比較的安定して推移していく銘柄だといえる。主力商品である“こてっちゃん”を中心に加工食品の需要は底堅く、家庭用も業務用も安定した売上がある一方で、業績が大きく伸び悩む要因は常に外部環境にある。特に牛肉・ホルモンなど原料肉の価格変動、為替や物流費の上下、エネルギーコストといったコントロールしづらい要因が業績を左右し、これが株価の上値を重くする構造になっている。

良いシナリオを描くならば、まず原料価格が安定したり、円安が落ち着くことで利益率が改善し、海外工場や丸紅との調達網の強化が効いてくるケースがある。こうした環境改善により収益が回復すれば、長年の割安評価が見直され、株価が3,300円〜3,800円程度までゆっくりと上がる可能性がある。食品株は急騰が少ないものの、一度割安感が払拭されると、階段状にジワジワと株価が評価されていく傾向がある。

現実的な中間シナリオとしては、売上は伸びても利益率は横ばい、あるいは小さく上下しながら推移するパターンだ。こてっちゃんをはじめ、総菜・惣菜系商品は堅調に売れるものの、原料や物流コストの重しが残れば、収益は大きくは伸びない。結果、株価は2,400〜2,900円あたりを中心に推移し、現在の2,650円はこのレンジの真ん中にある。大きくは動かないが安定感があり、じっくり配当を受け取る投資家には適した銘柄になる。

一方で悪いシナリオでは、牛肉価格の再上昇や為替のさらなる円安、物流のコスト増といった外部ショックが重なることで、過去のように大幅な減益が再び起こる可能性がある。そうなると投資家の慎重姿勢が強まり、株価は2,000〜2,200円付近まで調整するリスクもある。もともと同社は原料価格に業績が敏感な構造のため、マクロ環境が悪化すると株価も連動しやすい。

総じて、エスフーズは「大化け銘柄」というより「割安でディフェンシブ、配当を取りながら長期保有するタイプ」に分類される。大きな値上がりは期待しづらいが、底堅さがあり、長く持ちながら外部環境の改善を待つという投資スタンスに向いている。安定と配当を重視する投資家には魅力的な銘柄であり、派手さはないが堅実さが光るタイプの企業だといえる。

この記事の最終更新日:2025年11月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP